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皆さんこんにちは。シーこと大海翔子です。異世界に来てしまい巫女姫とか呼ばれながらも頑張って懸命に生きてます。
さてさてただいま地球風にいうとすると3時のおやつの時間です。
文○堂のカステラではないけどおいしい焼き菓子とリーゼの淹れてくれたこれまたおいしい紅茶で楽しくおしゃべりしながらいつもどおりのティータイムを満喫していたのですが・・・・・・・・
チラリと視線をソファに向けてみるとそこには倒れているリーゼがいる。
一応医療魔術をかけといたから大丈夫だとは思うけど心配だ。
そしてそのソファの向こう側には真っ黒いローブを着た男がこちらを見ながら楽しそうに笑っている。ニヤニヤとした表情だけ見たらそんなに危険はない感じだが男の体から発せられている殺気で部屋の空気はピリピリと張り詰められている。少しでも動いたら殺られそうだ。
そういやあの人ローブ着てるのに顔丸見えだな・・・。そしてイケメンだな・・・・。中世的な顔してるよ。綺麗だー。じゃなくて!意味あんのかなそのローブ?せっかくだからローブでその綺麗な顔隠せばいいのに。そうすれば私自分の顔にショック受けることなんてなかったのに・・・・。あ、それともこれから殺す奴には顔を覚えられてもいい的なやつか!どうせ死ぬんだからーみたいな感じか!
でもそういう余裕ぶってる奴に限って最後は痛い目見るんだからな!!バーカバーカ!!!
とまあちょびっと現実逃避をしてみたりしたけど意味なかったね。
お分かりだと思うけどわたし襲われています。
油断してたからリーゼに怪我させてしまったよ・・・・・。
まさか読みどおり明日(まあ実際は今日だけど)には来ないだろうとか、まさか真昼間には来ないだろうとたかをくくってた私が悪いんですよね。
自業自得ですよね。
でもさ!まさか自分を襲いに来る人がおやつの時間に堂々と扉から入ってくるなんて思わないじゃん!!
コンコンってご丁寧にノックされたから他の侍女さんとかかなって思って扉開けちゃったじゃん!!
あ、いや開けたのはリーゼだけど。そして開けた瞬間にリーゼは何らかの魔術をくらって倒れてしまったのだ。
ちなみに見張りの騎士達は2人そろって夢の中です。
殺されてなくてよかったけどよだれ垂らしてたのは普通にイラッときた。
人が大変なときに!!!!
おっといけないまた現実逃避してしまった。いい加減に戻るとしよう。
「えっと、あなた何者ですか?」
こういうときに敵さんにも敬語っていうので私のチキン具合がうかがえるね!でも怖いんだもの。
「ん?僕はねぇ魔術師だよ?」
「いやそれは分かってますけど・・・・・。じゃあ何しにきたんですか?」
「ふふっそれも分かってるくせにぃ」
そういい終わると同時に男の殺気が強まる。
思わず後ずさりそうになるが足を踏ん張って耐える。
冷や汗が止まらない。前に数学のテストで一桁台をとったときくらいに冷や汗が止まらない。ダラッダラだ。昨日の集まりでは返り討ちとか言ってたけどマジ調子乗ってました!!
殺気マジ怖い。なんか間延びした口調のふざけた奴といった感じなのにローブの男から出る殺気は本当に恐ろしいものだった。ただ笑って立っているだけなのに涙が出そうになる。
だけどここで屈服したら奴等の思う壺だ!
そう思い顔を上げて相手を睨みつける。
「おやおや、やっぱり一筋縄じゃいかないねぇ・・・。大体の人はこの段階で腰が抜けて動けなくなるんだけどなぁ。さすがは巫女姫といったところかなぁ。ふふっしかもまだ僕を睨む気力まであるとは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・困った。気に入っちゃったなぁ。あーあ彼女面白そうだし、やる気もなくなっちゃったなぁ・・・」
「っお褒預かめにり光栄です!・・・・ならやっぱり今日はお開きにしません?」
「んー素敵な提案だけどそれは無理かな?僕仕事は完璧にこなすほうなんだぁ」
にっこりと笑った後に男は指を鳴らした。
パチンという音が室内に響き渡るとシーが立っていた床の部分に魔方陣が現れる。
「まさかあらかじめ仕掛けてあったの!?嘘!そんな形跡なかったのに!!」
驚きの声を口にしつつ逃れようと横に転がろうとする。が、魔方陣が光り輝いたと共に体が動かなくなった。とっさに瞬間移動の魔術を使おうとするがなぜか発動しない。いつもは少し集中すれば魔力が集まるのに今はなぜか少し集まると散らばってしまうのだ。
「ふふっ僕はね事前に準備しておく魔方陣を使う魔術が得意なんだぁ。時間さえたっぷりあればどんな人にもばれない魔方陣をかけるくらいにはねぇ。ちなみにその魔方陣の効果は一定時間対象者が一切魔術を使えなくするのと動けなくすること。だから洗脳の魔術かけるのにうってつけでしょ?洗脳には時間がかかるから」
「・・・・・・・・・・・・あなた禁呪を使う気なの?」
動けなくても声は出せるようなので時間を稼ごうと思い質問してみる。ちなみにさっきまでは使ってたけど今は敬語を使う気力はありません。
「うんまあそれしか方法ないしねぇ。一応腕と声以外ならあげてもいいかなって思ってるよ?魔方陣書くのに必要なのは腕で発動させるのには声が必要だからこの二つが無くなっちゃったら困っちゃうけどねぇ」
「他人のためなのにそれでいいわけ!?禁呪使ったら代償を与えなきゃなんだよ?それなのにいいの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あんまり良くはないけど、仕方ないんだよ」
私の質問に男は長い沈黙の後に小さな声で答えた。仕方ない、と呟いたときの口調はまるで自分に言い聞かせているようで私は思わず男の顔をガン見してしまった。
その私の視線に気づいたのかどうか知らないがローブの男は「さて、お話はここまでにして始めようか」といい詠唱を始めた。
その詠唱を聞きながら私は時間稼ぎまったくできなかったな・・・私話す才能無いのかなぁなどと再び現実逃避を始めた。
更新遅くてすみません
それでも見捨てずに読んでくださってくれている方本当にありがとうございます!