第446話 落ち武者オーク出現!
ついに小屋ともお別れだ。
メサイアは【建築スキル】で小屋を解体して材料へ変換した。また直ぐに立て直せるらしいので心配はいらないそうだ。さすが女神だ。
みんなの準備は万端だ。
リースの風邪はすっかり治ったし、フォルはいつも通り俺にベタベタ。
メサイアは後方でベルと共に歩いて雑談を交わす。
うん、いつものパーティらしくなってきたじゃないか。
雪原フィールドを歩いていく。
尚、雪は俺のオートスキル『煉獄』で溶かしている。最初からこうすりゃ良かったんだよな~!
「で、リース。そのカムランはこの方向でいいのか?」
「はい。ベルさんから貰ったマップによりますと、神聖国ネポムセイノ領のクァンタム高原へ戻ります」
「ふむふむ?」
「で、ある洞窟に入るとその先が『カムラン』に通じているんですよ~」
「へえ、洞窟ねえ」
洞窟? なんか入った覚えがあるような、ないような。……まさかな。
てか、ベルのヤツ……マップを持っていたのかよ。
視線を向けると、ベルは僅かに微笑んで「可愛いリースの頼みだからね」と妙に感情を込めて言っていた。
まあいい。その洞窟とやらを目指そう――!
◆
雪原フィールドを抜け、高原に移った。
この辺りは危険なモンスターも棲息している為、俺たちに襲い掛かってきた。
【落ち武者オーク】
【詳細】
武者姿のオーク。ただし落ち武者。
単独行動を好み、冒険者に襲い掛かる。
ボロボロの刀で火属性攻撃をしてくる。
この辺りには武者版のオークがいるのかよ。錆まくっているボロボロの刀を使い、俺たちに襲い掛かってきた。
だが、ベルがシールドスキルでオークの攻撃を余裕で防御。
その間にリースが魔法陣を展開していた。
「ありがとうございます、ベルさん」
「うん、いいよ~」
物理攻撃を防いでくれている間にリースは、大魔法を発動。
「エターナルフロスト!」
絶対零度のダイヤモンドダストが吹き荒れる。最強の水属性魔法攻撃だ。敵モンスターは『火属性』だから弱点攻撃。
当然、威力は二倍となり――高レベルらしい落ち武者オークは大ダメージを受けて灰塵と化した。
【 落ち武者オークを討伐しました 】
= リザルト =
【 1,594,000 の 経験値 を 獲得しました 】
【 10セル を 入手しました 】
【 錆びた刀の破片 × 1個 を 入手しました 】
経験値こそ美味しいが、それ以外は微妙だな。
リザルトを眺めていると高原の奥から“ドタドタ”と音がした。なんだこの足跡……? 真っ先にメサイアが反応した。
「ちょ、サトル。凄い数のモンスターの気配よ!」
「え……」
なぜか知らないが高原の奥から落ち武者オークの群れが接近していた。その数、10や20ではない。100体はいた。
なぜえええええええ!?
ちょ、待て!
コイツ等は単独行動じゃないのかよ!
「ど、どういうことでしょう……兄様」
フォルですら動揺していた。戦うしかないと腕を捲るが、しかし相手は100体以上だぞ。
「俺がやるっきゃないか~」
正直面倒だが、そうも言ってられんな。
あのオーク共をぶっ倒さねばエルフの郷『カムラン』に到着できないのだからな!
俺はカムランの温泉に入りたい!
というか、美人エルフに会ってみたい……!
リースもそりゃ可愛いが、もっといろんなエルフとも触れ合ってみたいんだァ!
(……サトルさぁん、聞こえていますよぉ!?)
げっ、リースってば俺の心を読んでいたのかよ!!
(当然じゃないですか~! 許しませんっ!)
今はそんな場合じゃないって。
落ち武者オークを倒すぞ!
(あー、誤魔化しましたね。まあいいです! ここは任せてください)
いい加減、テレパシーでなくてもいい気が。メサイア達がポカンとしちゃってるし。まあいい、ココはリースに任せようじゃないか。




