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かーちゃん実は魔法少女だったの……  作者: 海原虚無太郎
第1話 魔法熟女?プリティーピーチ復活
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40歳の魔法少女

 魔法少女、それは年端も行かぬ少女たちが自らの青春を賭して己の愛、優しさ、慈しみの心で悪からこの世界を救う存在。

 魔法少女はそれぞれの時代、場所において人知れず活躍し、その知られざる歴史は過去から連綿と続いている。

 いつの時代も魔法少女たちの物語は巨悪を倒し、幸せのうちに幕を閉じる。

 しかし、魔法少女だった少女たちが消え去るわけではなく、かつて魔法少女だった彼女たちはその後もそれぞれの人生という物語を続ける。

 そう、かつての魔法少女たちは意外と身近にいるかもしれない。




*  *  *  *  *



 午前6時半、目覚ましの音と共に杉田桃美はいつものように隣で寝続ける夫の学を起こさぬようベッドから抜け出した。

 いつものようにポストから新聞を取り出し、朝食の支度を始める。

 午前7時前に夫がうんうん唸りながらも寝室から出てくるのを感じながら朝食の準備は滞りなく進んでいく。

 午前7時過ぎには長女の夢が二階から降りて身支度を始める。

 小学6年生になった夢は最近オシャレにも気を使うようになり、朝の支度も念入りにするようになってきたことには桃美もまだ早いのではと思いつつも娘の自立と成長を嬉しくも思っている。

 午前7時半、夫と娘が朝食を片付けている最中二階からドタドタと階段を駆け下りてくる音を聞き、そろそろかなと思っていると。

「かーちゃん!なんで起こしてくれなかったの!?」

「隆!あなたもう16でしょ!自分のことぐらい自分でやりなさい!!」

 長男の隆はアーアー叫びながらも朝食を口に放り込んでいき、寝癖も直さずに玄関へと駆けていった。

 これは桃美にとってごく普通の一日の始まりのはずであった。


「昨日星宮市内で起こったひき逃げ事件の続報です」

 ローカルニュース番組のアナウンサーの淡々とした口調が耳に入ってきた。

「最近また市内も物騒な事件が多いねぇ。夢も気をつけて学校に行くんだよ」

 学が出発の準備をしている夢へ声をかけた。

「だ、大丈夫だよ。皆すぐに優しい気持ちを取り戻すよ」

 夢はぎこちない笑顔でそう返し、玄関へと向かっていく。

 

 夫と娘の出発を見届け、桃美は夫の読み終えた新聞の地域欄を開いた。

 そこには乱闘騒ぎやひき逃げなどの事件や急増する行方不明者や突然意識を失う奇病などの怪異といった穏やかなはずのこの町とは思えない記事が踊っていた。

「本当に大丈夫かしらねぇ。うちの娘たちは……」

 そう一人ごちながら桃美は寝室のクローゼットの奥にしまっていた物についてふと思い出した。

「プリティーコア……もう無用の長物だけどね」

 なぜ今になってまたという理由はわからないが、桃美はクローゼットから小箱を取り出していた。

 小箱の中には今もピンク色に輝くハート型の宝石があった。


 「プリティーピーチ」とは30年前に星宮市内で起きた様々な怪異、事件を影ながら解決した魔法少女の一人。その存在は一般的には秘密ながらも彼女たちの活躍はその筋では有名だ。

 星宮市の裏の次元に存在する異世界スターランドがウラーム帝国により侵攻されたことに端を発する一連の騒動はプリティーピーチとその仲間たちの次元を股にかけた活躍により終結し、人々は思いやりの心を取り戻した。

 プリティーコアとはプリティーピーチへと変身するためのアイテムだったものだ。

 かつて桃美は10歳の時にプリティーピーチとして活躍していたが、いまやその力は失われている。

 プリティーピーチへと変身するきっかけとなったスターランドの妖精との契約は最後の戦いのあと消えてしまい、かけがえのない友情と忘れられない冒険の思い出であるこの宝石はクローゼットの奥にしまわれていたのだ。


「やさしさの心を取り戻すための誓い。懐かしいわね」

 桃美はコアを手に取り半分笑いながらも昔を記憶を手繰りながら呟く、

「プリティーチェンジ!……だったっけ?」

 その瞬間桃美は懐かしい光に包まれ、自分の意思ではコントロールできない大いなる力に体を支配された。

「みんなの心にキラキラ笑顔!プリティーピーチ!ただいま参上!!」


「……マジか」

 いつのまにか両手を前で交差し高らかにセリフとポーズを決めていた桃美は愕然とする。

 そして後ろから不意にかけられた声に穏やかな日常の崩壊を確信することになる。



飲み会で出てきたアイディアを膨らませてみました。

どこまで書けるかわかりませんが時間があればチマチマ書こうと思います。

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