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35ページ

「そんじゃリーゼちょっと行ってくるね。」

城に住むほとんどの人が寝静まったであろう頃私は明かりの消えた薄暗い部屋でリーゼにそう話しかけた。


「はい、いってらっしゃいませ。あまり遅くならないで下さいね?」


「うん、早めに帰ってくるようにするね。じゃあおやすみ!」

言い終えると同時に転移の魔法でエドさんの部屋に飛ぶ。


地面がぐらりと揺れる感覚の後景色が変わる。

うー・・・何度やっても転移には慣れないものだな。車酔いみたいな感覚になる。


エドさんの部屋の入り口って念じながら飛んだおかげでちゃんと入り口にたどり着けたようだった。

そおいやフェーンにいたころ初めて飛んだときなんて確か目的の場所から500mくらい先についてしまった気がする。そのころと比べたらだいぶ成長したなぁ、と遠い目で部屋の奥を見つめていたらいきなり声をかけられた。


「・・・・・・何そんなところに突っ立って変な目をしているのだ?」


「のわっ!ビックリしたぁ・・・・・・・・・。こんばんわエドさ・・・・・殿下。」


「・・・・・・・・・無理して殿下と呼ばなくて良い。好きに呼べ。」

あれ?このやりとり前にもしたような?まあいいや。彼がそういうなら好きに呼ばせてもらおう。


「じゃあエドさんって呼んでいいですか?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・かまわん。」

何その間!?あきらかにかまわんって感じではないじゃん!完全に嫌がってんじゃん!

ま、たとえ嫌がっててもかまわんと言ったのでやめないけどね。言質とったもん!


「ははは。シーちゃんってネーミングセンス無いよね実は。」


「ルーカスさん!何ですかその言い草は!?そんなことないですよ!ね、エドさん?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ。」


「ってなんでさっきより間が長いんですか!?もうそれほぼルーカスさんの言ってること肯定してるじゃないですか!!」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


「そこで沈黙されたらもう確実に肯定してますよ!!まったく・・・・。」


「さあさあ、2人ともそこまでにしてとりあえず部屋に入ろうよ。」

ルーカスさんに促されて私は自分がまだ入り口にいたことを思い出す。どおりでなんか少し寒いと思ったー。私はエドさんの後ろについていきながらそんなことを考えていた。




再び昨日と同じ場所に私は腰をかけた。相変わらず素晴らしいもふもふ加減のソファである。もふもふ最高!!もふもふは正義!!!


「単刀直入だが、結論を言わせてもらう。・・・・・・・・・ってオイ聞いてるのかシー殿?」


「はっ、すみません。ソファのもふもふ感が素晴らしくて現実逃避してました。いや、このソファすごいですね!もっふもふですね。」


「ク、ククッ。こんな真面目な話なのにソファのことって・・・・・。」

必死にこらえているみたいだけどしっかり肩が震えているルーカスさんを睨みつつ私はエドさんに問う。


「それで手を組んでいただけますか?」

さっきまでのほのぼのとした(?)空気を消して無表情で私がそう聞くとエドさんは少し躊躇った様子を見せた後に覚悟を決めた表情でこう言い切った。


「ああ、組ませてもらいたい。どうかよろしく頼む。」


「やったぁぁぁぁぁぁぁ!!!エドさんの記憶消さずにすんだっ!!」

思わずそう叫ぶとエドさんとルーカスさんは驚いた顔でこっちを見た。


「シーちゃんそんなことする気だったの!?」


「あ、はい。だって仲間にならないのに情報もたれちゃったらまずいじゃないですか。なのでもし断られちゃったらそこの記憶だけ消すつもりでした!いやーやらなくてすんで嬉しいです。あの魔法結構疲れるんですよねー。」

笑顔でそういったら


「・・・・・・・・断らなくて良かった。」

「シーちゃんってなにげに怖いんだね・・・・・。」

と2人に引きつった笑顔で言われた。失礼な人たちだなぁもう!ドミニクさん見たいじゃないか。


「ま、とりあえずこれからよろしくお願いしますね!」

私は立ち上がって彼に握手を求めた。エドさんも立ち上がりしっかりと手を握り返してくれた。


「ああ、こちらこそ。シー殿」


「あ、シーでいいですよ。私に殿何ていりませんよ。もちろん敬語なんてもってのほかなんで」


「そうか、ではシーよろしくな。」




ソファに再び身を沈めてもふもふしていたらルーカスさんが真面目な口調で聞いてきた。


「それで具体的には何をするんだい?シーちゃん。」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

ルーカスさんにそう聞かれて私は沈黙しながら目をそらす。


「え、まさか何も考えていないなんてことないよ、ね?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


「なっ、まさか何の作戦もなく俺を誘ったのか?」


「・・・・・だって!私もとの世界じゃただの女子高校生ですよ!!こっちの世界でだって10日ほど前まではただの町人A。そんな私が大層な策思いつくはずないじゃないですか!!!」

半ば逆切れしながら言ってみる。だってエドさんの口調が明らかにこいつ正気か?って言ってたんだもん。そんな風に言われたら逆切れしちゃうもん!


「・・・・・・・・・とりあえず今夜はもう遅いからお開きにしようか。各自良い案を考えてこよう。何日も連続で悪いけどシーちゃんまた明日も来れるかな?」


「はい、大丈夫ですよー。では私は失礼します。」

そう言いながらお辞儀をして私は部屋を去った。





エドさんが仲間に加わった!

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