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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第一章 救世主

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第82話 世界滅亡スキル - アルマゲドン -

 もう、何も怖くない。

 恐れる必要はない。



 思い出せば『グロリアスブレッシング』があれば、石化は解けるのだ。

 だから俺は、フォルに耳打ちした。


「おい、フォル。ヤツの……【メデューサ】の石化攻撃は、グロリアスブレッシングを使えば解除できる。だから、全力で発動するんだ。いいな」

「そ、そうですね! 分かりました、SPが持つか分かりませんが、発動し続けます……!」

「あと、これをお前に預ける」

「こ、これは?」


「神器・ジュピターだ」


「え……神器!? リースの欲しがっていたヤツではありませんか……! いいのですか、わたくしで?」

「今の要はお前だからな、使ってくれ」


 指輪を渡そうとするが、フォルは拒んだ。


「いえ……兄様、それはリースにお渡しください。万が一、わたくしが石化してしまったら、解除できる者がおりませんから」


「なるほど! そう言われるとそうか……それじゃ、この神器はリースに。お~い、リース」


「はい~?」


 と、リースはまるで事情を理解していない。

 まあそうだよな。


「リース、これはプレゼントだ。受け取ってくれ」

「これって……指輪。えっと…………もしかして、プロポーズですか!?」


 ぱ~っと顔を輝かせ、今にも泣きそうな顔をしている。

 あ、まずい、そっちの方面に期待されては困る!


「す、すまない、リース。……それは婚約指輪(エンゲージリング)ではないのだ。神器・ジュピターだ」


「え……神器!? なんだ……神器ですか……↓」


 なぜかすっごく残念そうに肩を落とすリース。

 なんで……!?


「ほ、欲しがっていたじゃないか、ジュピターを」

「……ええ、まあ……ですけど、婚約指輪(エンゲージリング)の方がその何千倍も価値がありますから……」


「ええい、分かったよ。リース、これが俺の婚約指輪(エンゲージリング)だ。受け取ってくれー!!」


 もうヤケクソだった。

 俺は、その場に腰を下ろし、リースの左手を取り――薬指にそっと()めた。



「……サトルさん。嬉しいですっ」



 だきっと抱きつかれるが、そんな場合ではない!



「リースよく聞いてくれ。フォルが『グロリアスブレッシング』を連続使用してくれているから、その間は石化にならない。が、万が一、フォルが石化した場合は『グロリアスブレッシング』を使用してくれ。神器・ジュピターの効果で、スキルが使用できるんだ。頼む」


「そういう事でしたか! もっと早く言ってくださいよ~。それでは、あたしにお任せください……ところで『グロリアスブレッシング』の他に――『アルマゲドン』というスキルがあるのですが……これは?」



 ――――ふと、リースを見ると、なんか赤いオーラに包まれていた。

 『アルマゲドン』を使ってしまった……!?



 え……?




 その瞬間、空から途轍(とてつ)もない大きさの、空よりも広く、大きい『超巨大隕石(アルマゲドン)』が物理法則を完全に無視した速度で降ってきた――!!




「なんじゃありゃあああああああああああああああ!?」



 それは都の中心に激突するや、大きなクレーターを穿(うが)ち、全てを吹っ飛ばした。




『うああああああああああああああああああああああああああ!?!?!?!?』




 まくれあがる地面。


 とんでもない爆風。


 全てを破壊する爆音。


 なにもかもが消え去った。




「………………」



 不思議と俺たちは無事だった。



 ただし、都は――世界の表面は全て吹っ飛んだ。

 でもまあ、この世界は『アンチクトン』という裏の世界らしいから……大丈夫らしい?


