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1.暁の使徒_前

あれから10年…


僕は魔女に引き取られ


魔法の修行をする事になった


そして今日が約束の日


僕は魔女からの課題を終わって


パパとママを探す旅に出る




『光の国シン・リーン_古代遺跡』



ガヤガヤ



僕「魔女は何処に居るの?」


研究員「魔女様は下層で壁画を書いて居られる…邪魔をせん様にな?」


僕「うん…」テクテク



ヒソヒソ


見ろよ特待生が来た


ダメよ聞こえるわ


また魔女様にゴマすりを…


ヒソヒソ



僕「…」---まる聞こえなんだよ---


僕「…」---ゴマすりなんかした事ないさ---



ヌリヌリ ヌリヌリ



魔女「未来か…来ると思うて居った…行くのじゃな?」


僕「うん…」


魔女「約束じゃ…行って構わぬ」


僕「ありがとう…」


魔女「じゃがな?必ず戻って来るのじゃ…主はまだ最後まで修行を終えて居らぬ」


僕「うん…分かってるよ」


魔女「蟲使いの術はわらわよりも上じゃで旅に苦労する事は無いとは思うが…時空を極めん内は半人前じゃと心せい」


僕「魔女はパパとママの事を壁画にしてるの?」


魔女「書き始めたばかりじゃがな?後世に残さねばならぬ」


僕「ねぇ魔女?ここの壁画の事なんだけど…勇者の他にもう一人どの壁画にも出て来る人が居るの気付いてた?」


魔女「うむ…」


僕「ママ…だよね」


魔女「そうじゃな…手にして居るのは虫じゃ…丸い物は爆弾じゃろうな」


僕「何処に行けばパパとママに会えるかな?」


魔女「さぁのぅ…じゃが量子転移はイカンぞ?」


僕「分かってるさ…只パパとママが残した物を探したいだけだよ」


魔女「それで良い…情報屋を覚えて居るな?」


僕「うん」


魔女「シャ・バクダで未だ遺跡の探索をして居る筈じゃ…訪ねて見ると良い」


僕「分かった…森を抜けて行くよ」


魔女「エルフ達に会うたらよろしくな?」


僕「うん…今までありがとう魔女…いや師匠」


魔女「魔女で良い…むず痒いわ…達者でのぅ」ヌリヌリ




『シン・リーン城下』



ワイワイ ガヤガヤ


ねぇ大きなウルフ連れてる人が…


おぉありゃ多分獣使いだろ



雑貨屋「へい!!らっしゃい…何がご入用で?」


僕「この種いくら?」


雑貨屋「一袋5銅貨だよ!!買ってくかい?」


僕「おっけ!!じゃぁこれとコレ!!」チャリーン


雑貨屋「毎度!!いやぁしかし立派なウルフを手なずけたもんだね」


僕「僕の友達さ」


雑貨屋「乗れるのかい?」


僕「友達に乗ったりなんかしないよ」


雑貨屋「ハハ野暮な事聞いたね」


僕「ありがとね!!」ノシ


雑貨屋「またよろしくな~」




『ルイーダの酒場』



ガヤガヤ ガヤガヤ


戦士は居ないのか~


前衛職募集中!!



受付「ようこそ冒険者ギルドへ!!もう登録はお済みですか?」


僕「え…登録?」


受付「はい!!登録して頂ければお仲間の斡旋ができますよ?」


僕「えーと…」


受付「見た所…獣使いさんでよろしいですか?」


僕「違うよ…僕は…そうだ剣士だよ」


受付「へぇ?ウルフを連れた剣士様は珍しいですね」


剣士「僕はこの刀が武器なんだ」スラーン ピカー


受付「おっとっと…ここで武器は抜かないで下さいね」


剣士「ゴメン!!」スチャ


受付「今前衛職は大人気なので直ぐにお仲間が見つかりますよ?」


剣士「ハハそうなんだ」


受付「では剣士さんで登録しておきますね?」


剣士「森を抜けてシャ・バクダまで行きたいんだけどさ…」


受付「ええ!?それは超上級者パーティになりますね…それだとお仲間が見つからないです」


剣士「そっか…まぁ良いや」


受付「お仲間が見つかるまで酒場で噂話でも聞いてみてはいかがですか?」


剣士「そうだね…ありがとう」



『酒場』



ワイワイ ガヤガヤ



剣士「ウルフどう思う?ここで仲間探しても足手まといになるだけかな?」ヒソ


ウルフ(私と2人で十分)ガルル


剣士「一人でシャ・バクダに行った事が無いから不安なだけなんだよね」ヒソ


ウルフ(大丈夫よ私が案内してあげる)グルル


剣士「そうじゃなくてシャ・バクダでどう行動するかっていうのがさ」ヒソ



ハンター「君きみ!!君は前衛職だよね?」


剣士「僕?」


ハンター「さっき話を聞いて居たんだ…僕達のパーティーに加わらないかい?」


魔法使い「ねぇ大丈夫~?なんか布の服着てるんだけどさぁ」ジロジロ


僧侶「回復ならお任せください」ズイ


剣士「ああ…困ったな…僕は森を抜けてシャ・バクダに行きたいんだ」


ハンター「え!!スプリガン狩りだね?」


剣士「んんんー狩りはまぁ置いておいて…シャ・バクダを案内出来る人を探してるんだ」


魔法使い「…ちょっとこの人隕石の落下地点通過する気なの?ムリムリ」ヒソ


剣士「…ハハまぁそうだよね」


魔法使い「あら?耳が良いのね?御免あそばせ…」


ハンター「どうして又シャ・バクダなんかに?」


剣士「探している人が居てね…シャ・バクダに居るんだよ」


ハンター「僕達の目的を話しておこうかな…僕達はね…」



南にハジ・マリ聖堂が有るのは知って居るよね?


