第501話 アイテムショップを探せ!
【花の都ネオフリージア:中央噴水広場】
のどかな噴水広場の木製ベンチに座る俺とメサイア。リースとフォルもいた。ただ、ベルの姿はない。アイツはスキル振りに没頭していた。
いや、それだけでもないらしい。
ステータスも初期化して、振り直しているのだとか。タイプを変更するらしいが――いったい、何型にする気だ? パワータイプなのか、スピードタイプなのか色々気になるところだ。
――さて、それよりも。
ついに約束を果たしてやったぜ。
「……(もぐもぐ)」
俺の隣でメサイアは、サクラクレープを美味そうに食っていた。
これでもう不満を垂れられる心配はないな。
「美味いか?」
「……(うんうん)」
必死に食っているせいか、うなずくことしかできないメサイア。小動物のように可愛いな。
黙っていれば美少女でしかないんだがな。
リースとフォルもサクラクレープを味わっていた。二人してキャッキャして楽しそうである。
――さて、これからどうするべきか?
魔人サリエリが襲ってくる気配は今のところないが、ヤツが放っているモンスターは厄介だ。非常に強く、倒すのに苦労した。
マナスから貰った『ルーンストーン:ウィン』のおかげで勝利したが、今後も使用して討伐しないといけないな。となると、ルーンストーン:ウィンの入手が最優先だな。
前に貰ったヤツは消費してしまったからな。
「なあ、リース」
「はい、なんでしょう?」
「ルーンストーン:ウィンって知ってるか?」
「ええ、もちろんです。ルーンストーン:ウィンは、エルフ族で重宝されている魔法石ですからねっ」
やはり、エルフが作った魔導アイテムか。
「入手方法は? お店で売ってるのか?」
「はい。エルフ族の経営するアイテムショップで売っていると思います」
ふむふむ。この花の都にエルフ族のアイテムショップがあればいいんだがな。
ここは幸い、中央噴水広場。
周囲はお店だらけだ。
錬金術師のポーション屋、ブラックスミスの鍛冶屋、モンスターペットショップ、そしてアイテムショップがいくつも。
あのお店のどこかにあるかな。
「兄様、兄様」
「なんだ、フォル」
「このわたくしがアイテムショップを探してみせましょうか!」
「ふむ?」
「わたくしの幸運なら、一発で当てられるかと」
「なるほど! フォルの運に期待しよう」
「では、さっそく!」
「頼んだぜ」
サクラクレープを食い終えたフォルは、ベンチから立ち上がりまずは周囲を見渡した。
さてはて、一撃でエルフ族の経営するお店を当てられるか。いや、この強運聖女ならきっと――。
「……む、あの奥のお店が気になりますね!」
「奥って、かなり向こうか」
「ええ。行ってみましょう……! あ、わたくし、サクラクレープをもう一個!」
フォルは、サクラクレープの魔力に取りつかれているらしい。目をハートにしているし、テコでも動きそうにないな。
となると、メサイアでも連れていくか。
「メサイア、付き合え」
「えぇ……」
めちゃくちゃ嫌そう!
でも、強制だっ!
「行くぞ」
「……仕方ないわね」
文句を言いながらも、なんだかんだで重い腰を上げるメサイア。
リースとフォルはベンチから動かないように強く言っておいた。万が一、はぐれたら大変だからな。
知らない人にもついていかないようにと指示を出した。
「「はーい!!」」
二人とも素直に返事をした。
なら、大丈夫だろう。
メサイアを連れ、奥の店へ。
中央噴水広場から、なかなか離れた場所にあった。結構歩いたな。
扉を開け、中へ。
お店の中には――エルフがいた。おぉ、しかも大人の女性だ。なぜか着物姿だが……色気があるなぁ。
「ちょっと、サトル。なに鼻の下のばしてんのよ」
ジトッとした目で俺を見るメサイア。お、妬いてんのか。
「すまんすまん。それより、買い物だ」
「さっさと買って帰りましょ」
「そう慌てるなって」
俺は、女性エルフに『ルーンストーン:ウィン』がないか聞いた。すると――。




