第491話 花の騎士と聖女
ネオフリージア騎士団内へ。
立派な大きな建物で、騎士たちも多くいた。フリージアの騎士ってこんなにいたんだな。
その中でも精鋭が“花の騎士”らしい。
かつては、
炎の騎士グレン・アーカム
雷の騎士カローラ
氷の騎士チャルチ・ウィト・リクエ
光の騎士マナス
闇の騎士アロンダイト
この五人がレイドボスを討伐すべく、世界に散らばっていたようだった。しかし、アルラトゥに洗脳されて俺たちとは敵対。
その後、俺がうまく対処して解決。
結局、彼らはたいした活躍はできずレイドボス討伐は終わりを告げた。
リースの姉であるカローラに関しては、騎士を引退しているようだし……今は四名の花の騎士が活躍しているっぽいな。
「ねえ、サトル。騎士団に寄ってる場合?」
怪訝な表情でメサイアは、俺の腕にしがみつくようにしていた。なんで、そんな怯えているんだか。
「グレンが知っているかもしれないからな」
「そうかしら。どうも怪しいのよね……」
どうやら、メサイアはグレンを信用していないようだ。
そもそも、アイツとは最初は敵対関係にあって印象もあんまりよくないからな。特に女性陣には。
「どうした、サトル」
「あ、いや。こっちの話さ。案内を頼むよ、グレン」
彼の背中を追いかけていく間にも、多くの騎士をすれ違った。どうやら、普通の騎士は何十人、何百人といるようだな。
そうして広い通路を歩くこと数分、奥の部屋に辿り着いた。
この部屋にフォルがいるのか……?
扉を開けるグレン。
ギィと古めかしい音が響きながらも、そこは開いた。
「こっちだ」
いよいよ部屋の中へ。
ここは会議室か何かだろうか。
室内に入っていくと、壁に大きな絵が飾られていた。女性の絵画だな。
む?
この絵、銀髪の女性――もしや。
「あ、フォルちゃんにそっくりです……!」
俺が思っていたことをリースが口にした。そう、この絵はフォルにそっくりだった。
まったくそのままだ。
いつの間にモデルになったんだ、アイツ。
「この方は聖女アイファ様だ」
「……アイファ? フォルじゃないのか」
「サトル。お前は銀髪のシスターと言ったはず。彼女ではないのか?」
「確かに似てるけど名前が違う。でも……すげぇ似てるな」
これはいったい、どうなっているんだ?
もしかして、フォルの親戚か姉妹だろうか。
どちらにせよ、あの絵の女性はフォルではないということだ。
「なるほどね~」
「なにが“なるほど”なんだ、ベル」
「そっか。この聖女アイファの絵を何度か見たことあるんだけどさ」
「そうなのか」
「うん。多分、フォルちゃんのお母さんじゃないかな」
「え」
「ほら、さっきもお母さまって」
――!
言われてみればそうだ。俺たちと離れる前にポツリとつぶやいていた。ということは、この絵の人はフォルの母親か! 若すぎだろう。娘とほとんど変わらないぞ。
そういうことか。
つまり、フォルはなにか思い当たる節があって家に帰ったワケか。
フォルの実家がこの辺りにあるのかもしれないな。
「どうかな、サトル。少しは役に立ったかな」
「ああ、グレン。おかげで周辺を探せばよさそうって解かった」
「そうか。聖女アイファ様はもともと騎士団を支援してくださった方でな……。不思議な力でみんなの傷を癒してくれた」
フォルと同じ支援スキルを使うってことか。
ふぅむ、まさか母親も『聖女』だとはな。
「ちなみに聞くが、そのアイファ様の家を知っているか?」
「もちろんだ。アーカム家の近くだからな」
「マジかよ。そっちを教えてくれよ!」
「そうだった! すまぬ」
グレンは意外と天然なのかもしれないな。
ともかく、これでフォルを見つけ出せそうだな。そのアイファ様も。
騎士団を去り、まずはグレンの『アーカム家』を目指すことに。