その東に人食い族のグールが巣喰って居るんだけど


その奥に手つかずの遺跡があるらしいんだよ


どうもシン・リーン王家が立ち入り禁止にしているんだけど


そこから帰って来た人によると遺跡にはミイラが沢山眠って居るんだってさ



ハンター「お宝の匂いがするよね?でも僕達には前衛職が居ないからグールと戦うのに安定しない」


剣士「ほーん…」


魔法使い「ほーんってあなたねぇ!!興味湧かない訳?」


剣士「僕とは行き先が違うっていう事でしょ?」


ハンター「まぁまぁそう言わずに…付き合って見ないかい?」


剣士「僕に利が無いんだよ」


魔法使い「ああああムカツク!!もう他当たろうよ…この人軽装だしさぁ」


剣士「僕もそうした方が良いと思うな…ハハ」


ハンター「はぁぁぁ何千年も昔のミイラが眠ってるなんて浪漫だと思うんだけどなぁ…」


剣士「何千年…」



---まさかパパとママが眠ってるって事は無いよね---


---いやでももしそうだとしたら荒らされるのは困るな---


---情報屋に急いで会う必要も無いかぁ---



剣士「ええと…条件出しても良いかな?」


ハンター「お!?」


剣士「遺跡の事も僕の事も口外しない…それでどう?」


ハンター「それなら飲める…でもどうして君の事を口外しない事が必要なの?」


剣士「うーん…皆が怖がるからかな」


魔法使い「あなたを?アハハ笑わせるじゃない」


剣士「秘密が守れるなら付き合っても良いよ」


ハンター「分かったよ!!皆良いね?」


魔法使い「お手並み拝見させてもらってからね!フン!!」


僧侶「分かりました…」ニコ


ハンター「よし!!これで人数揃った!!馬車を手配してくるから魔法使いは剣士を宿屋に案内しておいて」


魔法使い「はいはい…こっちよ!!さっさと付いて来て」スタ


剣士「ハハ嫌われたみたいだなぁ…」


僧侶「大丈夫なのです」



---剣士、ハンター、魔法使い、僧侶が仲間になった---




『宿屋』



ガチャリ バタン



魔法使い「そっちのベットがあなた…こっちが私達ね」


剣士「相部屋なんだ」


僧侶「稼ぎが少ないのでしょうがないのですぅ」


剣士「魔法使いはどんな魔法を使うのかな?」


魔法使い「あなたに魔法が分かるの?」


剣士「まぁね…」


魔法使い「私はエレメンタル4種と光よ…王道ね」


剣士「エレメンタルかぁ…」


魔法使い「何よ偉そうに!む…もしかしてあなたは魔法も使うタイプの剣士なの?」


剣士「そうだよ」


魔法使い「じゃぁどうして魔法剣士って登録して居ないの!?」


剣士「剣士に思い入れがあってね」


僧侶「どんな魔法を使うのでしゅか?」


剣士「主に幻術さ…蟲を使うのが得意」


魔法使い「ええ!!?幻術って高位魔法じゃない!!そんなウソに騙されないわよ」


剣士「僕の事は秘密…守れるかな?」


魔法使い「なら見せてみてよ!!」


剣士「見せびらかす魔法じゃないよ…あー簡単な奴なら良いかな…君達の毒を治してあげるよ」


魔法使い「毒になんか掛かって居ないわ」


剣士「体の調子良くなるから言う事聞いて…線虫!」ニョロリ



ザワザワ ニョロリ



魔法使い「わわわ…こ…この虫って」


剣士「怖くないよ…君の体の毒を食べてくれる…肌もすべすべになるよ」



ニョロニョロ



魔法使い「嫌ぁぁぁ…体に入って…やべてぇぇぇ」ガクブル


僧侶「こここ…これは放って置いて良いのでしゅか?」ブルブル


剣士「ほらね?僕を怖がってしまうでしょ?」


魔法使い「あなた!!よくもレディーの体に気持ちの悪い虫を…」ゾワワ


剣士「大丈夫だよ…その蟲は何も悪い事はしないから」


魔法使い「どこでこの魔法を覚えた訳?」


剣士「それも秘密」


魔法使い「無詠唱で蟲を使うのね?…あなた何者?」


剣士「ごめんそれも秘密だよ」


僧侶「びっくりしました…高位魔術師だったのでしゅね」


剣士「君は光魔法だけかい?」


僧侶「光と変性です…闇も少しだけ使えます」


剣士「変性も高位魔法じゃないか…」


魔法使い「良く知って居るのね?」


剣士「変性も使えるんだよ…一通りね」


魔法使い「ちょっとアナタ!!もしかして塔の魔女の…」


剣士「それも秘密さ」


魔法使い「分かったわあなたの正体が…その格好も変性で変えて居るのね?」


剣士「変えて居ないよ」


魔法使い「ウソ!!信じられない」


僧侶「魔法使いさん…もし塔の魔女さまのお弟子さんだったら大変失礼な事を言っていますよ?」


魔法使い「う…そうね…悪かったわ」


剣士「僕が誰かなんてどうでも良いよ…無事に皆で遺跡の探索が出来れば良いよね」


魔法使い「まぁそうね…疑って悪かったわ」


剣士「なんか君たちと居ると楽しいなぁ」


魔法使い「それはどーも」プイ


剣士「そろそろ体の調子良くなって来たんじゃないかな?」


僧侶「そうですね…心なしか体が軽いです」


魔法使い「この蟲はずっと私達の体の中に?」


剣士「毒が無くなったら死んで排出されるから心配しないで」


魔法使い「ふ~ん…蟲使いなんて初めて見たけど興味出て来た」


剣士「君も勉強する?」


魔法使い「読み飛ばしてた魔術書をもう一回読んでみる」


剣士「君が悪い人じゃ無いって信頼できるようになったら教えてあげるよ」


魔法使い「今晩私と一緒に寝る~?」


剣士「だめだめ…そういうのダメ」


魔法使い「冗談よ!!今日会ったばっかりである訳無い無い!!」


剣士「さて…ちょっと横になろうかな」


僧侶「どうぞごゆっくり」



---------------



魔法使い「あなた…持ち物はその荷袋だけ?」


剣士「ん?そうだよ?変かな?」


僧侶「何が入って居るのですか?」


剣士「見る?はい…」


僧侶「木の実にキノコ…これは何かの種ですね…それから動物の角と骨」


魔法使い「…これだけで森を抜けようとしてたの?」ピキ


剣士「十分だよ」


魔法使い「装備品は?」


剣士「あぁ僕に重たい装備品は要らないんだ…一応骨で作った簡単な防具は付けてるよ…ホラ?」


魔法使い「ボーンキチンね…随分軽装だこと」


剣士「全部エンチャントしてあるんだ…これで十分さ」


僧侶「もしかしてエンチャントも使えるのでしゅか?」


剣士「秘密だよ?シーー」


魔法使い「驚いた…あなたやっぱり只者じゃない」


剣士「シーーーだよ?シーーー」



ガチャリ バタン



ハンター「聞いて聞いて!!馬車の手配出来たよ」


魔法使い「輸送?」


ハンター「そうそう!ハジ・マリ聖堂まで荷物を輸送して向こうで報酬受け取る…いつもの奴」


魔法使い「前金は足りた?」


ハンター「担保で僕たちの馬を預ける事になった…だから馬車1台で移動だよ」


僧侶「じゃぁ帰りも荷物運搬でしゅね」


ハンター「そこは上手くやろう…もう馬車の荷入れが終わってるらしいから直ぐに行くけど良いかな?」


魔法使い「ええ!?今!?」


ハンター「ほらほら!!宿屋でゴロゴロしてるくらいなら外に出よう!!」


魔法使い「もう!!準備するから先に行ってて」バタバタ


ハンター「剣士!?急で申し訳ないけどもう移動するよ…来て」


剣士「ハハ…僕はいつでも構わないさ」


ハンター「そのウルフは馬車に乗せられないけど良いよね?」


剣士「うん大丈夫…ウルフは自分で行動するから人数に数えなくて良い」


ハンター「そうか…じゃぁ早速行こう」タッタ




『荷馬車』



ゴソゴソ



管理人「…ほいこれが書簡…向こうの馬宿に到着したら渡せば良い…まぁ分かるな?」


ハンター「大丈夫だよいつもありがとう」


管理人「道中コボルドが出たという報告があるから気を付けるんだな」


ハンター「こっちには魔法使いが居るから安全に運べるよ」


管理人「なら良い…気を付けて行ってきー」スタスタ


ハンター「魔法使いと僧侶は遅いなぁ…」


剣士「こっちに向かって来ている様だよ」


ハンター「ん?どうして分かる」


剣士「僕は鼻が利くんだ」


ハンター「へぇ?僕も結構利く方なんだけどな…」


剣士「君は…見た感じ射手かな?」


ハンター「自己紹介して居なかったね…僕はトレジャーハンターで主に罠と鍵開け専門なんだよ…一応弓と短剣も使う」


剣士「盗賊タイプなんだ」


ハンター「盗みはやらない…お宝ハンターさ」


剣士「だから前衛職が欲しかったんだね」


ハンター「僕一人で魔法使いと僧侶を守りながら戦うのは安定がしなくてね…君に期待してる」


剣士「分かって来た…僕が引き付け役で君と魔法使いが殲滅役なんだね?」


ハンター「そうなる…ところで剣士?君は馭者をやった事有る?」


剣士「無いけど馬と話すことは出来るよ」


ハンター「話す?」


剣士「話せば言う事聞かせられるかも」


ハンター「へぇ…すごい特技だね…君が馭者を出来るなら僕が周囲の警戒が出来るんだ」


剣士「話してみるよ…」



タッタッタ



魔法使い「はぁはぁ…ハンター荷物持ってよ!」


ハンター「あららら又いっぱい荷物背負って…」ピョン


僧侶「ごめんなさい整理が出来なくてですね…」


ハンター「まぁ良いからそのまま荷室に乗って」グイ


魔法使い「寒くならない様にと思って毛皮持ってきたら重いのなんの…よいしょー」ドサ


ハンター「よし!乗った乗ったぁ!!」



ヒヒ~ン ブルル



ハンター「剣士!馭者出来そう?」


剣士「大丈夫だけど夕暮れ前に水が飲みたいってさ…水ある?」


ハンター「道なりに行ったら馬の休憩場所があるんだ…今日はそこでキャンプする」


剣士「おっけ!!じゃぁ出発するよ…ゴー!!」




ガラゴロ ガラゴロ




『2時間後』



ハンター「けっこう馬車出てるなぁ…」


魔法使い「良いじゃないキャンプが安全で」


ハンター「夏の間はソリ引けないから台数でまかなってるんだな…」


僧侶「ソリの方が早くてラクでした」


魔法使い「この揺れが腰に来る…あつつ…ちょっと見張り変わってよ!」


ハンター「ゴメンゴメン変わるよ」


魔法使い「ふぅぅ…お隣失礼!!」シュタ


剣士「落ちないでね?」


魔法使い「あなた手綱持たないで馭者してるの?」


剣士「馬が引っ張らないでって言うからさ」


魔法使い「馬と話せる魔法なんかあったっけ?」


剣士「ハハまぁ良いじゃ無いか」


魔法使い「ハンター!!聞いた?この人ガチ魔法剣士だよ」


ハンター「ええ!?そうだったの?」


魔法使い「しかもエンチャンター…超上級者なんだけど報酬吊り合うの?」


剣士「僕は報酬はアテにして居ないよ」


魔法使い「じゃぁ何?」


剣士「ちょっと興味が出たんだ…何千年も昔のミイラにね」


ハンター「おぉぉやっぱりそうだよね…お宝の匂いがプンプンするんだよ」


剣士「みんなはお宝目当てなんだ?」


魔法使い「まぁね?」


ハンター「船を買って南の大陸に帰りたいんだよ」


剣士「南の大陸かぁ…僕もそこで生まれたんだ」


魔法使い「ええ!!?同じじゃない…私達は火山の噴火で疎開して北の大陸に来たの」


剣士「へぇ…僕も同じような感じさ…理由があって親元から離れた」


僧侶「噂だと噴火は大分収まったそうです」




---もう何年もビッグママに会って居ないなぁ---


---千里眼で探しても見つけられない---


---元気にしてるだろうか---




魔法使い「…ってあなた聞いてる?」


剣士「あ…僕?ゴメン考え事してた」


魔法使い「だから生まれ故郷!!何処なのか聞いて居るの!!」


剣士「あぁ…名も無き島だよ…多分みんな知らないと思う」


ハンター「聞いた事無いな…どこだろう?」


剣士「ドワーフの国の方だよ」


魔法使い「なるほど…ということはあなたはハーフドワーフ?」


剣士「んんん…良く分からない…てかちょっと待って…僕の事は秘密だよ」


ハンター「おっとぉ!!もう良いでしょ…南の大陸の仲間同士なんだから」


僧侶「どうしてそんなに秘密にするのでしゅか?」


剣士「ごめんね…それも秘密なんだ」---魔女からの言いつけなんだよ---




---力の見せ過ぎは君たちに危険が及ぶ---




魔法使い「ねぇハンター?後ろに居る馬に乗った2人…さっきからずっと付けて来てない?」


ハンター「君もそう思うか…もう少し様子見よう」


剣士「…」---ほらね?---



---しまったなぁ…刀抜いたのがマズかったなぁ---




『野営地』



ヒヒ~ン ブルル



ハンター「今日はここでキャンプだ…僧侶は水汲んできて」


僧侶「あいあいさー」


ハンター「魔法使いはキャンプ焚いてくれるかな?」


魔法使い「うん…あの2人通り過ぎて行ったね…気のせいだった様ね」


ハンター「戻って来なければ良いけどね…あの身なりは山賊だよ」


魔法使い「他にもキャンプしてるパーティ要るじゃない…」


ハンター「何も起こらなきゃ良いけどね…まぁ一応用心しておこう」



剣士「…」ウメウメ



ハンター「剣士は何を?」


剣士「種を植えてるんだ」


ハンター「どうして又…種?」


剣士「ホラ夜は安心して眠りたいよね?だから簡単な魔方陣組んでるんだ」ウメウメ


魔法使い「退魔の方陣ね?触媒に種?」


剣士「まぁ虫除けだよ…蚊が多いからさ…成長魔法!」シュルリ


ハンター「ハハ雑草と見分けが付かない」


剣士「方陣の中なら蚊に刺されないから安心して」


魔法使い「へぇ~それ助かる!私にも出来るかな?」


剣士「方陣は誰でも出来るさ…覚えておきなよ」




『夜』



メラメラ パチ



魔法使い「じゃぁ先に馬車で寝るから見張りを交代するときに起こして」


ハンター「うん…いつも通り」


魔法使い「でも本当に虫が寄らなくて快適」


僧侶「そうですね…さすが虫使いです」


ハンター「剣士が持ってる種はこういう目的で沢山持って居るのかい?」


剣士「うん…他にもいろいろ使えるんだよ…成長させて食べるとか」


ハンター「なるほど…食料に困らないのか」


剣士「見張りは僕がやるから横になって居ても良いよ」


ハンター「なんか悪いなぁ…」


剣士「僕のウルフも近くで見張ってくれているんだ…何かあったら吠えるから大丈夫」


ハンター「遠くで聞こえる遠吠えは?」


剣士「気にしなくて良い…あれはウルフ仲間の合図だから」


ハンター「君はすごい旅慣れて居るんだね…君が仲間で良かった」


剣士「ハハありがとう」


ハンター「じゃぁ言葉に甘えて横になるよ」



----------------


----------------


----------------



ヒソヒソ ヒソヒソ


なんだってこんなに虫が多いんだよ


だめだぁ毒消し持って無ぇか?


何に刺された?


分からん…しびれて手が動かん


ちぃぃ戻るぞ…今日は止めだ


ツイて無ぇな…あの刀は相当高く売れそうだったのによ


どっちにしても多勢に無勢だムリはし無ぇ方が良い


しゃぁ無ぇ他探す…ぬぁぁなんだこの子虫は!!


