第7話 ビフロスト - 怪しげな炭鉱ダンジョン -
移動中も【オートスキル】でモンスターを倒しまくった。そんな甲斐もあり、なんとレベルが……!
【Lv.66】 → 【Lv.67】
全然上がってない!!
当然だが、ステータスもあれからほとんど変化なし。おかげでスキルもあまり振れていない。もっと振りたいぞ!
どうやら、レベルが上がりすぎて、フィールドが合わなくなったみたいだ。……こりゃ、頃合いか。丁度いい、この辺りの狩場も飽きたし、別の狩場の、高レベルモンスターのいるもっと経験値の美味い場所に移動しよう。このままでは、上がるものも上がらないしな。
ちなみに、現在の仲間のステータスはこんな感じだ!
メサイア:【Lv.42】
ステータス:ATK1 DEF1 AGI1 INT12 LUK&Cri1
主スキル:建築
リース:【Lv.329】
ステータス:ATK1 DEF61 AGI1 INT366 LUK&Cri1
主スキル:掃除
フォルトゥナ:【Lv.533】
ステータス: ATK205 DEF97 AGI77 INT111 LUK&Cri255
主スキル:料理
一名、ステ振りを殆どしていない怠慢女神がいるな。面倒くさがりにも程があるだろ!? いやしかし、そこはあえてスルーしておこう。
実は、そういう『縛りプレイ』かもしれん。そう思って、優しさも込めて、あえて突っ込まないでおく!(なんか聞いたら面倒そうだし)
――尚、フォルトゥナの『LUK255』は、カンストしているらしい。凄いな。てか、ATK高すぎないか……?
脳筋聖女……?
いや、いわゆる前衛タイプの『殴り聖女』ってところだろうか。今のところ戦闘してないんで分からんが。まあ、いつか見られる日があるだろう。それにしても、レベル断トツで高い。こんなにハイレベルだったとは……驚いた。
「今どのあたりまで来たんだろうな」
「さあ~? マップは持ってないし、分からないわ」
やる気の無さそうに、ベッドで仰向けになっているメサイア。そんな、脱力系女神は、煎餅をボリボリ齧って、まったりしていらっしゃる。一応、女神だよなコイツ?
だらしない。
だらしないが……メサイアのヤツ、スタイルだけは良いからなぁ……こうチラッと盗み見れば、まぶしいくらいの白い肌が。
いや、ダメだ。
煩悩退散!!
エロパワーに負けるワケにはいかないのだ。
俺は、紳士であり続ける。あの日、そう胸に誓ったのだ。
「……仕方ない、今のうちに小屋の改造でも考えていよう」
「サトルさぁ~ん!!」
リースに呼ばれ、小屋の改造構想計画は一瞬にして終わりを告げた。やる気を失った。また今度にしよう。
「うわっ!? どうしたタオル一枚の姿で!」
「この前作って戴いたお風呂なんですけど、壊れました!」
「あ……、あぁ……。やっぱり壊れたか……」
この小屋、以前はベッド(何故かこれだけ高級ダブルベッド)、棚っぽいもの、キッチンのようなもの、トイレくらいしかなかった。それから風呂が必要だと気づいて、メサイアの【建築スキル】で『バスルーム』を拡張したが……適当かつ突貫工事だったため、耐久性がなく、呆気なくぶっ壊れたようだ。
風呂のある方の扉を開けると……。
「あちゃ~。見事に壊れてやがる。ズタボロだ。原形どこいった……」
「でしょう……。危うく、あの大穴から落ちてしまうところでしたよぉ~!」
怖かったのだろう、泣きじゃくるリース。やっぱり、怖かったのか、俺にしがみついてきた。……ち、小さい。リース、こんなに小さかったのか。
にしても……。
俺は、視線を風呂の方に向ける。
適当に作った風呂のあった床は、底が完全に抜けてしまっていた。そこには……大きな穴が。大変風通しのよい状況になっとる。
こりゃ……ミンチよりヒデェや。
今、オッサン四人が小屋移動してくれている。移動がトロイとはいえ、落ちたら地面まで2メートルくらいはある。真っ逆さまだ。ケガどころじゃ済まないだろうな。複雑骨折は免れないかも。
「……こりゃダメだな。おい、メサイア、風呂ぶっ壊れたぞ」
「ホント~? じゃ、ちょっと、そのキモイオッサン止めて」
「分かった。直すんだな?」
「そうするー。だって、お風呂入れないのはキツイも~ん」
「じゃあ、もっとまともな風呂を作ってくれよ」
「無理よ。だって、材料がないんだもの」
「この前大量にあったろ。『スクリームウッド』から採れたやつ」
「あれね、日々の修繕とかで使用済みよ。小屋だけは維持しなきゃ、すぐボロボロよ? あとほら、最近、まともなキッチンも作ったでしょ。だからもう、あんなボロ風呂しか作れなかったのよ」
そういう事情か。
早く言って欲しいものだね!!
「移動は止めた。これでしばらく移動はナシだな。おーい、フォル」
俺は、洗濯しているフォルを呼び止めた。
「はいは~い。どうしたのですか~?」
「晩飯を頼むよ。俺はちと外へ出て、サクっと木材を集めてくるからさ」
「出掛けられるのですね」
「ああ、たまには動かないと身体が鈍ってしまうからな」
◆
久しぶりに外の世界に出た。
【炭鉱ダンジョン - ビフロスト前】
そんなダンジョンの名前がチラっと見えた。
ほうほう、気づけば俺らはそんなダンジョン前にいたのか。
どこやねん。
「いや……なんとなく覚えがあるけど、朧気なんだよなぁ。くそう、俺の記憶どうなっちまってるんだか。……まあ、炭鉱ダンジョン前か。ということは、木材とか色々落ちているかもしれんな」
これから始まる冒険に心躍っていると、後ろから服を引っ張られた。
「なんだ、メサイアか。たまには外に出る気になったか」
「そ。暇だからついていくわ~」
「リースとフォルはいいのか」
「あのふたりなら大丈夫よ。ふたりともああ見えて、超強いから。モンスターに襲われても何とかするでしょ」
んな適当な。
――が、確かにステータスは無駄に高かった。超高レベルでビビった。
あんな強いエルフと聖女だし、家事スキル以外のなんか凄いスキルもあるんだろうな。いつか見せてもらいたいものだ。
「オーケー。じゃ、ペアパーティでいくか」
「パーティも何も、サトルの【オートスキル】で突き進んでいくだけだし、さっさとレッツゴ~よ」
「あ、おい」
ゴ~と拳を掲げ、メサイアはどこか楽しそうに先陣を切った。やれやれ、まあいいか。
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