第514話 蘇生回数復活!!
俺はついに蘇生回数を増やすことに成功した……!
【チェルノボグ】
【効果】
スキルの発動には魔力を全て消費する。
死神の力により、自分あるいは対象のライフストックをひとつ増やす。死亡した場合、肉体(内臓含む)に欠損があったとしても完全に蘇生する。
このスキルは一か月に一度しか使用できない。
「おぉ! ひとつ増えたな!」
「よかったわね、サトル。これで魔人にやられても安心だわ」
「ああ、助かったよ。でも、魔力を全部使わせちまったな」
「大丈夫よ。魔力回復ポーションを飲めばいいし」
そうだったな。
俺は運搬スキルにあるアイテムボックスから、魔力回復ポーションを取り出してメサイアに渡した。
「よし、あとはメサイアの提案した無人島開拓か」
「ここならミクトランのミレニアムで守られてるし、安全よ」
「いや、結界はさっき俺が壊しちまったよ」
「え……あ、そっか!」
「本気を出しすぎちゃった」
てへぺろと舌を出すと、メサイアは嘆いていた。
「あぁぁん、もう! これじゃあ、魔人サリエリに襲われるじゃない」
「仕方ないだろう。お前を救出する為だったんだから……」
「そ、それは嬉しいけどさ」
妙に頬を赤くするメサイアは、明らかに照れていた。……やっぱり、死神になってからツンツンはしなくなったような。いや、気のせいかな。
話を終え、俺とメサイアはみんなと合流――って。
すでにチャルチとアロンダイトは、海水浴を満喫していた。ベルも交じってるし。
「ひゃっほーい!」
「……チャルチ、海を凍らせるな!」
子供のように燥いでいるな、チャルチのヤツ。一方のアロンダイトは優雅に泳いでいた。花の騎士たちがオフになると、こんな人間味があったのかよ。
いつも機械人間みたいに見えていたが、印象がだいぶ変わったな。
「どうやら、蘇生回数を増やせたようですね」
ぬっと現れるミクトランは、嬉しそうに目を細めていた。……だろうな。自分自身が助かったのだ。安心だろう。てか、俺にもっと神様的な力をくれたよなぁ……?
現状『アルクトゥルス』という称号だけで、ほんと変わらんとは不便すぎるぜ。
「前から思ったんだが、ゴッドスキルとかないのか?」
「そんなモノありません」
「ハッキリと!」
「残念ですが、サトル殿は既に最強の【超覚醒オートスキル】をお持ちだ。これ以上は欲張らないことです」
そうだな、多くを望むと破滅しかない。
自力で――というか、自動でなんとかするしかないか。それが一番面倒がなくていい。
「兄様ぁ~、一緒に泳ぎましょう♡」
超大胆な純白マイクロビキニのフォル。水着なのでセーフだが――これは刺激が強すぎるって。どこでそんなモン売ってるんだよ……!
つーか、またスタイル良くなったか……?
「むぅ、サトルさん。フォルちゃんばかり見てますね……」
「あ、いや……! リースも凄く似合ってるよ。その花柄のフリルビキニ」
妙に透けているように見えなくもないような、絶妙な水着だった。とても可愛らしくて、まぶしすぎる。リースほど可愛いエルフは、この世に存在しないだろうな……!
正直、ずっと見ていられる。
そうだ、せっかくだから目の保養をしておかないとな。
「……あ、あのぅ。そんなに見られると恥ずかしいですっ」
「あはは、すまんすまん」
さっそく、みんなと泳いで遊ぶか!
メサイアも連れ、あとおまけでミクトランも一緒に海水浴を楽しんだ。こんなスローライフはいつ振りだろうなぁ。
リュウオウノツカイを苦労してぶっ倒して手に入れた安息だ。
元を取っておかないとな!
◆
日が傾き始めていた。
一度、ネオフリージアへ戻るべきかなと思ったが、俺はふとメサイアの提案を思い出した。
「どうする?」
「もちろん、家を建てるわ。みんなで住むの!」
「でも、ミレニアムはないぞ? 守護結界がない以上、俺たちは丸裸も同然だ」
「……そうね」
こんな時はミクトランだ。そろそろ魔力が回復している頃合いだろうか。
「なあ、ミクトラン。なんとかならないか?」
「そんな、猫型ロボットのミクえもんみたいに頼られても」
「なんで知ってる……って、まあ当然か」
「――まあいいでしょう。あなたとメサイアがやろうとしている事は面白そうなので」
「なんだ、知っていたのか」
「ええ。無人島開拓とは考えましたね。ですが、いいのですか?」
「なにが?」
「あなた方は『聖地アーサー』へ向かっていたはず。アーサーに会わなくてよろしいのですか?」
俺たちの最大の目的はソレだった。
レメディオスを旅立ち、道中にいろいろあって、まさか花の都ネオフリージアにたどり着くとは思いもしなかった。
懐かしい面々とも再会できたしな。
だが、魔人サリエリの存在が厄介だ。
今の状態で聖地アーサーへ行ったとしても、命を狙われることに変わりはない。
俺もメサイアも、なんなら全員狙われている。
だったら、まずはこの無人島で金を稼いでからも遅くはないだろう。
俺は常に先を考えている。
備えあればなんとやら……! 慎重に越したことはないさ!
決して“面倒”だからじゃないぞ。うん!