行くぞ行くぞ


ヒソヒソ ヒソヒソ



----------------


----------------


----------------



メラメラ パチ



剣士「フフ…」ニヤ


剣士「さて…僕もちょっと寝ようかな…ウルフ後は頼んだよ」スヤ





『早朝』



ブルル モシャモシャ



剣士「美味しいかい?」


荷馬(激ウマ…この草に付いてる虫が超旨い)ブルル ガフガフ



魔法使い「ふぁ~ぁ…あれ?」ガバ


剣士「しーーーーっ」


魔法使い「もう朝?ハンターは?」


剣士「寝てるよ…彼は結構疲れて居るみたいだ」


魔法使い「あなたは?」


剣士「僕は気にしなくて大丈夫」


魔法使い「…この布は何?あなたでしょ?作ったの…」


剣士「ハンモックだよ…馬車で揺られるのが辛いならそこで横になると良い」


魔法使い「考えたわね?」


剣士「足も延ばせるから座って居るより快適さ」


僧侶「むにゃむにゃ…」


剣士「まだキャンプの火が残ってる…何か焼こうかい?」


魔法使い「あ…ハーブ持って来てたんだったコレ焚いて」パサ


剣士「目覚め草か…イイね…これは錬金術用かな?」


魔法使い「フン!知ってるクセに…」


剣士「錬金術はあんまり得意じゃないんだ…」


魔法使い「おしゃべりは良いから早く焚いて!」


剣士「ゴメンゴメン…君は意外と面倒見が良さそうだね」ポイ モクモク


魔法使い「ウルさいわね…ちょっと出来るからと言って良い気にならないで」


剣士「あらら気を悪くさせちゃったか…さて!出発の準備するよ」


僧侶「ううん…」ノビー


ハンター「ハッ!!寝過ごした…」ガバッ


剣士「大丈夫だよ…僕が馭者やるからゆっくりしてて良いよ」



------------------


------------------


------------------




『数日後_林道』



ガラゴロ ガラゴロ



ハンター「見えた!!ハジ・マリ聖堂は来た事あるよね?」


剣士「うん…良い思い出は無いけど」


魔法使い「あなたもここの次元の門で修行したの?」


剣士「少しだけ…」


僧侶「同じですね」


ハンター「この二人は修行がきつくて逃げて来たんだってさ」


剣士「ハハ…」---まぁ普通はそうだ…自分と殺し合いなんか普通じゃ出来ない---


魔法使い「もう二度と行きたくない!!」


ハンター「聖堂は近寄らないよ…さて今日は宿に泊まれるかな…」


僧侶「ベッドで休みたいですぅ」


ハンター「先に降ろすから宿の確保お願いするよ」


僧侶「任せて下さい!」ズイ


魔法使い「でも珍しく何事も無く輸送が済みそう…コボルトもアラクネーも出なかったね」


ハンター「剣士の連れてるウルフのお陰かもね」


剣士「無事で良かったじゃない」


魔法使い「そうだ!!魔術書にこういう事をスロヘト効果って書いてあった…あなた知ってる?」


剣士「さぁ?覚えて無いなぁ…」


ハンター「どういう効果?」


魔法使い「魔除けの一種よ?条件が分からないけれど…」


ハンター「普段の行いが良いとか?」


僧侶「そうかも知れないでしゅね」



アオーーーーーン アオーーーーーン



剣士「む!何か居る…何処だ」クンクン キョロ


ハンター「え!!?」ガバ


魔法使い「見て!!ハジ・マリ街道の墓地…あれはゾンビね…どうしてゾンビが?」


剣士「…」---ゾンビか…蟲で追い払えないな---


ハンター「マズいね…銀の武器なんか持って居ないよ」


僧侶「魔法師が魔法を撃ち始めたです…大丈夫ですかね?」


魔法使い「火炎で燃やしては居るけどなかなか倒れない様ね…」


ハンター「銀の武器なら一発らしいんだけどね」


剣士「どこかに死霊術師が居るかもしれないから気を付けよう」


ハンター「そうだね…皆気を付けて」


剣士「…」---ゾンビ化…広がらなきゃ良いけど---




『馬宿』



ブルル ヒヒ~ン



ハンター「僕は積み荷の引き渡しやって来るから皆先に宿屋に行ってッて」


魔法使い「私の荷物は…」


剣士「僕が持つから君たちは宿に行って」ヨッコラ


魔法使い「そうよね!?男はそうじゃ無きゃね!!僧侶行くよ!!」タッタ


僧侶「あぁ待って下さい」タッタ


ハンター「僕の大変さ分かってくれたかな?」


剣士「まぁね…でもそんなに重たく無いから大丈夫」ヨッコラ ヨッコラ


ハンター「急いで追いかけるから気を付けて行って」


剣士「大丈夫さ!」




『宿屋前』



ザワザワ ザワザワ


又出ただか


何も悪させんが気持ち悪いのぅ


ありゃ何年か前に死んだセントラル兵だな


そこら中に埋まっとるもんで…


ザワザワ ザワザワ



旅人「ここは魔物が多くて安心出来ないなぁ…」


町人「そんな事無いぞ?魔法師が居るから安全だよ」


旅人「ゴブリンにコボルド…アラクネー、ウルフ、グールにゾンビ…まだオークまで居るらしいじゃ無いか」


町人「俺達も戦えるから安心して下せぇ!!」



剣士「…」---オーク?どうして北の大陸に---



魔法使い「剣士!!こっちこっち!!大部屋が空いてた」


剣士「あぁ良かったね」


僧侶「2階なので荷物半分持ちます」


剣士「うん助かる」



ザワザワ ザワザワ


あらららゾンビは倒れてもまだ動きよる


焼いて骨だけになっても動くそうよ?


スケルトンかいな


ザワザワ ザワザワ




『宿屋』



ガチャリ バタン



剣士「ふぅ…随分外がザワ付いてるね」


魔法使い「聞いた?オークが居るって…どうして」


僧侶「すこし情報集めた方が良さそうです」


魔法使い「私達少し酒場の方に行って来るから剣士は留守番!荷物盗まれない様に見てて」


剣士「あ…僕も買い物に行きたかったなぁ…」ボソ


僧侶「何が欲しいですか?」


剣士「まぁ良いや…後で行くから」


魔法使い「帰って来るまで待ってて…じゃぁ行って来る!僧侶おいで!」タッタ


僧侶「ゴメンですぅ」タッタ



ガチャリ バタン



剣士「はぁ…クロスボウ無いか見たかったなぁ」


剣士「ん?なんだアレ…天井に傷がある…なんであんな所に傷がつくんだ?」ゴソゴソ



---あれ?この天井おかしな---


---テーブル…テーブル---



ゴトリ



剣士「お!?外れた…え?何コレ…天井に隠し部屋があるや」ピョン シュタ



---おぉぉぉスゴイ何だここ!!---


---窓から見晴らしが良い---


---でもスゴイ埃だなぁ---



コロンコロン



剣士「何か蹴とばした…何だろ」


剣士「おぉ!!牙…いやこれアラクネーの牙だ…え!?良く見たら金属糸もある」ゴソゴソ


剣士「アハハ宝の山だ!!…この金属片は…え!!?なんでミスリル銀がある?」


剣士「ちょちょちょ…」ゴソゴソ



コロンコロン



剣士「また…何蹴とばしたんだろう…これか」


剣士「ハッ!!爆弾…これママの爆弾だ!!そうかここはママの隠れ家だ」



ドタドタ バタバタ



剣士「いつの物だろう…埃の被り方からして相当前だ…他に何か無いか!?」ゴソゴソ


剣士「有った!!ママが使ってたミスリルナイフ…装飾が…間違いない!ぅぅぅぅ…ママ」プルプル


剣士「もっと…もっと他に…」ゴソゴソ



----------------


----------------


----------------



こんな所に隠れて何をしていたんだろう


パパも一緒に居たのかな


やっと一つママを感じられる物が見つかった


そうだ…このナイフでアラクネーの牙を加工したんだ


このボーンハンドルを握って…こんな感じで…


ママが道具を置いて行くなんて…きっと何か有ったんだよね



剣士「このナイフは僕の宝物だ…絶対無くさない様にしよう」



ガチャリ バタン



ハンター「あれ?誰も居ない…何処行った?」


剣士「あ…上に居るよ」


ハンター「剣士?上?…え?これどういう事?」


剣士「屋根裏に部屋が有ってね…面白そうだから見ていたんだ」


ハンター「魔法使いと僧侶は?」


剣士「酒場に行くと言って出て行ったよ」


ハンター「又か…困った2人だ…屋根裏は面白いかい?」


剣士「埃まみれだけど…気に入った…今日は僕ここで寝る」


ハンター「そうかい…さてどうするかなぁあの2人…」


剣士「僕は留守番で良いから君も酒場に行っておいでよ」


ハンター「酒場は2人に任せて予備の矢を買いに行こうかな…」


剣士「あ…それならもしクロスボウが有ったら欲しいんだ」


ハンター「気にしておくよ…どんなのが良いのかな?」


剣士「ヘビークロスボウ…出来るだけ硬いやつ…」


ハンター「お金は有る?」


剣士「うん…足りるかな?」ジャラリ


ハンター「まぁ見て見るよ…留守番頼むね」




『屋根裏』



ゴソゴソ ゴソゴソ



剣士「もう何も見つからないかぁ…でも偶然でもこの宿屋に来て良かったぁ…」


剣士「こんなにワクワクしたの初めてだ」


剣士「ママの事だからきっとこの窓からクロスボウで狙撃してたんだ…ここからだと良く見える」


剣士「あ!!ハンターが帰って来る…やった!!クロスボウ有ったんだ…今日は寝れないなぁフフ」



ガチャリ バタン



ハンター「剣士!!大収穫!!降りて来て!!」


剣士「上から見てたよ…クロスボウ有ったんだね?」


ハンター「この辺りは昔戦争が有ってその時の戦利品が沢山放置されてるんだって…傷んでるけどすごく安い」


剣士「おぉ!!直すから良いよ」


ハンター「使えそう?これヘビークロスボウだよね?」


剣士「十分!!傷んでるのは木の部分だけだ…丁度良い」


ハンター「良かった…お金が随分余った…返す」ジャラリ


剣士「今から作り直す…これを材料にして僕のショートボウを作りたかったんだ」


ハンター「ショートボウ?」


剣士「ちょっと屋根裏で作業するね…じゃ」ピョン シュタ


ハンター「ハハ…それじゃ僕は2人を探しに酒場に行って来る」ノシ




『酒場』



ワイワイ ガヤガヤ



店主「いらっしゃいませ…今満席でして立ち飲みになりますが…」


ハンター「いいよ…連れが先に2人来てると思うんだけど…」


店主「そうでしたか…裏にもテーブルがありますので探してみてください」


ハンター「ありがとう…エール酒一つ貰って行くね…お代は置いとくよ」ジャラリ


店主「ごゆっくり」



ワイワイ ガヤガヤ


どうする?魔物がなぁ…港町まで戻れるんかいな


誰か雇って戻るべ


この辺のハチミツ酒は南の大陸で高級品なのよ?


ワイワイ ガヤガヤ



ハンター「あー見つけた!楽しんでる様だね?」


僧侶「ハンターさん報酬はどうでしたか?」


旅人「なんだよ…連れが居たのかチッ」スゴスゴ


ハンター「微妙だった…3日分の宿泊代にしかならなかったよ」


僧侶「稼ぐ方法を考えませんとねぇ」


ハンター「何か美味い情報は聞けて居ないかな?」


魔法使い「魔物狩りの依頼があるらしいけどシン・リーンに比べて全然ダメ…」


僧侶「この辺の魔物は戦利品が良くないのだそうです」


ハンター「だから魔物が多いのか…あんまり長居出来ないねぇ」


魔法使い「変な噂が聞けたわ?…ひと月くらい前からオークが東の荒野でうろついてるらしいわ」


ハンター「遺跡の方か…」


魔法使い「丁度その頃からグールが居なくなってゾンビが出る様になったらしいの」


旅人「おいおいそりゃ俺のネタだぞ?」


ハンター「詳しく知りたいな」


旅人「ハハーン…遺跡でお宝さがしだな?」


ハンター「良く知って居そうだね?」


旅人「あそこはシン・リーンの所縁のある墓所らしい…グールが住み着いて誰も寄り付かなくなって長い」


ハンター「案内出来る?」


旅人「おいおい…そんな危ねぇ事に首突っ込む気は無ぇぞ」


ハンター「場所だけでも詳しく知りたいなぁ」


旅人「取引しようじゃ無ぇか…このかわいい僧侶ちゃんをだな…一晩貸せ」


僧侶「またそれでしゅか…」


ハンター「うーん…僧侶次第になるんだけど…」


僧侶「一晩何をするですか?」


旅人「まぁ飲み比べだな?」ウヒヒ


魔法使い「僧侶?…」ヒソヒソ


ハンター「旅人さんはどうしてその墓所に詳しいのかな?」


旅人「鋭い突っ込みだな…まぁこれが俺の仕事な訳よ…要するにシン・リーンから依頼されてる訳だ」


ハンター「え?…」


旅人「墓所の掃除をシン・リーンが冒険者にやらせて居るんだ」


ハンター「なんだそういう事なのか…これはお宝期待出来ないなぁ…」


旅人「いやそうでも無いらしい…御礼がシン・リーンから出るんだってよ…遺跡が隅まで未探索なのも本当だ」


ハンター「なるほどね…遺跡調査がグールのせいでずっと出来て居ないという事か」


旅人「それで…場所が分からんと相当苦労すると思うんだが…どうする?」


僧侶「乗ったです!!」ドヤ


ハンター「だ…大丈夫かい?」タラリ


旅人「良いって言ってるんだ…ガタガタ言うな」


僧侶「飲み比べなら自信があるです」ドヤ


旅人「そりゃどーもウヒヒ…地図持ってるか?詳細な場所書いてやる」


ハンター「あるよ…」パサ


旅人「説明するぞ?良く聞いとけ…」



此処から東のこの一帯は全部砂岩で出来た荒野だ


ここに書いたのがタワーズロックという大きな断層だ…分かるな?


