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2.暁の使徒_後


『遺跡の外』



ヒュゥゥゥゥ



ハンター「馬車は無事だ…ハイエナは皆寝てる」


魔法使い「馬もウルフもまだ寝てる…やっぱりオークシャーマンにやられたね」


僧侶「血痕がそこで無くなってるです」


ハンター「ここで気球に乗ったのか…」


魔法使い「3人…戻れるかな?」


ハンター「今はまだ昼か…西に行けば明日には林に戻れる」


僧侶「オークが居ないなら3人で戻れそうですね」


ハンター「くそう…剣士が心配だ」


魔法使い「塔の魔女に相談しましょ…」


僧侶「そうですね…それが良さそうです」


ハンター「剣士が居ないとハイエナとウルフが言う事聞くか分からない…馬を繋ぐ」


魔法使い「早く行かないとハイエナ起きちゃいそう…」


ハンター「うん!急いで出立しよう…もう乗って」




『馬車』



ガタゴト ガタゴト



ハンター「僕は馭者で手が離せないからゾンビが来たら2人で行けるね?」


僧侶「大丈夫でし」


ハンター「林まで行ったら次はゴブリンとかだな…」


魔法使い「馬は手綱引かなくても歩くからあなたは馬車から弓で援護」


ハンター「そうか餌と水があれば言う事聞くのか…なんとかなりそうだな」


魔法使い「何とかするしかないでしょ…こんなに宝石持ったままやられるなんて嫌」


ハンター「そうだそうだ…お宝はどれくらいある?」


僧侶「宝石と金貨が袋2つ分でし」


魔法使い「これ古代金貨よね?」


ハンター「冷静に考えてスゴイ収穫だ…岩塩も一杯あるし」


魔法使い「剣士の荷物袋には何が?」


僧侶「種が一杯と…ん?これ爆弾かな?…それから銀製のナイフ…あれ?この金属何だろう?」


魔法使い「見せて?私達が持ってる玩具と同じね…きっとミスリル製よ」


ハンター「剣士の細工用の道具だね」


僧侶「あと骨とかキノコとか…」


ハンター「その荷物は大事に取っておこう」


僧侶「種だけあとで使うです」


ハンター「あー馬の餌とか虫の方陣ね」


魔法使い「剣士との接点がハテノ村しか無い…もう会えない気がする」


ハンター「いや…塔の魔女にお願いして千里眼を使ってもらう」


魔法使い「ハッそうね…そうしよう」


ハンター「兎に角まずシン・リーンに帰るんだ」


僧侶「戦いに慣れて来たです…きっと帰れます」


魔法使い「うん…帰ろう」



--------------


--------------


--------------




『荒野』



ヒュゥゥゥ



僧侶「あそこに草が生えてるです!!」


ハンター「ほっ…もう馬が限界だ…そこで休もう」


魔法使い「夜通しの移動で私達も少し仮眠を取った方が良い」


僧侶「虫の方陣お任せください」ズイ



ガタゴト ヒヒ~ン ブルル



ハンター「馬に水と餌を…よっこら」ヨッコラ


魔法使い「水は樽ごとあげるの?」


ハンター「うん…樽の水は全部馬専用だよ…僕達はヤシの実がある」


僧侶「成長魔法!」シュルシュルリ


ハンター「今までお疲れさん…さぁ水だよ?お飲み」


魔法使い「馬の締結外すよ?」グイグイ



ヒヒ~ン ブルル ゴクゴク ジャブジャブ



ハンター「よっぽど喉が渇いて居たね…この草刈って行くよ」


僧侶「一杯育てるので沢山食べさせてくだしゃい…成長魔法!」シュルリ


魔法使い「この調子だと水がギリギリね」


ハンター「うん…林に入って川か湖があれば良いけど」


魔法使い「地図には川も湖も無いわ…この林は林道も無さそう」


ハンター「ヤシの木は育てられない?」


僧侶「どれがヤシの種なのか分からないのです」


魔法使い「あ…アロエなら収穫したのがそのままある…植え付けが出来るかもしれない」


僧侶「それ下さい…成長させてみるです」


ハンター「アロエを齧って水分補給か…仕方ないか」




-----------------




アオーーーーーン



魔法使い「ウルフが追って来てるわ…」


ハンター「これ以上近づいて来ないね…あれに襲われたくは無いなぁ」


魔法使い「ウルフも喉が渇いてると思う…ハイエナと違ってゾンビも食べて無かったし」


ハンター「腹を空かせているか…」


魔法使い「シカの燻製は私達には多すぎるから降ろして行かない?…あと水も少し」


ハンター「ふむ…それ良いね…荷は軽い方が林を行きやすい」



ヒヒ~ン ブルル



ハンター「馬が起きた…寝たのは3時間て所か…」


魔法使い「移動しましょ…林の近くに行けばまた休憩出来る所あるでしょ?」


ハンター「うん…シカの燻製と水を降ろしたら出立しよう」


魔法使い「僧侶はどうする?起こす?」


ハンター「うん…次は君が休みな」




----------------




ヒヒ~ン ガタゴト ガタゴト



ハンター「ウルフの様子はどう?」


魔法使い「フフ私達が置いて行ったシカ肉を食べて居るわ」


ハンター「襲わないで欲しいって伝わっただろうか…」


魔法使い「そう信じましょ…ふぁ~ぁ」ショボン


僧侶「魔法使いさん…もう寝ても良いでし」


魔法使い「うん…ちょっと仮眠」


僧侶「今地図でどの辺りでしゅか?」


ハンター「あー持って来て…えーと…ここら辺」


僧侶「日没まで後4時間くらい…」


ハンター「ギリギリ林に到達するかどうかだね…まぁ草が生えてるだろうからキャンプは心配していない」


僧侶「馬用の水をどうにかしたいですね」


ハンター「うん…」


僧侶「アロエのトゲだけ処理して食べませんかね?」


ハンター「アロエを食べさせるのは聞いた事無いけど…あげて見たら?」


僧侶「沢山あるのでトゲだけ処理しておくです」


ハンター「うん任せた…」



---------------


---------------


---------------




『蛮族船_牢』



ザブン ギシギシ



女1「あなた…男よね?どうしてオークが男を捕らえてるの?」


女2「見てこの子…まだ若い」


女3「あんたどこで掴まったのさ?」


剣士「あぁ…困ったな」---女の人ばかり捕らえられてる---


女1「ふ~ん…あなたハーフエルフね?その顔立ち」


剣士「いや違うよ…皆はどうして捕らえられて居るの?」


女2「オークの性奴隷よ…子供を産ませられる」


剣士「北の大陸まで人間狩りに来てるのか…」


女3「ねぇ女のオークも人間の男を奴隷にするのかな?」


女1「さぁどうかな?」


女2「言葉が全然通じないのがねぇ…」


女1「少し話せるオークも居るみたい…昨夜のオークはやさしく話してくれた」


女2「え?本当?」


女1「片言で俺…人間の女…好き…大事とか言ってたの」


女3「アイツ等意外と綺麗好きだよね?ちゃんと体洗ってくれたし…食べ物もくれるし」


剣士「僕はどうなるんだろう…」


女1「…」ジー


女3「あんた多分女のオークのおもちゃにされるよ」


剣士「おもちゃ…」


女2「女のオーク結構居るよね?しかも地位が高そう」



ガチャリ ギー



女1「来た…」


剣士「君か?オークの子…君だね?」


女オーク「…」スタスタ


剣士「無事でよかった…心配していたんだ…僕より大きくなったね」ガチャ


女オーク「お前出る」カチャリ ギー


剣士「出してくれるんだね?」スタ


女オーク「オークシャーマンお前呼んでる…私に付いて来い」ガチャリ


剣士「え!?オークシャーマンが?」


女オーク「お前の刀で切った傷治らない…オークシャーマン力失う」


剣士「治らない?」---インドラの光に焼かれてるのか---


女オーク「お前オークシャーマン治す…治せない殺される…私悲しむお前私の物」


剣士「ハハ君は直球だね…」


女オーク「来い…」グイ


剣士「…」---手があったかい---



ヒソヒソ ヒソヒソ


聞いた今の?やっぱりオークの奴隷だね


どうしよう?このままじゃ逃げられない


もう海の上よ…何処にも逃げられないわ




『族長室』



ウゴゴ ガフガフ



女オーク「タキテレツヲンゲンニノイレ」


オークシャーマン「ハァハァ…ダノルセカトヲイロノノチグヅキ」


女オーク「お前…オークシャーマン治す」


剣士「首が皮一枚で繋がってるのか…良く生きてる」



インドラの光で焼かれた場合は蘇生魔法で治すしか無い


今は触媒も無いし魔方陣も無い


どうする?線虫ならゆっくり治せるか…



剣士「植物の種が欲しい…有るかな?」


女オーク「種?どんぐりか?」


剣士「あぁどんぐりでも良いや…沢山欲しい」


女オーク「お前ここで待つ…私持ってくる」スタ



ガチャリ バタン



剣士「なんか君達不用心だね…僕と傷付いたオークシャーマン2人にして良いのかな?」---割と可愛いオークだ---


オークシャーマン(黙れ人間…無礼にも程がある)ウゴウゴ


剣士「え!!?…これは念話…」


オークシャーマン(我は西オーク族長オークシャーマンなるぞ)


剣士「あ…えーとオークの事は何も知らないんだ…皆同じに見える」


オークシャーマン(ごふっ…兎も角我の傷を癒せ…命令だ…さもなくば呪怨を施す)


剣士「呪怨?何だそれ?」



ガチャリ バタン



女オーク「どんぐり沢山ある…お前使え」ドサー バラバラ


剣士「これだけあれば良いか…線虫!」ザワザワ ニョロロ


オークシャーマン(何をする気か?)


剣士「この蟲が傷を癒してくれる…大人しくしておいて?」



ザワザワ ニョロニョロ



剣士「治り方はゆっくりだよ…でも少しづつ傷が無くなって行くから心配しないで」


オークシャーマン「ハァハァ…」ウゴゴ


女オーク「ウョチクゾ…リオドクソクヤ…スマシニイレドノシタワヲンゲンニノコ」


オークシャーマン「ナニキツカアタレサヤイ」


女オーク「ハデ…スマシイレツシ」


女オーク「お前来い…」グイ


剣士「あ…残りのどんぐり…」



ガチャリ バタン




『デッキ』



剣士「ちょちょ…どんぐりが」ヨロ


女オーク「…」グイ



ドシン!



剣士「おっとっと…」ギュゥ


女オーク「…」


剣士「君すごい体ががっちりした感じになったね」


女オーク「私…お前ずっと探した…やっと見つけた」


剣士「又会えて良かったよ…あれ?まだ軍隊ガニの装備身に着けて居たんだね…もう小さいじゃないか」


女オーク「私の宝…この飾りも宝」ジャラリ


剣士「アハ…僕が作った骨のアクセサリーだ…大事にしてくれて嬉しいよ」


女オーク「お前もう自由…私に付いて来るお前守る」


剣士「えーと…僕の名前は剣士だ」


女オーク「剣士…」


剣士「君は何て呼べば良い?もうオークの子じゃないよね」


女オーク「私は女オーク…戦士だ」


剣士「おっけ!!女オークね」


女オーク「剣士付いて来い…私の部屋行く」


剣士「お?何か見せてくれるのかな?」ワクワク


女オーク「手を放すな…」グイ


剣士「フフなんか昔と立場逆になったね…付いて行くよ」




『個室』



ウゴウゴ ウゴゴ



剣士「へぇ?オークの船ってこんな風になってるんだ…」


女オーク「ここが私の部屋…」


剣士「部屋?あぁ…どういう風に仕切ってるのか分かんないけど他のオークの女の人も一緒なんだね」


女オーク「剣士…横になる」


剣士「ん?うん…結構綺麗にしてあるけど殺風景だね」


女オーク「…」スルリ ドサ


剣士「ちょ…どういう事?」


女オーク「剣士…私の処女奪う」


剣士「え!?そんな聞いてない」ドギマギ


女オーク「オークの女みんな…処女はオークシャーマン逆らえない…そういう呪い」


剣士「オークのしきたりかな?」


女オーク「人間の子供産むだけ許される…処女無くすオークシャーマン呪い解ける」


剣士「…」



なるほど…オークシャーマンの絶対王政なのか



女オーク「私…お前の子供産む決めた…処女お前が奪う…私自由なる」


剣士「えーーっと…急にそう言われても…ほら他の人も見てるじゃない?」


女オーク「私…お前好き…他の人間要らない…お前だけ許す」


剣士「いや…そんなに急がなくても…」


女オーク「オークシャーマン寝ている今だけ出来る…私を奪え」ゴソ クチュ


剣士「あ…ちょ…」


女オーク「…」クチュ ジュボ


剣士「牙が少し当たる…」


女オーク「痛いか?」


剣士「大丈夫…」---えーいここまで来たら---


女オーク「お前とこうする…何度も夢見た」


剣士「おいで…だっこしよう」ギュゥゥ


女オーク「私を奪え…もっと奪え…」



----------------


----------------


----------------




ギュゥゥゥ



剣士「うぅぅ…あのさぁ…ちょっと立場が逆なんだよ…僕が抱っこするから」


女オーク「…こうか?」シナー


剣士「力抜いてね?」ギュゥゥ


女オーク「ぅ…」ピクッ


剣士「力抜いてって!!」ギュゥゥ


女オーク「…」ビク ビク


剣士「フフ君可愛いね…がっちりしてるのに」


女オーク「はぁはぁ…」クター


剣士「抱っこで気持ち良くなるんだ…それ!」ギュゥゥゥ


女オーク「うっ…」ピクッ


剣士「他の人いっぱいなのに…オークってこういう文化なの?…」


女オーク「次は私が下に…」


剣士「おっけ!力抜いてね?」グイ


女オーク「くは…」ビクン


剣士「目は閉じないでちゃんと見ててよ」


女オーク「我慢…出来ない」ギュゥゥゥ


剣士「イテテ…力抜いて」



---------------


---------------


---------------



エルフは瞑想で語らえる


ドワーフは技で語らえる


オークは体で語らう


こんなに通じ合ったのは初めてだ


言葉が無くても君の生い立ち…気持ち


どうして欲しいのか全部分かる




『賢者タイム』



分かって来た


オークはアリと同じ様な文化なんだ


オークシャーマンは女王アリ


ローヤルゼリーを与えられた特別なオークだけがオークシャーマンになれる


そして女のオークは働きアリ


男のオークは子孫を残す女王アリの駒


女のオークは子供を産まない限り一生働きアリとして過ごす


子を宿したオークは新しいコロニーを作るために自由になる


君は理由があって自由を求めたんだろう?


