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「いやー助けてもらった挙句お店の紹介までしていただいてすみません。」
「気にするな。さっきの連中はいつか追い出そうと思ってたんだ。丁度良かったといっては何だが切り込む口実ができて助かったよ。」
そういってランスロットさんが笑う。さっきのチンピラの前とはまったく雰囲気が違ってこれまた素敵である。
現在私は先ほど助けていただいたランスロットさんにちゃんとした買い取りをしてくれるお店に案内してもらってます。
ランスロットさんはこの町を拠点としている冒険者さんらしい。さっき証明書を見せてもらった。言われてみれば格好がもろ冒険者だったんだけどね。
冒険者の人は黒を基調とした服を着る。そんで全国各地にあるギルドのどこかで名前を登録してランクをつけてもらい身分証明書みたいなものをもらう。その証明書を持っていればどこのギルドに行っても一発でどんな人だか分かるんだって。便利だわー。その登録でもう冒険者らしい。なので冒険者はいっぱいいる。まあ1年間に決められた回数依頼をやらなかったり、規則破ったりすればギルドから名前消されるらしいけどね。
あ、拠点っていうのは初めに登録したギルドがある町のことでなにか大切なこと、例えばランクアップの試験とかの時は自分の拠点に戻らなきゃいけないんだって。私は冒険者じゃないんでこれ以上詳しいことわかんないけどね。
ちなみに後知ってるのは冒険者ランクのこと。ランクは最低がGランクから最高がSランクまである。今のところSランクの人は1人しかいない。Aは4人。Bは18人でなんとランスロットさんもBランクらしい!A,Sの後に聞くと少しショボく聞こえるがBランクもかなりすごくてほとんどの人はすっごいがんばってもCにいけない人も多いらしい。すごいわー。ランスロットさん。私ファンになりましたよマジで。
「ところでシーちゃんは一人でこの町に来たのか?」
ランスロットさんに見とれてたら(彼もかなりのイケメン。歳は30前半くらいで少し渋めな感じがまたかっこいいです)話しかけられる。
久々にちゃん付けで呼ばれて何や嬉しくなる。こういう風に普通に話すのやっぱりいいな。だから巫女姫のことは黙っといたほうがいいよね。ランスロットさんに嘘つきたくないけど仕方あるまい。それに信じてくれない可能性のほうがでかいしね。
「いえ、ちゃんと連れがいますよ。でも彼ら魔物に襲われちゃって・・・。そんなに重症ではないんですが大事をとって今宿で体を休めてるんです。皆私をかばいながらだったから怪我しちゃって。だから私少しでもみんなによくなって欲しくて前に知り合いにもらったこの素材達を売ろうと思ってたんです。」
あ、あれぇ?連れがいるんですだけ言おうとしてたのに口から次々と言葉を発してしまったぞ!?自分でびっくりだわ。何この嘘・・・。魔物に襲われるって言うか私が魔物襲ってましたけどね!
「そうだったのか・・・。大変だったな。でも一人で歩くのは危険だから気をつけたほうがいいぞ。お、丁度ついたよ。ここがその店だ。」
そういってランスロットさんが指差したお店は少しレトロな雰囲気だけどかわいらしい店構えのお店だった。
「シェリー!邪魔するぞ。客を連れてきた。」
そう言いながら慣れたように店に入るランスロットさんの後に続く。実はさっき入り口に本日休みますって紙が見えたんだけどそれはよかったのか・・・?
「ランス、今日は休みよ。まったく・・・。」
「まあそう言うな。道具屋のほうの客連れてきたんだからさ。」
「あらお客さん?その可愛らしい子のことかしら?」
「ああ、彼女はシー。あの出店構えてた奴らの店で絡まれてたから連れて来た。お前のところなら信用できると思ってな。」
店のカウンターに座っていたシェリーと呼ばれた女性は私を見ながら妖艶に微笑んだ。
・・・・・・・やっぱこの世界って美形しかいないんだろう!そうなんだろう!!なんだあのものすごい色気たっぷりの美女は!!!ちっくしょう何だよあのスタイル。もやは罪だろう!思わず自分の胸を見た私は通常なはず。誰だってやるさ彼女を前にしたら。ってくらいのスタイルです彼女。ああ、なんかもう女として全て負けた気がする。
内心ではこんな風にかなり勝手にいじけつつも挨拶をする。
「はじめましてシーと申します。おやすみなのに申し訳ありません。」
「あらぁーランスが連れて来たにしては礼儀がいいわねー。好きよそういう子は。私はシェリー。この酒場兼道具屋をやってるわ。よろしくね。」
い、いちいち色っぽいですシェリーさん!好きよってさらっと言われただけで赤面しそうだわ!
あーもう駄目だ。この色気見てたら本当に自分のショボさに死にたくなってしまうので早速だが本題に入ろう。
「こちらこそよろしくお願いします。それで早速なんですが買い取っていただけますか?」
そう言いながら素材達を取り出してカウンターに置いた。
するとそれを見た彼女が「まあ!」と少し嬉しそうに驚いた声を出して査定し始めた。
8分くらいだろうか、結構念入りに査定したらしい彼女が驚きの金額を提示した。
「すっごい珍しい素材だわ。それに状態もいい。ざっと軽めに見積もっても700000キサはいくわね。ふふ、うちに売ってくれてありがとうシーちゃん♪」
語尾に音符つけながら彼女は心底嬉しそうに言った。
つーか、え?ナナジュウマンキサ?ななじゅうまんきさ?700000キサ?
「な、ななな700000キサァ!!?」
大声で叫んでもしょうがないと思う。