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えらぶーと、ななつの夜の夢  作者: 舟津湊


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3/8

☆第三夜「午睡(おひるね)」

 おふとんに入ってねていたはずなのに、

 ぼくはパジャマのまま、

 いつものさんぽ道にたっている。

 まわりは、夕がたみたいにくらくて、すこしこわい。おうちにかえりたい。


 ぼくの目のまえには、矢じるしのついた道しるべが立っていて、こう書いてある。


「パパはこっち」

「ママはあっち」


 パパとママがが、ずっとけんかしている。

 もう、いっしょにいられないんだって。

 あんなになかよしだったのに。


 あゆむ、いっしょにいようね、とママがいう。

 あゆむ、いっしょにうこうね、とパパがいう。


 あれ? いつのまにか、道しるべのよこに、ぶたさんがいる。

 ぶたさんにきいた。


「ねえ、ここはどこ? きみはだれ?」


「こんばんは。ここはあゆむ君の夢の中だよ。ぼくは、えらぶー。迷っている子とお話するのが、ぼくの役目」

「そうなんだ。じゃあ、ぼくがまよっていること、えらぶーが決めてくれるの?」

「ううん、決めないよ」

「ええ! ぼくひとりじゃ、きめられないよ」

「そうかな? あゆむ君はどっちがいい?」

「どっちも、やだ」 

「そう。じゃあ、目をつぶってごらん」

「んーと、こうかな?」

「そうそう。で、頭の中に何かうかんだ?」


 あかちゃんのころをおもいだした。

 えーんえーんとなくと、パパもママも、しんぱいそうに、でもうれしそうに、ぼくのかおをのぞきこんではなしかけてくれたんだ。どうしたの? おなかがすいたの? って。


「じゃあ、決まったね」

 えらぶーがぼくのあたまをトントンしながら言った。


「え、どういうこと?」

「もっとワガママでもいいんだよ。おやすみ」

「まって! こんなところじゃ、ねむれないよ」

 


 きがついたら、おふとんのなかにいる。

 あれ、ぼくねてたの? いまのはゆめ?


 えらぶーは、どこにもいない。

 しかたがないから、おふとんにはいって、めをつぶった。


 ゆめのなかで、

 パパがいう。

「パパといっしょに行こう」

 ママがいう。

「いっしょにここにいようね」


 ぼくは、ないた。

「やだやだやだ。ぼくはパパといっしょ。ママともいっしょ」

えーん、えーん、えーん、えーん、えーん、えーん、

「ぜったいに、はなれない。ママとパパ、はなさない!」 

えーん、えーん、えーん、えーん、えーん、えーん、えーん、

 いっしょうけんめい、がんばって、ないた。

 パパとママは、しんぱいそうに、でもすこし、わらいながら、ぼくのかおをのぞきこんで、なにかはなしかけてくれた。

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