その理由って何なんだろう?


僕を求めただけじゃないよね?



女オーク「…」


剣士「…」ニコ


女オーク「…」ススス


剣士「…」ギュゥ


女オーク「…」ピト


剣士「うーん…筋肉を感じる」


女オーク「筋肉?」


剣士「君の体からすごい熱量の筋肉を感じる」


女オーク「フフ嫌いか?」


剣士「お?初めて笑ったね?」


女オーク「…」ジー


剣士「笑って居た方が可愛いよ」


女オーク「フフ…」ピト


剣士「君暖かいなぁ…筋肉が多いからかなぁ」



---------------


---------------


---------------




『シン・リーン』



ガタゴト ガタゴト



ハンター「ふぅぅぅぅやっと帰って来られた…ここまで来たらもう大丈夫」


魔法使い「やったわね…」


僧侶「やっとベッドで寝られるでし」


ハンター「ちょっと手分けしよう…僕は荷物を一旦ルイーダの酒場に預けて来る」


ハンター「その間魔法使いは城に行って遺跡の事を報告してきてほしい」


ハンター「僧侶は宿屋の確保をお願い…日が落ちるまでにルイーダの酒場に集合しよう」


僧侶「はいなー!!」


魔法使い「塔の魔女はどうする?」


ハンター「明日行って見よう…もし城の方に居たら話しておいて貰えると助かる」


魔法使い「分かったわ…」


僧侶「私は今一文無しでしゅ…宿屋確保するのにお金が欲しいです」


ハンター「何か一つ装飾品売ろうか…僧侶出来る?」


僧侶「一個で良いですね?」


ハンター「うん無駄使いはしない様にしよう…」


魔法使い「そうだ…私は岩塩を魔術師に押し売りしてみる」


ハンター「イイね小金稼ぎに丁度良い」


魔法使い「じゃ持って行くね」ピョン タッタッタ


僧侶「一個首飾りを持ってくです」ピョン タッタッタ


ハンター「ふぅ…やっぱりこの安全を作ってるのはスゴイ事なんだな…」




『ルイーダの酒場』



ガヤガヤ ガヤガヤ



受付「ようこそ冒険者ギルドへ!あら?ハンターさんお久しぶりですね」


ハンター「元気そうだね…ちょっとお宝さがしに行っててさ」


受付「では戦利品のお預けですね?」


ハンター「うん…僕のチェストに入れておいて欲しい」ドサリ


受付「2袋ですね?中身を記帳しますのでしばらくお待ちください」


ハンター「酒場で一杯飲んでくるから終わったら教えて」


受付「かしこまりました…ごゆっくり」




『酒場』



ガヤガヤ ガヤガヤ


城の方で傭兵を特募してるらしいわ


てことは報酬良さそうだな?


