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第527話 女神大集結!

「――で、女神は見つかったのかよ? 三人も必要なんだぞ」

「ええ、見つかったわ!」


 えっへんと威張るメサイアだが、それらしき影も形もなかった。胡瓜(キュウリ)をハムスターのように頬張る駄女神しかいないんですが。



「どこにいるんだ?」

「“私”の中にいるのよ」


「はあ? お前の中に?」


「ホワイトよ。ホワイト」

「な、なるほど……我が家に収納していたわけか」



 どおりで姿が見えないと思ったら、わざわざ『ホワイト』に入れてくるとは。しかし、なんで……?


 首をかしげていると、メサイアは「海の中に出ちゃったからよ」と答えた。ああ、そういうことね。



「それで、女神って誰なんだい?」



 ベルはメサイアの肩に手を置き、聞いてくれた。話を進めてくれて助かる。



「みんな会ったことあるでしょ。彼女たち(・・・・)よ」



 ホワイトが目の前に展開される。白い空間が蜃気楼(しんきろう)のように揺らめき、中から人影が現れた。それは確かに『三人』だった。



 ――って、ああっ!



 そうか、コイツ等が生存していたっけな!


 さすがの俺もその三人の顔を見て思い出した。



「オルクス、プルート、モルス! 久しぶりだなあ!」



 出会った頃はコイツ等もメサイア同様に【死の呪い】によって、死神化していた。かつて、メサイアとは死の魔王・ゾルタクスゼイアンを討伐する為に協力していたっけな。


 結局、俺がぶっ倒したんだけどな。


 とはいえ、オルクス達の死神スキルがなければ攻略できなかった部分もあった。今でもステータスを底上げする『オーバードライブ』にはお世話になっているしな。



「やあ、サトル……って、本当に縮んでる!?」

「なんだ、オルクス。メサイアから俺のことを聞いていたのか」


「ここへ来る前にね。子供の姿とは驚きたよ」


 プルートもモルスも俺の姿については把握済みらしい。なら説明は不要だな。


「すまんな」

「いや、それよりも何年ぶりだろうな」

「いやいや、そんなに経ってないって。多分、半年くらいか」

「そうだったか?」



 相変わらずの超絶イケメン。王子様と言われたら信じちゃうような整った容姿。これで女性で女神なのだから驚くばかりだ。



「いえーい、サトルくーん!」

「元気そうだな!」



 プルートも相変わらずギャル全開で、キャピキャピしとる。ネイルも長くて綺麗すぎる。本当に女神なのか疑いたくなるね。だが、女神だ。



「あはは、オルクスもプルートもサトルさんに久しぶりに会えて嬉しいんだよ~。ボクも嬉しいですけどね!」



 ボクっ子のコイツはモルスだ。

 背丈はリースと変わらないが、ただ……モルスは“ぺったんこ”であり、胸が悲しいことになっている。



「……懐かしい」

「ど、どこを見て言っているんですか!!」


「すまん、つい」

「……うぅ、気にしてるのに」



 そうだったのか。女神でぺったんこって珍しい気がする。

 ジロジロ観察していると、メサイアおよび、リースにフォル、そしてベルが俺を確保。女神たちから引きはがしていた。


 なんでだよっ!



「ヘンタイですか、兄様!」

「お前に言われたかねーよ、フォル」

「ありがとうございます!!」

「褒めてねえよ!?」



 とりあえず、これで女神が揃ったわけだ。

 この島に四人も女神がいるなんて奇跡だな。

 これなら魔人をぶっ倒せる可能性がグンと上がる。フォルの母親であるアイファも元に戻せるはずだ。



「おやおや、警戒されているようだね」


 オルクスが近づいてくると、珍しくリースが猫のように威嚇していた。……え、マジで。



「シャー!」


「可愛いエルフさんだね。へえ、私の好みだ」



 リースは呆気なく確保され、手を“ぎゅっ”と握られる。キスできるくらいの距離で顔をぐっと近づけられて「――え、きゃあっ!?」と叫んでいた。なんか禁断のシーンみたいになっとるぞ……!


 おいおい、リースの顔が茹蛸(ゆでだこ)のように真っ赤じゃないか!!


 く、悔しい……じゃなくて、オルクスは女だ!

 嫉妬する必要はなかった。


 だが、危険だ。



「おい、オルクス。俺のリースに手を出すな。百合になっちまうだろ」

「いや~、あまりに可愛らしいエルフのお嬢さんだったので、つい……」



 お前が言うとシャレにならんのだが。



「今日のところは別荘(ヴィラ)に案内するわ」



 手を鳴らすメサイアは、オルクス一行を泊めるらしい。その方が都合がいいか。

 いつでも“女神たち”を出動できるようにしておけば、魔人が来ても苦戦することはないだろう。たぶん。


 オルクスたちのことはメサイアに任せた。


 残った俺たちは、釣りクエストを再開だ。



「じゃ、わたしは用事があるから」



 ベルは微笑むと、街中に消えていった。最近、用事が多いな。まあいいか、アイツは自由奔放の聖戦士なのだから束縛する必要はない。



「…………はぅん」



 目をぐるぐるさせているリースは、今にもぶっ倒れそうだ。まだ逆上せていたのかっ。


「グロリアスヒール!」



 フォルが回復魔法をリースに施すが、それで冷めるものかね?


 様子を伺っていると「ハッ」と意識を取り戻すリース。支援魔法スキルでいけるのかよ。



「あ、ありがとう……フォルちゃん。おかげで頭が冷えました……」

「リースはよわよわですね~」


「はぅ」



 なんだそのヤリトリ。

 とにかく、俺は釣りクエストを進める。大物を釣ってレアアイテムをゲットするんだ。

 と、意気込んでいるとフォルが拳に魔力を込めていた。



「――って、まてえええ! 拳で魚を釣る気か!?」

「わたくしの(ケン)なら一撃ですよ。海だって割ってみせます」


「んなアホな」



 いや、以前やっていた気がする。

 しかも、この聖女に不可能という字がないからなぁ……絶対にやりきってしまうんだよな。



「それでは――覇王、」

「すとーっぷ! 普通に釣りを楽しませてくれ」


「そうですかぁ」



 あぶねぇ、桟橋(さんばし)が吹き飛ぶところだったぜ。

【お知らせ】

コミカライズ企画順調に進行中です!!

お披露目もそう遠くないと思われます。

お楽しみに!!

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