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第535話 三女神のスキル『ジェットストリームなんちゃら』

 女神であるオルクス、プルート、モルスは上空でガスマンを取り囲む。

 凄い魔力が溜められていき、地上では地響きがしていた。……マジか。あの三人、いったい何をする気なんだ。


「てか、メサイアは参加してなくていいのか?」

「残念だけど、私にできることはないわ!」


 煎餅(せんべい)をリスのように頬張りながら、真剣な顔して何言ってんだよ! まるで緊張感がないな!


 呆れていると上空ではガスマンがニヤっと笑っていた。



「愚鈍な女神共が。貴様たちの攻撃によって、私の【オートダークスペル】が発動するのだ! その瞬間、お前たちは終わりだ!」



 確かに、ヤツに攻撃を加えればその瞬間に反撃される。オルクスたちは何か策はあるのか……?



「大丈夫よ、サトル。オルクスたちはきっとやってくれるわ」


 と、完全に人任せなメサイア。お前、それでいいのか……!?

 いやしかし、こうなったらオルクス達の力を信じるしかない。


 次第に力は膨れ上がっていく。ついに攻撃が始まるらしい。



「……す、凄い魔力量です!」


 エルフであるリースは、空中に広がる魔力に息をのむ。魔法使いである彼女が言うのだから、これは相当なものだ。


 そして、ついにオルクス達はスキル名を叫んだ。



「「「ジェットストリーム――」」」



 って、まてーい!

 その技名はちょっと、いや、かなり危険すぎるって!



「「「チェーン!!」」」



 と、思ったが『チェーン』だった。オルクス、プルート、モルスの両手から光の鎖が現れ――それが生き物のように伸びた。それから、ガスマンの体に巻き付いていた。まるで蛇だ!



「な、なんだこれはッ!!」



 おぉ、これは攻撃判定ではないと判断されたのか【オートダークスペル】は発動していなかった。ガスマンも、これには予想外だったようで混乱している様子。



「なるほど! ジェットストリームチェーンとはね!」

「知っているのか、メサイア」

「当然よ。女神だもん」



 えっへんと威張るメサイアは、スキルの詳細を教えてくれた。



【ジェットストリームチェイン】

【効果】

 女神専用スキル。

 膨大な魔力を消費するが、聖属性魔法の鎖を生成。対象を捕縛し、逃れられなくする。このスキルから脱出はできない。ボスモンスター系にも有効。

 対象は、このスキルで捕縛されている最中は移動不可能になる。スキルを発動できない。アイテムの使用もできない。



「こりゃあ、凄い! これならガスマンは身動きできないわけだ」

「そうよ。そして、私がトドメを刺す!」



 そうか!

 それで女神が四人必要だったのか……!

 フォーチュンの助言は本当だった。おかげで魔人を撃破できそうだな。



「よし、やっちまえ! メサイア!」

「任せなさいっ」



 白い翼を広げるのかと思いきや、そうではなかった。メサイアは建築スキルを発動して、小屋を移動してくれていたオッサンを召喚。筋肉ムキムキのオッサンが現れた。


 なんで、オッサンなんだよ!?


 そいつは小屋の移動しかしないだろうが!



 ――と、思ったが、メサイアを軽々と持ち上げていた。……ま、まさか砲丸投げでもして空を飛ぶ気か!? んな無茶な!



「あ、兄様! 姉様は大丈夫なのですか!?」

「さ、さあ……これは初めての事態で……未知数だ」

「えぇ……」



 さすがのフォルも動揺しまくっていた。その気持ちすごく分かる。今の俺ですら理解がまったく追い付いていないのだから!


 だがしかし、メサイアは希望に満ちていた。


 オッサンはついにメサイアを砲丸投げして、空へ飛ばした。ありえねえッ! 物理法則はどこへいった! もうどうでもいいか!!



 ぴゅ~~~んっと飛翔するメサイアは、とうとうガスマンに接近。



「くらええええええッ!」


「め、女神!! 貴様、なにをッ!!」


「サトルからパクった必殺技よ! エンデュランス!!」



 んなあああああああ!?

 俺の十八番(おはこ)じゃねえか!! メサイアのヤツ、なんで使えているんだよ!!


 叫んでいる間にも、エンデュランスは“光の柱”となってガスマンを覆った。ちょ、なんだこの巨大な光の柱! ちょっと神々しいというか、俺の時とはちょっと違う。

 俺の場合は『槍』として生成されるが、メサイアの場合は『柱』なのか。ていうか、どうして使えているんだよ。マジで!


 いや、まさかメサイアもコピースキル『イミテーション』を使えるようになったのか?


「ぐああああああああああああああああ……ッッ!!」



 とうとうガスマンは断末魔を上げ――消滅した。今度こそ木っ端みじんに吹っ飛んだ。

 周囲は、まばゆい閃光に覆われ、しばらくは目を開けていられなかった。……なんちゅう威力だ。いつもより高火力に思えた。ひょっとして、俺よりダメージ高い?



 しばらくしてオルクスがメサイアを抱えて地上へ戻ってきた。



「ただいま」

「お、おかえり。メサイア……お前、いつの間にエンデュランスを……」

「ずっと隠していたんだけど、エンデュランスはもともとアルクトゥルスから授かった女神スキルなのよ」


「なにっ!? そうなのか!?」


「でも、女神族で使えるのは私だけよ。派生でシャイン・ブレイズ・フィンガーやらホワイト系を使ってるわけ」



 そ、そうだったのか!

 さっきはパクったとか言っていたが、実際はそうではないようだ。本当に使えるようだ。

 そういえば、そのメサイアの唯一の必殺スキルも聖属性だな。かなり強力だから、おかしいとは思ったが。



「なんかショックだぜ」

「なんでよ。言っておくけど、私とサトルの専用スキルといっても過言ではないのよ。むしろ、喜んでよっ」


「……そ、そうだな。世界で二人しか使えないってわけか」

「そそ!」



 メサイアは妙に顔を赤くしていた。まさか、ずっと隠していた理由って……まさかな。

 ……いや、表情にですぎだろ。照れすぎ!


 そんな風にされると俺も顔が熱いぞっ。……いいか、メサイアならなんか不思議と許せちゃうな。

近々お知らせができそうです!

10月10日頃に改めてあとがきにてお知らせいたします。

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