カウントダウン
「やっとここまできたわ」
薄暗い部屋の中、この部屋の主である少女はポツリと呟いた。
その少女を見た同姓は、少女の全てに嫉妬し、悔し涙を流すことだろう。
その少女を見た異性は、少女の全てを欲しいと願い、我が身を差し出すことだろう。
少女は全てを持っていた。金も、地位も、名誉も。
しかし少女は知っていた。近い将来、自分は全てを失うことを。
そして望んでいた、この身を繋ぐ枷を外し、自由になることを。
「さぁ、もうすぐ幕が上がるわ。神の望む通りに演じてあげる。
そしたら、私たちは自由よ」
少女は振り向くと、何もいないはずの空間に語りかけた。
すると、まるで闇から滲み出すように、1人の少女が現れた。
「……」
少女は何も答えず、ただそこにたたずむのみ。
それに気を悪くした様子もなく、少女は笑みを浮かべ、くるくると踊り出す。
「さぁ、幕が上がるわ。ここはあなたのための世界
あなたはどの選択を選んで、
どんなエンディングを迎えるのかしら
パッピー・ノーマル・バッド・逆ハー?
答えは神のみが知っている
さぁ、幕が上がるわ。ここは現実の世界
やり直しなんて利かないわ
エンディングなんてあるのかしら?
答えは神さえも分からない
あなたはエンディングを迎えられるかしら?」
そう、口ずさみながら。