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空から落ちてきたら、それは運命だ!  作者: 逢坂よしてる
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出逢いは億千万の胸騒ぎ5


――――って、のおおおおー!!

みんな酷すぎない!?

俺、なんか悪いことでもしましたか??

ただ、ただ、純粋にピンクのブタさんを尊重しているだけだという名の下に、ちょっとした下僕精神と下心が見え隠れしてるだけなんですけどぉ!!

くっそお。

これで、紹介される彼女が素敵きらめきハリケーンじゃなかったら、天界だろうと地獄だろうと乗り込んでって、執念深く熱烈な恨み節を延々と切々に囁いてやるんだからな、ぷんだ。


とまあ、メンタルぼろぼろの瀕死状態でも真面目にノートを取って授業を受けきった俺は大変よくできましただと思います。

だから、神様、こんな憐れな少年に素敵な彼女を前借りさせてあげてもいいんだからね。

ね。

心の底から上目遣いで可愛らしく訴えてみたのに残念ながら通じず、目の前にいる自称天使のおブ子様には言えるわけもなく、気持ちを建て直す前に放課後が来てしまった。


ここからは、いよいよ生徒会室に近づかなければいけないという高難度のミッションが待ち構えているわけで、それはそれで憂鬱だ。

可愛い彼女のため、とびっきりの彼女のため……と最強の呪文を唱えながら、無理ムリに気力を絞り出していたら、ピンポンパンポーンが聞こえてきた。


「一年二組の天堂 勇麒君、一年二組の天堂 勇麒君、至急、生徒会室に来るように」


繰り返します、と同じ連絡事項が読み上げられると放送が切れた。

思わず、机の上でおっちゃんこしているりんごさんと見つめ合ってしまった。


「ふん。向こうから呼び出してくれるなんて、いい度胸じゃない。お望み通り、張り切って招かれてやろうじゃないの」


なんて言っているみたいな不敵な笑みで気合い入りまくりのピンクの塊だけど、勇麒君としては、これで堂々と乗り込んでいける大義名分ができたって安心感と、おかげで絶対に行くしかなくなったという追い込まれ感に大人気な挟まれて大変なわけですよ。


そんなわけで、ドッキドキのバックバクで辿り着いた生徒会室の前で深呼吸を数えきるのも馬鹿らしいくらい繰り返してたら、部屋の中からドアが開けられて心臓止まるかと思った。


「ねえ、君。いつまで、不審者してるつもり?」


おもいっきり生徒会長が現れた。

爽やかな清潔感と無駄なくらいの肌の綺麗さに、何もなくともイケ好かない度がギュンギュン上がっていく。


「有酸素運動をしていただけですが!」


先輩相手だとかは、今は気にならない。

なんでもいいから、イケメン爆散しろしか頭にはない。

しかし、相手もさる者で「立ち話もなんだから」と気前よく生徒会室に招き入れた。

何かの罠かと疑いつつも、卑屈な拗らせ男子パワーが強力なもので、軟弱勇麒君を勇気凛々な男子気分に盛り立ててくれる。

貧相な胸板を盛大に張り、ムキムキマッチョな己を肥大妄想で完璧仕上げたところで、あっさりと現実の前に霧散してしまった。


「あ、あなた様は!?」


そこにいたのは、そこはかとなく気だるげに誘う瞳に、ぽってりとした摘み取りたくなる唇。

そして、何より、慎ましいを体現する学生服には納まりきらない色気を垂れ流しの、けしからんボデーを完備しておられる魅惑のあなたは、もしや、もしや、羨ま生徒会ハーレムで一番人気の正統派お色気担当の社 胡桃様では!?


「あら。もしかして、僕ちゃんは私推し?」


「ワンワン、めろめろ、キュンキュンでっす!」


そらもう、尻尾でタケコプターができそうなくらい振ってみせますとも。


「ちょっと、胡桃。色仕掛けで信者を増やすなって、何回言わせるのよ」


奥から飛んできた声に標準を合わせれば、そこには世にも素敵な花園があった。


「つり目に、くるくるツインテールのツンデレ担当、桐生院 麗美様! なんてツンツンしい!!」


「ツンツンしいって、なんなのよ。私は風紀が乱れるって言ってるだけなんだからね」


麗美の鋭い視線は、ワンコロにとってご褒美でしかない。


「まあまあ、麗美さん。落ち着いてくださいな」


そこへ、取り持つように参入してきた人物には、思わず拝んでしまわさった。


「その慈愛に満ちた聖母の如き微笑みは、郷河 桜子様」


ありがたやーと浄化されていたら、その隣でじっと見つめてくるボブ頭の可愛らしい生き物がいた。


「はっ! そこにいるのは、ハーレム内で女子からの支持率がダントツに高い、みんなのアイドル、ロリっ子担当の江永 るるタン!」


勢いに乗って名前を叫んだら、桜子様の背中に隠れられてしまった。

嫌われたのだろうかとしょんぼりしてたら、ちょこっとだけ顔を覗かせてくれて、おまけに、はにかみスマイルを見せてくれるものだから、ドキュンとハートを撃ち抜かれた。

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