表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/49

10ページ


12刻の10分前

私たち3人は食事の支度が整ったテーブルに座っていた。

心なしかみんな緊張した面持ちである。まあ今から決戦ですからね。緊張してますよ私も。

ちょっと嘘ついたりもするかもだからポーカーフェイスが苦手な私はビクビクです。でもまあ嘘も方便って言うから、うん。私はことわざに従ったまでだ!!という言い訳をここにしておこう。


そして12刻きっかり。食堂のドアが開いた。

あ、ちなみに今日は食堂は臨時休業です。申し訳ないことをしたなぁ・・・。


「昼食のお誘いありがとうございます。」

恭しく2人が私達に礼をする。うぉー・・・この辺の優雅さがさすが王城で働いてるだけあるなって感じなんだよな。


「いえお気になさらず。さ、お掛けくださいな。」

アネットさんが騎士達に席を勧める。

2人はもう一度軽くお辞儀をしてから席に着いた。



さて、早速いきますかね。戦(戦じゃないけど)は先手必勝!


「あの・・・昨夜は大変失礼しました。色々と衝撃的なことを聞いたため取り乱してしまって・・・・・。申し訳ありません。」

立ち上がって深くお辞儀をして謝る。


すると話を聞かない騎士のアレンさんが慌てながら言った。


「そんな、頭をおあげください!いきなり押しかけて色々と話した私達に非があるのです。巫女姫様は悪くありません!」


フフ、やっぱりな。アレンさんは巫女姫崇拝者だったな。よし計画通りだぜしめしめ・・・。


といったような心の声は顔に出さず


「いえそんな・・・。私が悪いのです。でも許してくださるなんてお心が広いのですね。」

と微笑みながら言ってみる。

案の定アレンさんは頬を赤らめて嬉しそうにしていた。


「さあさあシー、その辺にして後は食事しながらにしなさい。せっかく作ったのに冷めてしまうよ。」

その一言でみんなが食事を始める。


「「「いただきます。」」」


3人で声を合わせて言うと騎士達が不思議そうな顔をしてこっちを見ている。あー説明したほうがいいかな?と思い騎士達にも≪いただきます≫の意味を言うと敬語が苦手な騎士、レイさんがしきりに感心していた。正直そんなにほめられると私が考えたわけでもないので若干後ろめたい。

でもこのおかげでレイさんも少しは私達に気を許したかな?だとしたら嬉しい誤算である。


料理の感想を言い合いながらみんなで食事をする。その間騎士達は巫女姫について何も言ってこなかった。昨日のこともあって遠慮してるのだろうか?まあちょうどいいや。

みんなのお皿がほとんど空になった頃に私は切り出した。


「えっと、それで昨日私のせいで途中になってしまった話ですが・・・」


そういうと騎士2人が食事の手を止めこちらをじっと見る。

見られたことで私のチキンハートがドクドクいいはじめた。震えそうになる声を抑えてハッキリと言う。ここから本当の勝負だから始めでこける訳にはいかない。大丈夫!私は女優よ!!


「私王都に、城に行きます。」


「巫女姫様、本当ですか!?ありがとうございます!」


アレンさんが即座に反応する。反射神経パネェ・・・と思いつつ返事をする。


「ええ。ですが、条件があります。こちらを守っていただかないと私は行きません。」


条件という言葉に静かに聞いていたレイさんがピクリと反応する。


「条件とは・・・?」


「1つは、ここフェーンの周りを覆っているいにしえの森の開発をやめる事です。この森は多大な魔力を持った木々が育っている。なのに開発で木を切っているでしょう?そのせいで魔力が漏れてしまって町の人々は体調を壊してしまっています。それに森を開発しては魔物が町に来てしまいやっぱり危なくなるのです。なので中止してもらいたい。」


このフェーンの町は東側が森で覆われている。その森の開発が半年前から始まったのだ。そのおかげで魔物は来るわ、魔力は漏れるわで一時大変な騒ぎになったのだ。まあ今は私が森に接している東側を結界で覆っているから魔力は流れてこないんだけどね。でも私がいなくなったらさすがに遠くて結界の威力が弱まると思われる。なのでやめてもらうしかないかなーっていうね。実際開発してくれても町の人たちは嬉しくないし。


「2つ目は地方の騎士団にもっと支援をしてください。これはフェーンのみじゃなくて他の町もです。地方の騎士団はかなり苦労してるんです。最近はよく魔物が出るから・・・・。