森のスプリガン狩りがめっちゃ儲かる


魔石が高騰してんだろ?知ってるよ


ガヤガヤ ガヤガヤ



ハンター「ここはいつも通りか…落ち着くなぁ」


バニー「ハチミツ酒はいかがですか?」


ハンター「一杯貰う…はいお代」チャリーン


バニー「どうぞごゆっくり」


ハンター「久しぶりのハチミツ酒!」グビ


ハンター「ぷはぁぁ…やっぱ旨い」


占い師「ふむふむ…どっこらせ」ノソリ


ハンター「ん?僕に何か用?」


占い師「わらわは占い師じゃ…ふむふむ」


ハンター「な…なんだよ」


占い師「女難の相が出て居るな…主には2人の連れが居るじゃろう」


ハンター「え!!なんで分かるの?」


占い師「お祓いをしてやるでここに連れて参れ…これバニー!!わらわにもハチミツ酒をおくれ」


ハンター「女難って僕の連れ2人?」


占い師「さぁのぅ?」


バニー「お待たせしました」コトリ


占い師「気が利かん奴じゃのぅ…酒代は男が払う物じゃが」グビ


ハンター「ええ!?僕?いや…君が勝手に…」


占い師「占いはタダでは無いのじゃ…サッサとお代を払うのじゃ」


ハンター「ちょ…あぁぁまぁしょうがないな…はい」チャリン


バニー「ごゆっくり」ニコ


占い師「して?早よう連れの2人を連れて参れ…」


ハンター「いや…あのぅ僕まだ冒険者ギルドに用が有って…」


占い師「仕方ないのぅ…もう少し待ってやるでハチミツ酒をもっと持ってこい」グビ



受付「失礼します…ハンターさん記帳が終わりました…帳簿の確認をお願いします」ドサ



ハンター「あー助かった…どれどれ」


受付「お預けの戦利品の価値が非常に高い為上級者として再登録する事になりました」


ハンター「そうか…忘れてた」


受付「引き続きハンターさんと魔法使いさん僧侶さんの3人でのシェアですね?」


ハンター「もう一人加えて欲しい…剣士だよ」


受付「かしこまりました…上級者はランキングに貼りだされますがよろしいですね?」


ハンター「ちょっと待った!マズイなそれ…」


占い師「ほれ見ぃ…女難の相が出て居ると言うたじゃろう」


ハンター「女難は君なんだけどね…」


受付「どうしましょう?」


ハンター「ゴメン荷物は持って帰る…登録は元に戻して」


受付「かしこまりました…非常に高価な物ですので道中お気を付けください」


ハンター「ハハ…参ったな」


占い師「話は済んだ様じゃな?早う連れの2人を連れて来るのじゃ…それまで荷物を預かっても良いぞ?」


ハンター「いや…君が一番危ない」


占い師「ハチミツ酒はどうなって居る?わらわの瓶はもうカラじゃ…」


ハンター「分かった分かった…連れて来るから大人しくしといて」



----------------



『一時間後』



ドタドタ



魔法使い「何よ…ゆっくり出来なかったじゃない」ブツブツ


僧侶「なんかあやしい占い師でしゅねぇ…」


ハンター「居た居た…2人を連れて来たよ…お祓いお願い」


占い師「ふむふむ…」ジロジロ


僧侶「何でしゅか?」


占い師「まぁ座ってゆるりとせよ」


魔法使い「ねぇ…こんな胡散臭い人放って置こうよ」


ハンター「まぁまぁ…女難の相が出てると言われて縁起が悪いと思ってさ」


魔法使い「どうして荷物預けて無いのよ…」


ハンター「色々あるんだよ…」


占い師「女難の相はまぁ良いとして主らは探し人をして居るじゃろう?…」


魔法使い「え…」


占い師「加えて言うぞよ?オークが見える」


僧侶「ちょ…」


魔法使い「どうして分かるの?」


占い師「話を聞く気になった様じゃな?…ここから有料じゃ…ハチミツ酒を持って来や」


僧侶「どうするですか?」


ハンター「ハチミツ酒で聞けるなら安い…持ってくるよ」タッタッタ


僧侶「塔の魔女には会えなかったですか?」


魔法使い「今シン・リーンには居ないらしいの」


占い師「塔の魔女とな?会うてどうするつもりなのじゃ?」


魔法使い「あなたに関係無いでしょ」


占い師「そうじゃな…要らぬ事を聞いてしもうた」


ハンター「ハチミツ酒持ってきたよ…」タッタッタ


占い師「済まんのぅ…主らも飲んで良いぞ」グビ


ハンター「…それで僕達の探し人の行先は?」


占い師「主らは頭が悪いのぅ…オークと言えば南の大陸しか無かろう」


魔法使い「だぁぁぁそれは分かってるの!!」


ハンター「あいたたた…僕の女難の相はどうなる?」


占い師「ふむ…チチンプイプイノプイ!!終いじゃ」


ハンター「…」アゼン


魔法使い「帰ろ…」


占い師「古都キ・カイにな…商人ギルドがある…探し人は必ずそこに現れるぞよ」


ハンター「そうそう!!そういうのが聞きたい…キ・カイか」


魔法使い「ふ~ん」ジロリ


占い師「ふむふむ…主はエレメンタル4種の使い手じゃな…修行が足りぬ…錬金術を極めよ」


魔法使い「え…」


僧侶「私は私は?」


占い師「主は今の型が天職じゃ…体を鍛えい」ノソリ


ハンター「僕は?」


占い師「終いじゃ…ちと飲み過ぎたで寝る」ノソノソ



ガヤガヤ ガヤガヤ



魔法使い「ちょっと!!もうちょっと話が…あれ?」


ハンター「見失った?」


魔法使い「ねぇ今の占い師もしかして…」


僧侶「塔の魔女は目が赤いです…今の人は赤くないです」


魔法使い「そっか…気のせいか」


ハンター「女難の相はどうなったのかな…」


魔法使い「宿屋に一回帰ろ!!荷物持ったままじゃ危ない」


ハンター「そうだね…行こうか」




『宿屋』



魔法使い「…城で貰えた報酬が金貨3袋」


ハンター「うわ…十分過ぎる」


僧侶「首飾りは金貨10枚でした」


ハンター「魔石が高騰し始めてるみたいだからその金貨を全部魔石に変えよう」


魔法使い「荷物の量を減らすのね?」


ハンター「うん…余ったお金で馬と馬車を買い戻して港町まで行こう」



そして商船に乗ってキ・カイまで行くんだ


宝石類はキ・カイで船か気球を買う資金に当てよう



魔法使い「それまでずっと袋詰めかぁ…なんか危ないね」


ハンター「しょうがないよシン・リーンに置いて居ても使い道無いしさ」


僧侶「あ…装備品を買い替えたいです」


ハンター「あーそうだね君は少し防具を揃えた方が良いね」


僧侶「樽の盾はとても恥ずかしいです」


ハンター「明日買い物で色々揃えて明後日馬車で港町に向かおう」


魔法使い「馬車居る?」


ハンター「馬に乗りっ放しだと疲れるよね?」


魔法使い「んーーなんかなぁ…馬がやられる心配があるからストレスなのよ」


ハンター「こうしよう…馬4頭で行こう…何か有っても馬で逃げられる」


魔法使い「それなら良いか…」


ハンター「商隊に加われば割と安全に港町まで行ける…」


僧侶「眠たくなって来たです」


ハンター「今日はしっかり疲れ取ろうね…宝石の入った袋は抱っこして寝て」


魔法使い「うん…そうする」


ハンター「僕も疲れた…寝よ!!」


僧侶「おやすみー」





『翌日_荷馬車』



ヒヒ~ン ブルル



ハンター「よいしょ!!ドサ」


管理人「馬車を買い上げて今度は何処に行くんだい?」


ハンター「商隊に入って港町さ」


管理人「又何か運ぶのか?…嫌になるだろう?」


ハンター「そうでも無いよ…楽しんでるさ」


管理人「まぁ気を付けるこった…又コボルトが出てるらしいからよ」


ハンター「忠告ありがとう」



タッタッタ



魔法使い「金貨を魔石に交換して来たよ…」


ハンター「馬車にトレジャーボックス入れたからそれに入れておいて」


魔法使い「じゃぁあなたは今晩荷物番?」


ハンター「うん…明日の朝が早いから商隊に入って待機しておく」


魔法使い「ふ~ん…じゃぁ入れておくね」ポイ


ハンター「宝石もこの中に入れて」


魔法使い「大丈夫~?」


ハンター「君が持ち歩いてるといつスリに会うか分からない」


魔法使い「それもそうね…」ドサリ


ハンター「僧侶は?」


魔法使い「装備着替えて来るから後で」


ハンター「君は荷物多いだろうから早めに馬車に積んで」


魔法使い「ふん!うるさいわね…」


僧侶「お待たせしました…」タッタ


ハンター「お!!スケール鎧に変えたんだ?良いね」


僧侶「軽くて気に入ったです」


ハンター「盾もちゃんとしたのに変えたね」


僧侶「はい!!私はラウンドシールドが丁度良い様です」


ハンター「君も宝石の袋持ってたよね?馬車のトレジャーボックスに入れて」


僧侶「はいな!!」ピョン ドサ


ハンター「よし!鍵かける」ガチャリ


僧侶「なんか安心ですね」


ハンター「うん…少しはね」


魔法使い「僧侶?宿屋に置いてる荷物運ぶから手伝って」


僧侶「ぎくり…」


ハンター「ハハまぁそうなるよねぇ…」


魔法使い「岩塩がいっぱいあるのよ」


ハンター「何回かに分けてさ…」




『翌朝』



チュンチュン



…各休憩所で3時間馬を休めながら進むのでそのつもりで


道中で戦闘が起きた場合傭兵が対処するから馬車を止めない様に



商隊長「…では日の出を待って出発する」



ハンター「…あ!!やっと来たあの2人…時間ギリギリじゃないか」


魔法使い「ハンターーーー!!荷物持ってぇぇ」


ハンター「またあんなに一杯持って…だから先に積んでって言ったのに」ブツブツ


魔法使い「早く来てよ!!」


ハンター「もう!!僕が持つから馬車に乗って」グイ


僧侶「ハンターさん助かるです」スタスタ


ハンター「今度は何持ってきたのさ」


僧侶「錬金術の勉強をするらしいです…書物と材料が沢山…」


ハンター「昨日の内に積んで欲しかったよ…」ヨッコラ ヨッコラ


魔法使い「しょうがないじゃない…時間が無かったんだから」


ハンター「もう良いよ…乗って!」


僧侶「ハンターさん大変でしゅねぇ」


ハンター「女難の相がお祓いできていないよ…トホホ」


魔法使い「もう出発するって~早く早く!!」


ハンター「それは僕の言葉だよ!!」



----------------


----------------


----------------




『商隊』



ガタゴト ガタゴト



魔法使い「向こう!…コボルトね…4匹か」


ハンター「商隊には近づいて来ないでしょ」


僧侶「なんか余裕ですねぇ…」


ハンター「うん…僕達にもなんか余裕が出たね」


魔法使い「そうね…剣士と一緒に旅をして随分レベル上がったと思うわ」


ハンター「やっぱり死戦を経験すると全然違うんだね…今じゃ前衛職必要だと思わなくなった」


僧侶「虫除けの方陣で虫が来ないのが大きいです」


ハンター「前はアラクネーに襲われるの怖かったよね…特に夜」



パカラッ パカタッタ



傭兵「お~い!!」


ハンター「んん?何かあったんですか?」


傭兵「遠巻きにウルフの群れが居るから気を付けておいてくれ」


ハンター「あ…ウルフか…連絡ありがとう」


傭兵「では!!」ノシ パカラッタ


魔法使い「ウフフ…ウルフねぇ…」


ハンター「なんていうか気持ちが全然違うな…」


僧侶「寝るです…」


魔法使い「私は勉強を…」


ハンター「平和だなぁ…」



ヒヒ~ン ブルル



----------------


----------------


----------------




『1週間後』



ガタゴト ガタゴト



僧侶「見えたです!!」


魔法使い「やっとね…もう馬車の移動は懲り懲り」


僧侶「ベッドが恋しいです」


ハンター「商隊の移動は馬鹿にしてたけど結構儲かったね?全部でいくらになった?」


魔法使い「えーと…岩塩売って銀貨80枚…ポーションで30枚…細々した物合わせて銀貨130枚くらいね」


ハンター「途中の中継点で待ってる人が居るなんて知らなかった」


僧侶「錬金術で作ったポーションが儲かるですね?」


魔法使い「疾病予防が良く売れる」


ハンター「丁度キ・カイまでの運賃の足しになる」


僧侶「この馬車は売るですか?」


ハンター「うん…多分馬と合わせて金貨で8枚くらいかな」


魔法使い「全部合わせて金貨にして10枚くらい」


ハンター「キ・カイまで確か一人金貨3枚だったからギリギリ行ける…交渉次第だけど」


僧侶「船が沢山見えるです」


ハンター「上手くキ・カイ行きの商船あれば良いなぁ」


魔法使い「私は少し休みたい…」


ハンター「うん…荷物を宿屋に降ろしたら君たちは休んで良いよ…僕が馬車を売却してくるから」




----------------




『港町_宿屋』



ドサリ



ハンター「ふぅ…じゃぁ宿屋の確保をお願い」


僧侶「任せるです!!」


ハンター「トレジャーボックスしっかり見ててね」


魔法使い「心配しないで」


ハンター「はいや!!」グイ ヒヒーン



ガタゴト ガタゴト



魔法使い「さて僧侶…トレジャーボックスそっち側持って?」


僧侶「はいな!」グイ



カラン コロン



店主「いらっしゃいませ…商隊から見えた方ですね?」


僧侶「お部屋ありますか?3人でしゅ」


店主「2人部屋を3人で使う形でよろしいですか?」


僧侶「はい~!!」ニコ


店主「何泊でしょう?」


魔法使い「あーー聞くの忘れてた…どうしよう」


僧侶「3泊くらい?」


店主「一部屋8銀貨ですので3泊ですと24銀貨になります」


魔法使い「まぁ良っか…はい」ジャラリ


店主「ありがとうございます…お食事はお部屋にお持ちしますのでお待ちください」


僧侶「はいなー」


店主「ではご案内致します」スタ




『宿屋の客室』



ガチャリ バタン



魔法使い「あぁぁ疲れた…これで荷物最後」ドサリ


僧侶「ハンターさんは何処で横になりますかね?」


魔法使い「この毛皮で良いんじゃない?」


僧侶「やっぱりハンターさんの女難の相って私達が原因ですかね?」


魔法使い「そんなの知らない…女2人連れなんだから得してるんじゃないの?」


僧侶「そうでしゅね…」


魔法使い「私水浴びしてくるから荷物番お願い」


僧侶「あい~!待ってるです」





『馬宿』



管理人「…んあぁぁ大分傷んでんな…これじゃ馬と合わせて金貨5枚って所だ」


ハンター「えええ…そこを何とか!!」


管理人「しかし何でこんなに傷む?荷物の輸送じゃこんなんならんだろう」


ハンター「あ…そうか岩塩で錆びついたか…」


管理人「岩塩?まぁなんか知らんが金属部分を修理せんと直に使えなくなるんだ…金貨5枚は良い方だと思ってくれ」


ハンター「じゃぁ5枚で!!」


管理人「ほらよ!!」チャリン



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ハンター「馬4頭と馬車1台で金貨5枚か…」トボトボ


ハンター「宝石には手を付けたく無かったんだけどなぁ…」ブツブツ



ワイワイ ガヤガヤ


安いよ安いよ~キ・カイ産のくちばしマスク!!


こっちはシン・リーン産のハチミツ!!買ってってくれ~い


この眼帯なんかどうだ?


