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かーちゃん実は魔法少女だったの……  作者: 海原虚無太郎
第2話 社畜から魔法少女へ、スピリットアスリーテス再誕
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蘇るスポ根。スピリットアスリーテスGet ready!

「本当にもう忌々しい!!あの子何回邪魔をすればわかるのよ!!」

 短めのポニーテールを振り回し少女が地団駄を踏む。

「ちょっと、あまり見苦しい言動は慎みなさいよ」

 そう言って腰まである黒髪を手で掻き揚げながら嗜める別の少女。

「にゃはは!日向ちんはいつもキレてますにゃあ。カルシウム足りてないんじゃないのー?」

「お、お菓子でも食べて落ち着きましょうよ。海美ちゃんもどうぞ」

 茶髪でショートカットの少女が笑い、モコモコとした髪質のボブカットの少女が机にクッキーを広げながらその場を納めようとしている。

 ここはマギカフォースの4人が通う星宮中の第3視聴覚室。

 彼女達は手品同好会としてこの部屋を部室として使用している。この部室は4階最奥という地理的要因と一応シリウスによって人払いの魔法が施されているため人目を気にせず魔法についての話もできるようになっている。


「まぁプリティピーチにばかりおいしいところ持っていかれるのは少々癪ですわね」

 海美は花代のクッキーを摘みながら呟く。

 ここ最近のマギカフォースは散々たる様であった。プリティーピーチの登場以来、悪鬼兵の出現頻度は異常に高まり学生生活との両立もままならない状況に追い込まれ、出動すればしたで悪鬼兵に苦戦しプリティーピーチに全て持っていかれるというまるで良い所が見当たらない始末だった。

 そしてプリティーピーチの活躍により悪鬼兵は弱体化しているものの、だからといって彼女達でなんとかできるほど彼女達自身が強いわけでもなかった。

「シリウス!いい加減新しい装備は完成しないの!?」

 そう言ってポニーテールの少女、日向は浮かぶシリウスをこずく。

「鋭意製作中だ。ドリームに先行採用している新型スーツだけでもなんとか次の戦いまでには投入できるよう頑張っている。あとは君達のスーツからフィードバックされた情報を元にフラワーのプロテクターのような専用武器をどんどん作っていくつもりだ」

 マギカフォースシステムの狙いは能力の低い使用者を魔科学の力で底上げして一人前の平均的魔法少女に仕立て上げることが第一段階であり、第二段階ではスーツからの成長データを元に個人個人の特性に合わせた装備を投入することで平均的魔法少女からそれぞれ特徴を持った魔法少女へと成長を支援することを目的とした設計となっている。

 シリウスも彼女達専用の装備を投入したいのは山々だったのが、戦況が悪化するまでの1年間では彼女達はそれぞれ固有の魔力を育てたり工夫したりせず、マギカフォースシステムに最初から備わっている機能でゴリ押しすることしかしてこなかった。それでなんとかなっていたためシリウスも楽観していたが、ヘイトレギオン結成からの急展開に慌て、彼女達の成長をサポートするよりもドリームという追加戦力の投入を優先した結果いつまでたってもミソッカスな魔法少女戦隊である今のマギカフォースが出来上がってしまったのだ。そのため、スーツからのデータも魔法少女へと契約した時とほぼ変わっておらず、専用装備など作れる状態ではないことをシリウスは隠していた。

「それならいいけど、なるべく早くね!あとスーツのデザインもっと可愛くしなさいよ、ダッサイアーマーみたいなのよりもドレスみたいなやつが良い!」

「善処するよ……」

 日向の要望にはいつも苦笑いをして返すシリウス。他の少女達も辟易としているが日向は気にする様子もなかった。


「さて、話は変わるが、敵の動向についてだ」

 シリウスはポンとモコモコした手を叩いて注目を集める。

「ヘイトレギオンはウラーム帝国、ダークヘイター、そしてジャーアクの3つの集団の残党が集まった組織というのは知っているだろう。そして今まで戦ってきたのはウラーム帝国の悪鬼共だ。現在我々とプリティーピーチの活躍でウラーム帝国については勢いを落としつつある。しかし、今尚星宮市内での怪事件や負のエネルギーの発生状況は変わらずにいる。特に無気力状態になる人間が急増していることから現在はウラーム帝国軍に代わり、悪魔教団ダークヘイターの残党が主体になって侵攻を進めている可能性が高い。……空良くん」

 話を止めニヤニヤしながら手を挙げている空良を指すシリウス。

「無気力状態になってるからってなんでダークヘイターって分かるにゃあ?」

 空良の質問を受け、シリウスはくるりと背中を向けて語りだした。

「君達は知らないだろうが、ダークヘイターは20年前も星宮市を襲撃しているからね。奴らのやり方は人間に擬態して巧妙に人間世界に浸透し、アジトに設置した悪魔寺院の効果で周囲の人間から精神エネルギーを収奪すること、そして強い精神力を持つ人間を拉致して直接生贄とすることがメインだ。精神エネルギーを吸われた人間は無気力状態となり、心を悪しき方向へ傾かせ易くなるからウラーム帝国軍の侵略を補助するような形になるわけだね」

「ふん、次の相手は悪魔ってわけね。相手の弱点とかはないの?」

 日向も質問を飛ばす。

「弱点かぁ、あまり聞いたことがないな。ただ悪魔は魔力抵抗が高いから生半可な魔法は効かないし、奴らは人間世界に巣食っているからあまり大規模な魔法も制限されるのが面倒だな。当時事態収拾に当たった魔法少女達は肉弾戦主体だったのもそこらへんに関係しているはずだ」

「あんまり物騒なのはやりたくないなぁ……」

「悪魔ごときにビビってるんじゃないわよ!今度こそ私達が全部決めてやるんだから!」

 日向は尻込みする花代の背中を叩いて吼える。

「敵のアジトと思われる場所については目星が付いているから今日の夕方偵察もかねて出撃だ」

 午後5時を知らせるチャイムが鳴り響く中、マギカフォース出撃の指令が下された。


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