この断層沿いに北へ回ると右手にアーチ状の大きな岩が見える…暁の門と呼ばれていたらしい


この暁の門から朝日を見るんだが太陽の光が岩塩に反射して遺跡の場所を照らす



ハンター「随分凝った場所なんだね…しかし思ったより遠いな」


旅人「荒野は馬車で行けるんだが…なんせ魔物が多いから気を付けるんだな…真っ先に馬が殺される」


旅人「因みにだが…シン・リーンから伏せられて居る話が合ってな?」


ハンター「聞かせてくれるのかい?」


旅人「ちっと酒代が欲しい訳よ」スリスリ


ハンター「…うーん」


魔法使い「私達もあんまりお金無いの!!これで教えて」チャリン


旅人「ぬぁぁケチいなぁ…後でパフパフな?」


魔法使い「ペッ…」


旅人「まぁ聞け…その墓所は暁の使徒関連なんだとよ…はいパフパフ貰い!!ウヒヒ」


ハンター「暁の使徒?魔法使い知ってるかい?」


魔法使い「初めて聞いた…だからパフパフ無し!!」


旅人「おいおいおい…トップシークレットなんだがな…あんたらにゃ関係無かったか」


ハンター「でもお宝を見つけたら高額取引のネタにはなりそうだ」


旅人「だろ?パフパフ貰い!!」


魔法使い「馬鹿!!何余計な事言ってるのよ!!」ポカ


ハンター「あたっ…口が滑った」


旅人「ようし!!旅の安全を祈って乾杯しようじゃ無ぇか!!」




ワイワイ ガヤガヤ



ドゥルルルン♪


かつての英雄♪赤い瞳の王~♪えにし森から馬を駆ってやって来た~♪


来たる来たる~は♪暁を駆ける使徒達♪その戦いに勝者は居なかった~♪




『翌日』



ゴソゴソ ゴソゴソ



小麦と水は十分にある…後はイノシシかシカを狩るのは僕がやる


触媒は有る?…えーと矢はこれくらいで良いか


君が持ってきた毛皮は役に立ちそうだ…それから布とロープ…薪は途中で拾おう



僧侶「おはようございます…むにゃ」


ハンター「起きたね?もう昼過ぎだよ」


僧侶「飲み過ぎたです…」グダー


魔法使い「あの旅人は上手く寝た?」


僧侶「魔法使いさんがくれた睡眠薬がなかなか効かなくてでしゅね…」


魔法使い「悪戯されてない?」


僧侶「分かりません…」


魔法使い「あらら…」


僧侶「下着は履いて居たので多分大丈夫でし」


ハンター「準備は僕達がやっておくから体休めて居て良いよ」


僧侶「屋根裏がうるさくてですね…ふぁ~あ」


魔法使い「剣士はまだ何か作ってるの?」


僧侶「金属をこする音がうるさいのです…」


ハンター「なんか弓を作るとか言ってたよ」


魔法使い「ちょっと手伝わせない?」


ハンター「いや…無理言って連れて来てる立場だからね」


魔法使い「うーん…上手く付き合わないと居なくなっちゃ困るの私達か…」


ハンター「遊んでる訳じゃ無さそうだし…あとどんな弓を作るのかも少し楽しみなんだ」



出来たぁぁぁ!!



ハンター「お?降りて来そうかな?」


魔法使い「後の小物は私達で用意しておくからハンターは剣士と狩りにでも行って来たら?」


ハンター「そうだね…干し肉作っておきたいね」


魔法使い「宿屋の調理場借りられるか聞いてみる」


ハンター「よし…剣士誘ってちょっと行って来るよ」




『屋根裏』



ハンター「剣士!!弓出来たみたいだね?」


剣士「うん!!」ギリリ ブン


ハンター「うわ…音がスゴイな…貸してみて」


剣士「君に引けるかな?…はい」


ハンター「へぇ~~金属で出来た弓…こんなの初めて見た」


剣士「元がクロスボウだからね」


ハンター「硬っ…ぐぬぬ…良くこんな硬い弦を引けるね」


剣士「試し撃ちしたい」


ハンター「そう言うと思ってさ…狩りに誘いに来たんだ」


剣士「行く行く!!調整もしたい」


ハンター「矢は沢山あるから行こう」


剣士「何を狩るの?」


ハンター「シカかイノシシ…ウサギとか鳥でも良いかな」


剣士「おけおけ!」


ハンター「なんか君…目が輝いてる」


剣士「そう?…でもね弓使うの憧れてたんだぁ~」ワクワク


ハンター「もしかして初めて?」


剣士「小さい時に少し使ったことがあるくらい」


ハンター「じゃぁ撃ち方も教えないといけないなぁ」


剣士「お願い!!」


ハンター「おけおけ!じゃ行こうか…君の真似してみたw」


剣士「アハハ…」ピョン クルクル シュタ


ハンター「おお!!やる気だ…じゃぁ僕も!!」ピョン クルリン スタ




『馬車』



ヒヒ~ン ブルル



僧侶「はぁぁぁこのハンモック…寝心地良いですぅ」ユラー


魔法使い「あの2人弓持って走って行った…」


僧侶「馬車はここに置いたままで良かったですかねぇ?」


魔法使い「う…私が動かさないといけない…」


僧侶「すこし道を開けて置いた方が良いですね」


魔法使い「うん…ちょっと寄せる」グイ



ヒヒ~ン ガラゴロ



魔法使い「僧侶さ?馬車で荷物番していて貰える?」


僧侶「良いですよ?」


魔法使い「塩とか胡椒とか細かい物仕入れて来る」


僧侶「はい~私は横になって酔いを覚ましておくです」


魔法使い「じゃ行って来るね」タッタッタ




『夕方』



魔法使い「あ!!あの2人やっと戻って来た!!」


僧侶「うわ…お肉背負ってますね」


ハンター「大漁大漁!!宿屋の調理場は使える?」


魔法使い「うん…それ全部干し肉にするつもり?」


ハンター「うーん…燻製が良いと思う」


剣士「調理場はこっちだね?僕がやっておくよ」


魔法使い「もう解体済みなのね」


ハンター「そうなんだよ…剣士があっという間に解体してさ…残りは全部ウルフの餌だよ」


僧侶「何のお肉ですか?」


ハンター「シカとイノシシ…これでしばらく飢えないで済む」


魔法使い「あら?肉以外に…それは鉄くず?」


ハンター「これね…コボルトが襲って来てさ…戦利品だよ…矢尻に加工するんだ」


ハンター「いやぁそれにしても剣士の弓は反則気味だよ…僕の弓とは威力が違い過ぎる」


魔法使い「あいつ何でも出来るのね…」


ハンター「僕も弓を作ってもらう事にした…それより馬車への荷入れはもう良いのかな?」


魔法使い「終わってる…馬車どうしよう?」


ハンター「早朝に出発したいからここに置かせて貰おうか…僕が見張るよ」


僧侶「それなら安心でしゅね」


魔法使い「じゃぁ私達水浴びしてくるから見張りお願いね…行こ僧侶!」


僧侶「はい~」




『屋根裏_夜』



シュッシュッ ギコギコ



魔法使い「剣士…もうそろそろ私達寝るんだけど…」


剣士「ゴメン…もう終わるよ…これで最後!!」ギリリ


魔法使い「それはハンターの弓?」


剣士「うん…アラクネーの牙があったからコンポジットボウに作り替えた」


魔法使い「そんな高価な素材を何処で?」


剣士「ここに落ちてた…他に使い道無いしさ」ギリリ ブン!


魔法使い「あなた多才ね…どうしてそんなに出来るのかしら…」


剣士「僕はね…すごく小さい時から世界中を旅してたんだよ…だからかな?」


魔法使い「細工は誰に教えて貰ったの?」


剣士「僕のママさ…細工師だったんだ」


魔法使い「ママかぁ…私はもう顔も覚えて居ないんだ」


剣士「それは不幸だったね」


魔法使い「20年くらい前の闇の時に亡くなったって」


剣士「そういう人は多いよね」


魔法使い「知ってる?あれからほとんど人口が増えて居ないって…」


剣士「うん…知ってるよ」


魔法使い「こういう話をいつも僧侶とするんだけど…平和になった筈なのにおかしいと思わない?」


剣士「…もう寝ようか」


魔法使い「そうね…眠れなくなるしね…じゃ!お休み」


剣士「お休み…」




僕は何となく知ってる


アダム…


多分停止していない


人類の補完は続いてる…


だから僕は蟲の道を選んだ




『早朝』



チュン チュン



ハンター「はい乗って!!」


魔法使い「僧侶!先に乗って」グイ


僧侶「ハンモック2つに増えてるですね」


魔法使い「どっち使っても良いよ」


僧侶「こっちにしますー」ヨイショ


剣士「気に入った?」


魔法使い「ちょと寒いのがね…」


剣士「荷馬車の隙間を埋めないとね…」


ハンター「あ…布が在ったね…後で被せるよ」


剣士「じゃぁ出発するよ?」


ハンター「おっけ!!…ハハ剣士の真似してみた」



ヒヒ~ン ガラゴロガラゴロ



剣士「真っ直ぐ東で良いのかな?」


ハンター「林道沿いを馬車で2日…そこから先が荒野になる」


剣士「おっけ!!…これが本家」


ハンター「ハハハ…あ!!そうだ僕の弓どうなった?」


剣士「荷物に積んであるよ…えーと僧侶のお尻の下だ」


僧侶「え?」キョロ


ハンター「在ったあった…」ギリリ ブン!


