第470話 売るものが決まった!
仕事を進めるメサイアは、建築スキルで自販機を設置しまくっていた。
なかなか広い土地を貸して貰えたから、結構な数を置ける。
「わ~、メサイアさん凄いです!」
目を星のように輝かせるリース。
あっちの作業は任せ、俺たちは販売するモノを考えなくちゃな。
「さて、なにを売ろうか?」
試しにベルに視線を向ける。
「んー。そうだねえ、例えばドリンクとか?」
「ありがちだな。……つっても、異世界ならアリかもだが」
今度はフォルに案を聞くが、俺を見つめて嬉しそうに飛びついてくる。
「兄様、兄様ぁん♡ そんな見つめられるとたまりませんっ♡」
「そういう意味じゃねぇよ!? フォル、なにか売りたいものはあるのか?」
「わたくしは……えっちな下着とかいいと思います! 兄様に500セルで売りつけますっ」
「馬鹿デカイ声で言うな、ヘンタイ聖女がッ! しかも安すぎだろ! 買った!」
ダメだ。フォルは役に立たん!
却下だ!!
さて、こうなると……。
「あ、えっとぉ……あたしですよね」
「うん。リースの考えを教えてくれ。同じエルフ族なら欲しいモノが解かるんじゃないか?」
「あたしの場合ですけど、宝石ですね。最近は魔法石が必要なので」
「なるほど。宝石はありかもな」
飾りとして使うだけではない。
スキルの触媒として使用する場合もある。
だから割と需要はありそうだ。
しかしなぁ、なんだかインパクトが足りないような。
もっと変わったものを売りたい気がしている俺。しかし、具体的な案が見つからない。
ベルたちの出してくれた案で、ひとまずは様子見というのもアリだろうか。
……ああ、そうだ。
もう一人忘れていた。
俺は建築作業中のメサイアに声を掛けた。
「なによ、サトル。こっちは自販機の製造で忙しいのよ」
「悪いな。一応聞いておきたいんだ」
踊るように忙しなく動くメサイアは、足を止め振り向いた。
「なにを?」
「自販機で売りたいものさ。なにを販売したい?」
「えっちな下着でいいんじゃないの」
「おい、メサイア! お前までフォルみたいなこと言うなって!」
「冗談よ。……そうね、真面目に答えるなら『おでん缶』でいいんじゃない?」
その言葉に俺は衝撃を受けた。マジで全身に電気が走っていた。
女神メサイアの妙案は間違いなく売れる可能性を秘めていた。それだ、それしかないッ!
幸いにも、このエルフの郷カムランは“寒い”のだ。
そう、神聖国ネポムセイノ領クァンタム高原だから標高が高い場所にあるのだ。
だから温かいものが売れるはずだ。
「それだ!!」
「え」
「メサイア、お前はやっぱり女神だよ!」
俺はメサイアを抱きしめ、賞賛した。
「あ、当たり前じゃない」
顔を赤くするメサイア。ああ、おかげでこのビジネスが成功しそうだぞ!
◆
幸いにも『鉄』の材料は大量に残っている。
これを使い、メサイアには『缶』を大量生産してもらう。大活躍だな。
その間に俺たちは『おでん』を製造していく!
料理が得意なフォルに任せた。
「ここで、わたくしの料理スキルが火を吹くわけですね!」
「ああ。おでんの材料を集めてくる」
みんなに『じゃがいも』、『大根』、『こんにゃく』、『厚揚げ』、『タマゴ』の入手を指示した。
しかし、金がない。
ので、俺は先ほど自販機を作る為に狩ったモンスターから獲得した収集品アイテムを売却。
50,000セルとなかなかの資金を得た。
半分をベルに渡し、俺とリースで中央広場のお店へ。ベルとフォルで東側にあるという市場へ向かうことに。
それぞれ買い出しへ向かうことに!
おでんを作って稼ぐぞ――!




