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第19話 それが俺とアリエッタのエターナルだから……!

 ソシャゲでもよく日常シーンの背景で使われていた、余計なものがほとんどないシンプルな室内だ。


 学生寮によくあるワンルームや1Kではなく、シェアハウスのように複数の部屋がある作りで、入ってすぐのこの部屋は、共有ルームや客間のように使われることが多い。


 魔法で稼働するキッチン機器や洗濯機もここにおいてある。


 学生が1人で生活するにしてはかなり広々としているが、さっきアリエッタも言っていたように、エース級の姫騎士が育てば、それだけで得がたい財産となる。

 よって育成環境はどれだけ充実していても、充実しすぎるということはないのだ。


「ユータの部屋はそっちね。入学してから1度も使ってないから、すぐに使えるはずよ。荷物も何も置いてないし」


「サンキュー」


「食事は食堂に行けば、深夜帯以外は基本的にいつでも食べられるわ。お風呂は男のユータに大浴場を使わせるわけにはいかないから、この部屋のシャワーを使ってちょうだいね」


「どっちも了解」


「でもシャワーは私も使うから、ユータが使う時は必ず脱衣所でノックをすること! 絶対に覗かないでよね! 覗いたら誰がなんといおうと、偶然の事故だろうと、絶対に退学にしてもらうから! 聞き入れてもらえないなら、もう一回決闘するから! はい、約束!」


「分かった。絶対に覗かないって約束する」


「絶対の絶対だからね!」

「ああ、絶対の絶対の約束だ」


 俺はアリエッタを納得させるように、ことさら大きく頷いてみせた。


 べつに決闘しても負ける気はしないが、これはそういう問題じゃないからな。

 信義とか信用とか信頼の問題だ。


 勝てば何してもいいだなんて俺は思わないから。


 安心しろアリエッタ。

 推しの子のお前を悲しませるような真似を、俺は絶対にしない。


 それが真の「推し道」というもの!

 推し道とは、推しと運命共同体となり、絶対に幸せにすることと見つけたり!


 違う世界に生きていた推しの子のアリエッタと、同じ世界に生きることが許された以上、俺はアリエッタを推して推して推しまくるぞ!!


 見てろよアリエッタ。

 俺は神騎士LV99だ。

 この力でもって、推しの子のお前を最高に幸せにしてみせるからな!


 俺が内心で並々ならぬ決意を抱いていると、


「じゃあ早速、シャワーに入ってくるから。せっかくお風呂に入ったのに、決闘して汗かいちゃったし」


 アリエッタはそう言うと、自分の部屋に着替えを取りに行ってから、シャワーに入りにいった。


 一人取り残された俺は、使っていいと言われた、これからマイルームとなる部屋へと向かう。


 ドアを開けると、家具も何もないがらんどうの部屋だった。


「たしかに荷物も何も置いてないけどさ? さすがに布団かベッドは欲しいかな? あといすも。今日は床で寝ろってことか?」


 思わずボヤいてしまう。

 俺は一般的な日本の家庭で育ったので、床で寝た経験なんてありはしない。


 だがこれも推しのアリエッタと同棲――同居でもハウスシェアリングでもなく同棲と俺は言い続けるぞ!――できることの対価と比べたら安いものだ。


 床で寝るのが何だってんだ!


 俺は強い決意をしながら、がらんどうとした部屋で今の状況をおさらいしてみた。


「これで一応、衣食住の『食』と『住』は片付いたよな。あとは『衣』だけだ。今着ている高校の制服以外には服がないし、アリエッタがシャワーから上がったら、ちょっと頼んでみるか」


 これだと洗濯すらできやしない。


「でもアリエッタは男物―なんて持ってないだろうしな、どうしたもんかな」


 むしろ男物の衣類を普段から持っていたらショックすぎる。


 ま、それでも俺はアリエッタを推すがな!

 たとえアリエッタに男がいても、俺は血涙を流し唇を噛みしめながら、アリエッタを推し続けるぞ!

 それが俺とアリエッタのエターナルだから!


 そんな感じで今後のことを考えながら、俺は何気なく窓の外へと視線を向けた。


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― 新着の感想 ―
[良い点] アリエッタさんが、シャワーを浴びている姿を覗いたら 問答無用で、退学にするからと言われたのに対して 彼女を悲しませたくないと誓うユウタさんの アリエッタさんに対する愛が伝わってきます。 …
[良い点] 衣と住は最悪なスタートになるのかな(´д`ι)
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