第528話 釣りクエスト完了! 報酬アイテムゲット!
釣りを楽しんだ後、俺は『世界ギルド』へ向かい、受付嬢のお姉さんにクエスト完了の報告をした。
「大きい魚を30匹釣り上げるクエスト、完了ですね」
【釣りクエスト】
【難易度:A級ランク】
大きい魚を30匹釣り上げて世界ギルドに報告。
報酬:エクサニウム×100個
「お~、せんきゅ!」
これこれ。このアイテムが必要だったんだよな。
「サトルさん、それって精錬アイテムですよね?」
不思議そうに鉱石を見つめるリース。
「ああ、そうだよ」
「なにか防具を強化するんですか?」
「んや、これで特殊転移ゲートを作る」
「ゲートって、あの花の都フリージアにもあった……?」
「そそ。あのゲートを各聖地にも設置すれば、もっと集客できるからな」
「なるほど! その手がありましたか!」
今のところ、この島と花の都フリージアでしか行き来できなくて不便なんだよな。だから、聖地アーサーなど各地にも特殊転移用のゲート『レンブラント』を設置すれば、もっと多くの人を呼べるわけだ。
あと、なんなら聖地アーサーへ寄れるからな。
「ところで兄様」
「なんだ、フォル?」
「そのお体、直さなくていいのですか? ずっと子供のままではありませんか」
「ん~、そうだな。不便はないし、このままでもいいけどな」
「……た、確かに、子供の兄様は可愛いのでこのままでもよいのですが、筋肉好きのわたくしとしては……その、ちょっと口寂しいといいますか」
口寂しい?
え、なにそれ怖い。
しかしそうだなぁ、大人の俺に戻りたくもあるような気がしないでもない。
「いや~、あのチビッ子すげぇな」「あんな子供が大物の魚を何匹も釣り上げてさ~」「子供なのにA級クエストを達成するなんて」「ああ、ぜひウチのギルドに来てほしいな」「本当何者なんだ?」「サトルって言うらしいぜ」「ン? どこかで聞いた名だな」
――いや、もうしばらくこのまま方がいいかも。
きっと魔人をぶっ倒せば元に戻るさ。
というわけで俺は気にせず家に帰ることにした。
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島の中央に位置する巨大な別荘。メサイアがノリで魔改造しまくった結果、とんでもない規模になっちまった。
周囲にはカジノやモンスターレース場などの娯楽施設。
世界ギルドにアイテムショップ、鍛冶屋からペットショップまでなんでもある。もう以前の無人島の面影なんてほとんどなかった。
しかし、通りはまだ人が疎ら。
ちょっと寂しい風景が続いているので、やはり外部から人間を呼ばねばならない。空いている別荘もまだまだあるというし。
今頃もグースケとパースケは営業に奔走しているはずだ。
あの二人には最大の報酬をプレゼントだな。
帰宅すると早々、グレンが土下座していた。メサイアに対して。
……ナンダコレ。
「……頼む! 私の店を作ってくれッ!」
「えぇ……」
メサイアは明らかに面倒臭そうにしていた。……実際、面倒なんだろうな。ここ最近、働きすぎて疲れているだろうし。
「この通りだ、メサイア様!」
「うーん……」
「貴族であり、聖騎士である私がこんなに頭を下げているのだぞ……!」
エビ反りしているじゃねえか!
グレンのヤツ、土下座はどうしてもしたくないらしい。それでも十分、不格好だがな。
ここは助け船を出してやるか、メサイアに。
「ただいま、メサイア」
「ん、サトル。戻っていたのね!」
俺はメサイアに耳打ちした。
「まあな。グレンだが……金を取って店を作ってやればいい。その方が潤うだろう」
「なるほど! それならいいわ」
金を払ってくれるならとメサイアは、グレンに交渉。すると、グレンはあっさり快諾した。さすがアーカム家の貴族様。
明日には材料をそろえて近所に作ることを約束。
行動が早くてありがたいとグレンは、感謝して去っていった。単純なヤツめ。
「メサイアさん、ただいまです!」
「ただいま~、姉様」
リースとフォルは、メサイアと挨拶を交わした。それから風呂へ向かった。今日は結構動いたからな。釣りをしていると、どうしても生臭くなる。
「で、サトル。収穫は?」
「ああ。釣りクエストを終えた。エクサニウム100個ゲットだ」
「……は? こんな石ころで、どう生活の足しにするのよ!?」
ぷんすか怒るメサイアだが、これは想定内だ。俺は説明をした。
「いいか、メサイア。このエクサニウムを使い、お前の建築スキルで特殊転移用のゲート『レンブラント』を作るんだよ……!」
「え」
「そして、各聖地に配置しまくって更に集客する!」
「……! な、なるほどねえ! 頭いいわね、サトル! 作り方なら、きっとミクトランが知っているはずだし」
「その為に世界ギルドの釣りクエストを受けたからな」
「さすがね。キスしてあげるわっ!」
メサイアは抱きついてくるなり、俺の頬にキスを何度もしてきた。おいおい、完全に子供扱いじゃねえか。……スゲェ嬉しいけど。
さて、これでアーサーにも会えるだろ!
そう、俺たちの旅の目的はアーサーに会うことであった。それがこんな形で叶うとはな……魔人問題もこれで一気に解決できるかもしれないな。




