第505話 レアアイテム入手まで三日まて!
グレンに連れられ、なぜか俺は屋上へ連れて行かれた。
花の都ネオフリージアの夜の街並みが結構綺麗なことに驚かされた。こんな夜景があったとはな。
景色を眺めていると、グレンは指を鳴らして火属性スキルを発動。
周囲に設置されているキャンドルに火が灯された。
結構な数を置いていたんだな。
それが妙に幻想的に移って映えていやがった。
「――で、俺になんの用だよ」
「サトル。お前の本来の目的はなんだ?」
「そういえば言ってなかったな。俺らはもともと『レメディオス』にいたんだよ。それこそ、純正の花の都フリージアがあった場所だ」
「やはりか」
「知っていたのか?」
腕を組み、遠くを見つめるグレン。なんでそんな真面目なんだよ。
「いや、きっとレメディオスで元気にやっているだろうと思っただけだ」
「なんだそりゃ。しかし、お前たちはなぜレメディオスにいなかった? そや、リースの姉のカローラは向こうにいたがな」
「カローラか。彼女は騎士を引退したからな」
それは知っている。カローラは現在、レメディオスの魔導図書館で勤務している。
「で、このネオフリージアで満足しているのか」
「ああ、ここはかつてのフリージアを完璧に再現している。それで十分だろう」
「そういうモンかね」
「お前だって懐かしく思わないか」
「そりゃ……ねえ」
正直、俺はフリージアもレメディオスもどっちも好きだけどな。
レメディオスの方にはネメシア達もいるから。
向こう向こうで思い出が沢山あるからな。
「お前たちはまた“聖地巡礼”をしているのだな」
「そんなところだ。本当は聖地アーサーへ行こうと思っていた。だが、あの魔人サリエリのせいで足止めさ」
「なるほど。ようやく平和になったかと思えば……また一大事だな」
「ああ、そうだな」
最近まで天帝――というか、ラグラス・アドミラルに支配されかけたり、神聖国ネポムセイノのジークムント・ケッヘルと戦ったり……なかなか物騒だった。
いずれも俺が阻止したがな。
そして、今回は『魔人』ときた。
この世界は俺を飽きさせないな。
「聞いたところによれば、サトル。お前は“神王の座”についたとか」
「知っていたのか」
「ミクトラン王に聞いたのさ」
ミクトランめ、重要機密をベラベラ喋りすぎだぞ。俺がアルクトゥルスってのは、あんまり周知されない方がいいんだ。神秘性が薄れるからな。あと希少価値も。
「今は名ばかりだ。それほどのチート能力もないんでね」
「ち、ちーと?」
「ああ、いや――つまり、神スキルはないってことさ」
「そういうことか。では、今までとはそれほど変わらないと?」
「とはいえ、以前に比べれば俺たちは強くなっている。あとは『ルーンストーン:ウィン』さえ入手できればな」
「む? アグニがそのようなことを口にしていたな」
そうだ。アグニに協力を仰いであったんだっけ。忘れていたよ。
とはいえ、頼ってばかりも悪い。
「グレンも協力してくれ。魔人を倒すためだ」
「いいだろう。では、ルーンストーン:ウィンに関しては我々アーカム家に任せろ」
「いいのか!」
「ああ。もう俺たちは仲間だ。このネオフリージアを守る為なら、なんでもするさ」
そりゃ頼もしいね。貴族の力を借りれるのはデカイ。人脈もあるだろうし。
ならば、ルーンストーン:ウィンの入手も容易だろう。いけるな!
「そっちは頼んだ」
「三日程度まってくれ」
「対応が早いな」
「これでも父は辺境伯なんだ」
「そ、そうだったのかよ」
確か、辺境伯って結構な地位だったはず。
あのグレンの父親プロメテウスは、そんな偉い人だったとはね。
なんであれ、これでアイテムの入手は進みそうだ。
グレンとの話を終え、俺は部屋へ戻ることに。