金属糸あるで~買っていきーな


ワイワイ ガヤガヤ



ハンター「露店が盛り上がってるなぁ…僕は盛り下がってる」


ハンター「なんか酒場に行く気も起きない…どうしよう」ブツブツ


男「よう!兄ちゃん…なんだか景気悪そうだな?」


ハンター「ん?僕?」


男「男ならもっと堂々とだな!?胸を張って歩け…こうだ!!」ズイ


ハンター「こう?」ズイ


男「気分が晴れただろ?」


ハンター「ハハ…まあね?」


男「スリにでも合ったんか?」


ハンター「そんな感じかな…」


男「じゃぁよ…ちっと仕事して見無ぇか?」


ハンター「仕事?…えーとそういう余裕は無いかも」


男「ぬぁぁぁ見誤ったか…良い弓持ってっから使えると思ったんだがな」


ハンター「ゴメン…他を当たった方が良いよ」


男「悪りぃな!!手間取らせた…まぁなんだ…上向いて歩け!じゃぁな!!」タッタッタ


ハンター「ふぅ…今日は宿屋で休も」テクテク




『宿屋』



ガチャリ バタン



魔法使い「あれ!?早いじゃない…」


僧侶「おかえりです…ん?なんかおかしいな…お疲れ様でしゅ」


ハンター「うん…ふぅぅ」ヨッコラ


魔法使い「馬車は処分出来た?」


ハンター「うん…錆がひどくてあんまり良い値が付かなかった…金貨5枚だよ」


魔法使い「売れて良かったじゃない…」


僧侶「ハンターさん疲れてるですか?元気が無いです」


ハンター「スリに合った気分でモチベーション下がっちゃったんだ」


魔法使い「バッカじゃないの?あなた昔からケチよね」


ハンター「金貨3枚稼ぐのがどれほど大変か…って考えるとさ」


僧侶「なんか悩みが小さいです」


魔法使い「どうせ寝たら忘れるでしょ?」


ハンター「そうだね…寝る」


僧侶「私達は水浴びしたらやる気出て来たので買い物行って来るです」


魔法使い「その金貨5枚頂戴」


ハンター「え?」


魔法使い「金貨3枚分の儲けが出る買い物すれば済む話なの!!」


ハンター「…さすがガメツイ」


魔法使い「うるさいわね…貰って行くから」グイ


ハンター「ハハ後は任せた…僕寝る」




『翌日』



チュン チュン



魔法使い「おい起きろ!!」ユサユサ


ハンター「ううん…」パチ


僧侶「朝食が来てるです」モグモグ


ハンター「あれ?いつの間に床で寝てる…」


魔法使い「このベットは私が使うから移動させた」モグモグ


ハンター「そっか…全然気づかなかった…ぐっすり寝たよ」


僧侶「ハンターさん疲れて居たですね」モシャモシャ


ハンター「…というか何か一杯買い物したみたいだね…残りの金貨は?」


魔法使い「あぁ忘れてた…はい」コロン


ハンター「1枚?」


魔法使い「そう…」


ハンター「何買ったの?」


魔法使い「見て気が付かないの?」


ハンター「あ!!髪型が変わってる…あ!!僧侶も…あれ?服装も…」


魔法使い「後は錬金術の材料ね…朝食食べないと冷めるよ」モグ


ハンター「まぁ良いか…食べよーっと」モグ


魔法使い「あなた寝ていて何も相談出来なかったけど…私達3人で傭兵やる事になったよ」


ハンター「ええ!?傭兵?…何の傭兵?」


魔法使い「商船で傭兵を募集してたの」


ハンター「おお!!もしかしてキ・カイ行き?」


僧侶「そうでし!!」


ハンター「おおおおお!!それは丁度良い…報酬は?」


僧侶「もう払ったです」


ハンター「払った?どういう事?」


魔法使い「一人金貨1枚でキ・カイまで商船に乗れる代わりに傭兵やるの」


ハンター「なるほど…余りのお金で買い物か」


魔法使い「金貨3枚分になったでしょ?」


ハンター「ハハ凄いな…もう僕のやる事無くなった」


僧侶「明後日に出港するです…それまでゆっくり出来るです」


ハンター「なぁ~んだ…心配して損したよ」


魔法使い「その金貨返して貰って良い?まだ遊ぶから」


ハンター「いやいやちょっと待って僕がまだ何もしてない」


魔法使い「何かする事有る?」


ハンター「う~ん…どうするかなぁ」


魔法使い「ほら無いじゃない!貰うから」ブン


ハンター「ああ!!」


僧侶「ハンターさんはゆっくり体休めるです…」


ハンター「まぁ良いかぁ…散歩で良いや」


魔法使い「ダメダメ…荷物番だから…よし!!僧侶行くよ」


僧侶「はいな!!」タッタ



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『蛮族船』



ザブ~ン ユラ~ ギシギシ



オーク「セロオヲリカイ!!」ウゴ



剣士「…」---停泊?あの島で補給するのかな?---


女オーク「剣士来い」グイ


剣士「これどういう事?」


女オーク「荷室行く…剣士樽に隠れる…付いて来い」


剣士「…」---樽?逃げるのか?---




『荷室』



ソローリ



女オーク「よし…樽に隠れる…入れ」


剣士「う…うん…どうするつもり?」


女オーク「小舟にこの樽乗せる…私オークシャーマン寝ている隙…刀と光る石盗む」


剣士「逃げるんだね?」


女オーク「オークシャーマンの呪いもう解けた…私自由…剣士助ける」


剣士「君はオークの皆から離れても良いのかい?」


女オーク「呪い解けた…肌の色変わる…処女違う女のオーク…違う部族行く普通」


剣士「そういえば緑の肌が薄くなってる…」


女オーク「オークシャーマン見られる…すぐ分かる…早く行く」


剣士「おっけ!!ここで隠れて居れば良いね?」


女オーク「声出すダメ…」グイ



ノッソ ノッソ



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『小舟』



ドスン



剣士「…」---もうちょっと丁寧に扱ってよ---


女オーク「大人しく待つ…」ヒソ



ドスン ドスン ゴトゴト



男オーク「ロシクヤハ!!ゾイソオ!!」


女オーク「ルアガツモニダマ…テマ!!」


男オーク「イナライハツモニ…ダウュキホノダタ」


女オーク「ロイテッマクシナトオ!!レマダ」



--------------


--------------


--------------



ドスン ドタドタ



女オーク「セダ!!」


男オーク「イシホナンオノンゲンニモレオ」


女オーク「…」ジロリ


男オーク「ナイイテレイニテイレドノンゲンニハエマオ」


女オーク「レマダ」


男オーク「ウゴウゴ…」





『無人島』



ドサリ



剣士「…」---あたたた---


女オーク「この樽だけ隠す…夜まで待て…刀と石だ」ヒソ



男オーク「ゾルドモデンクヲズミトサッサ…ルテシニナ」


女オーク「ルイテッカワ…」ヨッコラ



ユサユサ ユサユサ ドサリ



剣士「…」---うっ---


女オーク「夜に来る…」ヒソ




『夜』



シーン



剣士「…」---船が遠ざかって行く---



何処かに種落ちて居ないかな…


光の魔方陣があれば千里眼使えるんだけど


あった!!タンポポの種…これで行ける



剣士「変性魔法!」シュワワ



よし…質の良い銀になった


これで光の魔方陣を…っと



剣士「千里眼!」



小舟…良かった上手く小舟でこっちに来てる



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『数分後』



ザザー ザブーン



女オーク「待ったか?」


剣士「ハハ…アハハハ!!上手く逃れたね」


女オーク「どんぐり積んで来た…この島水もある」


剣士「小舟を隠そう」


女オーク「小舟私持つ…剣士樽持て」


剣士「おっけ!!」グイ


女オーク「水こっち…付いて来い」ザシュ ザシュ


剣士「君は力持ちだなぁ…」


女オーク「小舟重い」ザシュ ザシュ



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『洞穴』



ピチョン ピチョン



剣士「ちょっと顔見せて?…肌の色は茶色になってきてるのかな?」


女オーク「オークの肌普通は茶色…緑や青は呪いの印」


剣士「なるほどね…部族ごとにそういうのがあるんだ」


女オーク「茶色キライか?」


剣士「気にして無いよ…茶色のオークは何処に行くんだい?」


女オーク「野良オークは自由…何処行っても良い」


剣士「そういえばエルフの森にも居たなぁ…」


女オーク「多分純血の野良オーク…人間の血入って無い…とても強い…でも頭悪い」


剣士「ふ~ん…それで?これからどうする?」


女オーク「オークシャーマン宝無くなった…気付いたら探しに来る…早く逃げる」


剣士「それはマズイね…ここにいつまでも居られないね」


女オーク「樽に水汲む…小舟で逃げる…早く行く」


剣士「どうするかなぁ…今の場所分かる?」


女オーク「私海の事分からない…今何処も分からない」


剣士「このまま漂流するのはリスク高いなぁ…僕はちょっと種を集めたいんだ」


女オーク「種?どんぐりダメか?」


剣士「他の種も欲しいんだ…う~ん…そうだ!!」


女オーク「何だ?」


剣士「見てて…ハイディング!」スゥ


女オーク「消える…」


剣士「リリース」スゥ


女オーク「その技はどうやる?」


剣士「誰か来てもハイディングで逃げられるんだ…だから心配無い」


女オーク「分かった…急いで逃げない」


剣士「夜が明けたら種とか色々探しに行こう」


女オーク「軍隊ガニ探す」


剣士「お?イイね…もうその防具は脱いで良いよ…新しいの作ろう」


女オーク「私の宝増える嬉しい」


剣士「そう言って貰えると作り甲斐がある…今度はどんなのが良いかなぁ」


女オーク「剣士目が輝く…楽しいか?」


剣士「うん!すごいワクワクしてる」


女オーク「剣士楽しい私も楽しい…私の体居るか?」


剣士「え?」


女オーク「私剣士欲しい剣士私欲しい…違うか?」


剣士「フフ良いよ…しようか?」



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『翌日』



シュッシュッ ガリガリ



女オーク「木の皮これくらい良いか?」ドサリ


剣士「おけおけ…次僕のを真似て木の皮を編み込んで?」


女オーク「何作る?籠か?」


剣士「そうだよ…大きな籠作って小舟に乗せるんだ」アミアミ


女オーク「小さい籠はどんぐり入れるか?」


剣士「うん…樽に入ってるどんぐりを籠に移す…樽には水を入れる」


女オーク「任せろ…私やる」


剣士「じゃぁ僕は装備品作るかな?さっき拾って来た骨はどこ?」


女オーク「外にまとめてる…骨で作るか?」


剣士「この木の皮と骨だね…軍隊ガニ居なかったでしょ?」


女オーク「この島生き物鳥しか居ない」


剣士「まぁ大丈夫だよ…木の皮を変性させて使うから割と良いのが出来る」


女オーク「種足りるか?」


剣士「見てよ…さっき拾った種はオーツ麦だったよ…成長魔法で増やしたから十分ある」ザラザラ


女オーク「稲穂はどうした?」


剣士「もう小舟に積んだ…ベット替わりさ」


女オーク「剣士賢い…何でも出来る」


剣士「フフ僕はね…種と水があれば大体何でも出来るんだよ…すごいだろ?」


女オーク「籠作り終わったらもっと種拾う」


剣士「うん…無人島で生活するのも中々良いね」



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剣士「出来たぁ!!これ装備してみて!!」


女オーク「…」ゴソゴソ


剣士「ワニの頭蓋骨の感じがカッコいい…それボーンキチンって言うんだ」


女オーク「軽い…」


剣士「全部エンチャントしてるから前の軍隊ガニの装備よりずっと良いよ」


女オーク「エンチャントとは何だ?」


剣士「回復の魔法が掛かってる…傷口が直ぐに塞がるんだ」


女オーク「剣士も同じか?」


剣士「同じ…僕は余りの骨で作ったからちょっとショボイ」


女オーク「皮の部分は木なのか?動物の皮みたいだ」


剣士「樹脂に変性したんだよ…やわらかくて肌触り良いでしょ?」


女オーク「少し動いてみたい」


剣士「おけおけ!!木の棒で打ち合ってみよう」


女オーク「剣士と戦う10年振り…」


剣士「負けないぞ!!」


女オーク「私剣の使い方覚えた…前と違う」スチャ


剣士「僕だって」スチャ


女オーク「…」ジリジリ


剣士「行くぞ!!」シュタ



カン カン コン ビシ バシ




『浜辺』



ザザー ザザー



剣士「…よっこら…よっこら…降ろすよ?」ザブン


女オーク「空の籠どうする?」


剣士「土入れる…ちょっと待って」ザシュ ザシュ



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剣士「お待たせ…よいしょ」ドサリ


女オーク「その土で種育てるか?」


剣士「そうだよ…足りない物があった時にこの土で育てる」


女オーク「準備整った…この島離れる」


剣士「うん…見つかる前に移動しよう」


女オーク「剣士先乗る…私小舟押す」グイ


剣士「おけおけ」ピョン


女オーク「ふんっ!!」ズズズ ザブーン


剣士「おいで!!手を…」グイ


女オーク「…」ザブザブ ドスン



ユラ~



剣士「帆を広げるよ?」グイ バサバサ


女オーク「方向分かるか?」


剣士「分からないけど蛮族船とは違う方向に行って見る」グイ


女オーク「この小舟荷物載せる2人で丁度」


剣士「そうだね?ちゃんと足伸ばせるし割と快適だ」



えーと…この大きな籠は風よけだよ


寝る時に被せる


こうか?


この上に乗ったら2段ベットみたいだね


それでこっちの籠が食料…こっちが道具…これが土


釣った魚はこの籠にしよう



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『港町_商船』



ザブン ギシギシ



荷入れ急がせてくれい!!


豚は手前の檻ん中だ



魔法使い「僧侶!!桟橋狭いから気を付けて」ヨタヨタ


僧侶「トレジャーボックスで足元見えないです」ヨタヨタ


ハンター「ちょ…荷物重いから早く行ってよ…」ヨロ



男「おぉ!!ネーちゃん達来たな?なんだそのトレジャーボックスは…」


魔法使い「これ大事な物入れてるの」


男「危ねぇから貸せ!!」グイ


魔法使い「あ…」


男「ハハーン…この音は貴金属だな」ガサガサ


男「しかも相当入ってんな」


魔法使い「ちょちょちょっとー」グイ


男「取りゃし無ぇよ!!傭兵の部屋は上の居室だ…付いて来い」


ハンター「重い…早く行って」


男「おろ?もう一人の射手ってお前だったんか?」


ハンター「あ…その節はどうも…」


男「てことはこのネーちゃん2人の荷物持たされてんだな?しかし又多いな…」


ハンター「お願い…重いんだ」


男「ヌハハ悪りぃ悪りぃ…こっちだ!乗れ」



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ハンター「はうぅぅ…はぁはぁ」ドサリ


男「手前が男部屋…奥が女部屋だ…どっちに荷物運ぶか知らんがちゃんと片付けろな?」


魔法使い「全部私達の物だから女部屋に運んで」


ハンター「君の物なんだから少しは持って」


魔法使い「分かってるわ…早く入れてよ」


ハンター「はぁ…」


男「うお!!お前等…どこで盗んだんだこんなに沢山…」


ハンター「え!?ダメだよ開けたら…どうして鍵空いてるんだ?」


男「こんな簡単な鍵じゃダメだ速攻盗まれるぞ?」


魔法使い「ハンター!!ちゃんと鍵掛けたの?」


ハンター「いや…掛けた筈」


男「んぁぁぁ…まぁちっと教えてやる…居室入れ」




『居室』



ガチャリ バタン



男「見てろ?こんな鍵なんざ釘一本で簡単に解錠出来るのよ…」カチャ 


男「ほんでな?この鍵にはシリンダーって物が有ってだな…ここに錘をこんな感じで付ける訳だ」カチャ


男「次に箱を横にして鍵を掛ける」カチャ


男「そうするとこの箱を横にした状態じゃ無いと鍵が開かなくなる訳よ…開けて見ろ」


ハンター「え…あ…」ガチャガチャ


ハンター「開かない…というか鍵が合って居ない感じだ」


男「横にして開けて見ろ」


ハンター「…」カチャリ


ハンター「おぉ!!開いた…」


男「…という具合にだな2重3重で鍵を掛けないと意味無い訳よ…このままじゃ直ぐに盗まれるぜ?」


僧侶「お見事でしゅ」パチパチ


男「あぁイカンイカン…こんな事してる場合じゃ無ぇ…兎に角今は荷物片づけろ」ダダッ


ハンター「…」アゼン


魔法使い「ハンター…あなた鍵開け専門じゃなかったの?」


ハンター「あの人誰?」


魔法使い「商船仕切ってるって言ってたけど…只者じゃ無さげ?」


ハンター「見事だなと思ってさ…だってホラ…鍵開けって普通宝箱を置いた状態で開ける」


ハンター「横にした状態じゃ無いと開けられない工夫を一瞬でやったんだよ…神業だ」


魔法使い「まぁどうでも良い…荷物片づけよ」スタ


ハンター「いや…このトレジャーボックスを横に出来ない工夫をすれば良いと言ってるんだ」


魔法使い「僧侶?ハンター置いといて荷物片づけよ」


僧侶「ほいほい…」


ハンター「世の中にはスゴイ人が居るんだな…」ブツブツ




『甲板』



ザブン ギシギシ



男「よし!!全員乗ったな?碇上げろぉ!!出港だ!!」



ガラガラガラ ユラ~リ



男「船乗り!!後は任せたぜ?」


船乗り「ういさ!!」


男「船乗り以外は全員集まれぇ!!」



ハンター「魔法使い!僧侶!!集まれってさ」


魔法使い「はいはいー」スタタ


僧侶「ほい!!」スタタ



男「ようし!集まったな?ほんじゃちっと説明する」



船に乗ってるのは全部で16名…内戦闘員は12名だ


今回は傭兵で錬金術師と僧侶が乗って居るから


怪我病気は心配しなくて良い


女性は全部で4人…禁止事は何も無いが揉め事は避けてくれ


因みに2人は娼婦だからちゃんと金払う様にな?


キ・カイに到着するまで補給は2回を予定している


それから傭兵は矢とボルトの置いてある場所を確認しておいてくれ


海賊との戦闘は基本的に気球を使って上からの射撃だ


大抵はこちらの船の方が早いから乗り込まれは想定していない



男「以上!!まぁラクにやってくれ」



ハンター「矢か…何処にあるんだろう?」


僧侶「私は仕事無いでしゅ…」


ハンター「クロスボウは誰でも撃てるよ…」


僧侶「後で教えて欲しいです」


ハンター「うん…ちょっと船を見て回ろうか」


僧侶「はいな!!」




『船尾』



ザブ~ン ユラ~リ



ハンター「貨物用の気球か…いろいろ改造してるなぁ」


僧侶「中にクロスボウと矢もあるです」


ハンター「すごいなぁ…全部でいくらするんだろう?」


魔法使い「船の値段とか想像出来ないわね…」


ハンター「うん…それだけじゃ無くて武器とかも全部必要だよね」


僧侶「3人だけで扱える物ではないですねぇ…」



男「おう!!ここに居たか…お前等さっきのトレジャーボックスの事だけどよ」



ハンター「あ…箱の施錠の件?」


男「船にある間は誰も触らんからそれは良い…そうじゃ無くてな…ちっと中身が見たいのよ」


魔法使い「どうする気?」


男「いやな?俺は結構目利きでな…鑑定させてくれ…何があるのか見たいんだ」


ハンター「鑑定か…どのくらいの金貨になるのか知りたいなぁ…分かる?」


男「任せろ…もし売るなら買い取れる奴を紹介してやる」


魔法使い「良さそう…値段が分からなかったし」


男「おぉ早速見せてくれ…船長室まで持ってこい」


ハンター「分かったよ…」



--------------



『船長室』



ガチャリ バタン



僧侶「船長室は中がぐちゃぐちゃですね…」


男「うるせぇな…ここは俺の部屋だ」ガチャガチャ ドサドサ


ハンター「…」


男「このテーブルの上に置いてくれ」


ハンター「はい…」ドサリ


男「開けるぞ?」カチャリ


ハンター「えええええ!?横にしないと開かないんじゃ…」


男「アホか!開け方知ってる奴には無意味だ」


ハンター「どうやって…」


男「後で教えてやる…それより中身だ…どれどれ」



おぉぉ…ちぃと小さいがまぁまぁの宝石揃ってんな


このダイヤモンドのカッティングなんかドワーフじゃ無いと出来無ぇ


しかし残念だな…宝石は価格が暴落してんだよ


うお!!古代金貨…あれ?見た事無ぇ…こりゃシャ・バクダの物じゃ無ぇぞ!!?



