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第471話 おでん缶完成!! 爆売れの予感

 ルクルのポーション屋にあるキッチンを借り、フォルに頼み『おでん』を作ってもらう。

 料理スキルがカンストしているフォルなら、知らない料理でも簡単に作れるという。しかし、知識は必要だ。

 俺は『おでん』がどんなものかフォルに伝え、再現してもらうことに。



「――なるほど、それが『おでん』なのですね



 レシピをメモに残すフォル。

 あとは完成を待つだけだ。


 今回は“初回”ということだけあり、少しだけ時間が掛かる模様。俺たちはリビングで待つことに。


 ベルはソファに身を落とし、横になっていた。



「ごめん、理くん。わたしは寝る~」

「寝不足か?」


「そうじゃないけどね。少し休みたいだけ」

「解かった。ベルは休んでいてくれ」



 となると、しばらくはリースと二人きり。



「あら、ベルさんお休みですね」

「そうだな。なんだかんだ疲れていたんだろう」


「……はっ! となると、サトルさんを独り占めできるんですね、あたし」


 にやっと可愛く笑うリースは、俺の隣に座る。

 そして更に表情を変えて小悪魔的に。


 こんな時のリースはいろんな意味で“危険”だ。



「ど、どうしたリース」

「今なら誰にも邪魔されません」

「確かに」


「なら、サトルさんを襲っても問題ないですよね……!?」


「そうだな――って、ええッ!?」



 驚いていると、リースは俺の(ひざ)の上に(またが)っていた。

 こんな抱き合うような対面の構図は……第三者から見ればあまりに危険な光景だ。


 少し見下ろせばリースの凶器(たにま)が――イカン。


 視界に入れるだけで俺のギガンテスがトンでもないことになってしまう。それだけは避けねばッ。


 耐えろ……耐えるんだ俺。



「サトルさん、ちゅーしてください」


「……ッ!」


「しないなら、あたしからします」



 マジか。マジなのか。

 リースが俺を求めている?

 いや、俺も求めたい。


 なら、ここは欲望に身を任せて――!



「兄様~♪ おでん出来上がりま……あああああああああ!!」



 フォルがどこかでコケたらしく、鍋が宙を舞っていた。それが俺の頭上に降ってきそうになったので、咄嗟(とっさ)の判断でリースを突き放す。



 や、やべええええええええええッッ!



『ビシャアアアアアアアァ……』



 おでんと熱湯のスープが俺に降り注ぐ。



「あちいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」



 うわ、うわ、うあああああぁぁぁ……!!



 ・

 ・

 ・



【死因:おでん】



 一瞬、俺は死んでいたと思う。

 あっちの世界でアルクトゥルス(ミクトラン)とまた会い、ソフィアにリザレクションしてもらったような気がする。


 あまりに刹那的で憶えていないが。


 とにかく俺は蘇ったらしい。


 今現在、フォルのグロリアスヒールによって治癒していた。



「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……兄様ぁ!!」



 涙をボロボロ流し、鼻水まで垂らす聖女。

 猛省しているようなので許そう。



「もう、フォルちゃんのドジ!」

「うぅ……」



 リースにも怒られ、フォルはいつになく萎縮(いしゅく)していた。

 しかし、身体能力抜群のフォルがコケるとはな。


 ルクルのポーション瓶が床に落ちていたようで、それで(つまず)いたようだ。



「で、フォル。おでんは……?」

「あ……はい。先ほど作り直しておきました。一度覚えれば三秒で作れますので」



 さすが料理スキルカンスト聖女。

 おでんを作り直してくれたし、これでやっと試食できるな。


 俺はベルを起こし、さっそく三人でおでんを食べてみることに――。



「おでん出来たんだ。懐かしいねえ~」


 眠そうな表情で起きるベルは、(かつ)ての世界にあった料理を見て懐かしんでいた。



「俺も久しぶりだよ。いただこう」



 各々(おのおの)、小分け用のお皿に『厚揚げ』など取っていく。


 そして、俺はフォーク(箸がなかった)を使い、まずは『こんにゃく』をいただく。用意されている味噌ダレをつけて――実食。


 (かじ)ってみると、ほどよい感触とおでん汁が歓迎してくれた。シンプルに美味い。



「どうですか?」

「うん。完璧だよ、フォル」


「本当ですか!」

「ああ、タマゴや大根も丁度いい塩梅(あんばい)だ。味付け完璧じゃないか」


「わーい! 兄様に褒めていただけて嬉しいですっ」



 リースやベルの反応もよく、好印象。



「わぁ、じゃがいも美味しいですね」

「そうだね、リースちゃん。こっちの厚揚げも最高だよ」



 二人は楽しそうに会話を交わし、おでんを楽しんでいた。

 よーし、これを『おでん缶』にすれば爆売れ間違いなしだぞ!!


 俺たち大金持ちだ――!

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