剣士「どう?」


ハンター「結構硬いな…でもなんとか引ける」


剣士「ロングボウの方が良かったのかな?」


ハンター「ロングボウは背負うのに邪魔になるからこのくらいで丁度良い」


剣士「素材のアラクネーの牙にエンチャント掛けてあるから後で試してみて」


ハンター「お!!?どんなエンチャント?」


剣士「麻痺毒だね…強さはやってみないと分からない」


魔法使い「やったじゃない?お宝ゲットね」


剣士「ちょちょ…それ売ってお金にするのは無しだよ」


ハンター「大事に使わせてもらうよ…狩りで麻痺毒なんか最高じゃないか」


剣士「うん…そう思う」



--------------



剣士「コボルトからの戦利品を貸して」


ハンター「え?どうする?」


剣士「それを細工して対ゾンビ用の武器を作る」


ハンター「ガラクタだし好きに使って良いよ」ガラガラ


剣士「あ!丁度良いのがあるな…スピアヘッドだ」


ハンター「矢尻にしようと思って獲って来たんだ」


剣士「よし!変性魔法!」シュワ


魔法使い「え!?」


剣士「んーちょっと質が悪いけどまぁ良いかぁ…」


僧侶「それは銀ですか?」


剣士「うん…元の素材が良ければもう少し純度の高い銀になったんだけどね…不純物が多かったみたい」


ハンター「すごいな…後柄の部分があればそのまま銀の槍になる」


剣士「真っ直ぐな枝があればすぐに作れるよ」


ハンター「僕は槍を使えないんだけど…」


剣士「銀の槍を持つのは魔法使いと僧侶が良いと思う…君は麻痺毒の弓矢で足止め係さ」


魔法使い「私と僧侶でゾンビに止めを?」


剣士「ゾンビは動きが遅いから心臓を刺すのなんか誰にでも出来るよ」


ハンター「君はそんなにゾンビが出て来る想定でいる?」


剣士「うん…ゾンビはね伝染するんだよ…多分沢山出てくると思う」


ハンター「僕の短剣も銀に変えて貰えるかな?」


剣士「良いけど…鉄より強度落ちるけど良い?」


ハンター「また買えば良いし…」


剣士「おっけ!!じゃぁ貸して…変性魔法!」シュワ




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ガタゴト ガタゴト



魔法使い「見て!!馬車が放置されてる」


ハンター「見て行こうか…剣士!馬車を止めて」


剣士「うん…」クンクン


ハンター「馬が白骨化してる…結構前の物だ」


魔法使い「積み荷は?」


ハンター「見て来る…警戒しておいて」


僧侶「見て下さい…木に爪痕があるです」


剣士「クマに襲われたんだね」


ハンター「この馬車はまだ使えそうだよ」


剣士「車輪だけ外して行こう…僕が外すよ」ピョン シュタ


ハンター「予備にするんだね?」


剣士「うん…車輪が壊れたら僕達も同じ事になってしまうからね」ゴソゴソ


ハンター「持って行けるものは全部そっちの馬車に移すよ」


魔法使い「積み荷は何か無いの?」


ハンター「残ってるのは木炭ぐらいかな…あと壊れた樽」


魔法使い「旗が立ってるのは?」


ハンター「何の旗印だろうね?あ!!この柄って槍の材料になったりしない?」


剣士「良いね…長さも丁度2つ分になりそう」


ハンター「よしこれだけ持って行こう」


剣士「ハンター?外した車輪を馬車に引っかけるの手伝って?」


ハンター「どうすれば良い?」


剣士「持ち上げるからロープで結んで…よっと!!」グイ


ハンター「これで良いね?」グイグイ ギュー


剣士「あと3個」



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『夕暮れ』



メラメラ パチ



僧侶「言われた通りに虫除けの方陣を張って来たです」


剣士「もう覚えた?」


僧侶「はい…任せてください」


ハンター「林の中でのキャンプももう慣れたね」


魔法使い「今まで安全にキャンプ出来たのは剣士の使う虫のお陰?」


剣士「ハハバレたか…そうだよ普通はこんなに安全にキャンプなんか出来ない」


ハンター「やっぱりそうか…虫に守られてるんだ」


剣士「でもね…ゾンビには効かないから注意が必要だよ」


ハンター「なるほど」


剣士「あと馬がやられると困るから馬をしっかり守らないとね」


ハンター「何か案が?」


剣士「うーん見張るくらいしか思いつかないなぁ」


ハンター「じゃぁいつも通り交代で見張りだね」


剣士「ゾンビに備えて急いで銀の槍を作るよ」ギコギコ シュッシュッ


魔法使い「ところでグールが全然居ないね?沢山居る筈よね?」


ハンター「そうだねおかしい…」


僧侶「剣士さんの虫のお陰ですかね?」


剣士「どうかな?ウルフが吠えて居ないから近くには来てないとは思う」トンテンカン


ハンター「そうだった…ウルフも居たね…もしかして別で行動してるのは虫から離れる為?」


剣士「それもあるけど気ままに過ごしたいんだよ…だから自由にさせてるんだ」トンテンカン


僧侶「一匹で行動してるですか?」


剣士「5匹くらい仲間が居るよ」シュッシュッ


僧侶「ウルフにも守られて居たのでしゅね」


剣士「まぁね?秘密にしといてね…よし!!銀の槍完成!!」


ハンター「お!?早いね」


剣士「これ持ってみて?」


魔法使い「私?」


剣士「うん…杖の代わりと思ってさ…先っぽに照明魔法を掛けてごらん?」


魔法使い「照明魔法!」ピカー


ハンター「おぉ!!松明替わりになるじゃないか」


剣士「銀だからね…ちょっとしたエンチャント武器だよ」


僧侶「私もやってみるですぅ…照明魔法!」ピカー


魔法使い「杖の代わりにもなるの?」


剣士「うん…銀は良く熱と雷を伝えるから火炎魔法か雷魔法が効果的だよ…光もね」


ハンター「これは僕が後衛で魔法使いと僧侶が前衛か…」


剣士「ゾンビ相手だとその方が良いと思う」


魔法使い「あなたは何をするの?」


剣士「そうだなぁ…君達を守る役でどう?」


僧侶「そういえば剣士さんが剣を使って居るのをまだ見ていないですね」


剣士「まぁまぁ…勘弁してよ」


魔法使い「あなた本当に剣士なの?」


ハンター「君が背負ってる刀…すごく珍しいよね?見せて欲しいな」


剣士「うーん…まぁ良いかぁ」スラーン ピカー


魔法使い「眩しい…それも光のエンチャント?」


剣士「そんな所かな…」スン スン スン


ハンター「残像が残る…なんか凄そうな刀だ」


剣士「これは形見なんだ…だから誰にも渡せない」


魔法使い「只者じゃないとは思って居たけれど…持って居る物も超一流なのね…あなたどういう人?」


剣士「だから秘密にしておいて欲しいのさ」スチャ



ワオーーーーン ワオーーーーーン



ハンター「遠吠え…」


剣士「ゾンビだ…皆は虫除けの方陣から出ない様に戦ってね」


僧侶「なんかドキドキするです…」ガクブル


ハンター「僕が先に麻痺毒の矢を当てる…それで良いね?」


剣士「うん…ゾンビの足が止まったら心臓をブスっと刺せば終わり…最後に火炎魔法で焼けば良い」


魔法使い「任せて!」




------------------




剣士「来るよ!!」


ハンター「見えた…あれ?グールのゾンビだ」


剣士「もう少し寄せて…方陣の中まで」


ハンター「撃つよ…」ギリリ シュン グサ



ゾンビ「ヴヴヴヴヴヴ…ガァァ」ズリ ズリ



ハンター「止まらない…」


剣士「まだまだ…ちょっと麻痺毒が遅いのかな?」


僧侶「ゾンビが遅くなってるです」


剣士「麻痺してるのが分かりにくいね…でもやっぱ遅くなってるな」


魔法使い「どうするの?」


剣士「大丈夫そうだから倒してみて」


僧侶「はいな~!!」ダダダ ブスリ



ゾンビ「ウガァァァ…」ドタリ



僧侶「倒れた…」


剣士「魔法使い!魔法で焼いて」


魔法使い「火炎魔法!!」ボボボボ


ハンター「ハハ…これ余裕だね」


魔法使い「この槍スゴイ!!火炎の出口が先に集中する」


剣士「中々良いね…まだ来るよ!備えて」



---------------


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『1時間後』



ゾンビ「ガァァァ…」ブン ドカ


僧侶「つつ…えい!」グサリ


ハンター「僧侶!!大丈夫?」


僧侶「回復出来るので大丈夫でし…回復魔法!」ボワー


剣士「ふむふむ…」


魔法使い「あなたさっきから何もしていないじゃない!!」


剣士「今のゾンビで最後だと思うよ」


魔法使い「ねぇ聞いてるの!?」


剣士「あー余裕だったからさ…今からちょっと盾作る」


ハンター「このゾンビの死体…あれ?おかしい事言ってるな…えーとこれどうする?」


剣士「方陣の外に出して置いたら蟲が処理するよ」


魔法使い「焼かなくて良い?」


剣士「触媒が勿体ないよね」ゴソゴソ


魔法使い「うん…まぁ…」


剣士「有った…壊れた樽拾っておいて良かった…これで盾作ろう」ギコギコ


僧侶「もしかして私の盾ですかね?」


剣士「そうだよ…君は前衛向きだよ…変性魔法も使える様だし」トンテンカン



小さい体活かして槍と盾を持った聖戦士になれば良い


変性魔法で体を石に変える事も出来るよね?