男「おい…ビビるなよ?この古代金貨1枚…こりゃメチャクチャ価値あるぞ?」


ハンター「ええと…どのくらい?」


男「値段が付けられん…只なぁこれを買い取れるのはもう王族しか居ないだろうな…」


魔法使い「宝石は?」


男「宝石はキ・カイで多分売れる…一つあたり金貨20って所か…10年前ならその10倍はしたんだがな」


ハンター「これ全部で船と気球は買えるかな?」


男「気球ならイケルが今売るのはちと勿体ない…時期を待ってじっくり売った方が良い」


魔法使い「どうする?こんな事言われて売れなくなるじゃない」


男「一緒に入ってる魔石…こっちの方が価値が高けぇ」」


ハンター「おぉ!!」


男「宝石はお前等ちゃんと仕舞っておけ…ほんで古代金貨は処分に困るが…相談出来る奴を紹介してやる」


ハンター「それはありがたい…」


男「でな?どこで手に入れたのよ?」


ハンター「暁の墓所という所だよ…シン・リーンの東の方にある」


男「ほう?果てしない荒野だって聞いてたが何か有るんだな?」


魔法使い「ハンター!あんまりペラペラしゃべらない方が良いじゃない?」


ハンター「まぁでも粗方お宝は持って帰って来たよね」


男「なるほど察しが付いた…暁の墓所…どっかで聞いたな…暁…暁…暁の使徒…」


ハンター「そうだよ暁の使徒関連らしい…それ以上知らない」


男「ふ~む…何処で聞いたか思い出せん」




-----------------




ハンター「ところで男さん…あなたはは何者ですか?随分色々詳しい…」


男「んあ?そうだな自己紹介して無かったな…俺の名は盗賊だ…今は船使った商売人だがな」


魔法使い「盗賊?…だから鍵開けを?」


盗賊「まぁな?今は盗みはやって無ぇから安心しろ…只の商売人だ」


ハンター「僕もトレジャーハントで鍵開けが専門のつもりだったんだけど…」


盗賊「そうか…船旅はまだ長いからよ…暇なときに教えてやるぞ?」


ハンター「やった!!」


盗賊「しかしお前等みたいな若造がこんなお宝持ってるとはよ…俺もシケタ仕事に就いちまったもんだ」


盗賊「ほんで?その暁の墓所ってのは墓場なのか?」


僧侶「ミイラが沢山あったです」


ハンター「全部荒らされていたんだ」


盗賊「「ん?宝石はどうしたのよ…こんなに沢山墓場に必要無いよな?」


僧侶「ミイラが入って居た石棺に一つづつ有ったです」


盗賊「てことは宝石の数だけミイラが在ったって事だな?」


僧侶「そうでし」


盗賊「もしかすると宝石は魂の入れ物だったんか?」


ハンター「え?」


盗賊「いやな?大昔にはそういう技術が在ったんだよ…この魔石にも誰かの魂が入ってる」


魔法使い「それ本当?」


盗賊「うむ…魔石を使い尽くすと只の宝石になるんだ」


ハンター「持って帰って来ちゃいけなかったかな?」


盗賊「分からんが…今は高く売れないからとりあえず大事に仕舞っとけ」


魔法使い「ミイラって大昔の人がその人を復活させる為に作ったのよね?」


盗賊「昔はそう信じられてたのかも知れんな?」


ハンター「墓荒らしされちゃったんじゃ復活出来ないねハハハ…」


盗賊「暁の使徒だったか?そいつらが何者だったのかは調べて見ても良いかもな」


魔法使い「どうやって?」


盗賊「俺の知り合いに考古学者が居るんだ…連絡してみる」




『船首』



ザブ~ン ユラ~ ギシギシ



ハンター「はぁぁぁ…海は平和だなぁ」


魔法使い「何か釣れる?」


ハンター「まだ魚一匹だよ…要る?」


魔法使い「馬鹿にしてる?要る訳無いじゃない!」


ハンター「君も暇でウロウロしてるんだね?釣りでもしたら?」


魔法使い「そうね…書物読むのも飽きた所だし…ちょっとやってみようかな」



盗賊「おい!!お前等ヒマしてんだな?」



ハンター「あ…盗賊さん」


盗賊「俺も暇なんだ…立ち合いやるぞ」


ハンター「立ち合い?」


盗賊「チャンバラだよ…お前等傭兵なんだからゴロゴロしてっと体鈍るぞ!?」


魔法使い「私は魔法使いよ?」


盗賊「うるせぇ!!俺がお前等の適正見てやっから武器持って集まれ」


僧侶「私もやるですか?」


盗賊「お前は盾と槍持ってたな?腕試しだと思って掛かって来い」


僧侶「ひえぇぇ…」




『甲板』



カン コン ビシ バシ!



僧侶「痛いですぅ…」タジ


盗賊「ぬぁぁ全然ダメだな…お前はその槍が長すぎる」


僧侶「盗賊さんが早すぎるです」


盗賊「盾で守ってるのは良いがお前には突きしか無いのが見え見えなんだ…しかも遅せぇ」


僧侶「私は槍しか使えないでしゅ」


盗賊「ちと待ってろ…売り物だが銀のレイピアが在った筈だ…持ってくる」ダダッ


僧侶「ひぃひぃ…ハンターさん助けて欲しいです」


ハンター「良い訓練になって居そうだよ?遅いゾンビ以外も対処出来るようになった方が良い」



タッタッタ



盗賊「これ使ってみろ」ポイ


僧侶「細身の剣でしゅか…軽いです」


盗賊「盾を前に出してレイピアは下げて後ろに構えろ…」


僧侶「こうですか?」


盗賊「うむそうだ…その構えはハイガードっていう構えだ…兎に角防御に集中しろ」


僧侶「はい…」


盗賊「ほんでな?相手の隙を見て切るんだ…突くなよ?縦でも横でも兎に角切り込む…やってみろ」


僧侶「ふんふん!!」ブンブン


盗賊「まぁ良い…そうしたら右手と左手をスイッチする…剣が前に出て盾が後ろな?」


僧侶「はい…」


盗賊「その構えがエペギャルド…そこから突きに切り替える」


僧侶「こうですね?」ツンツン


盗賊「なんかショボイが…お前の場合ハイガードとエペギャルドを入れ替えながら戦うのが良い」



ハイガードは敵の攻撃を盾で凌ぐのに集中


エペギャルドはレイピアで凌ぐのに集中


兎に角防御が一番重要だから忘れんなよ?


ほんで隙を見て急所に一発突きを入れる



盗賊「おし!!もっかい立ち会って見るぞ?来い!!」


僧侶「はいな!!」



カン キーン ビシ バシ!



僧侶「あ痛たたた…」


盗賊「防御に集中しろ!!行くぞ!!」




---------------


---------------


---------------



盗賊「よっし!!次魔法使い来い」


魔法使い「やっぱり私もやるのね…」


盗賊「その槍は杖替わりだな?」


魔法使い「ええ…まぁ…」


盗賊「貸してみろ…槍を両手で使う場合はだな…柄の部分を上手く使って防御するんだ」ブンブン グルグル


盗賊「ほんでリーチを生かして先ず切る!!ほんで突き」ズダッ


盗賊「やってみろ」ポイ


魔法使い「こ…こう?」グルグル


盗賊「んんん…回してるだけじゃダメなんだが…まぁ相手の攻撃をどう凌ぐかってのが重要なんだ…槍は突くだけの武器じゃ無い」


魔法使い「ふぬぬ…」グルグル ズダッ


盗賊「俺がゆっくり切りかかって行くから柄の部分で防いでみろ…いくぞ?」


魔法使い「う…うん…」タジ


盗賊「こんな風に切りかかって来たら柄の部分で叩き落すかなにかやってみろ」



コン コン カン コン



盗賊「もうちっと早めに動くぞ?」ダダッ


魔法使い「ひぃ…」ブンブン



コン コン バシッ!



盗賊「あだっ!!つつつ…」


魔法使い「当たっちゃった…」


盗賊「槍はな?ぶん回してるだけで踏み込み難い訳だ」


魔法使い「へぇ?」


盗賊「ほんで相手の隙を見て切るか突きの2択だ…突きばっかりやってると簡単に避けられるから考えて戦え」


盗賊「お前の場合魔法も使えるだろ?混ぜながらやれば良い線行くぞ?」


魔法使い「今使っても良いの?」


盗賊「ダメに決まってんだろ!まず槍の使い方覚えてから実践でやってくれ」


盗賊「よし!もっかい行くから凌げ!!」ダダ


魔法使い「あわわ…」ブンブン グルグル




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盗賊「よーーし!!次はハンターだな?」


ハンター「お手柔らかに…」


盗賊「お前は出来そうだから始めから本気で行くぞ?」


ハンター「ハハ…これ真剣なんだけどさ…危なくない?」


盗賊「僧侶が居るんだから死にゃし無ぇだろ…行くぞ!!」ダダ



カーン カーン キーン



盗賊「ほう?やるな?なかなか目が良い…」


ハンター「こっちも!!」ダダ



カーン カーン ブン!!



ハンター「え!?消えた…」


盗賊「おっと危無ぇ…」チャキリ


ハンター「う…」タラリ


魔法使い「今消えた!!どうして?」


盗賊「ヌハハそら秘密だ…しかしハンターお前片手剣だと勿体無ぇ…左手が遊んでる」


ハンター「左手か…」


盗賊「防御用でパリーイングダガーってのが在るんだ」


ハンター「左手にダガー?」


盗賊「ちと特殊なギミック付きだ…使って見るか?」


ハンター「試してみようかな」


盗賊「それも売り物なんだが…さっきの銀のレイピアと合わせて安く売ってやるぞ?」


ハンター「いくら?」


盗賊「銀のレイピアが金貨2枚…パリーイングダガーが金貨1枚…こっちも商売なんでこれ以上値下げ出来ん」


ハンター「お金持って無いよ…」


盗賊「お前等に払う傭兵代が丁度金貨3枚だな?タダ働きで譲ってやるがどうする?」


魔法使い「魔石売ったらお金入るんだしケチケチしなくて良いじゃない?」


ハンター「そ…そうだね」


盗賊「決まりだな?取って来るから待ってろ」ダダ




『黄昏時』



カンカン キーン



魔法使い「あの2人いつまでやるんだろ…」


僧侶「夕日が綺麗ですねぇ…」ウットリ


魔法使い「それにしても船旅って暇…」


僧侶「まだ1日目なのです」


魔法使い「私居室に戻ってポーションでも作って来る」


僧侶「お手伝いしますか?」


魔法使い「あの2人怪我したらいけないから僧侶は見ててあげて」


僧侶「はいな!ゆっくりしてるです」


魔法使い「じゃぁ居室に戻る…」スタ



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『翌日』



トンテンカン トンテンカン



魔法使い「うるっさいわね…何作ってるのよ」


盗賊「おぉネーちゃん2人起きたか?」


僧侶「…それはもしかして」


盗賊「察したか?訓練用のダミー人形だ…ゴロゴロしてると鈍るからな」


魔法使い「私達も訓練するの?」


盗賊「当たり前だろ傭兵は船を守るのが仕事だ…ゴロゴロさせる訳に行かねぇ」


ハンター「こっちも出来たよ」


盗賊「甲板に並べて置いてくれい!弓矢の防御用にも使えるからな」


ハンター「おっけ!よっこら…」ノソ


盗賊「朝起きたら2時間の訓練…その後は昼まで船の操作で基礎体力付ける…飯食ったら夕方まで乱取り」


魔法使い「ええ!?」


盗賊「え?じゃ無ぇ!!傭兵は遊びじゃ無ぇぞ?」


僧侶「こ…これはもしかすると地獄の始まりでは…」


盗賊「お前らは若いんだからこれぐらいどうって事無ぇから心配するな…3日もすりゃ慣れる」


魔法使い「毎日?」


盗賊「当たり前だろ…そん代わり飯は心配しなくて良いぞ?腹が減っては戦にならんからなヌハハ」


魔法使い「なんか…目まいが…また修行の続きが…おえぇぇぇ」


僧侶「今度は逃げる場所が無いです…」


盗賊「慣れるから心配すんな!ぬははははは」




『数日後』



面舵微速!!横帆早く畳めぇ!!


行き会い船が回避しませんぜ?


射手!!すれ違いざまに警告撃て


左舷注意!!早く帆を畳めってんだろ!!



魔法使い「ひぃひぃ…」グルグル


ハンター「僕は警戒に行く…早くロープ撒いて」ダダ


僧侶「はぁはぁ…死ぬです…はぁはぁ」グルグル



盗賊「んぁぁ何処の船だぁ…ったく航法無視しやがって」


船乗り「海賊上がりの豪族すね」


盗賊「射手!!撃つな…」



ザブ~ン ユラ~リ



盗賊「知った顔は居無ぇ様だ」


船乗り「あの顔…こっちの事はお構い無しの様子」


盗賊「これだから豪族とは関わりたく無ぇ…まぁ良い!気にしないでこのまま入港すっぞ」


船乗り「へい…」


盗賊「ハンター!!もう弓は良いから帆を畳むの手伝ってやれ」


ハンター「ハハ…やっぱりそうなるか…」



魔法使い「反対側のロープ撒いて…もう腕が動かない…」ヒクヒク


僧侶「はひ~はひ~…」




『海士島』



ザブン ガガガガ



盗賊「ようし…この島で1日休憩だ…降りたい奴は降りて良いぞ!!」


ハンター「はぁはぁ…ここで補給?」グッタリ


盗賊「まぁな?商船待ってる奴らもいるから物々取引が主だ」


ハンター「結構大きな漁港だね?」


盗賊「ここはな…10年ぐらい前から移民が増えて今じゃ港町より栄えた海の中継点だ」


ハンター「へぇ…」


盗賊「色んな国から商船が入って来る…まぁ新しく出来た主要漁港よ」


魔法使い「お…降りても良いの?」ヨロヨロ


盗賊「今日の乱取りは無しだ!元気があるなら降りて構わん…只な?治安はあまり良くない…女だけでうろつくのはヤメロ」


魔法使い「僧侶どうする?」


僧侶「盗賊さんはどうするですか?」


盗賊「俺は酒場で一杯飲む…一緒に来るか?」


僧侶「一緒なら安全でしゅか?」


盗賊「お前等ガキとは話が合わんかも知れんぞ?それで良ければ来い…あ!!お前等に御馳走するだけ余裕は無いぞ」


ハンター「ハハ…自分たちの分は自分たちで払うよ」


魔法使い「なんかケチね」


盗賊「うるせぇ…金は全部物資に変わったんだ…持ち金は殆ど無ぇ」




『海の酒場』



ワイワイ ガヤガヤ


アヘン酒入荷したわよ?


