表紙~タイトル~
「今日はお疲れさん。夜は特に忙しかっただろう?大丈夫かい?」
仕事が終わって夜、アネットさんが声をかけてくれる。
今日はアネットさんが言ったとおりものすごく忙しかった。なんでも町の騎士団の給料日だったらしくてみんな外食にしたらしい。食べ盛りの男共がわんさか来て疲れました。
私は厨房で働かせてもらってるのでめんどくさい騎士たちの相手をしなくてすむがフロアのほうで働いているマリーさんとフェイトさんは大変だっただろう。ああ、マリーさんとフェイトさんというのはアネット食堂の従業員さんのことです。お二人とも美人で優しい。お菓子をくれるいい人です。
そして騎士たちは隙あらばフロア担当のお2人を口説く。なんでも出会いが全然無いらしい。私もヘルプでそっちに出たときにもううんざりするくらいお世辞を言われた。アレは本当に鬱陶しかったなぁ。日本人は褒められ慣れてないんだよ。耐えている2人はすごいと本気で思う。
あ、ちなみにドミニクさんもこの騎士団で働いています。でも彼は実は彼女さんがいるので口説いたりしてませんよ。
そんで私はさっき書いたとおり厨房で働かせてもらってます。元より一人暮らしだったんで料理は得意だったんです。さらに前作ってみてといわれたので作ってみた私の世界の料理がアネットさんの舌をうならせましてそれ以来店のメニューに入りました。よって私はコックさんです。1年前は女子高生だったのにな・・・・・・。
今のところメニューに入ってるのはシチュー(ちょっと意外なことにこっちにはシチューが無かった。スープは普通にあるけど。)と肉じゃがもどき、プリンもどきにアイスもどきである。
なぜシチュー以外「もどき」が付くのかというと地球とは食材が違うからである。
ジャガイモなんて無かったのです。なので肉じゃがもどきにはジャガイモと食感はまったくおんなじなのに色が青色って言うなんかものすごい野菜“ヒューレ”を使ってます。なので肉ヒューレになっちゃうのだ、本当は。
それはなんか嫌なのでそのままの名前でやっているけど時々みんなに「じゃがって何?」って聞かれる。そのたびごまかしてるけど。つっこんじゃいけないことも世の中にはあるってことさ。
私的にはアネットさんの料理のほうがおいしいんだけどねー。私の雑な料理より確実に。アネットさんの料理はマジ神です!どんなにお腹空いてなくても食べれちゃうんだからもう魔法だよね。
あ、そうそう魔法といえば私はもう一個お仕事してます。チートな能力を使って魔法で便利屋さんを。
魔法がなければ解決でき無そうなことを解決するのが仕事内容。
小さな女の子から依頼で木のてっぺんに引っかかった帽子をとってくれ、から騎士団の依頼で町に盗賊が来たので捕らえるのをてつだってほしいなど、ものすごーく幅の広い便利屋をやってます。
これをはじめたのはせっかくあるチート能力を生かしたかったのとアネットさんにお世話になりっぱなしだったので食費ぐらい入れたいと思ってだ。はじめて半年たつが結構好評である。
「それでシー。あんた昨日さ明日から日記つけるって言ってたけどつけたのかい?」
アネットさんに再び話しかけられる。
ほえ、日記・・・?あ!忘れてた・・・
「え、えへ、忘れてました。今から書いてきます!そのまま寝ちゃうかもしれないんでおやすみ言っちゃいますね。おやすみなさい」
「ああ、おやすみ。私ももう寝るかな。じゃあ明日もよろしく頼むね」
「はーい!」
階段を駆け上がりながら返事をする。
私の部屋は3階建てのアネットさんの家の最上階、3階である。前はアドルフ君と相部屋だったけど今はアドルフくんがいなくなったので一人で使っている。
んでその向かいにある部屋がドミニクさんの部屋。2階はリビングとアネットさんの部屋がある。1階はもちろん食堂だ。
階段を上り終えて部屋の戸を開ける。
私は机の上においてあるペンとノートを手に取った。
もう1年経っちゃったけど私は日記をつけることにした。もし私みたいな人がまた来た時の為にだ。私はあの異世界人の日記のおかげで生きているといってもいいくらい日記に恩があるので私ももし役立ったらと思って書くことにした。
本当はもっと前からそう思っていたのだが、なかなか忙しく書き始められなかったのだ。
「さて、タイトルは何にしよう?」
一人なのをいい事に独り言を言ってみる。だってなんか喋ったほうが思いつきそうだったからね。
「うーん、どうせならそのタイトルだけで内容がわかるようにしたいよなー。うーん・・・・」
私は悩む。タイトルなんてそんなに大事じゃないんだがなんだかこだわってしまう。
なんとなく私のシーというあだ名に3日3晩悩んだ友達の心がわかった気がした。
「うーむ・・・。よしっ!これにしよう」
私は日記帳の表紙にでかでかと日本語でタイトルを書く
《異世界トリップ者の異世界奮闘日記》
「よし!あんだけ考えて結局なんのひねりも無いけど良しとしよう!さて早速書くかな、中身」
こんな風に日記を書き始めた頃の私は知る由も無かった。
この平穏であたたかな日常に終わりが来ることを。
すみません。サブタイトル変えることにしました。この話を表紙にして次から1ページにします。前の話は過去編1とかに変更します。急にすみませんでした。