それから回復役は魔法使いがやれば十分だ



魔法使い「ずっとそれ観察してた訳?」


剣士「僕の出る幕無かったじゃない」トントントン


ハンター「でもまぁ僕が足止めして僧侶が前衛で安定といえば安定か…」


剣士「うん魔法使いは触媒さえあればエレメンタル高位も使えるでしょ?火力も十分だ」トンテンカン


ハンター「僕が一番要らない子になりそうだ…」


剣士「ハンターは罠を上手に使えば足止め専門になれるんじゃないかな?」


ハンター「…そうか僕の罠か…それで馬も守れるな」


剣士「よーし!!出来た…簡単だけど樽で作ったラウンドシールドだよ…持ってみて」


僧侶「ほい!!」


剣士「良いね!!体小さいからしっかりカバー出来そうだ…ちょっと練習しようか」


僧侶「どうすれば良いですか?」


剣士「僕が木の枝で襲い掛かるから盾で防いで攻撃のチャンスを探す感じ」


僧侶「フムフム…」


剣士「魔法使いはその間援護出来そうな立ち位置探して?」


ハンター「僕は罠張って来る」タッタッタ


剣士「行くよ?防いでね?」ダダ ブン コン


僧侶「はわわ…」



それでね?変性魔法のコツなんだけど…


攻撃を食らってしまった後でも十分間に合うんだよ


攻撃を受けてしまった所を一瞬だけ変性させるだけで良い


それで随分攻撃が緩和されるんだ




『焚火』



メラメラ パチ



魔法使い「肉焼けたけど…あなた食べる?」


剣士「僕は要らない…」カリ モグモグ


僧侶「いつも木の実だけなのですね」モグ


剣士「気にしないで?」



タッタッタ



ハンター「罠仕掛け終わった…僕にも肉ある?」


魔法使い「剣士が食べないっていうから余ってる…どうぞ」


ハンター「ふぅ…それにしてもあのゾンビを見た後で肉がマズイねぇ」


魔法使い「仕方ないでしょう?」


僧侶「あのゾンビはまだ体が腐敗していませんでしたね」


ハンター「うん…何か持って無いかと思ったけど戦利品無しだよ」


魔法使い「全部グールよね?」


ハンター「そうだね…女性のグールも居た…どうなってるんだろうね」


魔法使い「グールは食人族と言われて居るけど…元々は生きた人間と同じでしょう?どうしてゾンビに…」


剣士「死霊術師が居るのは間違いないと思う」


僧侶「シン・リーンでは死霊術師はもう居ないと聞いてましゅ」


剣士「うん…教える人も居ないみたいだね」


魔法使い「死霊術って呪術だったかな?」


剣士「闇の呪術だったっけ…僧侶は闇の魔法も少し使えるって言ってたけど?」


僧侶「盲目魔法だけなのです」


ハンター「只のお宝ハントだと思って居たんだけど…」


剣士「ゾンビだけなら僕達だけで何とかなるんだけど…死霊術師が居るとなるとちょっと怖いなぁ」


魔法使い「グールがゾンビにされているという事は私達の敵では無いかもよ?」


ハンター「グールの敵という事になるね…つまり味方だ」


剣士「うーん…グールは人間と同じだから積極的に倒す敵じゃないと思うんだ…襲って来ない限り」


魔法使い「そう言えばグールは死体を漁るけどあまり人間を襲うのは聞かない…」


ハンター「僕達より先に遺跡に行った人が居るという事かも…」


僧侶「そうでしゅね…その中に死霊術師が居たという事になるですね」


剣士「あ…そうだ!皆の毒を抜かないと…」


魔法使い「またあの虫!?止めて…気持ち悪い」


剣士「ゾンビ化の病気かもしれないんだよ…我慢して」


僧侶「食事が終わるまで待つです…」


剣士「あぁゴメン…慌てる必要は無い…君達が寝た後で良いや」




『翌日』



ガタゴト ガタゴト



ハンター「今ここら辺の筈…このペースだと日暮れまでに林を抜ける感じだ」


魔法使い「今日は林を出てキャンプの方が良さそう」


僧侶「また来たです…今度はゴブリンでし」


剣士「任せて…」ギリリ シュン


僧侶「倒れたです」


ハンター「戦利品拾って来る」ピョン タッタッタ


剣士「ゴブリン地帯さえ抜けちゃえば休憩も出来そうなんだけどな」


魔法使い「左!!弓持ったゴブリン」


剣士「僧侶!馬に矢を当てられない様にカバーして」


僧侶「はいな!!」


剣士「2体居るな…魔法使い左の奴やって」ギリリ シュン


魔法使い「雷魔法!」ビビビビ


剣士「おっけ!!矢を拾って来る」ピョン シュタタ


ハンター「又謎の種しか持って無かった」バラバラ


剣士「こっちは矢尻の付いて居ない矢だ…どうする?」


ハンター「一応拾っておこう…麻痺毒専用で使うから」


剣士「そうだね…」


ハンター「この種はどうするつもり?」


剣士「僕が使うよ」


魔法使い「どうしてゴブリンは種を持ってるのかな?」


剣士「食料だろうね…実は種の類は変性の材料にすごく良いんだよ」


魔法使い「そうなの?」


剣士「うん…質の良い金属に変えられたりする…変性は元の素材の良さに依存するからね」


僧侶「また来たです…次はゾンビなので私が倒してきまする」


剣士「もう慣れたみたいだね」


僧侶「はい…盾で凌げば簡単でし」


ハンター「一応麻痺当てておく」ギリリ シュン




『林の外れ』



ガタゴト ガタゴト



魔法使い「うわーーー岩場…」


ハンター「まだ日暮れまで時間がある…岩場に洞穴があれば良いけど」


剣士「岩場を背にするだけで大分違うかな」


ハンター「とりあえず林は出て正面の大きな岩まで向かおう」


剣士「草が有る所が良いな」


ハンター「馬の餌か…」


剣士「土が無いと種が植えられないからね」


ハンター「なるほど」



----------------


----------------


----------------



魔法使い「見て!!あそこは草が生えてる」


ハンター「断崖を背に出来るね…良さそうだ!今日はそこでキャンプしよう」




『断崖』



メラメラ パチ



僧侶「成長魔法!」シュルリ


ハンター「方陣も慣れたみたいだね?」


僧侶「はい…罠もおっけーでしゅか?」


剣士「ウルフがこっちに来るから攻撃しないで…6匹」


魔法使い「あら?珍しいわね」


剣士「隠れる場所が無いからね…こっちに来た方が良いんだ」


僧侶「見えたです…罠大丈夫ですかね?」


ハンター「あぁ…ベアトラップだけ解除しておく」タッタッタ


剣士「よし…この辺で良いか」ウメウメ


僧侶「今度は何を植えてるですか?」


剣士「アロエという植物さ…保水力が強いから水の代わりになるんだ」


僧侶「水はまだまだあるです」


剣士「一応節約だよ…馬にもウルフにも水が必要だからね…成長魔法!」シュルリ



ウウウウ グルル



ハンター「こんなに近くにウルフ6匹も居るとやっぱり怖いね」


剣士「ウルフおいで!!いつもの奴やるよ?線虫!」ザワザワ ニョロ


魔法使い「ウルフにもその虫?」


剣士「うん…体の掃除みたいなものだよ」


僧侶「剣士さんこのアロエ貰っても良いですか?」


剣士「好きなようにして良いよ?剥いてあげようか?」スパ


魔法使い「私も欲しい」


剣士「このトゲをナイフで落として…こうやって剥けばそのまま食べられる…はい」


僧侶「水よりも美味しく頂けます」シャモシャモ


剣士「ようし…ヤシも育てて見るかな」ウメウメ


ハンター「楽しみだなw」


剣士「成長魔法!」グングン


ハンター「おぉ!!実が…20個ぐらいか」


剣士「もう切り倒して薪にしてしまおう」ダダダ スパ


僧侶「簡単に切れるですね?」


剣士「若いヤシの木は中身がスカスカなんだ…実だけ取ってあとは燃やすと良い」


剣士「葉の部分は束ねておけばベッドの代わりにもなる…ウルフの寝床にでもしよう」




『夜』



ヴヴヴヴヴ…ガガガ



ハンター「弓当てた!!行って」


僧侶「ほい!!」スタタ ブスリ


剣士「よし…穴に埋める」ズリズリ


ハンター「これで何体目?」


剣士「8体目…」


ハンター「全部体に損傷がある…死んだ後にゾンビにされているみたいだ」


剣士「うん…傷跡が深い…獣の類じゃないよ」


魔法使い「じゃぁやっぱりオークくらいしか考えられないね」


剣士「そうだね…オークが持ってる大斧とか大剣だとこういう傷になる」


ハンター「オークとは戦いたくないな…シン・リーンにバレると牢獄行きになる」


魔法使い「まだ私達に危害が及んで居ないじゃない?」


剣士「オークとの戦闘は避けるとしてどうしてグールがゾンビにされているかだよ…」


ハンター「オークは少人数で遺跡探索しているんじゃないかな?グールをゾンビにして不足分の戦力を補ってる」


僧侶「書物で読んだ事があるですけど…エルフは精霊信仰でオークは呪術に長けているらしいです」


剣士「呪術…オークシャーマンが居るという事だね?」


魔法使い「それで話が通るわ」


ハンター「でもどうして北の大陸のこんな辺境に来ているかだよね」


魔法使い「地図貸して」


ハンター「うん…」パサ


魔法使い「人間の生活圏を避けて東側から来ようと思えば来れそう…船使っての話だけど」


ハンター「ここから東はずっと荒野だ…荒野を歩いて来る物なのかな?」


剣士「気球で来てるのかも知れない…」


ハンター「オークが気球を使うのは聞いた事が無いよ」


剣士「それは昔の話で気球を使う人間を見られてたりするよね」


魔法使い「確かに…」


ハンター「そうだなぁ…ハテノ村での戦いの時も大人たちが気球使ってたっけ」


剣士「え!!?ハテノ村…」


ハンター「あれ?剣士は聞いて居なかった?僕たちは南の大陸のハテノ村から疎開して来たって…」


剣士「も…もしかして…君達はあの時の…」


僧侶「おろろ?剣士さんもハテノ村に居たですか?」


剣士「教会で遊んだ…僕の友達?」


魔法使い「えええ!!?あなた…白い毛皮の子?」


剣士「…」コクリ


ハンター「おおおおおおおお!!これを見て!!毛皮の子が置いて行った銀の小物」


僧侶「私もあるです…ほい」


剣士「ミスリルだ…余ったミスリルで作った玩具」


魔法使い「面影が無いのはもしかして変性魔法?」


剣士「ゴメン…姿を隠してた…変性魔法!」シュワワ


ハンター「アハハ昔のままだ…そのクリクリな眼」


魔法使い「これで納得…あの時の白い毛皮の子だったのね」


ハンター「そうだよ!君たちが置いて行った気球で村からみんな脱出出来たんだよ…村の人みんな助かった」


剣士「そうだったのか…でもまた会えて嬉しい」ウルウル


ハンター「こっちもだ…又会う日までって言ってそれっきりだった」


ハンター「僕の罠の作り方は君のお母さんから教えて貰ったんだよ」


魔法使い「でもどうして姿まで変えて居るの?」


剣士「ごめんそれは言えないんだ…勘弁して」


ハンター「まぁ事情があるんだね…もうちょっと話そうよ」


僧侶「剣士さんに興味が出て来たです…大きな気球の事とかみんな知りたいですよ」


魔法使い「そうそう…あのイルカみたいな気球…」


剣士「あれはね…ママが作った気球で飛空艇って呼んでいたんだ…」



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剣士「2人は赤毛にそばかすの子だった筈…変性魔法で少し変えてる?」


僧侶「バレたでしゅね…」


魔法使い「良いじゃない!そばかすを消すくらい」


剣士「でも変性してると魔法に制限が掛かっちゃう」


僧侶「元に戻すです…変性魔法!」シュワワ


剣士「うん!!そっちの方が自然で良い」


魔法使い「ハンターは昔の面影無いでしょ?」


剣士「全然ん気付かなかった…子供の頃はもっとふっくらした…」


ハンター「ハハ…背が伸びたら痩せたんだ…もうデブ扱いしないでよ」


魔法使い「剣士は全然変わって無い…」


ハンター「魔法使いの初恋相手は毛皮の子だったね」


僧侶「居なくなってからずっと元気が無かったです」


魔法使い「ちょっとぉ!!」


剣士「他の子達は?」


ハンター「うん…もう何処に行ったか分からない…繋がりあるのが3人だけだよ…あ4人か」


剣士「そうか…それで3人でハテノ村に帰ろうとしてるんだ」


魔法使い「他に行くアテも無いしね?あと誰か帰ってくるかもしれないし」



---そういえばホム姉ちゃんの居た遺跡---


---まだ何か色々残ってたなぁ---


---一回行って見るのも良いかな---



剣士「よし決めた!ハテノ村まで付き合うよ」


ハンター「そう言ってくれると助かる」


剣士「船を買うより先に気球が有った方が良い」


ハンター「気球で海を越える?そんな事出来る?」


剣士「あぁそっか…まず船か…先は長いね」


魔法使い「まずはお金ね…遺跡でお宝ゲットしてからじゃないと何も出来ないわ」



---まぁいっか---


---急がないでゆっくり旅しよう---




『深夜』



グルルル ウウウウ



ハンター「ウルフが警戒してる…」


剣士「うん…ハイエナに囲まれている」


ハンター「ゾンビの死肉狙いかな?」


剣士「多分そうだよ…30匹くらいだ」


ハンター「どうする?魔法使い達を起こすかい?」


剣士「いや…任せて」


ハンター「一人で?」


剣士「睡眠魔法で全部眠らせる…ロープに予備あったよね?」


ハンター「うん…ロープなんかどうする?」


剣士「掴まえて馬車を引かせる…ゾンビの死体処理にも良い」


ハンター「なるほど…」


剣士「合図したらロープ持って来て」


ハンター「分かった…」


剣士「ブツブツ…」アブラカタブラ クラウドコントロール メスメライズ


剣士「広範囲睡眠魔法!」モクモク


剣士「よし…もう一回」



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剣士「全部寝かせたからロープで縛って馬車に繋いで」タッタッタ


