図書館デート5
「そうデス、なんの話をしてるんデスか!」
!!
振り返るとそこには金髪美少女、クインティー・ベーカー嬢がいた。腰に手を当てて、なんだか御立腹の様子だ。
「姫雪クン、今はワタシとデート中デスよ。他の女の子とおしゃべりなんかダメデス!」
「あ、ごめん……って、いや、デートってそうなの? ちょっとした立ち話くらいはするんじゃない? こいつはそもそもオレのルームメイトで、家族みたいなもんだし」
「うーん、家族デスカ? でもアナタ、次郎丸真紅と一緒にいたウチの生徒デスよね。互いの選挙活動は邪魔しない取り決めだったはずデス!」
たしか、相手の邪魔したら翌日の選挙活動を相手に渡さなきゃいけないんだったっけ。
「ち、違うんだよ。ボクはもう真紅ちゃんの選挙参謀じゃなくなったし。ここへ来たのだって、普通に調べ物をしに来ただけだから」
「本当デスか?」
「ホントだよ!」
クインティーは疑わし気に透の顔を覗き込む。そして、予想外なセリフを口にした。
「それなら、今日からアナタをワタシの選挙参謀に任命するデス!」
「ええっ!」
「だめデスか? 次郎丸真紅の選挙参謀をやめたというのが本当なら、問題ないはずデス」
「それは、そうだけど」
「なら、今日は就任祝いのパーティデース! ワタシのウチで一緒に晩御飯を食べるデス」
「クインティーさん、透にも事情ってもんがあるからさ」
「もちろん、姫雪クンも一緒に来るデス!」
オレと透は思わず顔を見合わせた。
クインティー・ベイカー嬢の顔を見る限り、その無邪気な笑顔に悪意の様なものは感じられない。でも、もし彼女が魑魅魍魎の類なら、何かを企んでいる可能性は十分にあった。そうじゃなければ、そもそも青嵐学園の生徒会長になろうなんて思いつくだろうか?
《九郎ちゃん、どうする?》
透がアイコンタクトで尋ねてくる。この辺の阿吽の呼吸はオレたちならではだ。
《しょうがない、行くしかないだろ》
それにクインティーの家に行けば、彼女の正体について何か詳しいことが分かるかもしれない。
オレたちは、喜んで招待を受けることにした。