最後に城に行く出発は10日後にしてください。私にも準備などがあるのです。

この3つを守ってくださるなら私は王都に行きましょう。」


そういうと2人の騎士は考え出した。うんまあ結構無理難題言ってるって自覚はあるから急かさないよ。だってねぇ・・・一介の騎士達に決められるような問題じゃないからねー。

ま、分かってても条件出すけどねー。

腹黒いんじゃないですよ?ただこの位してもらわないとね、行きたくない王都に行くんだから。


「・・・・・・・・・前の2つの条件は飲みましょう。ですが10日というのはちょっと・・・。急がねばならないので」


おや、そっちがだめなのね・・・・。開発中止と地方騎士団支援が駄目かと思ってたけど。

そんなに急いで私を連れて行きたいのか・・・・。でもまあこっちも譲らないけどね。


「申し訳ありませんが10日は譲れません。いきなり行けるようなものではないのです。仕事だってありますし・・・。」


食堂はどうにかなっても魔法の便利屋のほうはやりかけの仕事を終えてやめるむねを町中に知らせなきゃならない。


「・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・」


無言で圧力の掛け合いが始まる。

ハッキリ言っちゃえばめちゃくちゃ怖いがここで怯むわけにはいかないので私も無言で応戦。


「・・・・・・・・・・・王からはもし、来ないというようなら実力行使でもかまわないといわれています。それでも、ですか?」


1分くらいの沈黙の後にレイさんが声を絞り出した。


え?そんな物騒な感じなわけ?王様よ・・・・・。

まあでもこっちとしてはこの展開は大歓迎だ。アレをやれるからねー。

題して『実力差を見せ付けちゃうよ!こっちのほうが格上なんだよ大作戦!!!』

うん。ネーミングセンスについては触れない方向で。


「ふふ、それは誰に向かっていってるんですか?もしかして私ですか?」

そういって私は笑う。相手が凍りつくように、冷たく、嘲るように、笑う。

笑うのと同時進行で、魔力を大量に放出する。封印解いてリミッターは無いのでどんだけ出しても痛くもかゆくも無いです。まあ封印しててもこのくらいは出せたけど。ちなみにアネットさん達には始めから結界張ってます。なので苦しむのは彼らだけ。


騎士2人はなかなか魔力が多めなようで始めは気づいてないようだったが私がちょっと放出量を増やすとすぐに体に変化が現れたようだ。

アレンさんは頭を、レイさんは胸を押さえて苦しがる。


「っな、にをした!?」

レイさんが叫ぶので私は笑みをキープしたまま答える。


「ただ魔力を放出しているだけです。でもまあ私の魔力は純度が濃いらしいしちょっときついかもしれませんね?・・・さて、これで実力差を分かっていただけましたかねぇ?」


わざと間延びした口調で言う。これだけでイライラって増すよね!

2人は「クッ!」とかなんとか言って黙り込んだ。さすが王城に仕えている騎士だわ~。勝てないと思った相手には逆らわないところがすごいわねー。この辺の騎士だったら普通に襲いかかってきそうだもの。


「分かっていただけたようでよかったです。ん~・・・では貴方達の熱意に免じて少し譲歩して7日後に出発にしましょう。今日から7日後の朝に迎えに来てください。」


そういって私は彼らに転移の魔法をかける。もちろん彼らの荷物にもね。

アレンさんとレイさんは自分の体がわずかに発光しているのに驚きを隠せないでいる。まあいきなり自分の体が光ったら誰でもびっくりするわ。


「転移の魔法です。害はありませんし、絶対に安全に飛ばすので安心してくださいね?飛ばすのは古の森の入り口にしときます。実際に開発の現場見たほうがいいかもですもんね。ではさよ~ならぁ~」


笑顔で言い終えると同時に飛ばす。

彼らがいなくなり(飛ばしたともいう)私は終わったぜ・・・と安堵のため息をつく。


そしてアネットさん達に


「無事終わりましたね!!」


といいながら笑顔で振り返ったらドミニクさんに引きつった顔で


「お前・・・・怖すぎるわっ!!!!」


と突っ込まれました。がんばったのにっ!!!


シーは実は腹黒くて計算高いです。でもビビリw

ポーカーフェイス苦手とか言ってるけど実際はかなり笑顔が怖かったみたいです(ドミニク談)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