ハンター「分かった…」


剣士「ハイエナを近くまで引きずってくる」シュタタ




『翌朝』



ヴォエエエエ ワフ



ハイエナ「ガフガフ」ムシャムシャ ガブガブ


魔法使い「騒がしいと思ったら…こんなに沢山」


剣士「餌を条件にして馬車を引かせる事になった」


ハンター「馬は僕が乗るよ」


剣士「ゾンビの死体を片付ける手間も無くなって少し楽になる」


僧侶「ゾンビなんか食べさせて大丈夫ですかね?」


剣士「ハイエナは喜んでる様だよ」


ハンター「これだけ居ると馬よりも早いかもね」


剣士「そうだね…馬車は動いてしまえば大した重くないし」


ハンター「行先は僕が馬で先導する」


剣士「うん…ハイエナにそう伝える」


魔法使い「じゃぁそろそろ出発する?」


剣士「ハイエナ達の食事が終わってからね…先に馬車に乗っていてもらって良いよ」


ハンター「こんなにハイエナ連れて街には戻れないね…ハハ」


剣士「馬がやられるリスク減ったのは大きいと思うな」


ハンター「まぁそうだね」




『荒野』



ゴトゴト ゴトゴト



僧侶「また朽ちた馬車があるです」


剣士「ここはそういう場所なんだね…」


魔法使い「ハゲタカが後ろから付いて来るけど良いの?放って置いて?」


剣士「死肉狙いだから大丈夫…この馬車には襲って来ない」


僧侶「荒野でも意外と生き物が居るですね」


魔法使い「でも人間が住む環境では無さそう…水が全然無い」


剣士「ここは岩塩だらけで木が生え難いからだと思う」


僧侶「じゃぁ大昔は海の底だったのでしゅかね?」


剣士「どうなんだろう?何万年も昔はそうだったのかもね」


魔法使い「岩塩は氷結魔法の触媒だから沢山あって助かる」


剣士「魔結界の触媒にも使える…質の良いのが有れば変性させて使うのも良いね」


魔法使い「探してみる」



パカラッタ ヒヒ~ン ブルル



ハンター「前方にゾンビが彷徨ってる…戦闘準備!」


僧侶「はいな!!」ピョン


魔法使い「数は?」


ハンター「ちょっと多い…20体位居ると思う」


魔法使い「早速氷結魔法の出番ね…」


ハンター「僕の麻痺矢と合わせてゾンビの足を止めよう」


剣士「水は無駄使いしない様にね?」


魔法使い「分かってる!!」ピョン


ハンター「行こう!!」



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『夕暮れ前』



ガタゴト ガタゴト



ハンター「マズイな…何処にも草が生えて居ない」


剣士「洞穴でも良い」


僧侶「あそこはどうでしゅか?洞窟じゃなくて断崖に亀裂が入ってるです」


剣士「馬車が入れそうならそこでも良いかな」


ハンター「土が無いと方陣が組めないのでは?」


剣士「岩塩でなんとかする」


ハンター「分かった…走って馬に乗ってる魔法使いに伝えてくる」ピョン タッタッタ



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『断崖の亀裂』



ヒュゥゥゥ



魔法使い「向こうから風が通り抜けてきてる…」


剣士「ギリギリ馬車が入ったね…馬車が風よけになれそうだ」


ハンター「剣士!キャンプ跡がある…割と最近だ」


僧侶「どんぐりの殻が落ちてるです」


剣士「オークが使ったんだ…」


僧侶「方陣はどうするですか?」


剣士「僕がやる…魔法使い!岩塩をすこし貰うよ」ピョン シュタタ


魔法使い「え?ええ…何に使うのかな?」



剣士「変性魔法!」ドサ


剣士「よし…結構良い土になった」ウメウメ


剣士「成長魔法!」シュルシュル



魔法使い「岩塩を土に変性させたのか…さすが慣れてる」


剣士「魔法使い!馬にこの草を食べさせてあげて…あとフンは燃やすから焚火に入れておいて」


魔法使い「ええ!?私がフンの掃除?」


剣士「汚くないよ…それ全部草だから」


魔法使い「もう!…火炎魔法!」ボボボボ


剣士「その煙で虫を追い払えるんだ…方陣の代わりだよ」


僧侶「成長魔法は私も手伝うです」


剣士「助かる…はい種」パラパラ


剣士「馬はお腹が減ってる筈だから沢山作って」


僧侶「はいなー成長魔法!」シュルシュル




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メラメラ パチ



ハンター「休まないのかい?」


剣士「…」クンクン キョロ


ハンター「外のゾンビは全部退治した…まだ何か居そう?」


剣士「ここは危険かもしれない…多分断崖の上から監視されてる」


魔法使い「上?」


ハンター「オークか!!どうやって断崖の上に…」


魔法使い「きっと気球ね」


剣士「キャンプの煙に気付いたんだよ…仕掛けて来るのが心配だ」


僧侶「…それで魔結界を張ったのでしゅか?」


剣士「うん…オークシャーマンが居るなら呪術を警戒しないといけない」


魔法使い「上から石を落とされるのも心配ね」


剣士「今日は休めそうにないなぁ…」


ハンター「ハイエナは夜行性だからいっそのこと移動してしまおうか?」


剣士「そうだね…その方が気が休まる」


魔法使い「じゃぁみんな食事が済んだら行きましょ」


剣士「出立の準備をするよ」




『夜行』



ガラゴロ ガラゴロ



僧侶「明かりは無しでしゅか?」


剣士「ここに居ますよと言ってる様なものだから…目を慣らして?」


僧侶「我慢するです」


剣士「ハンターは馬で着いて来てる?」


魔法使い「大丈夫!一定距離で着いて来る」


僧侶「良く見たら月明かりで岩塩が光っているですね」


魔法使い「そうね…光の海を夜行しているみたい」



ワオーーーーン 



剣士「来た!!僕がやるから馬車から出ないで」


魔法使い「馭者変わる…」スタ


剣士「僧侶…魔法使いを盾で守って」


僧侶「はいなー」


剣士「足音…3人だ」



パカラッ パカタッタ



ハンター「今の遠吠えは?」


剣士「敵が来る…僕が戦うからハンターは馬車の陰に隠れて」


ハンター「分かった…」グイ パカパカ


剣士「行く!!蠕虫!来い!」ザワザワ ピョン クルクル シュタ


僧侶「うわわわ…ワームの大群が…」


魔法使い「ちょ…あの黒い影全部虫?」


僧侶「剣士さん消えた…え?何処?」


魔法使い「右!!刀の残像!!」


僧侶「ええ?そっち?」


魔法使い「き…消えた?」


僧侶「虫の影が高速で動いてるです…」


魔法使い「光った…また刀の残像」



オークスカウト「ウゴ…ウュシッテ…レガサ」


オークレンジャー「イナャジノモダタ…ツイコ」



剣士「蠕虫!行け!」ザワザワ


オークファイター「ウゴゴ…ノコー!!」ブンブン


剣士「ハイディング!」スゥ


オークファイター「タエキ!!ダコド!!」


剣士「リリース!」スパ


オークファイター「ウゴゴ…ウゴウゴ」ズダダ



オークスカウト「レガサ!ダウュシッテ…レガサ!!」



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『暁の時』



ガラゴロ ガラゴロ



剣士「気配が無くなった…諦めたかな?」


僧侶「明るくなって来たです」


剣士「うん…相手も見られたく無いんだろうね」


僧侶「剣士さんの戦い方を見て驚きました…どうしてあんなに早く動けるですか?」


剣士「ゴメン秘密なんだ」


魔法使い「まるで悪魔か何かみたいだった…なんていうのかな神話の吸血鬼みたいな」


剣士「蟲の中に消える様に見えるんだね?」


魔法使い「そうそう…どうして?何の魔法?…って聞いても秘密かぁ」


剣士「オークと戦って分かった事がある」


魔法使い「装備が良いというのは見て分かったけれど…他に?」


剣士「どうも呪術で強化している…だからすごく強い」


僧侶「防御魔法の一種ですかね?」


剣士「うん…だから君達では太刀打ちできないんだ…もう戦いたくない」


魔法使い「向こうから襲って来るのは理由があると思う」


剣士「遺跡に近付けたくないんだろうさ…言葉が通じれば戦わないで済むかもしれないけど…」


魔法使い「ここまで来て引き返せないでしょ?」


剣士「うーん…君達に怪我させたくないんだよ」


僧侶「私はまだ盲目魔法があるです…広範囲で無詠唱なのです」


剣士「盲目ねぇ…オークに効くのかな?」


僧侶「剣士さんを巻き込んでしまうと思って撃てなかったです」


剣士「僕は目が見えなくても平気だよ…じゃぁ次戦う時は使ってみて」


僧侶「はいなー!」


魔法使い「あ…暁の時よ…岩塩が反射して一面赤い…」


剣士「虹だ…」



パカラッ パカラッタ



ハンター「見て!!虹!!…暁の虹だ!!」


剣士「…」---どこかで聞いた事が有る----



闇が晴れ光が挿す時に虹が現る


暁の使徒…


もう歴史から忘れ去られた彼らは


光の使徒に違いない



僧侶「あ…もう虹が消えたです」


ハンター「一瞬だけだったね」


剣士「光…塩…そうか浄化だ…これは浄化の効果がある」


魔法使い「え?どうしたの急に…」


剣士「君が集めた岩塩で浄化の作用が期待できる…貸して」


魔法使い「急にどうした訳?はい…」


剣士「照明魔法!!」ピカー


僧侶「暁色に光るですね…」ウットリ


ハンター「良い光源になりそうだ」


剣士「どうして岩塩ばかりの地に遺跡があるのか?…きっと浄化を作用させた神聖な場所なんだよ」


魔法使い「浄化って…呪いを解くとかそういうの?」


剣士「うん…多分そういう場所だと思う…ほら暁の虹を見て皆心が動いたでしょ?」


魔法使い「そういえばなんとなく清らな感じね…」


剣士「だから遺跡は岩塩の下だよ…そこに光が入る」


僧侶「この光る岩塩から虹が出るのでしゅか?」


剣士「そうかもね…見てると不思議と見入ってしまう」



そう


ミスリルの音と同じ


鎮魂の光だ


光ある限りこの地は憎悪に満たされない




『昼』



ヒュゥゥゥ



ハンター「少し休憩しよう…ハイエナ達が疲れて来ている」


剣士「草木が一本も無いね」


ハンター「夜行したお陰で随分進んだよ…今この辺りだ」


魔法使い「例のアーチ状の岩場まであとちょっとじゃない」


ハンター「上手く見つけられれば良いけどね…それより問題は今晩をどう過ごすかだよ」


剣士「ゆうべのオークは多分斥候だよ…見当たらない所を見ると僕達を見失った可能性が高いけど」


ハンター「斥候で僕達の戦力を確かめた感じかな?」


剣士「多分ね…オークって賢いからさ」


魔法使い「じゃぁもう襲って来ないかも知れないね」


剣士「そうだと良いけど…オークシャーマンがどうしても怖いな」


僧侶「私に案があるです」


剣士「何?」


僧侶「岩塩に反射魔法を掛けるです…それを使って魔方陣を組むです」


剣士「お?反射魔法の魔方陣にするのか…良さそうだ」


僧侶「呪術にどんな術があるのか分かりませんが反射出来ると思うです」


ハンター「…という事は物理で対処すれば良い訳だね?」


剣士「罠が有れば尚良いね…こっちは蟲も使える」


魔法使い「皆光魔法が使えて良かったわ」


ハンター「じゃぁキャンプは問題無いね?…2時間くらい休憩したら暁の門を探そう」




『暁の門』



ヒュゥゥゥ



ハンター「日暮れに間に合った…ここでキャンプしよう」


僧侶「目立つ石ですね…」


ハンター「あの旅人の言った通りだった…これに間違いないよ」


魔法使い「僧侶!反射魔法掛けるの手伝って!反射魔法!」シュワワ


僧侶「岩塩砕いて小さくしたのですね…反射魔法!」シュワワ


剣士「変性魔法!…触媒の砂銀はコレ使って」


僧侶「岩塩を砂銀に変えたですか…全部岩塩で出来るですね」


剣士「魔方陣の外にある岩塩に照明魔法掛けて来るよ」


ハンター「イイね…遠くが見えるなら僕の弓も使える」


剣士「どうせ焚火の炎で居場所知られちゃうしね…見える様にしておいた方が対処しやすい」


僧侶「魔方陣を組むのはお任せください」


ハンター「やっぱり魔法使いが3人も居ると何とでもなるもんだね…」


魔法使い「無駄口叩いて無いで罠張ってきてよ」


ハンター「ハハ行って来る」タッタッタ




『夜』



キラキラ



僧侶「光る岩塩が綺麗でしゅねぇ…」


魔法使い「随分遠くまで照明魔法掛けて来たのね?」


剣士「出来るだけ早く敵を発見したいからね」


ハンター「ふぅぅぅ今日は疲れたなぁ…」ドタリ


剣士「少し寝てても良いよ」


ハンター「うん…」


魔法使い「なんか今日はもうゾンビ出なさそう…」


剣士「やっぱりそう思う?なんか不思議だよね…この光」


僧侶「ハイエナ達もお休みですね」


剣士「…そうだ光の石だとどうなるんだろ」ゴソゴソ


魔法使い「まだ岩塩を光らせるの?もう反射魔法の方陣の中よ?」


剣士「大丈夫…魔法じゃ無いから」ゴリゴリ


僧侶「岩塩をくり抜いて…何かいれるですね?」


剣士「驚かないでね…」ピカー


魔法使い「うわ!!何それ…眩しい」


剣士「これを岩塩の中に入れる…」


魔法使い「凄いじゃないソレ何?」


剣士「光の石っていう物なんだ…ふむふむ柔らかい光に変わる」


魔法使い「ちょっと明るすぎよ!」


剣士「そうだね…このまま荷物袋に入れておく」クンクン


剣士「あれ?もしかして空気を浄化する効果もあるのかな?」


僧侶「何か変わったですかね?」


剣士「知らなかった…岩塩にこんな効果があるなんて」


魔法使い「シン・リーンの魔術師達にこの岩塩は売れるかもね」


僧侶「そうでしゅね…沢山あるから持って帰るです」