おぉ!!姉ちゃんどっから来たんだ?


ぃゃぁ…蛮族共がえらく増えちまって追い出し食らってよ


キ・カイもそろそろヤバそうだな?


ワイワイ ガヤガヤ



店主「いらっしゃいませ!」


盗賊「よう!又来たぜ?」


店主「あら?10日振りかしら?」ジロリ


盗賊「繁盛してそうだな?」


店主「お陰様で…4人?」


盗賊「おう!席空いてるか?」


店主「カウンターで良ければ…」


盗賊「構わん…どうせ人に聞かれちゃマズイ話なんかせんからなヌハハ」


店主「じゃこちらへどうぞ…お酒は何を飲みますか?」


盗賊「アヘン酒だけは止めてくれ…どうも胡散臭いからな」


店主「一番安いのに…」


盗賊「フィン・イッシュの船が入ってただろ?なんつったけな…白酒だったか」


店主「あぁ…あの香るお酒…」


盗賊「お前等どうする?」


僧侶「同じで良いのです」


盗賊「じゃぁボトルで頼む」


店主「かしこまりました…少々お待ちください」スタ


盗賊「まぁ立って無いで座れ」


魔法使い「筋肉痛が…痛たたたた」ギクシャク




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盗賊「むぐっ…ぷはぁ!!」グビ


店主「相変わらず飲みっぷりが良いですね」


盗賊「中々旨いぞ?お前も飲むか?」


店主「いえ…私は店番がありますから」


盗賊「どうよ?面白い話聞けて無ぇか?」


店主「前にお話ししていたアヘン酒の製造元…」


盗賊「おぉ!!分かったんか?」


店主「どうもセントラルで豪族達が作らせている様です」


盗賊「またセントラルかよ…胡散臭い話はいつもセントラルだ」


店主「そんなにアヘン酒がお嫌い?…ですか?」


盗賊「原料がケシの実だろ?体に良い訳が無ぇ!」


店主「でも麻薬みたいに依存性は無いらしいですよ?」


盗賊「だったら何で沢山流通してんだよ…隠れた依存性があるに決まってる」


店主「もう最近では売り上げの殆どがアヘン酒…盗賊さんも諦めて試してみては?」


盗賊「俺は人気の無ぇ余りの酒で良い…しかし何処でケシの実を仕入れて来るのか…」


ハンター「あれ?盗賊さん知らないの?」


盗賊「んん?お前知ってんのか?」


ハンター「森に居るスプリガンだよ…スプリガンの生息地にケシの花が沢山生えるんだよ」


盗賊「ほんじゃ冒険者達が取って来て売ってるって訳か…」


ハンター「メインはスプリガンから採取出来る魔石なんだけど…ケシの実も持って帰るね」


魔法使い「ケシの実は錬金術の材料にもなるから結構出回って居るわ?」


盗賊「なるほどな…お前も錬金術ってので麻薬作るんか?」


魔法使い「逆…私は毒消しと疾病予防の薬を作るの…麻薬は精製が面倒くさいから」


盗賊「しかしまぁ…アヘン酒も麻薬もちっとはびこり過ぎだわな」


店主「麻薬は趣向品で女性なら皆持って居るわね…ホラ?」


盗賊「ぐは…お前もか」


店主「疲れた時に少し使うくらいですよ」


盗賊「やり過ぎんなよ?子供産めなくなるぞ?」グビ


魔法使い「え!?産めなくなる?…もしかして…」


僧侶「秘密が解けたですね?」


盗賊「秘密って何だ?」


魔法使い「人間の人口がなかなか増えない原因…シン・リーンの魔術師達が調べてる」


盗賊「麻薬をやり過ぎるとっていう話なんだが…」


僧侶「アヘン酒の飲み過ぎはどうなんでしゅかね?」


盗賊「知るか!!只…ありえん話では無さそうだ…お前等はまだ若いから止めて置け」




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僧侶「盗賊さん…奥で偉そうに座って居るのは王様なのですか?」


盗賊「んぁ?あーアレは王様じゃなくて豪族の一人だ…成金の元海賊だから関わるな」


魔法使い「海賊が成金?」


盗賊「お前等知らんだろうが昔は金持ちの貴族が沢山居てな…財産を丸ごと海賊が奪ったんだ」


ハンター「そのお金で豪族になった?」


盗賊「土地を買い上げて王様気取りな訳よ…頭が逝かれてるからマジで関わらん方が良い」


ハンター「シン・リーンにはそういう豪族は見なかったなぁ」


盗賊「あそこは魔術師が偉いだろ…こっちの方は金持ちが偉い」


魔法使い「キ・カイも?」


盗賊「キ・カイはまた特殊な国で豪族の影響は少ない…オークさえ居なけりゃ一番デカイ国になってただろうな」


ハンター「オークとの戦争はまだ続いてる?」


盗賊「最近はオーク同士で争ってるらしいぜ?そのお陰でキ・カイも存続してる訳だが…」


ハンター「昔と同じかぁ…」


盗賊「昔?お前等南の大陸出身なんか?」


魔法使い「そう!!」


盗賊「そうか…てことは里帰りか…故郷が在るってのは良い事だ」


ハンター「盗賊さんの故郷は?」


盗賊「分からん…生まれた時から孤児で転々とだ…落ち着いたのは港町だなヌハハ」




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おぉぉこりゃまた若い女が要るじゃ無ぇか


赤毛にソバカス…田舎娘かぁ


まぁ良い!!お前達2人ちょっと金稼ぎし無ぇか?



魔法使い「ムッカ!!」


豪族の男「こりゃ毛も生えて居なさそうだなガハハハハ…」


僧侶「すごいお金持ちそうでしゅね?」


豪族の男「おぉぉ分かるか?俺と遊ぶならこの宝石やっても良いぞ?ガハハ」


僧侶「何して遊ぶですか?」


豪族の男「そりゃ大人のゲームよ…大人しくしてりゃ痛くなんか無ぇぞ?…どうだ?小遣い稼がんか?」


盗賊「ぬぁぁぁ悪りぃな…俺の連れなんだ勘弁してくれ」


僧侶「大人のゲームやるです!」ズイ


盗賊「おいおい待て!!揉め事起こすな!!」


豪族の男「本人が良いと言ってるんだお前はすっこんでろ!!」


魔法使い「盗賊さん…任せて」ヒソ


盗賊「放って置ける訳無いだろ」ヒソ


魔法使い「私は錬金術師よ…大丈夫だから」ヒソ


盗賊「お?」


僧侶「先にその宝石貰っても良いでしゅか?その後奥のお部屋で少しお酒飲むデス」


豪族の男「話が早そうだな?グフフ…ほら持ってけ」コロン


僧侶「頂きましたです」


豪族の男「じゃぁ奥に行こうかウヒヒヒヒ」グイ


僧侶「大人のゲームに行って来るです…皆さんは楽しんでいてくだしゃい」トコトコ




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盗賊「マジかよ…何企んでるか知らんが体売る事になっちまうぞ?」


魔法使い「今度の睡眠薬は強力だから大丈夫!」


ハンター「ハハハいつもこんな感じなんだ」


魔法使い「きっと30分で戻って来るよ…酒代稼げて良かった」


盗賊「その指輪見せてみろ…ふむ…金貨4枚って所だ…アホだなあの豪族」


魔法使い「普通に娼婦にお金払った方がよっぽど安いのに…店員さん!!この指輪で美味しい食事もお願い」


盗賊「おいおい!!あの豪族はまだこの店に居んだぞ?面倒になる前にズラかる…」


魔法使い「強力な睡眠薬…寝たら明日まで起きないわ」


盗賊「ヌハハハハ気に入った!!アヘン酒以外の酒持ってこーい!!」


店主「はい…」ニヤ



ワイワイ ガヤガヤ


あちらのお客様からの差し入れです


どうか皆さんお楽しみ下さい


え!?マジ?あのおっさん!?


うぉぉぉ飲め飲めぇぇ!!


ワイワイ ガヤガヤ




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僧侶「お待たせしたです」


魔法使い「上手く寝てくれた?」


僧侶「はい…お休みになったです」モジ


魔法使い「悪戯されなかった?」


僧侶「少し下の方を舐められて気持ちが悪いです」モジモジ


魔法使い「それで済んだなら儲けたわね」


僧侶「お土産持って来たです…ホイ」ドサ


盗賊「うお!!金貨か?」


僧侶「あまり沢山は入っていないですね」


魔法使い「あれ?なにか書簡が入ってる」


盗賊「面白そうだ…見せてみろ…フムフム」


魔法使い「何て書いて?」


盗賊「どうやらセントラルは西オークに食料を輸出してる様だな…豪族が運んでる」


ハンター「セントラルと西オークが同盟関係という事になる?」


盗賊「同盟かどうかは知らん…只な?フィン・イッシュは東オークに武器を輸出してる…」


盗賊「…つまり南の大陸でもセントラルとフィン・イッシュは対立関係だな…こりゃ」


魔法使い「セントラルとフィン・イッシュの戦争は収束したって聞いたけど?」


盗賊「北の大陸では冷戦状態なんだ…小競り合いはまだ続いてんのよ」


ハンター「オーク同士が戦ってるのってもしかしてその両国のせい?」


盗賊「…かもしれん…この書簡は扱いに注意しないと俺らも狙われるぞ?返してこい」


僧侶「はい…金貨の袋はどうするですか?」


盗賊「中身をちょいと頂いて戻してくるだな…こういうのはな?首を突っ込まないに限る」


僧侶「分かったです…」




『酒場の前』



ヒソヒソ…


 

