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「はー・・・こんなに泣いたの生まれてはじめてです。」
「ははは。まあそうだろう。しょっちゅうこんなに泣いてちゃ身が持たないだろ。」
そういって3人で笑いあう。
今、2度目の大泣きをしてようやく落ち着いたところだ。
もう体の水分がなさそうなぐらい泣いたおかげで気分すっきり爽快だ。
「さて、それでシーあんたどうするんだい?結論出さないとまたあの騎士達が来ちまうよ。」
笑ってたアネットさんが表情を引き締めて言う。
「うん。そのことなんだけど泣きながら自分で考えてみたんだ。」
「・・・泣きながら考えてたのか・・・・・・・・。器用だな・・・・・。」
ドミニクさんが少し呆れながらいった。
むぅ。しょうがないじゃないか時間無いんだし。と思うが平和的に話を進めるためにここは私が大人になろう。
「お褒めいただいてどうもありがとうございますっ!」
語尾が強くなったのは不可抗力だ。
「それでわたしやっぱり、王都に行こうと思います。どうせ断っても国王の勅命とかが来たら断れませんもんね・・・。それなら最初から行くって表明して有利な立場で行こうかと思って。まあ最後まで私は巫女姫じゃないって否定はしますけど。」
本当は王都なんか行きたくない。ここアネット食堂で働いていたい。でももし王様が実力行使で私を呼ぼうとした時にアネットさん達に迷惑がかかるかもしれない。そんなのは嫌だ。
それなら最初から行くって言っておいてある程度融通が利くようにしたほうがいい。どうやらあの話を聞かない騎士は私(巫女姫のことだけど)を崇拝している感じがあったのである程度の我儘や命令なら聞きそうだし。
そう伝えたらドミニクさんが
「お前ってかわいい顔してだいぶ腹黒いよな・・・・・・・。」
と少し引いた顔で言った。
失礼な人だなー。でもまあ私は大人だから流してあげよう。
「腹黒いんじゃなくて計画的といってください。それに使えるものは使ったほうがいいんですよー。」
「はは。そういえば私がシーにそう教えたんだっけか。」
そういやアネットさんの教えだった気もする。
「あーそういえば教わった気もしますね。えっと、それで王都に行くことなんですけど今すぐには行きません。6,7日後に出発にしてもらいます。これぐらいは譲渡してもらいます。つーかさせます。」
「ああ、そうだね。そうしたほうがいい。それならちゃんと町の人にも挨拶できるしね。」
「騎士団にも挨拶に来てやってくれ。ロウフとかが寂しがるからなー。」
「うん。そうするね。他にしたほうがいい事あったっけ?」
うーん荷造りはほとんど荷物ないから2刻もあれば終わるしなー。
「そうだねぇ、店用にニホンショクの作り方を教えてくれないかい?あとアドルフにも連絡するといい。シーに会えるとなったらきっとあの子も喜ぶよ。」
「了解です!そっか王都なんて良い事なさそうだと思ってたけどアドルフ君がいるんだね。ちょっとだけ楽しみになってきたよ。」
久しぶりに生アドルフ君に会えるのはちょっと嬉しい。まあそれを差し引いても王都行きは憂鬱だけどなっ!
「そうだな。あいつ元気にしてるか見てきてくれ。」
「じゃあとりあえず大体の方針は決まったからあとはまた明日というか今日になっちゃったけど考えよう。とりあえず今は寝て体を休めた方がいいよ。」
アネットさんに言われてもう次の日になっていたことに気がつく。うわー早寝な2人には悪いことをしてしまった・・・。
「ぅわっ!もう日またいでたんだね・・・・。2人ともごめんなさい遅くまで。」
「いいんだよそんなの。って言ってもさすがにもう眠いな。じゃあまた後で話し合おう。俺明日休みだったから家にいれるし。」
「うん。おやすみ!色々ありがとう。」
そう言ってとりあえずは寝ることにしました。
でもこんな不安定な状況で眠れないかもー!
なーんていう悩みはベッドに入った瞬間に消えました。
私は2分くらいは睡魔と闘ったがあっけなく負け眠りに落ちた。
神経図太いな私・・・・・・・。
ちょっと明るくなりましたかね?
主人公は割とあっさりとした性格なので決断も早いです。
王都行きも結構あっさり決めちゃいました。
アネットさんとドミニクさんもそのことを分かっていたし、王の勅命とか来たらだめなことも知っていたのでこちらも結構あっさりです。
でも3人とも本当はシーはアネット食堂で働いているのが一番だと思ってます。