「……な~んで、俺たちだけ無事なんだろうな」

「味方には影響ないスキルなんですよ」


 と、事情を知るリースは顔を引きつらせた。


「なるほどな……」



「サトル! 都も【メデューサ】も粉々に吹っ飛んだわよ!? なんなの!?」

「兄様、これはいったいどういうことですか!?」

「理くん、どうなってるの!? 世界が滅亡しちゃったよ!?」



 みんなガ~っと怖い顔で押し寄せてきたので、俺は説明した。



「つまり、説明するとだな……かくかくしかじか!!」



「うそでしょ……神器の効果だなんて」

「恐ろしい力でしたよ……破壊者ですか!」

「あれはもう、聖者の力も超えちゃってるね~。さすが神器だよ」



 メサイア、フォル、ベルそれぞれ驚いていた。

 ちなみに、死神たちは驚くというより、放心状態で現実を受け入れられないでいた。……おいおい。



「いや~、神器の威力がここまでだとはな。すごいぞリース」

「え、あの……その。間違って使用しちゃったんです。ごめんなさいっ!」

「間違って使用しちゃったのかよ……。ま、おかげで【メデューサ】は倒せた。レベルが上がったから確かだろう。とりあえず、本当の世界へ帰るか」


 でも、帰り方が分からないんだよな。

 どうしたものか。


「……あ、空が」


 空をぼうっと眺めていたモル子が、指さす。


「お……空が晴れていくぞ!? そうか……あの【メデューサ】を倒すと、元に戻れるのか」



 多分、そういう事らしい。

 事実、世界は色を取り戻し始め――



 普段の光景に戻りつつあった。



 行きかう人々。



 様々な種族。



 活気。



 俺たちは、本当(・・)の『花の都・フリージア』へ帰還した。



「不思議だな……。俺たちだけ別の世界にいたみたいだ」


 俺がそうつぶやくと。

 隣で腕を組み、瞑想していたオルクスが口を開く。


「――そうだ。別の世界にいたんだ。アルラトゥの罠にハマってな。ここまで全て、ヤツの思惑通りだったということだ。……俺たちは、神王に今度こそ状況を伝えに行く。サトルたちはどうする?」



「俺らは【聖地・パーシヴァル】を目指す。奪還したら、すぐにヤツの本拠【聖地・ランスロット】に入り、決着をつける」


「随分遠回りだな。最初から行けばいいじゃないか」

「そうしたいけど、少しは嫌がらせしておきたくてな。ある勇敢な男への手向けなのさ」


「ある男……?」


「……ああ。そいつは、どうしようもないヤツだったけれど、最後に俺の仲間を救ってくれた。だから、もう犠牲を出さないためにもパーティを最強する必要がある。残りの聖地で仲間の能力全てをカンストさせ、それから挑む」


「ほう。なにも考えていないようで、そこまで考えていたとはな」

「おま! 失礼な!」

「……いや、これでも褒めているんだ。十分認めているよ、あなたを。それでは、メサイア様をよろしく。いずれまた」


 オルクスは背を向けて行った。

 そう真面目な顔して言われると、どんな顔していいか分からんな。


「じゃあね、サトルくーん☆ 大監獄(ヘルヘイム)では、あんなことやこんなこと、いろいろ楽しかったよ~♪」

「じゃねー。ボクも行くよ~」


「おう、プルート、モル子。またどこかで会おう」



 死神三人衆は行ってしまった。

 愉快な三人組だったな。



「よし俺たちも……」



「サトル……」「サトルさん……」「兄様……」「理くん」



 ……え゛?



 みんな、なんか顔怖くない……?



「どうしたのかな……?」



「プルートと何を楽しんだのよ!?」と、メサイア。

「そうですそうです! あんな綺麗な人となにをしたんですか!?」これは、リース。

「事と次第によっては……」で、フォル。

「一か月、ご飯抜きだよ!」最後にベル。



「「「え!?」」」



 すると、ベル以外の三人がざわつく。



「え……。ベル、それはちょっと可哀そうでしょ」

「ご飯抜きは残酷ですよ、ベルさん。サトルさんが餓死しちゃいます……」

「ガリガリの兄様なんて見たくありません! むしろ、プロテインを与えちゃいます!」


 そうだ、ご飯抜きは死んじゃうだろ!

 それと、プロテインはいらねーよ!?



 ええい。これ以上は、あらぬ誤解を受けそうだ。いや、既にか。その前に自己弁護しておくか。


「とんでもない濡れ衣だ。俺とプルートには何もなかった。無実だ。それに、他にオルクスとモル子もいたんだぞ、なにも出来やしないって」


「そ、そうね。そう言われてみれば……ごめん」


「いいって。それより、リース……『アルマゲドン』禁止な! この本物(・・)の都で使うなよ!? 今度こそ人類滅亡だからな!?」



「は、はい……気を付けます。あっ……!」



「!?」



「なんかスースーすると思ったら、下着をつけわすれました……。そういえば、あたしとメサイアさんは『家』で寝ていましたもんね……恥ずかしいです」



「……え」



 リースのヤツ……あの晩、酔っぱらって下着つけないまま寝ちゃったのか。まったく、相変わらずぽんこつだなぁ~…と、リースを見つめていれば。



 ぴゅ~~~~~~と風が吹く。



「え……」



 ふわっとスカートがめくれ――。



「あ…………いやあああああああああああああああああああ!!!!!!」




 リースの悲鳴が――都中に響き渡った。

いつも応援ありがとうございます。

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