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第467話 魔人の復活

 意識を取り戻した俺。

 なぜか全裸で、股間(こかん)はタオル一枚で隠されていた。

 どういう状況!?


「……う。頭が痛いな」


 体を起こすと(たたみ)の上にいた。どうやら、旅館の部屋らしいな。



「サ、サトル! 起きたのね」

「メサイア……俺はどうなった。確か、フォルとリースの引っ張り合いで……」


「あんた、殺されたのよ」


「え? 俺が? あの二人に?」

「違うわ。突然現れた“魔人”に殺されたの」



 俺はその聞きなれない単語に固まった。


 ナンダッテ?


 “魔人”だって?


 なんだその物騒なヤツ。てか、そんなモンが存在するのか……するだろうな。このヘンテコ異世界にはありふれた怪物なのだろう。



「てか、何で俺がそんなモンに殺されたんだよ。てっきり、真っ二つになったのかと」

「あの二人がそんな馬鹿力あるわけないでしょ」



 ごもっとも。

 そうだよな、脳筋聖女のフォルはともかく――リースはか弱い女の子。俺を真っ二つにするほどの筋力(STR)はないはずだ。


 だとすると、メサイアの言う魔人か。



「なんだよ、その魔人って」

「魔人サリエリよ。元々は死神でサリエル(・・・・)と名乗っていたけど、魔人となってからは一文字を変えて“サリエリ”となった」


「なんだ、死神時代のお友達か?」


「……ちょっと複雑なんだけど。ほら、一度死神の世界になりかけたことあるじゃん」



 そうだな、俺がこの世界に転生した頃は女神はほとんどおらず死神ばかりの世界だった。モルス、プルート、オルクスもそうだった。


 ……そや、アイツ等とはしばらく会ってないな。

 今頃どうしているだろうな。



「ふむ、それで?」

「その時、女神と死神の間で大規模な衝突があったんだよね」



 メサイアによると『死の呪い』で死神となった者たちの一部が暴走。それがどんどん連鎖して数百人以上を巻き込む事態へと発展したのだとか。


 その時、サリエルという一人の死神が大暴走。


 その末に『魔人化』という独自の進化を遂げたらしい。――いや、遂げるなよ。



「そんな争いがあったのかよ。知らなかったぞ」

「一応、わたしとか他の女神が奮闘したからね。サリエリは封印したから……」



 でも、その封印も解けてしまったらしい。

 その魔人が俺の腹部を『槍』で貫通させたのだとか。



「なんて野郎だよ。今さら復讐とかな」

「魔人だからね」


「なぜ封印が溶けたんだ?」



 それを聞くと「誰かの仕業だろうね」と横から声が。この声はベルだ。


 視線を向けると、そこには浴衣のベルが。……おぉ、火照(ほて)っていて何だか(なま)めかしい。うーん、これはこれでエロさ増し増しだね。



「ん、ベル。なにか知っているのか?」

「実は、わたしもその戦いにいたんだよね」


「お前も!?」

「うん。だって、わたしの方が先に活動していたからね」



 そうだった。俺よりも先にこの異世界サクリファイスを旅していたらしい。聖者としての任務を当時の花の王ミクトラン(アルクトゥルス)から受けて各地を練り歩いていたのだとか。俺の知らない物語があるのね。



「なるほど。封印に心当たりがあるんだな」

「少しだけどね。封印自体はシアたちの仕事だったからさ」


「詳しく聞こうか」



 話を進めようとしたのだが、部屋の扉が開いた。

 そこには涙目のフォルとリースが。



「あ、あ、兄様~~~~~~!!」

「サトルさん! 蘇ったんですね!!」



 ぴょ~んと飛び跳ね、俺に抱きついてくる二人。



 う、うおおおおおおおおおおおおッッ!



 二人も感触がッ!

 あと浴衣が乱れてチラチラ見えてる! いろいろと!



 生きていて良かったぜ……!

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