表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

434/553

第425話 賢者の街をぶっ潰す

 歩いて『スターバトマーテル城』へ向かう。

 しかし、兵士に追われているため隠密行動だ。

 俺たちは気配を押し殺し、枝で顔を隠しながら歩いた。


「……あのぅ」

「どうした、リース」

「この枝って意味あるのでしょうか……?」


 なんとなく顔隠しに使ってみたが、体は隠れていないからな。そりゃあ、一瞬でバレるわけでして――。



「貴様ら!!」



 やっぱり見つかったか。



「ちょ、サトル。この枝、意味ないじゃない!」


 叩きつけるように小枝を地面に投げ捨てるメサイア。うむ、この方法では頭隠してなんとやらだな。


 四人の兵に囲まれ、俺たちは追い詰められたような、そうでもないような状況に(おちい)った。

 相手は剣や槍、盾に杖といった具合に手に持つ武器(エモノ)がバラバラだ。

 なんだコイツ等。統一感がないというか。



「不法侵入者たちよ、ここは将軍ルキウス様のお膝元(ひざもと)。安易に立ち入ってよい場所ではない。貴様たちのような下等冒険者は貧民街での行動しか許されない」


 と、剣を構えるリーダー格らしき兵が怒りを(にじ)ませながら警告してきた。そう言われてもね、貧民街は食べ物もロクにないし。

 というか、この貧富の差は正直よろしくない。ぜひ、この俺が是正(ぜせい)したいところだね。


 なので俺はこう言い放った。



「うるせえ。その将軍ルキウスに合わせろ。指一本でぶっ飛ばす」

「な、なにィ!? 不敬(ふけい)なッ!! お前のような無能中年に何ができる!」


「そりゃあ――」


 言い返す前に剣で突撃してくる兵。

 俺に“敵意”を向けるということは、オートスキルが発動するということ。俺は何もしなくていい――はずだった。



 ドゴォっと鈍い音が響き、剣を持つ兵の顔面が(へこ)んでいた。



 驚いたことにベルが『(シールド)』を使い、物理攻撃。剣の兵をぶっ飛ばしていた。兵は秒で吹き飛び、かなり遠方にある馬車に激突していた。あーあ……やっちまったな。



「さすがに身内の悪口は看過(かんか)できなねえ」


「ほぉ、ベル。俺の為かよ」

「……まあね」



 珍しく恥ずかしそうに答えていた。へえ、ベルがね。いつもクールでツンツンしているかと思えば……たまにこういう可愛げのあることしてくれるので好きだな。



「わぁ、ベルさん凄いです……!」



 賞賛(しょうさん)を送りながら拍手送るリースは、憧れの眼差しをベルに向けていた。俺も素直に賛辞(さんじ)を送ろう「ありがとう」とな。



「ん、理くん、なにか言った~?」

「いや~、なんでも。それより、残りの三人をぶっ飛――」



「「「うああああああああああ!!」」」



 に、逃げやがったー!?


 恐れをなして逃亡する兵三人。それでいいのかよ……? 敵前逃亡は、将軍ルキウスに処刑されるんじゃ。


 まあいい、先を急がねばならない。


 さっさと将軍に会ってこの貧富の差、そして山ダンジョン『ケントゥリア』の突破を許してもらいたいね。でなければ、いつまで経っても聖地へ行けぬ。

 それでは困るのだ。

 俺たちはアーサー達に会わねばならないのだから――。


 世界各地にある聖地復興の為に。




 歩いてついに駐屯地(ちゅうとんち)に入った。正面から堂々(どうどう)とだ。



 無論、衛兵がワラワラと現れて俺たちを即座に敵認定。あらゆる武器を向けられたわけでして……。



「もう、面倒臭いですね! わたくしが蹴散(けち)らしましょうか!」



 腕をまくり、ファイティングポーズで構えるフォル。さすが武闘派聖女。血の気が多いというか頼もしいというか。


 だがしかし、この状況は若干(じゃっかん)ながら面倒である。


 俺の【超覚醒オートスキル】でも対処できる限界というものが……ないけどな。



「フォル、落ち着きなさい」

「え~、メサイアさん。わたくし、戦いたいんですよぉ~。この名ばかりの賢者の街をぶっ潰したいんです」



 ニコリと微笑むフォル。おま、聖女だろう!? ――いやだけど、その通りだ。この街は酷すぎる。まるで人権なんてない。一定の貴族や兵が得をしているだけだ。



「仕方ないわねー。ここは女神の私に任せなさいな」



 いやまて、メサイア。お前が出ると余計な混乱を招くだけだと思うんだが……! てか、一体なにをする気だよ。


 この数百人の兵を相手に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