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サイバーパンク・デモクラシー  作者: 六年生/六体 幽邃
7部 人体実験「傲慢」
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終章 サイバーパンク・デモクラシー

 

 終章 サイバーパンク・デモクラシー


 年代推定不能霊障の処理を終わらせてから数日後。

 何の変哲も無い日々が続いている。  

 

 ●

 

 霊障被害救済法案可決。

 ニュースはひっきりなしに壱之口の顔を写している。

 

 隣に立つ帯刀が複雑な、しかし、つかえが取れたような顔をしている。

 衆院から参院へ、そして法案は施行されるだろう。


 コンダクターはテレビを消し、縁側へと目を向ける。

 足をブラブラさせ、暇そうにしているカッターの隣に座る。

 

「……」

 

 少しだけ止まった足が再び揺れだす。

 鳥の声が聞こえてきた。

 

 事件が終わり、コンダクターの神社は彼らの受け入れ先となった。

 カッターともう1人、名前を知らない男。


 男はまだ目覚めていない。

 霊障による極度な体力の消耗の所為だ。

 

 眠れば治るだろう、との診断だ。

 コンダクターは手持ち無沙汰なカッターの顔を見る。


 閣下のクローン。

 だが今となっては彼らを神と奉じる気も無い。

 

 あの後、警察の手が入り組織も壊滅した。 

 ある種、無責任に彼らは人間として放り出されたのだ。

 

 カタリ、と物音がする。

 もう1人が起きたのだろう。


 カッターが勢いよく立ち上がり、男の所へ向かう。

 コンダクターもその後ろを歩く。

 

 そう言えば名前を聞かないとな。


 鳥の羽音が空に上る。

 コンダクターは晴れた空を見上げた。

 

 ●

 

「今、時代は!」

「尻!」

 

 霊障対処課は相変わらずである。

 ブッチャーはタバコに火を着けて、荒々しく煙を吐き出した。

 

「AVは男が腰を振る。ゲイビも男が腰を振る。そこに違いなんか無いと思いませんか」

「全然違うわ!」

 

 シーカーの発言にブッチャーは突っ込む。

 いえーい、とハイタッチをする2人を見て、痛む頭を抑えた。

 

 入電、そして画面に現場が映し出される。

 恐らく都内の、病院のような場所だ。

 

 何十年も放置されていたのかボロボロの廃墟になっている。

 大量の蛇が集まった大蛇を模した霊障が建物を陣取っている。


 現時点で要は不明。

 見た所、数百年物だろう。


 何故、あんな場所に、と思った所でハンターが声を上げた。


「あれフォックスじゃね?」

「はぁ?」

 

 ハンターの言葉に画面を凝視する。

 事件の後、とんと見かけなくなった女の出現に緊張が走る。

 

 建物の外にフォックスが立っている。

 無事ではあるようだ。


 一方的な通信である筈の画面越しにフォックスと目が合う。

 口パクで、艶かしく言葉を吐く。

 

『お元気?』


 こちらに来い、という事だろう。

 相変わらずの性根の様だ。


 組織は壊滅しても残党は居る。

 残党を処理しても新たな霊障が発生する。


「ハンター、仕事だ」

「へぇい」


 呼びかけに応え、ハンター達は出動する。

 

 ●

 

 25XX年。

 電子、電脳化が進んだ日本。

 空に街が浮き、上下左右に電磁が飛び交う。

 

 その影響かそうでないのか。

 街に様々な怪異が現れるようになった。


 人々はそれを霊障と呼び、いつの間にかそれに対処する人間達が集まった。 


 人呼んで霊障対処課。

 霞が関、元官庁街を主に行動している。


 完。

 

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