ハンター「ふぅぅぅ食った飲んだ…」


僧侶「酒場の店員さんと盗賊さんはあやしい関係でしゅかね?」


魔法使い「多分ね…あれは絶対出来てる」


ハンター「何話してるんだろう?」


魔法使い「あなた耳が良かったじゃないの?」


ハンター「ヒソヒソ話は聞こえるけど内容が…」



タッタッタ



盗賊「おぉ悪い悪い!!待たせたな」


魔法使い「あの人盗賊さんの彼女?」


盗賊「そういうのじゃ無ぇ…まぁ仕事だ」


ハンター「仕事?」


盗賊「俺はどの酒場でも情報提供してくれる奴と仲良くしてんだ…相場とか色々な?」


ハンター「そうか…今は船商人だったっけ…」


盗賊「俺の事はまぁ良いからよ…もう遅せぇから帰って寝るぞ」


僧侶「はいな!!」


盗賊「お前等は明日も訓練あるからしっかり休んどけ」


魔法使い「ええええ!!1日休むじゃ無かったの?」


盗賊「船乗りはな?お前等は船の掃除もある…傭兵にそんなラクはさせんぞ?」


ハンター「ハハ…寝よう」


僧侶「一気に疲れたです…」


魔法使い「お金払うから無しって訳に行かないの?」


盗賊「アホか!!今から他の傭兵募集なんか無理に決まってんだろ」


魔法使い「はぁぁぁぁ…帰って寝る」



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『小舟』



ザブン バサバサ



剣士「…」ギュッ ギュッ


剣士「よーし!!剣の鞘が無くなっちゃったけど…これで随分長くなった」


女オーク「背負うのだな?」


剣士「うん…ホルダーに引っかけてみて?」


女オーク「…」スチャ


剣士「柄とハバキを長くしてるからグレートソードと同じ様に使えるよ…重心はどう?」


女オーク「フン!!」ブン ブン


剣士「コバルトはやっぱり重たいから取り回し気になるなら柄の重さ変えるよ」


女オーク「片手では重いが両手では軽い」


剣士「もう少し柄を長くして握る位置調整出来るようにしようか?」


女オーク「その方が良い」


剣士「おっけ!鞘の材料がまだ余ってて良かった…貸して」


女オーク「…」ポイ


剣士「コバルトは錆びなくて良いね…鞘に収まって無い方が綺麗だ」


女オーク「剣士の銘を刻めるか?」


剣士「道具が無いから無理だなぁ…柄の細工が限界」


剣士「君は話すのが上手になってきたね?」


女オーク「人間の街で暮らせるか?」


剣士「それだけ話せたら暮らせるよ」


女オーク「私がオークだと直ぐに分かるのでは無いか?」


剣士「うーん…尖った耳と牙がねぇ…肌の色もちょっと濃いか」


女オーク「フィン・イッシュ以外では人間に襲われる…」


剣士「仲良くなれるのになんか悲しいね…」


女オーク「オークはみんな人間好き…みんな人間なりたい」


剣士「分かるよ…人間だってエルフが好きエルフになりたいって思う人が沢山居る…同じだね」


女オーク「エルフは人間嫌い…人間はオーク嫌いか?」


剣士「これってさ…もしかすると魔王の影響なのかもね?」


女オーク「魔王…まだ居るか?」


剣士「何て言うのかな…心の中の魔王?オークってさ…嫌いな種族無いの?」


女オーク「エルフの見た目あまり好きじゃない」


剣士「見た目ねぇ…そんな小さな事でつまらない争い起こしてたりするんだろうね」


女オーク「オーク戦う理由他に在る…オークの信じる神奪い合ってる」


剣士「それを言うと人間も同じだよ…精霊を巡って争ってたりする…もう居なくなっちゃったけど」


女オーク「オークの神…まだ東オークにある…西オークそれ欲しい」


剣士「オークシャーマンが狙っている?」


女オーク「そうだ…オークシャーマンは戦争起こす悪いオーク…私はもう従わない」


剣士「じゃぁ人間の街に逃げようか?」


女オーク「私行きたい…どうすれば石投げられない?」


剣士「見た目を少し変えるだけで良いと思う…変えても良いなら魔法を掛けてあげるよ」


女オーク「どう変える?」


剣士「尖った耳を直すのと…牙をちょっと小さく…それから肌の色をちょっと薄く」


女オーク「剣士は私を嫌いにならないか?」


剣士「大丈夫だよ姿がガラッと変わる訳じゃ無い…ちょっとだけさ」


女オーク「魔法掛ける良いぞ」


剣士「フフ…じゃぁ掛けて見るよ?変性魔法!」シュワワ


女オーク「…変わったか?」


剣士「イイね!!牙が無いだけで全然印象違う…オークに見えない」


女オーク「私はどう変わったか分からない…」


剣士「コバルトの剣に反射させてみてごらん?」


女オーク「…」ジーー


剣士「可愛くなったよ」




----------------



ザブ~ン バサバサ



剣士「陸地だ!!助かるよ!!」


女オーク「私今の場所分からない」


剣士「かなり東方向に流されたと思う…多分南の大陸の東の方だ」


女オーク「東の方行った事無い」


剣士「大丈夫だよ…陸地が見えれば海岸沿いに何処だって行ける」


女オーク「水在れば安心」


剣士「そうだね…雨が思う様に降らないし…兎に角一回上陸しよう」


女オーク「私人間に見えるか?」


剣士「何回聞く?そんなに自信無いかい?」


女オーク「体大きい心配」


剣士「大丈夫だって!僕よりちょっと大きいだけだから」


女オーク「石投げられる痛くない…でも心痛い」


剣士「投げられたら投げ返せば良いよ」


女オーク「…」


剣士「まぁ心配しなくて良いから」





『河口』



ザブン ザブン



剣士「川の向こう側に小さな村がある…あそこで話を聞こう」


女オーク「川の周りは植物も沢山ある…種集まる」


剣士「そうだね…火山灰振っても意外と育つんだね」


女オーク「ここは灰少ない…火山近く植物何も無い」


剣士「う~ん…風じゃもうこれ以上進めないな…手漕ぎで川上ろう」


女オーク「私漕ぐか?」


剣士「大丈夫!僕漕ぐから帆を畳んで?」


女オーク「分かった…」グイ



---------------



剣士「えっほ…えっほ」ザブザブ スイー


女オーク「サーペント居る…気を付けろ」


剣士「ん?海蛇?」


女オーク「サーペント近付く私戦う」ガサリ スタ


剣士「おおお…あまり揺らさないで…君重いから船が揺れる」ザブザブ


女オーク「来る!!」ブン ザクリ



サーペント「キシャァァァァ!!」ザバァァァ



剣士「うわ!!でか…」


女オーク「すごく危ない…船陸に寄せる」タジ


剣士「今サーペント切ったよね?」


女オーク「又来る…早く逃げる」


剣士「おけおけ!水に近付かないでね?」


女オーク「何する?」


剣士「海虫!行け!!」ドヨドヨ


女オーク「虫か?」


剣士「沢山の海虫がサーペントの血を追いかけるよ…見てて?」



ドヨドヨ バシャバシャ!



女オーク「水の中の黒いヌルヌルは全部虫か?」


剣士「うん…サーペントを全部食べられるとは思わないけど逃げて行くと思うよ」


女オーク「戦わないで済む一番良い」


剣士「他にも居るかもしれないから良く見てて」


女オーク「わかった…」


剣士「ふん!」ザブザブ スイー




『地床炉村』



ザワザワ


船で誰ぞ来よったぞ


2人降りて来るな?


また移民じゃろうか?



婆「お前さん方何処から来たのじゃ?キ・カイから逃れて来たんかいのぅ?」


剣士「あ…こんにちは…北の大陸から漂流して」


婆「なんと!?北から流れて来たちゅうんか?」


男「婆さん!病気持ちかも知れんであまり近づくな~?」


剣士「何日も海で漂流して今何処なのか分からないんだよ…助けて欲しい」


婆「そりゃ大変じゃったろう?ゆっくり休んで良いと言いたい所じゃが…」


男「北の奴らは病気に掛かってる奴が多くてな…お前等は掛って居ないだろうな?」ズイ


剣士「見ての通り元気だよ…武器は降ろして欲しいかな…」タジ


婆「随分体格の良い2人じゃな?兵士だったんかいの?」


剣士「ただの冒険者だよ…オークに掴まって逃げて来たんだ」


男「なんだとぅ!!」


婆「あの小舟はオークの使う小舟じゃな…2人で逃げて来たちゅう訳かいな」


剣士「うん…水と少しだけ食料を貰えたら船でキ・カイまで行こうと思う」


男「小舟で海流を遡るのは無理だ…この辺りは船でキ・カイまでは行けん」


剣士「ええ!?そうだったのか…」


婆「行くなら歩いて行くか馬車を待つかなのじゃが…」


剣士「船が無駄になっちゃうなぁ…」


婆「何か積んで居るのじゃろうか?」


剣士「水と食べ物だけなんだけどさ…ここに置いて行くのも勿体ないかなーってね」


男「う~む…」


婆「ウソをついて居る様には見えんな?信用して良さそうじゃが?」


男「ここらは木材が無くて小さな船でも貴重なんだ…船を置いて行くなら馬車を待つ間村に居ても構わん」


剣士「お!?」


婆「お前さん方は病気は掛って居らんか?」


剣士「僕はシン・リーンの魔術師で病気も治せるよ」


男「なにぃ!!」


婆「たまげたのぅ…村の救世主じゃ」


剣士「どういう事?」


婆「黒死病じゃ…他に熱病も流行って居るのじゃ」


剣士「治せるよ…案内してもらって良い?」


男「ちょいと俺は村の皆に話してくる」


婆「こっちじゃ…村の宿まで案内するで?」


剣士「良かった…宿もあるのか」




『細道』



ヒソヒソ ヒソヒソ



剣士「なんだ…土の家が結構あるじゃない」


婆「木材が無いでのぅ…竪穴式住居と言うのじゃ」


剣士「遠くからだと家だと分からなかったよ」


婆「屋根の干し草に植物が生えてしまって居るからじゃな…火山灰のせいじゃ」


剣士「崩れたりしないの?」


婆「皆それを心配しておる…木材が有ればもうちっと丈夫に作れるのじゃが…」


女オーク「剣士!?ナッツが沢山生ってる」


婆「ナッツはようさんあるで?採って構わんぞ?」


剣士「良いね!食べたい」


女オーク「採ってくる」ドドド


婆「ここらは魚も植物も取れるで食べ物には困らん」


剣士「木材が無くてちゃんと料理出来る?」


婆「石炭はあるで石焼料理じゃな…宿に行けば食える」


剣士「僕達お金全然持って無いんだけど大丈夫?」


婆「村の衆の病気を治せば誰も文句は言わん筈じゃ…」




『洞穴の宿屋』



ヒソヒソ ヒソヒソ


病気を治せると聞いてきたが…虫を体に入れるんか…


あの虫平気なの?げふげふっ…


虫が毒を全部食っちまうんだとよ


でも気持ち悪いわ?どうしよう…



剣士「線虫!」ザワザワ ニョロリ


女「いぎゃぁぁぁ…」ガクブル


剣士「大丈夫だよ?痛くもなんとも無い…」


女「ひぇぇぇ…」タジ


男「これ大丈夫なんか?みんな怖がってるんだが…」


剣士「うーん…これ皆寝てるうちに全員やった方が早そうだな」


婆「こげな魔法じゃとは思わんかったわい」


剣士「この村には何人くらいの人が居るの?」


男「200人ぐらいだが全員虫に食わせるんか?」


剣士「夜寝てるうちに気付かれない様にやった方が抵抗も無いと思うんだ」


男「本当に効果あるんだな?」


剣士「軽い人なら直ぐに効果分かるよ…重い人は何日か掛かるかもだけど」


婆「このままでは評判が悪うなるだけじゃな」


剣士「僕は外で種集めて来る…」


男「まぁ仕方あるめぇ」


剣士「川の付近だったら木を生やしても良いよね?」


男「木?」


剣士「どんぐりが欲しいからクヌギの木を育てる…魔法で一瞬で育つんだ」


男「そりゃ願っても無い話だ…まぁここは俺が説明しとくから行って良いぞ」


剣士「女オーク…どんぐり拾うの手伝って?」


女オーク「分かった…」




『川辺』



サラサラ サラサラ



剣士「成長魔法!成長魔法!成長魔法!」ザワザワ


女オーク「どんぐりをもっと埋めるか?」


剣士「うん…今ある奴全部成長させよう…新しいどんぐりは籠の中に」


女オーク「…」ウメウメ


剣士「成長魔法!成長魔法!成長魔法!」ザワザワ


剣士「ふぅ…火山灰の土は育ちが良いなぁ…水も十分だ」


女オーク「どんぐり収穫する」ダダダ ドン!!



ボトボトボト バラバラバラ



剣士「木が足りないって言ってたから切り倒しちゃっても良いよ」


女オーク「コバルトの剣は痛まないか?」


剣士「大丈夫さ…両手剣の練習になって良いじゃない?」


女オーク「よし…思い切り使ってみる」グイ



コーン!! コーン!! コーン!!



剣士「どう?切れ味は?」


女オーク「3振りで切り倒せる…ふんっ」ドン!! メリメリメリ


剣士「どんどん切り倒そう…僕もどんぐり集める」ダダ



コーン!! コーン!! コーン!!




--------------




ヒソヒソ ヒソヒソ


木を生やしたのは良いが今度は切り倒していやがる…


良いのか放って置いて?何し出すかわからんぞい…


ぁぁぁ貴重な木を切り倒して…


虫に食わせる気なんだ止めさせろ!!



