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※主人公、シーの苗字を変更いたしました。『大海翔子』です。
詳しいことは活動報告に記載してあるのでもし良かったらお読みください。もし混乱を招いてしまったら本当に申し訳ございません。
「シーちゃん!!」
「シェリーさん!!」
私は今エドさんの部屋の入り口でシェリーさんと感動の再会の抱擁を交わしているところです。
昨日と同じように真夜中にリーゼに別れを告げて転移の魔法でエドさんの部屋までひとっ飛びしていった。そしたら丁度シェリーさんも来たところだったらしくお互い顔を見たら思わずガバッと。
実に12日ぶりの再会なのかな?あー本当会えてよかったなぁ。
なーんてのんきに考えていたが実はそろそろ酸素が足りなくなりそうだ。シェリーさんのバイスバディのおかげで息ができない・・・・・!彼女とは身長差があるために私の顔は豊満な胸に丁度埋まる感じなんですよ。く、苦しい。なんて大きな胸なんだ。羨まし、じゃないまったくけしからん!
「シェ、シェリーさんギブアップです・・・・・。」
「あら、ごめんね?大丈夫かしら?つい会えて嬉しくなっちゃって。」
「ゲホッゲホ・・・。もう大丈夫です。それと私も会えてとっても嬉しいです!」
そういってえへへへと微笑みあってたらいきなり邪魔が入った。
「・・・・・ゴッホン!シーにシェリー殿もそろそろ中に入ったらどうだ?」
せっかくの感動の再会をわざとらしい咳払いで崩壊させながらそういうエドさんを軽く睨みつつ私達は昨日と同じ部屋に入りソファに座った。
「やあシーちゃん昨日ぶりだね。」
「そうですねルーカスさん。シェリーさんとかに連絡とっていただいてありがとうございました。」
「いやいや。そんなこと気にする必要なんてないから。というか教えなければ俺がシェリーさんに殺されてたかもだしね。」
「やだわぁ。殺すなんて物騒なことしないわよ。殺すことは、ね。」
「・・・・・・・・・シェリーさん、それだと殺しはしないけどなんかするつもりだったって事っすか?」
大量の冷や汗をかいているルーカスさんの問いにシェリーさんは「うふふふふ。」と笑うだけだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん。シェリーさんには逆らわないようにしよう。そうしよう。
「そういえばランスさんとかは来れなかったんですね?」
「ああランスさんはなんか用事でレイ隊長は警備の仕事、ギルバートも仕事だな。」
「そうですか・・・。皆さん忙しいんですね。すみません私の思いつきにつき合わせちゃって迷惑かけて。」
ぺこりと頭を下げつつ心の中で反省をした。
私は軟禁際活で暇してるからいいけど皆は仕事があるんだもんね。迷惑かけちゃってるな・・・。
「付き合うというより俺は自らの意思で参加したいと思ったのだ。だから迷惑ではない。むしろありがたいと思っている。今まで俺はこのままでは国が駄目になると思っていたが何も行動に移せなかった。だが今回シーが誘ってくれたおかげで踏ん切りがついた。」
「俺も殿下と同じだよ。だから迷惑なんかじゃないし。」
「私とランスもよ。というより私達はやりたくないと思ったことはやらない主義なのよ。だから私達の行動は全て自分に忠実なの。だから遠慮することないわよ。」
みんなの優しい言葉に目頭が熱くなる。まったく最近涙もろくて困る。地球ではこんなことなかったのになぁ。
「皆さんありがとうございます。それでは時間もないですし話し合いを始めましょうか!まず早急にに解決しなければならないことから話し合いましょう。」
「んーやっぱりシーちゃんへの王宮の対応じゃないかな?シーちゃん身の回りで変な感じしたりしない?」
「特には・・・・。そういえばもうすぐあの王様と公爵の密会から3日経っちゃいますもんね。いい加減明日には何らかのアクションありそうですよね?」
ジノヴィだったけ?とりあえずそんなような名前の魔術師が来ると思ってたんだが今のところ何にもない。平和である。
「シーはどのくらい魔術を使えるんだ?」
エドさんにそう聞かれて返答に困る。なんせ私の魔術はこの世界の魔術の定義をぶっ飛ばしているから。詠唱なしだから想像力(妄想ではない断じてあくまで想像だ)で魔術を行っているためぶっちゃけなんでもありなのだ。想像さえできればね。さすがチート!最強!!
