第463話 さらば、エルフの支配者
あんなバカデカイおっさんをどう倒せばいいんだよ。しかも複数体。つか、蹴り飛ばされたらカムランなんか簡単に吹き飛びそうなものだな……。
「くっ、こんな巨大な敵と戦ったことはないぞ」
「サトルさん。いくらなんでも相手がデカすぎます……どうしましょう」
さすがのリースも困惑しかなかった。
スイカも静かにたたずみ、巨人を見上げていた。お手上げって感じだな。
「大人しく我が配下になれ!」
「なるかってーの!」
「しかし、サトルよ。このままではお前たちを踏みつぶすしかなくなる」
「……それはカンベンだな」
「ならば選択肢はひとつ。泣いて謝るのだ。そうすれば命だけは取らず、配下に加えてやる。悪い条件ではないだろう?」
なんの冗談だ、それは。
もういい、こうなったら徹底抗戦だ。俺はあの超超超巨人のおっさんをぶっ倒す!
100メートル級だろうが1000メートル級だろうが関係ねェ。
俺は神王アルクトゥルスとして、この世界を守る。そう決めたんだ。
魔力を全力で込めて俺は“怒り”のボルテージを最大限に高めた。
「うおおおおおおおおおお……!!」
「なにをする気だ、サトル。お前のような小さな人間に何ができる!」
「できるかどうかじゃねえ! やるんだよ!!」
この超超超巨人のおっさんを全員まとめて叩き潰す。でなければ、敗北しかないのだ。ならば全身全霊で挑む。
「もういい! お前たちを街ごと踏みつぶしてくれるわッ!」
ポウラはそう叫び、超超超巨人のおっさんを進行させる。
ズシン、ズシンと地響きと共に向かってくるおっさん。カムランに到達する前に俺は必殺スキルを放った。
「くらええええええええ、エンデュランス!!」
全ての魔力を撃ち放つ!
これしかないだろ――!
一瞬で到達する俺の必殺は、超超超巨人のおっさんの腹を貫いた。続いて隣を歩いていたおっさんにも、そのまた隣のおっさんにも。
エンデュランスで一掃してやった。
『ギャアアアアアアアアアアア…………』
あの巨体では防御している余裕はない。だから、俺の攻撃を受けるしかなかった。
「そんな馬鹿な!!」
「ポウラ、これが俺の“怒り”だ」
最後にポウラに目掛けてエンデュランスを命中させた。これがガチのマジの最後の魔力……!
「や、やめろおおおおおおおおお、うあああああああああああああ…………!」
白い光がヤツを吹き飛ばす。
ポウラは間違いなく空へ吹き飛び、消失した。
……よしッ!
撃破完了!
完全勝利!
「終わったぞ、リース」
「お疲れ様です、サトルさん。素敵でしたっ」
抱きついてくるリースを俺は受け止めた。エルフの郷を救ったので、リースは心底嬉しそうだった。その笑顔で俺は十分すぎる報酬を得られた。
「さすがですね、サトルさん」
「スイカもお疲れ」
「あたしの出番はほとんどなかったです」
「いや、そんなことはない。みんなのおかげさ」
ポウラ討伐は完了した。
あとはメサイア達の性別を女に戻すだけ……!
いや、カムランのみんなも全員だ!
これでようやく先へ進めるぞ。
「あ、あの~…僕を忘れないでくださーい……」
「あ、ルクル。そこにいたのか」
建物と建物の間に続く道にルクルの姿があった。そや、さっき巨人のことを教えてくれたんだった。
そうだ、まずはルクルの性別を戻してやろう。
「リース、さっそくディスペルだ!」
「そうですね、ルクルさんを戻してあげますね」
屋根から飛び降り、ルクルのところへ。
リースはさっそく『ディスペル』を発動。
すると、ルクルは……。
あれ?
「ありがとうございます! 男の子に戻れました!」
「変わってないじゃん……!?」
「え、そうですか? ちゃんと生えてますよ!」
……どうやら、股にあるモノは戻っているらしい。触れて確認するわけにもいかないし、彼の言葉を信じるしかない。
よーし、次はメサイアたちだ!