剣士「どんぐり集まったね?持って帰ろうか…」グイ


女オーク「…剣士…聞こえて居るか?」


剣士「君も耳が良いのか…聞こえて居るよ」ヨッコラ ヨッコラ


女オーク「石投げられる…」ノソノソ


剣士「虫を見られちゃったからね…仕方ないさ」


女オーク「剣士悪くない」


剣士「気にして無いよ…もう目立つ真似はよそう」


女オーク「切った木はどうする?」


剣士「文句言われそうだからあのまま放置かなぁ…」


女オーク「私達が荒らした様に見える」


剣士「うん…でもまぁ何かされる前に引き返した方が良さそう」


女オーク「…」ノソノソ




『細道』



ヨッコラ ノソノソ



婆「お前さん達…済まんが村の衆が騒いでおってのぅ…」


剣士「え?」


男「悪いが宿屋で寝泊まり出来ん」


婆「悪気が無いのは分かるでわしの家に来やーせ」


男「説明したんだがどうも信用されなくてな…悪い事は言わねぇ…明日の朝出て行くんだ」


剣士「あぁぁぁ迷惑かけちゃたみたいだね…」


男「貴重な木材確保してもらった礼はするから今日は婆さん家で寝て行ってくれ」


剣士「うん…贅沢は言わないよ」


婆「こっちじゃぁ…付いて来やぁ」ノソノソ




『竪穴式住居』



ヨッコラ ドッスン



婆「そのどんぐりは何に使うんじゃ?」


剣士「毒を食べる虫を生む為なんだけど…どうしようかな」


婆「病気が蔓延して居るのは変わらんで何とかしてやって欲しいのじゃ」


剣士「うん…皆掛かって居そうだよね」


婆「済まんのぅ…村の衆に理解されんで」


剣士「病気に掛かるとそういう物さ…お婆さんは大丈夫なの?」


婆「わしぁ少しオークの血が入っとるのじゃ…お陰で長生きしちょる」


女オーク「え!?」


婆「うん?お前さんもオークの血を引いとるんかいな?」


剣士「ハハまぁね?全然分からないでしょ?」


婆「そうじゃな?」


剣士「やっぱりオークは病気に強いのか」


婆「一度も病気に掛かった事が無いでそういう事なんじゃろうな」


女オーク「人間の街には他にもオークが居るか?」


婆「街から離れて近くの集落で過ごしとるのが何人か居る…わしの親戚じゃ」


女オーク「オークも人間と一緒に生活出来る…」


婆「お前さんも人間と住みたいんか…では一つ忠告じゃ」


女オーク「何だ?」


婆「オークは性欲が旺盛でな?それが原因でもめ事を起こすのじゃ…じゃから人里離れとる」


女オーク「どういう意味だ?」


婆「男オークは沢山の女と関係を持ってしまう…浮気じゃな」


婆「女オークは一人の男を食らい尽くしてしまうのじゃが…お前さん達は奴隷関係なんか?」


女オーク「剣士は私の奴隷…」


剣士「まぁ…そういう事になってるハハ」


婆「剣士とやら?お前さんはオークの奴隷の意味を分かっとるかのぅ?」


剣士「え?奴隷は奴隷じゃないの?」


婆「人間で言う配偶者なのじゃが拘束が厳しいのじゃぞ?」


剣士「拘束?」


女オーク「剣士は私が守る!」


婆「お前さんが浮気をしよう物ならオークは怒りで我を失うのじゃ…そうやって一人の男を食らい尽くすのじゃ」


剣士「ちょちょ…聞いてない」


女オーク「剣士は私の物…」ギロリ


剣士「…」タラリ


婆「じゃが性欲も旺盛じゃで良い関係が続けば良いな…」


剣士「まいったな…配偶者だったのか…」


女オーク「剣士…私嫌か?」


婆「稀に見るべっぴんなオークじゃ…オークは奴隷をかわいがるでお前さんは幸運じゃぞ?」


剣士「ハハ…」チラリ


女オーク「…」ギロ




『深夜』



シーン



剣士「線虫!」



ザワザワザワ ニョロニョロ



婆「なんちゅうおぞましい生き物じゃろうか…」


剣士「お婆さんも毒を治してあげようか?」


婆「わしは遠慮じゃ…体に悪い所は無いからのぅ…」


剣士「調子良くなると思うんだけどなぁ…まぁ良っか…行け線虫!暴れて来い」



ザワザワザワ ニョロニョロ



女オーク「私の毒も治せ」ズイ


剣士「君もか…どこか調子悪い?」


女オーク「剣士欲しい…少し良くなれば良い」


剣士「それって毒なの?」


女オーク「体の虫騒ぐ…戦うと忘れる…でも今戦う敵居ない」


剣士「まぁ良いやおいで…線虫!女オークを食らえ」ザワザワ ニョロ


女オーク「…」ジー


婆「目の中からも虫が入って行くのじゃな…これは人間には受け付けんぞい」


剣士「でも病気はすっかり良くなるんだ…こんな事が出来る回復魔法は他に無いんだよ」


婆「あわわ…見ちゃおれん…わしは向こうで寝る」ノソリ




『早朝』



ブモモモーーーー ゲヒゲヒ



婆「これ早よう起きい!」ユサユサ


剣士「んぁ…ふぁぁ」ノビー


男「起きたか?木材の礼にヤクを2匹用意した…日が昇る前に村を出ろ」


婆「村の衆は病で気が立っとるのじゃ…へなげな事起こす前に行くが良いじゃろう」


剣士「迷惑かけてゴメン…」


男「海沿いに20日程行けばキ・カイに着くんだ…途中で商隊ともすれ違うだろうから上手くやれ」


剣士「女オーク!もう行こうか」


女オーク「水無い…どうする?」


男「途中で休憩所がいくつかあるからそこで汲め」


婆「ここにある水袋持って行き…2~3日分は入るで」チャプ


剣士「良かった貰う…ヤクを2匹も頂いて良いの?」


男「草が生えてるお陰でヤクはまだ沢山居るんだ…俺らはには木材の方が価値が高い」


剣士「それなら良かった…じゃぁ行こうかな」


男「うむ…村の衆に見つかる前に出ろ」


剣士「女オーク行こう!」グイ


女オーク「…」


婆「ほとぼり冷めたら又来ぃや」


男「そうだ…道中は人食いのオーガがうろついてるから気を付けな?」


剣士「分かったよ…いろいろとありがとう」


婆「じゃぁの?」ノシ



--------------


--------------


--------------




『荒野』



ブモモーー ノッシ ノッシ



剣士「…」チラ


女オーク「…」ニコ


剣士「フフフ…」


女オーク「何故笑う?」


剣士「荷物なぁ~んにも持たないでさ…2人っきりで宛ての無い旅」


女オーク「心配無い…剣士私守る」


剣士「なんか楽しいね?持ってるの種とどんぐりだけ…アハハ」


女オーク「剣士は目的無いか?」


剣士「あったんだけど…なんかどうでも良くなった」


女オーク「目的は何?」


剣士「パパとママの足跡を探すつもりだった…でもね?暁の墓所にあった壁画を見て悟ったんだ」


女オーク「何を?」


剣士「ずっと遠い所に行ってしまってもう会えない…」



パパとママは勇者だったんだ


時間を遡ってずーっと遠い過去まで行って魔王を退治したんだ


僕達が生きるこの世界をパパとママが作ったんだよ


僕はもう追いかけなくて良い


僕が行く道を行くだけ…この道をパパとママが用意してくれた


そんな風に悟ったんだ…壁画を見てね



剣士「そしたら突然君が現れた…いつの間に君と一緒に宛ての無い旅してる…なんか楽しい」


女オーク「もう目的は無い?」


剣士「う~ん…良く分からない…僕は精霊の声も聞こえないし何にも導かれてる気もしない…自由だよ」


女オーク「違う…剣士は虫使う…意味ある…私分かる…剣士大きな目的ある」


剣士「僕から感じた?」


女オーク「未来作る…剣士の役目…剣士の名前は未来…それ導き」


剣士「ハッ…」---僕は未来---



僕の次元が未来…


僕に託された未来…


僕は生きなきゃいけない


もう薄々知ってる…


この世界を導いて居るのはアダム


アダムを裁くのは僕にしか出来ない


だから蟲の道を選んだ


僕の目的は…



---------------


---------------


---------------




『暁の遺跡』



フワフワ ドッスン



近衛「姫はいずこか?」


魔術師「遺跡の中でご神体を片付けて居られる」


近衛「考古学者をお連れした…降りても良いか?」


魔術師「お待ちだ…ササ下へ」


近衛「さぁ降りて下さい情報屋殿」


情報屋「ありがとう…手は要らないわ」


魔術師「先導します故続いて下され…」スタ


情報屋「ふぅ…この遺跡はシン・リーン遺跡よりも古い様ね」


魔術師「シン・リーンの先駆者達の墓だとか…」


情報屋「キ・カイよりは新しい…使ってる石はアダマンタイトでは無い…ドリアードと同時期かそれ以前ね」


魔術師「岩塩に埋もれて居るのはどういう事でしょう?」


情報屋「かつては海の下だったという事ね…何万年前なのか分からないけれど…」


魔術師「この場所は死海という場所だったと噂する者も居ます」


情報屋「あら?古代の知識を少しは持っているのね?」


魔術師「にわかですが…」



スタスタスタ



魔術師「姫はこの奥に居られる…私は外の警備を預かって居る故…」


情報屋「ありがとう…ここまでで良いわ」


魔術師「では…」スタ


魔女「おぉ!!声がすると思うたら情報屋か…待っておったぞよ」


情報屋「魔女…お久しぶりです…お変わりありませんね」


魔女「主はちと老けたのぅ…働き過ぎでは無いか?」


情報屋「盗賊がシャ・バクダの隠し通路を沢山発見したので遺物が出て来たのです」


魔女「書物が有ればわらわも読んでみたいのぅ」


情報屋「出て来ましたよ?時の王の時代からシャ・バクダの時代まで大体繋がりました」


魔女「これは話が長くなりそうじゃな…それは後で聞くとして…そなたに見てもらいたい物があるのじゃ」


情報屋「はい…ワクワクしています」


魔女「ついて参れ…」ノソノソ




『暁の墓所』



シーン



魔女「…この壁画じゃ…恐らく時の王の時代より前…そしてさらにドリアードの時代より前まで描かれておる」


情報屋「スゴイ…」


魔女「それだけでは無い…この朽ちた刀を見て見よ」


情報屋「…これは!!」


魔女「剣士が持っておった刀じゃろう」


情報屋「剣士…いえ2人の勇者が過去に飛んだ証拠だわ」


魔女「そしてな…残念な事にここに安置されておったご神体がオークに奪われた様じゃ」


情報屋「待ってください…シン・リーンの壁画は縦に連なっていて上から順に古い伝説…」


魔女「そうじゃ…勇者が次の世代の魔王になる画になっておった…しかしじゃな」


情報屋「下から順に読み解くのが正解?」


魔女「それを主に聞きたかったのじゃ」


情報屋「勇者は魔王を倒して過去に戻る…その繰り返しで世界を安定させた…そういう事が言いたいのね?」


魔女「それもあるが…次元は現在も過去もすべて繋がっておる証拠とも言えるのじゃ」


情報屋「その理屈は理解出来ない…でも目の前に朽ちた刀…これが事実」


魔女「主にこの石棺の文字が読めるか?」


情報屋「古代文字で暁の使徒ここに永眠…」


魔女「暁の使徒とは剣士らの事かいのぅ?」


情報屋「まさか?時の王が言い残した事と辻褄が合わなくなる」


魔女「ふぅむ…何かの関りがありそうじゃが謎が多いな」


情報屋「ちょっともう少し調べて時系列整理したいわ…」


魔女「外にキャンプを張らせる故ゆっくり調査して構わん」


情報屋「ありがとう…それからこの件は未来君は知って居るのかしら?」


魔女「未来は一人旅に出て居る…自分の道を歩ませたいでの…」


情報屋「そう…じゃぁ関係する女戦士は?」


魔女「女戦士はこちらに向かって居る筈じゃ…直に会えるじゃろう」


情報屋「じゃぁ調査を急がないとね…よし!がんばる」




-------------




まず大きな変化点は4000年前に起きたとされる地軸の移動


それ以前と以降とでは完全に文明が分かれる


ここ暁の墓所に記されて居るのは4000年前からドリアードの時代を過ぎて時の王の時代まで



魔女「それでは辻褄が合わんでは無いか…シン・リーンの壁画は何を表して居るのじゃ?」



話を続けるわ…


シン・リーンの壁画は実は時の王の時代の前では無くて…その後の事なのよ


時の王の時代から現代までの事を画に描いた予言なのよ



魔女「なぬ!!?予言であれほど正確に書けるのか?」


情報屋「私はシャ・バクダ遺跡の調査で核心を持ったわ…シン・リーンの壁画は当時の予言」


情報屋「そしてここの壁画も全部予言…つまり暁の使徒達は預言者なの」


魔女「まさか過去に戻った剣士ら2人が書かせた予言じゃと?」


情報屋「きっとそうね…そしてまだ続きがある」



4000年前に起きた地軸の移動の前に栄えた多くの文明は未踏の地にある


でも現代でも残されて居るのが古都キ・カイを始めとした南の大陸に集中してる


特に南の大陸ではウンディーネの伝説が強く残ってる


蛮族のオーク達が崇拝するのが精霊ウンディーネ…そしてホムンクルスが居たのも南の大陸



魔女「この壁画よりさらに過去の事は南の大陸にあるのじゃな?」


情報屋「恐らく…そして壁画のココ…この人物」


魔女「ブタ…いやこれはオークじゃな?」


情報屋「そう…オークが虫を率いてドリアードを倒した…そう見えるわよね?」



確証は無いけれど


精霊シルフは3000年前にすでにドリアードでアダムを復活させている


でもドリアードは魔王に支配された


だからオークと共に虫を使ってドリアードを倒した


そしてアダムを救出したけれど頭部を失った…ここの画よ?精霊の他に頭部の無い人



魔女「精霊の伴侶か…」


情報屋「恐らくその後エルフの森の一部となって森の声の主となったのよ」


魔女「エルフの森も魔王の影響を受けておったな…」


情報屋「だから精霊シルフはシャ・バクダへと距離を置いたの…全部辻褄が合う」


魔女「全容が読めてきたな…さて」


情報屋「あと一つ大事な事で分からないのが…黄昏の賢者」


魔女「時の王が残した話じゃな?」


情報屋「時の王の時代まで生きて居たのは確実…暁の使徒は滅んだけれど…黄昏の賢者は何処に?」


魔女「ちと話を戻すが…オークはどうやって虫を使役したのじゃろうな?魔術では高度な幻惑なのじゃが…」


情報屋「オークシャーマンは呪術使いよ?」


魔女「呪いか…そういえばここに居ったグールも呪われた人間だったのじゃが…」


情報屋「ふむふむ…もしかすると黄昏の賢者はオークシャーマンの可能性がありそうだわ」


魔女「わらわはオークの事は何も知らんのじゃ」




オークシャーマンは大体寿命が400年くらいらしいわ


世代交代をするときに処女の選ばれたオークに憑依すると聞いた


黄昏の賢者がオークシャーマンだった場合


事情を聴ける可能性はまだ残って居そうね




魔女「暁の使徒と黄昏の賢者は争っとったちゅう話じゃ」


情報屋「知ってる…ここのご神体を持ち去るくらいだから相当な理由がありそうね」


魔女「そうじゃ…ご神体はミイラになって居るのじゃがこれは甦る為にそうして居るのじゃろうか?」


情報屋「分からない…でもオークシャーマンなら蘇らせる事も出来るのかも知れないわね」


魔女「不死者にするのじゃな?それは甦るとは言わんが…」


情報屋「ああああああああああ!!!そういう事か…」


魔女「何じゃ急に!!びっくりするでは無いか!!」



剣士達2人…


量子転移という魔法で未来に行けるならとっくに戻って来る筈


戻って来ないという事は多分過去にしか行けない


でも未来に戻れる方法が一つある…ミイラになって眠る



魔女「魂が無ぅなってしもうては不死者で蘇っても意味は無いがな」


情報屋「魂は宝石に入れるでしょう?魔石みたいに」


魔女「…」


情報屋「この墓所はそういう場所よきっと…岩塩の中に置いて居るのも腐らせない為…」


魔女「これはイカンな…ご神体をオークから取り戻さにゃならん」



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 暁の使徒編


   完

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