第480話 ベイドン洞窟ダンジョン Lv.5000
【エルフの郷カムラン:ベイドン洞窟ダンジョン Lv.5000】
草原フィールドLv.50を抜け、俺たちは付近にある『ベイドン洞窟ダンジョン』へ入った。ここはLv.5000もあるトンデモダンジョンだが、万単位のレベルである今の俺たちなら、それほど苦ではない。
俺のレベルは限界突破して10万近くあるし、メサイア達も5万だとか、それくらいあったと思う。
そうだな、久しぶりに我がパーティのステータスでも確認しておくか。俺含めてな。
サトル:Lv.103000
メインスキル:超覚醒オートスキル
メサイア:Lv.53000
メインスキル:建築スキル
リース:Lv.73000
メインスキル:覚醒掃除スキル
フォルトゥナ:Lv.84000
メインスキル:料理スキル
――ふむ、俺は10万超えか。いつの間にかレベルの更なる限界を突破してしまった。てっきり、Lv.99999でカンストかと思ったんだがな。
しかし、まだ“上”があるようだった。
メサイアによれば、Lv.999999が上限になったという。いつの間にそんな仕様になったんだよ、異世界サクリファイスよ。
これ以上のインフレはカンベンして欲しいものだね。
というか、もともと俺がプレイしていたサクリファイスオンラインだって、そこまでぶっ壊れてなかったんだがな。
いや、そうでもないな。
後半は五次職なんてものまで実装されて、モンスターに与えるダメージも数億だとかになっていたし……。
「そ、それにしても、このベイドン洞窟って広くて……でも寒いですね」
小さく凍えるリース。ただでさえスケスケの服で寒そうだ。
俺は所持しているアイテムの中から『モコモコマント』をプレゼント。お腹辺りまでの丈しかないが、温かいはずだ。
「ほら、リース」
「わぁ、ありがとうございます。しかも、色も緑で可愛いですっ」
どうやら、リースはグリーン色が好みらしい。
衣装もそんな感じの色彩だし、そうなのだろう。
「ちょっと、サトル」
ジトっとした視線を向けるメサイア。明らかに不服そうである。
「なんだその目は。私も宝物のように扱いなさいよ的な眼差しだな」
「その通りよ! 具体的にありがとう! さあ、さっさとマントでもなんでもいいから、寄こしなさい」
おかしいな。以前、山ダンジョンのケントゥリアを攻略しようとした時に、服を買い込んだはずなんだがな。
というか、リースもそうだ。
みんな防寒着を持っているはず。
「お前たち、前に買った服はどうした……?」
「「「………ッッ」」」
三人とも苦虫を噛み潰したような表情をしていた。なんでだよ!
まてまて、おかしいだろう、その反応。
俺だけかよ、まともな服を持っているのは。
「正直に言え。まず、メサイア!」
「…………そ、そりゃあ、決まってるじゃない」
「ギャンブルだな」
「うっ」
図星だと言わんばかりにメサイアは目を泳がせていた。てか、リースもフォルも同じ反応じゃねえか!
コイツ等いつのまにギャンブルを!
「あ、兄様。実はカムランにはカジノがあって……」
「賭けたのかよ!」
「はい。おかげでお金を失いました……。服などの装備を全部売り払って、がんばったんですけども……」
全て失ったというわけか。
「アホか!?」
俺も呼べよ!!
カジノやりたかったなぁ……じゃなくて。マジでいつの間に行っていたんだよ。
つか、最強の運を持つフォルが負けるなんてな。あ、いや、運なんてそういうものだけど。
「そんな怒らなくてもいいじゃない」
「メサイア、少しは反省しろよ。これでは尚更、自販機で稼がなきゃだ。カムランで足止めだ」
「大丈夫。次のプランを考えたから!」
「言ってみろ」
「私たちの下着を自販機で――」
「却下だッッ!!」
なぜ、そういう方向に考えるかねっ。
もちろん、絶対ダメ!
神が許しても俺が許さん。……って、俺が神だったわ。
そんなことはどうでもいいッ!
「じゃあ、どうすればいいのよ」
「なんで開き直っているんだよ。メサイアよ、少しは反省することを覚えなさい」
「私は死神だからねっ」
「今だけ死神に戻るんじゃねーよ」
呆れていると、洞窟の奥から『アイアンゴーレム』が出現!
【アイアンゴーレム】
【詳細】
鋼鉄のゴーレム。
高い物理・魔法防御力を持つ。
倒すと鉄と鋼鉄のアイテムをドロップする。
ズンズンと鈍い音を響かせて現れるゴーレム。全身が鋼鉄でロボットみたいだ。
全長五メートルほどだが、横幅が無駄にある。関取みたいなゴーレムだ。
「あれがアイアンゴーレム」
フォルは焦って拳を構えていたが、俺は止めた。
「あんなモンを殴ったら骨折するぞ」
「……兄様。わたくしを気遣って……嬉しいっ♡」
目をハートにして俺にくっつくフォル。チョロすぎて心配になる。
って、そんな場合ではない。
アイツを即倒さないと大変なことになるぞ――!




