月を追いかけて
わたしは落ちていく 暗い海の底へ
土だけが広がって 言葉は無く
それ位が良いのだと 誰かに言われて
世の中の怖さを 集めて 集めて
一枚の絵を描いた すぐに破り捨てた
波が流れていく 草原を襲うように
それは、自然と自然の闘い
共生なんて生易しいものではあるまい
高みに登ったまま 時がすぎるのを待つ
変化なんてものは 好まない
男が女を超えるとき 女は男を捨て去った
「性別」
今夜の月は黄色くて 君は笑顔だ
私は本をテーブルに 天井を見上げる
何処かの国では大家族の母さんが 大声で怒ってるだろう
人生のレースに着いていないものに 哀しい話は、毒
人生のレースに敗れたものに 楽しい話は、また、毒
誰の言葉にも耳をふさぎたい 偉い言葉は要らない
その時、100年後の淋しさが 耳元を過ぎました。
「レース」
ポジティブな夢 場合によっては罪
無職無収入の四十路の中年が 夢を追いかけるのは
かなり難しい話であり 励ますことも怖くなる
場合によっては夢なんて 捨てちまった方がいい
己の身は己で守れ 生き残りの世界だ
世の中が間違ってると 君は言うけれど
正しかったことなんて 一度もないよ
世の中が正しかったことなんか たったの一度もね
「ポジティブに」
フルシチョフの夢の中で トロツキーは何者だったのか
たわいない権力に魅せられる 男達、時に女達
大衆は、それを愉しんでいるよ いつでもね
言葉の使い方には 気を使うは必要は無い
私の足どりは 怒りに満ちていたのだから
「分裂」
ずいぶんと辛い季節がやってきた 誰もが影を背負って
時代に敗れ去った者達が 傷も癒せぬままに 生きている
そのまま時間が流れていけば 暮らしの中に埋もれていく
叫び声はいらない 枯れたままで立ち尽くしている
叫び声はいらない 枯れたままで立ち尽くしている
何も変わりはしないのが この世界のルールならば
そのルールを守りながら 長生きをしていこうと思う
叫び声はいらない 枯れたままで立ち尽くしている
叫び声はいらない 枯れたままで立ち尽くしている
「枯れた野に」
別に暴力的ではない ただ意欲的ではないのだ
別に退廃的ではない ただ協調的ではないのだ
そして、その人は 部屋の中にと閉じこもった
家族に金はあり むやみな事も口走らない
余りにも口数が少なく 他人といると疲れる
それならば、引きこもりとは呼ばないで
それならば、出不精だと呼びましょう
何か成したい訳でもなく 静かに生きている
時の騒がしさとは 離れた場所で 生きている
「出不精ですから」