「魔術は基本なんでもできます。上級魔法もできますよ。」
「まあそうよね。結界をあんなに簡単に張るんですもの。魔術に関しては心配ないわよね。」
「はい。自分で言うのもなんですけど魔術さえ使えればそれなりに戦えると思います。」
だってチートだもん!想像したら実現できるってチート以外の何ものでもないもんね。
でも魔術が使えなかったら終わりだなー・・・。
昔空手やってたことあるけどあんま実用できないし。結局家のゴタゴタでやめちゃったし。
前にエドさんに捕まったときもやばかったしなぁ。あれ?そういえばあの時なんでエドさんにばれたんだろう?途中ですれ違った騎士さん達は気づかなかったから光学迷彩は完璧だったはずなのに。
「エドさん、前に私が廊下で捕まった時なんで私の存在に気づいたんですか?光学迷彩の魔術に欠陥があったわけじゃないと思うんですが・・・?」
「あの時か。・・・・・・・・・実は俺は特異な体質でな魔術を感じることができるのだ。」
「魔術を、感じる?どういう意味ですか?」
「例えば・・・・・・・そうだな前と同じようにお前が魔術で姿を消して俺の横を歩いたとしよう。そうするとだなうまく言えないんだがお前がいるところから力の波動のようなものを感じるんだ。だから姿を消していても俺には何かがあるって分かったんだ。この力は生まれつきで俺以外の奴がこの力を持っているというのは聞いたことがないぞ。」
魔術を感じる、か。じゃあもしかして
「前回この部屋に来たときに私が来たすぐ後にエドさんが現れたのって魔術を感じたからですか?」
「ん?ああそうだな。何ものかが転移してきたなと思ったから入り口まで行ってみたのだ。」
「はぁー・・・・・。世の中にはそんな能力もあるんですねぇ。」
感心と共に焦りも生まれた。
エドさんは自分のような体質の人にはあったことがないといっていたが私からしたらそのような体質の人間が存在しているだけでかなり困る。
確かにエドさんと同じ体質の人はいないかもしれないが似たような能力を持っている人と出会って戦うことになったら私は終わる。冗談抜きで確実に終わる。
体術もできるようになったほうがいいのかな。やっぱり空手でも復活させるか。
私はやらなければならないことが増えてしまったことにため息をつきながら空手の師範が言っていた『空手道の心得100』を思い出した。
確か・・・・・
一つ、空手道は礼にはじまり礼に終わる
一つ、変質者にあったときは容赦なく急所を狙うべし
一つ、技を繰り出すときに技名を叫ぶべし(例)ファイアートルネードスーパーキック、ウルトラハイパージャンピングまわし蹴り、アルティメットマシンガンパンチなど
一つ、師範を尊敬し敬い師範の命令には必ず従うこと
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ってあれ?まともな心得が最初だけじゃん。
そういえばそうだった。この心得真面目なのは1個だけでそれ以下99個はアホなことしか書いてないんだった。すっかり忘れていたよ・・・・・。
私が通っていた空手道場はものすっごく変な道場で門下生が4人しかいなかったんだ。
そのくせ門下生を全然大事にしないものすっごくハードな稽古ばっかりで毎日毎日死にそうになってたんだ。だから記憶を封印したんだった。
そう例えば稽古と称して私の住んでいた町で一番有名な暴走族の本拠地に4人で投げ出されたんだ。13人vs4人だったけど師範は助けてくれなかったよなぁ。近くの喫茶店でデラックスチョコレートパフェ(¥1780)食べてたよなぁ。私達のお小遣いで。いつの間にか財布取られてたんだよな・・・。
後はひどかったのは夏休みにやった山篭り。まさか猪と戦うことになるとは思わなかったよね。こっちは素手でさ。服装もTシャツにショートパンツでね。ハ、ハハハハハハハハハハ、うん嫌なことを思い出したな・・・・・・・・・。急に寒気がしてきたな・・・・・・。
私は冷や汗をかきつつあの地獄の稽古の日々に再び蓋を閉めた。