第462話 超超超大型巨人のおっさん
息ピッタリの凄い連携プレイを俺は見た。
スイカの『ソウルテレキネシス』によって、巨人のおっさんは突き飛ばされて宙を舞っていた。あの魔法、かなり強力だな! ついでにポウラも空でアタフタしていた。
そこへリースの大魔法が大炸裂。
詠唱もなく発動していた。
「愛のホーリーグレイル!!」
城の大きさを遥かに超える魔法がぶっ放され、一気に四体の巨人のおっさんを粉砕。粉々に吹き飛んでいた。
ウソだろ、花火みたいに消し飛んだぞ。
「……ぐ、くそおおおお!」
リースのホーリーグレイルから逃れ、運よく落下するポウラは、そんな風に叫びながらも新たなおっさんを召喚して頭上に着地。おいおい、どんだけ召喚できるんだよ。
アイツの魔力は底なしか……?
いや、エルフだから基礎魔力が高いのだろう。リースだって大魔法を連発できるからな。
「隙だらけだぜ、ポウラ!」
俺は【超覚醒オートスキル】を任意で発動し、パニッシャートライデントをブン投げた。
三叉槍が物凄いスピードで飛翔していくが、ポウラは巨人のおっさんから飛び乗って建物の屋根へ。
おっさんを撃破したが――クソッ、逃げられたか!
まるでウサギのようにピョンピョンと!
「逃げ足の速い人ですね……」
さすがのスイカも呆れてため息を吐いていた。
俺もビックリだよ。
あんな逃げまくる敵は初めてだ。
だが、ヤツも焦っているという証拠だ。
所持していた回復ポーションで体力と魔力を回復していく。
リースにも魔力を回復してもらった。
「ありがとうございます、サトルさん」
「疲れただろう。リース、大丈夫か?」
「ええ。まだ戦えます!」
ポウラは、しつこく性別変換スキル『ペルソナ・ノン・グラータ』をリースあるいはスイカに放ってくる。
そこまでして男の子に変えたいのか!
「やめんか、ポウラ! 騎士としての誇りはないのか!」
「そんなモノはない! 騎士である前に、わたしは支配者であるッ!」
この野郎……もう付き合ってらんねぇぞ!
さっさとぶっ倒してメサイアたちを女の子に戻したいんだよ、俺は!
あの懐かしきハーレム生活に戻さねば……一生、男の子版のメサイア達と過ごさねばならなくなる。それは……あまりに酷ッ!
リースは、ディスペルを強化したから元に戻せるはずだ。だが、ポウラが邪魔をしてポーション屋へ戻れねえ!
仕方ない、ここは俺の必殺スキルで――。
「おーい、サトルさーん!」
ん?
誰か俺を呼んでいるような。
屋根の上から俺は周囲を見渡す。
すると、道を駆けるルクルの姿があった。なぜ、ここに! 危険すぎるぞ!
「来ちゃダメだ! 今、俺たちはポウラと戦っているんだ!」
「それより大変なんです、サトルさん!」
「なにがどうした!?」
気返すとルクルは顔を真っ青にして、信じられないことを口にした。
「カムラン周辺に巨大なおっさんが現れて……取り囲まれているんです!!」
ズシン、ズシンと大きな足音がした。
巨大な壁に囲まれているカムランだが、それを遥かに超えるおっさんたちが俺たちを見下していやがった……。
で、でかすぎんだろ……!!
全長100メートルはあるか……?
『…………』
つーか、これじゃあ……進撃の――おっさん!!
「ワハハハハッ! 間に合ったようだな、我がおっさん軍勢!!」
「なにィ!? ポウラ、貴様……何体のおっさんを召喚しやがった!?」
「我が召喚スキルを見くびったな! サトルよ、お前たちの負けだ!!」
この女、予め巨人のおっさんを遥かに超える、超超超大型巨人のおっさんを召喚していやがったのか……!
ど、どうする……!




