フツーの学園生活とは? その3
そんなわけで放課後。
オレはクラス一の秀才、山田君に勉強を教えてもらう約束を取り付けてた。
「や、やぁ、姫雪君と……座志木君だっけ、ええと何から教えればいいかな」
身長は透と同じくらいと小柄で、漫画に出てくるような度の強い黒縁眼鏡をかけた秀才君は、なぜだかお尻を抑えている。
「どうしたんだ? 痔か?」
「言っておくけど、僕にはそっちの趣味はないからね」
「はぁ?」
「だって、君たち二人って有名な噂あるよね」
噂って、もしかしてオレと透が付き合ってるってヤツか?
「別に僕は性的マイノリティーを差別するつもりは全然ないんだけどさ、つまり、姫雪君ってはアレなんだろ、ホモセクシャ――」
「ホモじゃねえよ! 全然違うし!」
「そうだよ! 九郎ちゃんはボクのことが好きなだけでホモじゃない!」
オレと透は口を揃えて反論する。だが、クラス一の秀才は半信半疑のまなざしでオレたちを見つめていた。
「でも、座志木君も男子だよね」
「そりゃ、ボクは男子だけど……でも、九郎ちゃんはホモじゃないんだ。ホモじゃなくて……そう、ショタコン!!」
「ちげぇわ! おまえが口を出すとややこしくなるから黙ってろ!」
オレは透の腹を蹴って黙らせた。
どうしよう。なんといって納得させようか? 迷っていると、急にオレの意識が身体の外に追いやられた。
(俺様に任せろ)
コウテンケンだ。なんだか悪い予感しかしないけど、こうなるとオレにはどうしようもない。
姫雪九郎は、にやりとどす黒い笑みを浮かべて言った。
「とにかく、あの噂はただの噂。本当の俺はメチャクチャ女好きさ。その証拠に、この学園でももう何人も女子を食っちまってるからな」
「本当かい?」
「ああ、有名な白神ビチ子だろ、もと生徒会長の次郎丸真紅に、今の生徒会長のクインティー・ベイカー、それに養護教諭の水天宮玲子。全部、俺のセフレだから」
ちょっと何言っちゃってるんだ、この駄犬!!
しかも真面目な山田君はその戯言をすっかり信じちゃったようだ。
「白神先輩に、新旧生徒会長、それだけじゃなく、水天宮先生も……マジか」
「なんだ、あの女教師が山田のお気に入りか? じゃあ、もし俺と透が無事進級して卒業出来たら、仲を取り持ってやってもいいぜ」
「ホントに!?」
「まずは、今度の中間試験だな。俺たちが全教科平均点を取れたら、デートをセッティングしてやる」
「わかったよ、それなら僕が責任もって姫雪君と座志木君の面倒を見る」
「おう頼んだ。そして、無事卒業した暁には……フフフ」
「フヒ、フヒヒヒ、よし、キミたちの卒業は僕にまかせてくれ。そのかわり僕の卒業もよろしく頼むよ、フヒヒヒ、夢みたいだ、玲子先生で卒業できるなんて、ヒィーッ」
山田君が壊れた。
するとコウテンケンのヤツ、こっちを向いて言いやがった。
「じゃあそういうわけで、あとよろしく!」
「よろしくじゃねえよ!」
気が付くと、オレの意識は体の中にスッポリ戻っている。山田のニキビ面が目の前にドアップになる。
「それじゃあ、姫雪君、これから中間テストまで寝ないで勉強だよ」
「いや、まだ試験まで一週間あるし、寝なきゃ死んじまうだろ」
「死んじゃダメなんて取引に入ってないからね、さあ、頑張るぞ!」