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僧侶「…」コックリ コックリ


魔法使い「すぅ…」スヤ


剣士「…」



よく考えて見たら


僕がオークの立場だったこんなに沢山の光を準備されて


いつでも来てくださいという場所に行こうなんて思わないな


やっぱりオークは賢い…




『早朝』



ヒュゥゥゥ



ハンター「はっ…」ガバ


剣士「疲れは取れたかい?」


ハンター「オークは来ていない?」


剣士「うん…」


ハンター「日の出は?」


剣士「もう少しだよ…暁の空だ」


ハンター「目覚め草を焚くよ…」バサ モクモク


魔法使い「ぅぅん…」パチ


僧侶「ふが?」パチ


ハンター「起きたね?」


魔法使い「魔物は来なかったみたい?」ゴシゴシ


剣士「うん…もう少しで夜明けだよ」


僧侶「もう岩塩が赤く光ってるですね」


剣士「そうだね…あそこの一番濃く光っているところだよ…きっと」


ハンター「岩塩の丘陵の下か…あそこまでなら1時間もあれば着く」


魔法使い「光が…日の出よ」


ハンター「他に怪しい場所は無いかい?」キョロ


僧侶「暁の虹でし…」


剣士「やっぱりあそこが一番光るね…間違いないよ」


ハンター「よし!準備しよう」ゴソゴソ


魔法使い「虹は直ぐに消えて無くなるのね…」


剣士「そうだね…明るくなると岩塩が光るのも直ぐに分からなくなる…上手く隠しているね」


ハンター「長居はしたく無いから早く行こう…馬車に乗って!」


僧侶「はいなー」




『暁の遺跡』



ヴヴヴヴヴ ウガガガ



僧侶「えい!」ブスリ


ハンター「よし…入り口はこれで最後だ」


剣士「ハイエナを解放して馬車を守らせよう」


ハンター「馬は大丈夫かな?」


剣士「馬はウルフが守ってくれる」


ハンター「分かった…ハイエナを放してくる」タッタッタ


僧侶「ここは岩塩で出来た洞窟になってるですね」


剣士「足場が脆いから落ちない様に気を付けて」


魔法使い「下の方にもゾンビの声がする…」


剣士「うん…グールは追い払われたか全部ゾンビにされたんだろうね」


ハンター「おっけ!!ハイエナ解放して来た」


剣士「じゃぁ行こうか…僕が先行する…ハンターは最後に付いて来て」


ハンター「うん!!」




『遺跡の入り口』



剣士「はぁ!!」ダダ スパスパ


魔法使い「入り口見つけた…これね?」


僧侶「天井が全部岩塩ですね」


剣士「明るくて良かった…まずゾンビを全部処理しよう」


ハンター「いつも通り!!」ギリリ シュン



--------------


--------------


--------------



剣士「中は散らかってる…」


ハンター「随分オークに荒らされた様だね…お宝は希望薄いなぁ…」


魔法使い「見て…ミイラが沢山」


ハンター「石棺から出されたんだね…調べてみよう」


僧侶「あっちにもあるです」


ハンター「なにかあったら教えて」


剣士「この遺跡はいつの時代の遺跡なんだろう?」


ハンター「どうして?」


剣士「見た事の無い遺跡だから…」


僧侶「ミイラは全部顔の包帯が解かれているです」


ハンター「特定のミイラを探している感じか…埋葬品とか何か残って無い?」


僧侶「宝石とか装飾品が残ってるです」


ハンター「え!!オークは盗掘しに来てる訳じゃ無い?」


魔法使い「持って帰りましょ」


ハンター「これは期待大だ!!もっと探そう」


魔法使い「この小さいミイラは子供?…あれ?耳が長い」


剣士「え?まさかノーム?」


魔法使い「ノーム?…それってすごい昔よね?」


剣士「3000年以上前だ…見せて」


魔法使い「これよ?お人形さんより小さい」


剣士「ノームは小人だったんだ…」


ハンター「あ!!奥に扉がある…」


剣士「見た事無い扉だ…開けられそうかな?」


ハンター「鍵開けやってみる…皆は探索してて」



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『1時間後』



タッタッタ



魔法使い「こっちは宝石類が袋一杯…ミイラは全部石棺から出されてた」


僧侶「こっちも同じくらいでし」


魔法使い「お宝はこれで十分ね」


剣士「…」ジー


魔法使い「剣士は何を?」


剣士「石板を見てた」


魔法使い「読めるの?」


剣士「読めない…でもホラ?画が彫ってある」


僧侶「何か分かるですか?」


剣士「うーん…暁の使徒の事だと思うんだけど…画だけだと分からないなぁ」


魔法使い「ハンター!?扉が開かないならもう戻りましょ」


ハンター「もう少し…やっと鍵の構造が分かった所なんだ」ガサガサ


魔法使い「こんな石の扉なんか簡単に開く訳無いじゃない…」



ズズ



ハンター「良し押さえた!!扉がこれで回転する筈だ…押してみて」


剣士「ここ?」


ハンター「もう少し左…そうソコ」


剣士「ふん!!」ズズ


魔法使い「お?」


剣士「重い…手伝って」


僧侶「ほいほい…」


剣士「せーのっ!!」ズズズ


魔法使い「おぉ!!」


ハンター「魔法使いも押して」


魔法使い「はいはい…」


剣士「行くよ?せーのっ!!」ズズズズ


ハンター「よし!!一人づつ入れる」


剣士「僕が先に行く…付いて来て」スタ




『遺跡の奥』



シーン



剣士「壁画だ…これはシン・リーンと同じ」


ハンター「ここは誰にも手を付けられていない…手分けして探索だ」


魔法使い「もう袋一杯なんだけど…」


ハンター「書物とかそういうのが高価だ…探して」


剣士「…」



こんな所にも勇者と魔王の事が記されている


シン・リーンの遺跡よりも古い伝説だ…


暁の使徒はこれを守って居たのかな?


すごい…ドリアードが虫で滅んだ壁画もある


そして勇者の他に虫を持った人も書かれてる


行き先は…行き先はどこだ?


始まりは何処なんだ?



魔法使い「ん?何か甘い匂いが…」


僧侶「そうでしゅね…」フラ


剣士「甘い匂い…しまった!!睡眠魔法だ!!」ダダ


ハンター「え!?誰か来た?」フラ


剣士「これは睡眠魔法だ…皆起きて!!」


魔法使い「何言ってるの?」フラ



ウゴウゴ ドドドド



剣士「くそう!!ハイディング!」スゥ


女オーク「ロエラト!!」


オークファイター「ロセカマ…」ドスドス


オークシャーマン「イナリタリトヒ…タッイニコド?」


剣士「リリース!」スゥ チャキリ


オークシャーマン「ウゴ?」ギク


剣士「動くな…首が飛ぶ」



シュン グサ



剣士「はぅっ…」ブン ザクリ


オークシャーマン「ウガァーーーウゴウゴ」ブシュー


剣士「くそぅ!!麻痺毒か…線虫!」ザワザワ ニョロリ


女オーク「タァァァァ!!」ブン ガキーン


剣士「解毒まで凌ぐ…」


女オーク「ハァ!!」ブンブン



キーン キーン ガキーン



剣士「剣圧が重い…」タジ


女オーク「ハッ…エマオ…」タジ


剣士「ふぅ…ふぅ…」---落ち着け---


オークシャーマン「メスメライズ!」モクモク


剣士「無詠唱か…」フラ


剣士「…」---ウルフが反応しなかったのはこれか---



------------------


------------------


------------------



『夢』




僕「君は怪我してない?」


君「ウガ…」


僕「手?見せて?」


君「ウゴウゴ…」


僕「豆が潰れたのか…あの剣重すぎだしね…治してあげる…回復魔法!」ボワー


君「ウトガリア…」


僕「ありがとうって意味?」


君「ルゲアリグンド」


僕「ん?どんぐりくれるの?」


君「…」カリ モグ


僕「僕らの携帯食料だね」カリ モグ




--------------



僕「…これで全部だよ?大事に食べてね?」


君「…」ジー


僕「君が食べられるもの全部持ってきたよ…大変だったんだよ?ここまで持ってくるの」


君「…」ジー


僕「良かったね?みんな助かってさ?」


君「…」ジー


僕「これ君にあげようと思って持って来たんだ…角で作ったアクセサリーだよ…あげる」カランカラン


君「…」ジー


僕「あと君のコバルトの剣…これは君の物だから隠しておいて?みんなにバレない様にね」スッ


君「…」ジロリ


僕「じゃぁ僕そろそろ行くね」スック


君「ウゴ…」


僕「死んだらダメだよ?ちゃんと生きるんだよ?」


君「ンゴ…」


僕「じゃぁ…さよなら」ノ


君「ウゴ…」ガチャン


君「ウゴ…ウゴ…ゥゥゥ」ズル




『暁の墓所』



コバルトの剣…



剣士「ハッ…ウムムム」


剣士「…」---目隠し---



手足が縛られている


詠唱出来ない様に口も塞がれてる



剣士「…」クンクン



まだ遺跡の中だ


オークは2人…


良かったハンター達も一緒に縛られてる


まだ寝てるな?


さてどうする…



ツカツカツカ



女オーク「お前…目覚めた…お前…宝沢山…お前だけ…連れて行く」


剣士「フムムム…ムムム」


女オーク「お前…仲間…安心しろ…乗り物…乗せられない…置いて行く」


剣士「…」---助けるという事か---


女オーク「私…お前…探す…やっと…見つけた…お前…私と来る」


剣士「フム?」---コバルトの剣…君か?---


女オーク「私…お前の…子供産む…決めた事…どんぐり…要るか?」


剣士「んんんん…」バタバタ


女オーク「…」パキ グイ


剣士「…」モグ



オークの子…君だったか


変な再会だけど


会いたかったんだ



女オーク「オークシャーマン…お前の…刀…盗む…アイツ…悪いオーク…私…取り返す」


女オーク「私…お前…作る物…大切に…持つ…私の宝…お前の刀…お前の宝」


剣士「フフ…」---人間の言葉勉強したんだ---


女オーク「私要る…お前安心」



ここから西に引き返せば林を抜けてシン・リーンだ


ハンター達3人なら戻れる筈


城に戻ればこの遺跡の状況を魔女が知る筈


只僕の事を秘密にするだろうな…まてよ


もう魔女はこの状況を千里眼で見てるかもしれないな


よし…事態は好転しそうだ


ここはオークに身を委ねよう



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『シン・リーン城』



魔女「近衛!今すぐにシャ・バクダへ伝令を飛ばすのじゃ…情報屋という者を直ぐに連れ戻せ」


近衛「ハッ!!」


魔女「一番早い気球で行かせるのじゃ…良いな?」


近衛「御意!!」ダダ


魔女「母上…魔術師団を連れてちと暁の墓所へ行かねばならん」


女王「何事ですか?」


魔女「墓所が荒らされて居る様じゃ…そしてわらわの弟子がエライ物を発見しておる」


女王「かの地に足を踏み入れてはいけないとの時の王卿との約束はどうなりますか?」


魔女「荒らされてしもうた後じゃ…そのような事を言って居る場合では無いのじゃ…時の王は既に亡くなって居るしのぅ」


女王「分かりました…許可しましょう」


魔女「歴史が覆る発見やも知れぬ…時の王はこれを知って居ったのじゃろうか?」


女王「さぁ?どうでしょう?」


魔女「うむぅ…暁の使徒か…もうちっと時の王の話を聞いておくべきじゃったな…しもうたわい」


女王「いつ出立しますか?」


魔女「今すぐじゃな…どうやら弟子が困って居る」


女王「近衛を連れて行きなさい…あなたにも危険が及んではいけません」


魔女「わらわは大丈夫なのじゃが…まぁ良い…身の回りの世話係じゃな?」


女王「そろそろ国の事を考えて貰わないと困るのです」


魔女「まだまだ先じゃ…母上はまだ30年は生きるで考えるのはその時で良い」


女王「困った子ですねぇ…」


魔女「うるさいのぅ…もう行くで弟子の連れが城に来たらよろしく頼む…墓所の掃除をした様じゃで」


女王「分かりました…褒美を用意しておきます」


魔女「では行って来るでのぅ…」ノソノソ





『暁の墓所』



シーン



魔法使い「ハッ…」パチ キョロ


僧侶「むにゃ…」スヤ


魔法使い「寝てた…どういう事?僧侶!!起きて?」ユサユサ


僧侶「んん?」パチ


魔法使い「ハンターも起きて!!」ペシペシ


僧侶「これは一体…」


ハンター「んぁぁぁ…」ガバ


魔法使い「剣士が居ない…」キョロ


ハンター「どうなってる?」ゴシゴシ


僧侶「皆眠ってたみたいでしゅ」


魔法使い「血痕…」


ハンター「あああああああ!!石棺が開けられてる…中身が無い!」


魔法使い「え?え?寝かされてる間に…オークの仕業?」


ハンター「剣士は?剣士は何処行った?」


僧侶「剣士さんの持ち物が落ちてるです…種と触媒…あといろんな道具」


ハンター「置いて行くのは考えられない…掴まったか」


魔法使い「どうして私達は無事なの?宝石も袋にある…」


ハンター「この血痕…結構時間が経ってる…4~5時間前だ」


僧侶「どんぐりの殻も落ちてるです…オークに間違いないです」


ハンター「マズイな…もうここは出て馬車を見に行こう」


魔法使い「剣士どうするの?」


ハンター「荷物を置いてるという事は掴まったと見た方が良い…僕達は見逃された」


僧侶「こんな時に千里眼が使えれば…」


魔法使い「塔の魔女の魔法ね?」


ハンター「あ!!血痕が外に続いてる…」


魔法使い「え…行きましょ」タッタッタ




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