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「納得していただけましたか?黒髪と黒い目が持つ意味を。貴方が巫女姫様であることを。」
レイさんが言う。
うん、そうだね。納得したよ!
・・・・・・なぁんて言うと思ったかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
納得できるわけねーだろ!私はそんなすごいお姫様じゃないっつーの!
私は生粋の日本人じゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
そう思ったけど実際に口から出た言葉は
「そのお話は理解できましたが、自分はそんな素晴らしい方じゃありません。」
・・・ええそうです。何度も言うように私はチキンなんです。サイレントツッコミしかできないのですよ・・・・・・。強そうな騎士2人を前にしてそんなことがいえるわけが無い。
「いやいやそんなご謙遜を・・・。巫女姫様は十分素晴らしいです!さあ巫女姫様、王城に向かいましょう。」
オーイ!だれかーこの話の通じない騎士どうにかしてくれー!
どんだけ王城行きたいのこの人・・・。
そういや、話を聞かない騎士(名前で呼ぶのもいやなので名前消去)の言っていたことと私の人生では矛盾というか辻褄があわないところがあるよね。
「だいたい私はまだ17歳です。200年っておかしくないですか?」
私はまだピッチピチの10代ですもん。200歳も生きてない!つーか日本で200歳まで生きれたらテレビ出れるぞテレビ。
「それはこっちの世界と時間軸が違うからだ・・・・です。」
だです?あ、レイさんがとうとう敬語じゃなくなってきた。最初からこの人敬語苦手そうだと思ったけどとうとうボロが出てますね。無理してるなぁー。
じゃあ彼のことは敬語で話せない騎士でいいや。
ってそっちじゃなくて、時間軸のほう。・・・さすが異世界としか言えないけど。じゃあこっちの1年間と地球の1年間だと違うって事か・・・しかもこっちのほうが長いのねー・・・・
って、ん?じゃあ私ってめちゃめちゃ年とってない?帰ったとしても・・・・・・・・・
「え!?それってじゃあ私が地球に帰れたとしても私めちゃめちゃおばあさんになってるわけ!?」
思わず自分の思考回路にびっくりして声を上げる。
「まあそうなりますね。でも巫女姫様は元々こちらの人間ですのでお戻りになることは無いかと・・・。」
話を聞かない騎士が言う。
そっかー帰らないなら安心!
って違う。ノリツッコミしてる場合じゃない。
急に頭の芯がスゥッと冷えてくる。
帰らない?それはつまり
「そ、れは要するに帰れないって事・・・・・・?」
声が震えてしまった。私地球に帰れないの?
敬語で話せない騎士があっさりと答えた。
「ええ。おそらくもうあちらに行く必要は無いと思われるのでそちらの世界には行かないかと。・・・・・・み、巫女姫様!?どちらに!?」
話の途中だったが思わず駆け出してしまった。
全力で階段を駆け上がって3階まで行き自分の部屋に入る。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・・・・・・。」
この世界に来てからはだいぶ体力がついたと思っていたのに階段駆け上がってだけで息が切れていた。
まあ今聞いた話が衝撃的過ぎて体がおかしくなってるのかもしれないが。
ドアに鍵を掛けて座り込む。
あの騎士たちは私が帰らないといっていたが、つまり帰れないのだろう。
「私、帰れないの?地球に」
思わずつぶやいた。
この1年間アネットさんのところで働きながら帰る方法についていっぱい調べた。
あの私を救ってくれた日記を書いた人を探したり、町の本屋さんに行ったり、たまに来る旅人の人に話を聞いたり、ちょっと危険だったけど冒険者の人にも話しを聞いた。
結局帰る方法は見つからなかった。
でも誰も絶対にそんなことは無いって言わなかったからきっと帰れるって信じていたのに。
信じていたのに・・・・・・・・。
「・・・・・ああ、かえれ、ないんだ。もう帰れない。戻れない。」
言っている途中で涙ぐんでくる。
もう帰れない。戻れない。地球にはいけない。
声に出したせいか、そんな現実が一気に襲いかかり堪えていた涙が流れ出す。
私は声の大きさも気にしないで大声で泣き続けた。
今回は後半シリアスですかね・・・?そのうえ短い・・・・・・・・・。
前回説明チックだったので今回面白くしようと思ってたのに失敗ですー・・・。
ああ・・・早くコメディーっぽいのが書きたいです。