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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第十三章 新世界

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第495話 ティータイム - 紅茶とフィナンシェ -

 席に着き、しばらくするとフォルが紅茶を出してくれた。

 う~ん、凄くイイ香りだ。上品すぎて今だけなら貴族の気持ちが解った。


「――甘いものが欲しくなるわね」


 優雅に紅茶を味わうメサイアは、フォルに視線を送る。


「お菓子もどうぞ」



 キツネ色をした長方形の物体が複数お皿に。

 こりゃ……もしかして、もしかすると!


「フォル、これはフィナンシェか?」

「そうなんですよ、兄様! 花の都の名物のひとつです。サクラクレープが有名ですけど、このお菓子も大人気なんです」



 へえ、フィナンシェとは、これまたオシャレなお菓子だな。甘くて美味しいんだよなぁ。

 さっそく一口いただこうとしたが、メサイアに取られてしまった。



「うわぁ、甘くて美味しいっ!」

「メサイア……」

「なによ、サトル。ゾンビと遭遇したみたいな表情して」


「そんな顔はしてねぇよ!? まあいいけどさ」



 リースやベル、おまけにグレンもフィナンシェを味わっていた。俺の分が……! くそう、食えなかった。

 涙を堪えていると、フォルがお菓子を追加してくれた。



「はい、兄様。フィナンシェはまだありますから」

「さすが聖女だぜっ」


 よかった、在庫はまだあったようだ。ひとつ貰い、俺はさっそくフィナンシェを口にした。……んまッ! 甘くて口の中でとろけるような食感。これは一度口にしたら、止まらなくなるヤツだ。


 糖分を摂取して、俺もみんなの脳も回復した。



 ――さて、ここからが本題だ。



 空気を察したのか、フォルは語り始めた。



「正直、この花の都ネオフリージアには驚いています」

「ふむ?」


「だって完全再現されているんですよ。本来はレメディオスにあった花の都が……こんな形で復活するなんて、ありえないことです」



 そうだな。どうせ復活するならレメディオスにして欲しかったところだ。だが、そうはならなかった。

 レメディオスには、すでにカルミア女王がいる。多くの民もいる。ネメシアたちもな。だから今更、あの場所を明け渡せとは言えない。それに、ずいぶんと世話になったしな。

 だから、こんな形での復活は俺はむしろ嬉しかった。当時のそのままが再現されていて懐かしいし、やっぱり俺は『花の都』が好きなんだと実感した。



「えっと……フォルちゃんのお母さまと何か関係あるのですか?」



 俺も思ったことをリースが代弁してくれた。

 そうだ。一番知りたいことはソレだ。

 この花の都ネオフリージアに到着して早々、フォルは顔色を変えてここまで突っ走ってきた。


 聖女アイファ。


 いったい、なにをそんな慌てていたのか。



「あくまで推測ですが、この花の都ネオフリージアを作ったのはお母さまです」



 さっきも言っていたな。

 創造したかもしれないと。


 聖女にそんな力があるのか――?


 いや、ないとも限らないが。



「ふぅん。フォルのお母さんにそんな魔法が。まるで、私の建築スキルみたいね」



 いやいや、メサイア。お前のスキルとはだいぶ規模が違うぞ。家と国では大きな開きがある。しかし、女神としての矜持(きょうじ)もあろう。親戚くらいにはしておいてやる。



「だからって急にひとりで帰ることないだろう」

「すみません、兄様。気が動転していたんです。それに、家にお母さまがいるかと思ったのですが……ご覧の通り、不在でした」


「存命なんだよな?」


「はい。たぶん……」



 自信なさげだ。てか、死んでいたらネオフリージア創造はできないはずだ。つまり、どこかで元気にしているはずだ。



「父親の方は?」

「お父さまも解りません。もしかしたら、お母さまを探しに行ったのではないかと」


 心配そうにするフォルは、妙に落ち込んでいた。帰宅して家族が行方不明ではな。

 しかし、本当にフォルのお母さんがこの『花の都』を創ったのだろうか。だとしたら――ああ、そうだ。


 俺は肝心なことを失念していた。



「なら、王様に聞いてみるか?」

「ミクトラン王に? ですが、王様は確か」


「ああ。あの男はアルクトゥルスだった。俺と一体化したはずだったが、そこのグレンによれば存在するらしい」



 指をさすとグレンは、カップを置き「その通りだ」と断言した。


 ならば、確認しに行くしかないよな。



「よし、決まりだ。フォル、ミクトランに会って真相を確かめるんだ。どのみち、魔人サリエリのことも聞かねばならない」


「名案ですね!」



 方針は決まった。


 聖女アイファの捜索、そしてミクトランの謁見。これで決まりだ。


 さくっと終わらせてネオフリージア観光でもしたいところだな。そうだろう、メサイア。



「ねえ、サトル。今後、煎餅(せんべい)のストックをやめてフィナンシェにしようと思うの!」



 ダメだコイツ……早くなんとかしないと!

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