表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/49

21ページ

大声で叫んだ私にシェリーさんが答える。


「そうよぉー。700000キサよ。」


「それはすごいな。そんなに価値のあるものだったのか。」


ランスロットさんとシェリーさんは話を進めているが私は叫んだ状態でフリーズしてしまい動けないでいた。思考も止まったままである。


「ええ。この類の毛皮は貴族に大人気なのよ。でも中々このレベルの魔物をしとめられる人がいないのよね。さらにこういう魔物の数も少ないから希少価値も高いってわけ。さっきも言ったけど700000キサも安めに見積もったのよ。」

シェリーさんの説明でようやくフリーズ状態から抜け出した私は気になったことがあったのでシェリーさんに質問してみた。


「あの、貴族に人気なんですか?貴族は魔物をめちゃめちゃ嫌ってるんですよね?なのに毛皮は使うんですか?」

貴族というか上流階級の人は魔物や魔族が大嫌いらしい。よって魔族などが好む色である黒やそれに準ずる色も嫌っていて夜会とかそういう感じのものに黒いドレスを着てったら袋叩きにされるんだって。おー怖っ。そういうのには関わりたくないなぁ。


ああ、そうそう魔族って言うのは魔物がより人間に近くなったやつのことだ。見た目は人間と変わらないんだけどあくまで魔物の進化系って感じである。人間の要素が4で魔物要素が6ってところかな。でも魔物と違ってちゃんと考えて行動するからよりタチが悪いってドミニクさんが言ってたなぁ。ちなみに魔物よりは全然数が少ないらしい。ま、なんにせよこいつらにも関わりたくないねー。


「ええ、そうなのよ。貴族の人たちは魔物の毛皮とかは普通に使うのよねぇ・・・。そのくせ黒色とかは嫌うんだけど。よく分からないわよね。」

シェリーさんが苦笑しながら答えてくれた。苦笑すら色気が漂うってもう何なんですか!何すればその色気は消えるんだよ。私てきには多分彼女の場合ならどじょうすくいをやっても色っぽいと思うよ!!


「ふんっまあ、お偉いさん達は実際なんでもいいんだろ。自分を強く、美しく見せられさえすれば。」

ランスロットさんが吐き捨てるように言った。

おや、今の反応からしてランスロットさんは貴族が好きじゃないんだろうか?まあ私もあんまり好きじゃないんだけどね。だったら早く話題を転換したほうがいいよね。ランスロットさんを気分悪くさせるなんて重い罪だもの!


「そうなんですか。教えてくれてありがとうございます。それで買い取っていただけるんですよね?」


「もっちろんよ!ぜひ買わせてもらうわ。んーじゃあ毛皮、牙2つあわせて750000キサでいいかしら?」


「はい!お願いします。」

私がそう答えるとシェリーさんはジュースらしきものを私とランスロットさんに出した後にお金を取りに店の奥に入っていった。

私は出されたオレンジジュースもどきを飲みながらこの後どうするかを考えていた。

実はあの詐欺罪でつかまりそうな出店で起きたことのせいで時間を結構食ってしまったのだ。宿から抜け出す前に絶対22刻には戻ろうと決めていたのであんまり時間は無い。自分で決めたことなので破っても別に何かあるわけじゃないけどどうせならその時間までに戻りたいと思っている。

今は21刻をまわったところ。あと約1時間。何をしようか?1時間で楽しめるところ・・・。うーん思いつかない。というか私はこの町のことを知らないのでどうしようもないのだ。


「あの、ランスロットさん。少しお聞きしたい事があるんですけどいいですか?」

考えても分からなかったので聞いてみることにした。


「ん?なんだ言ってみろ。あ、あと俺のことはランスでいいぞ。長いだろう?ランスロットじゃ。」

そうはにかみながら言うランスロットじゃない、ランスさんはものすごくかっこよかったです。は、鼻血でそう。きっと今顔赤いぞ私。


「あ、ありがとうございます。それでえっと聞きたいことというのは私あと1刻くらい時間を潰さなきゃいけないんです。なのでどこか私のような子供でも刻くらい過ごせるところ知ってませんか?」

自分で子供っていうのはいやだったけどランスさんやシェリーさんの態度から言って私絶対ちっちゃい子だと思われてると思う。やっぱり異世界トリップ王道の日本人は童顔説は本当なんですね・・・。切ない・・・。


「んー、シーちゃんでも過ごせるところか。そうだなぁー。・・・・・・・・・・・・・・ああ、冒険者ギルドに来てみないか?あそこなら俺が信用できる奴もいるし食べ物も出るし1刻くらいなら潰れると思うが。どうだ?」

ぼ、冒険者ギルドですってぇ!?なんて素敵な響きなんでしょう。行きたい。絶対行きたい。実はフェーンは辺鄙な町だったので冒険者ギルドが無かったのだ。なのでたまに依頼を受けた冒険者が来るくらいしか冒険者に会えなかった。だからあんまり冒険者に関する知識が無いんだよねー。ちなみにある意味ギルドが町に無いことはすごいことらしい。全然嬉しくないすごさだけどね!


「い、いいいいいい行きたいです!!!めっちゃくちゃものすっごく心の底から行きたいです!!!!!」

そう力強くどもりながら言ったらランスさんはちょっと驚いたあと笑った。


「ハハッ。そんなに行きたいなんてやっぱシーちゃん変わってるなぁ。よしっじゃあシェリーから金もらったら行くか!」


「へ?ランスさんも一緒に行ってくださるんですか?」


「おう。そのつもりだが、嫌だったか?」


「いえ、全然、まったく、これっぽちも嫌じゃないです!むしろ嬉しいです。感激です。でも先ほどから迷惑かけっぱなしなんで・・・。」

現在進行形でお世話になってるからね。申し訳ない。


「なんだそんなことか。全然迷惑じゃないって言ってるだろう。それに俺はシーちゃんといれて楽しいしな!」

おっとこ前すぎますランスさん。そして笑顔と共に放った最後のセリフに鼻血でそうです。何その殺し文句。かっこよすぎるわ!!!


何はともあれランスさんと冒険者ギルド行きが決定しました!どんなところなんだろう?楽しみだなぁ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