第435話 懐かしき元・雷の騎士
魔導図書館に到着。城の近くにあったとはな。
中に入ろうとすると門番に止められた。
「無断で入ることは禁じられておる……!」
マジかよ。この門番、俺たちのことをご存じないらしい。カルミア女王にも認められたパーティだぜ。
「あ? 俺の顔が分からんのか」
「え……! その美しい顔、腰まで流れるような銀髪。失礼ながら、豊満な胸。そしてシスター服のスリットから垣間見える美脚。そうでした。聖女ヘデラ様ですね。どうぞ、お取りください」
兵は俺の特徴を詳しく説明してくれやがると、俺が聖女だと認めて通してくれた。最初からそうしろ!?
図書館に入ると異常に静かで驚いた。
そういうところなので仕方ないが。
果たして『人探しの魔導書』があるのかね。
少し歩くと奥から眼鏡をかけたお姉さんエルフが現れた。金髪が美しいなぁ。あとリースのように巨乳だ。
「おや。おやおや……!」
お姉さんエルフは、俺の頭上にいるエコの手を取り握手していた。
「にゃ……?」
「伝説の黒猫エコ様ですよね! 書物で拝見したことがあるんです! まさか本物に出会えるなんて感激です!」
異様なハイテンションで喋るお姉さん。図書館に声が響き渡る。いいのか、こんな大声で。
つっても、周囲に人はいなかったが。
「こんなところに同族がいるとはにゃ~」
「わぁ~、可愛い。持ち帰っていいですか!?」
「ダメですよー。私はヘデラ様のものですから。それより、人探しの魔導書を探しています。どこにあるか教えてくれませんか~?」
ナイス、エコ。よく聞いてくれた
このままだとエコがお持ち帰りされかねんからな。
お姉さんは自分の名前が『カローラ』であることを明かした。ん、どこかで聞いたような名前だ。
いや、どこかで会った覚えがあるぞ。
どこだ。どこで会った……!?
う~ん……。
「どうしたの、パパ」
ネメシアが心配そうに俺の顔を覗き込む。
「あー…、いや。あのカローラさんが気になってね」
「え? 知り合い?」
「たぶん?」
「分からないの?」
俺はうなずく。絶対知り合いだと思うんだけどなぁ、最近いろいろありすぎて思い出せない。
ん~、カローラ。カローラねえ……。
ふと、昔のことを思い出した。炎の騎士、氷の騎士、雷の騎士、光の騎士、闇の騎士と戦ったことを――。
あ。
ああああああああああああああああああ!!
「思い出した!!」
「!? なにを!?」
「カローラは雷の騎士で、リースのお姉さんだよ!」
「え……ええッ!? リースママのお姉さん!?」
ようやく思い出した。前とずいぶんと雰囲気が違うものだから、なかなか思い出せなかったぜ。けど、あの金髪とか雰囲気、巨乳なところがソックリだ。
「わぁ、そこのシスターさん。私のことをよくご存じですね」
そや、口調も前はもっと厳しめというか、騎士っぽい話し方だったな。今は図書館のスタッフらしく、雰囲気が変わったらしい。
「当然だよ。俺はリースと一緒に旅をしているからな」
「え! リースと!?」
「ああ、実は――」
俺は、本当は『彼岸花 理』であることを打ち明けた。当時は、騎士たちと戦い――けれど、カローラの呼びかけによりエルフの郷【アヴァロン】から大勢のエルフが参戦。
冥界の死女神・アルラトゥを撃破できたんだ。
全てを話すと、カローラは涙した。
「そうだったのですね。あのあと、私は騎士を辞めて……アヴァロンへ戻りました。ですが、状況が大きく変わってしまい、流れ着いたのがこの『レメディオス』でした」
「それで図書館を?」
「はい。今はこの魔導図書館の管理人です。エルフなら魔導書を適切に管理できるからと、カルミア女王様の命を受けて日々がんばっています」
納得だ。まさかレメディオスにいるとは思わなかったけど、元気そうでよかった。この事は、リースにも話してやらないとな……!
カローラのおかげで『人探しの魔導書』もアッサリ見つかった。これでフォルを探せるぞ。




