第459話 覚醒掃除スキル
リースは『掃除スキル』のレベルアップを行った。
スキルポイントを消費してLv.80から、ついにLv.99へ。
てか、掃除スキルって最大Lv.99もあるのかよ。知らなかったぞ。
一般的なスキルは最大でも『10』だった気がするんだが……。
掃除スキルが特別なのだろうか。
ともかく。
「できましたー!!」
「おぉ! ナイスだ、リース。で、変化は……?」
「……あ、覚醒掃除スキルが出現しました!」
「それだ! そいつを習得できればディスペルをレベルアップできるぞ」
「はいっ」
「ちなみに、その覚醒掃除スキルってどんな効果なんだ?」
「えっとですね」
そのスキルの詳細を見せて貰えた。
【覚醒掃除スキル】
【詳細】
覚醒条件:掃除スキルをLv.99にする
建物の形状を問わず、部屋すべての掃除を一括かつ一回で完了する。ホコリやカビ、ヨゴレなども全て掃除される。
必要に応じていつでも[ホウキ]と[チリトリ]など全ての掃除用具を召喚できる。
専用武器[黄金の箒]を召喚できる。
全属性による魔法攻撃力 + 10000000。
箒に跨ることで[飛行]を使用可能。
「す、すげぇな。掃除がめちゃくちゃ楽になるな!」
「ええ。面倒くさがりはあたしにはピッタリです!」
掃除はできれば瞬間で終わりたいしなぁ。これはイイ。
って、そっちに感心している場合ではなかったな。
肝心なのは『ディスペル』の方だ。
「リース、ディスペルはレベルアップできそうか?」
「そうでした! 見てみます」
「おう」
再びスキルを覗くリース。
これでスキルを振ることができれば……メサイアたちやカムランの人たちを元に戻せるぞ。ポウラももう怖くない。
「覚醒掃除スキルを習得したことで、ディスペルをレベルアップできるようになってました!」
「おぉ! ついにか!」
スイカの言っていた通りだった。まさか、こんな方法があったとは。おかげで助かったぜ。
リースは、ディスペルを強化した。
「できましたー! ディスペル Lv.2です!」
「おおおおおッ! って、2かよおおおお!」
「ご、ごめんなさーい! さっき、掃除スキルをLv.99にした時にポイント尽きちゃいました……」
あああああああああ……!
しまった。
それだけ振るとなるとスキルポイントも無くなるわな。
ただでさえ、リースは大魔法を習得していてそっちのポイントで消費が激しいだろうし。
「仕方ない。レベル上げをするしかないか」
スキルポイントは、レベル上げをして得られるポイント。Lv.10000を超えている現在の場合は、1000毎に1ポイント貰える認識だ。
スイカに確認すると「その通りです」と。
やっぱり、そうなのか。
「あたし、レベルアップします……!」
「そうだな。それしかないな」
カムランの外。草原フィールドにいるモンスターを狩るしかないだろう。
「お待ちを」
「どうした、スイカ」
「見たところ、リースさんは相当レベルが高いはず。フィールドのモンスターでは経験値が少なすぎて時間が掛かるでしょう。一生終わらないかも」
その通りだ。リースのレベルは『73000』。
多分、一万体倒しても上がらんと思う。
敵が雑魚であれば、得られる経験値も少ない。なら、強い敵を倒すしかない。
「この辺りに高難易度ダンジョンはないのか?」
と、俺はスイカに聞いてみる。
「残念ながら、カムラン周辺にはありません」
「マジか」
「ですが」
「ん?」
「みなさんの性別解除は後回しにして、今はポウラを倒すことに集中すればいいでしょう。彼女あるいは彼女の召喚するモンスターを倒せば、経験値は得られるのですから」
なるほどね。ポウラを倒せば莫大な経験値を獲得できるわけか。敵扱いだから、経験値をくれるんだな……なんて“理”だよ。さすがこの世界は――。
ともかく、アイツを倒せばディスペルを更に強化できる。みんなを元に戻せるワケだ。
「解かった。ヤツを倒そう」
「サトルさん、いいのですか?」
「ああ、リース。今はスイカもいるし、この三人ならなんとかなるだろ」
「そうですね。ディスペルは一応、Lv.2ですから何人かは解除できます」
「ああ、そうなのか! じゃあ、メサイア達くらいは助けられそうか?」
「それは無理そうです」
「なぜだ」
「ディスペルLv.1は触媒不要だったのですが、Lv.2から触媒が必要みたいです……」
触媒。つまり、魔法スキルを使用するのに必要な材料のことだ。例えば、ファイアボールを打ちたいなら『魔法石』を触媒にして消費。そうしてようやく魔法を使用できるわけだ。
まさか、ディスペルに触媒が必要だとはな。
「で、その触媒って?」
「ルーンストーンという魔法石が必要みたいです」
ルーンストーンか。どこで手に入るんだ……?




