第401話 オートスキル強制発動・覚醒煉獄
神聖国ネポムセイノの第9998代皇帝ジークムント・ケッヘルを俺が倒す?
なんでそんなことをしなきゃならん。面倒だから絶対に嫌だ。
「頼む、皇帝を倒してくれ!」
「うるせえ!!」
俺はニコラスをブン殴った。
「ぐほおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
地面へゴロゴロ転がるニコラス。
いや、そんなことよりだ。
「おい、フォル! 俺のレベルって本当にLv.58200なのか!?」
「そうですよ、兄様。事実です! だって、ほら頭上に書いてあるんですもん」
自分じゃ見えないんだけどね。
鏡でもあればいいんだが――ああ、窓で反射して確認できた。
マジで俺のレベルは『58200』となっていた。我ながらバケモンだ。
そのせいか俺が狙われることはなかった。みんな避けてやがる。
「で、ニコラス。皇帝のレベルはいくつなんだ?」
「……そ、それはもちろん皇帝というくらいだからね。Lv.99999なんて噂があるよ」
「Lv.99999!? うそだろ!?」
「噂だよ。ジークムント・ケッヘル皇帝陛下は謎の多い人物でね……」
なるほどなぁ。
けど、だとしたら今の俺では皇帝をぶちのめすのは不可能かもしれない。いや、けど俺はレベルの壁なんてブチやぶれる『神王』なのだからな。
負けるはずがないのだ。
「まあいい。それよりも、ここにいる貴族共を全員ぶっ飛ばせば解決だろ」
「……そんな極端な。だが、間違ってもいないよ、サトル」
「そうだろう、ニコラス。お前は黙ってみてな」
「わ、分かった」
俺は指をバキボキ鳴らしながら、広場へ向かう。決闘エリアでは、複数の貴族が戦っている。
俺はそこへ殴り込んだ。
「くらえええええええええええええ!! オートスキル強制発動・覚醒煉獄!!!!!」
津波のような炎が広がり、貴族共を巻き込む。
「ぎゃあああああああああああ!」「な、なんだこの炎は!!」「うそだろ!?」「し、死ぬううううううう!」「うあああああああああああ!!」「俺が負けたのか!?」「やめてくれえええええええええ!」
次々に倒れる貴族たち。
俺はポイントをゲットしてレベルアップした。
Lv.58200 → Lv.59600
まあ、こんなもんか。
「お疲れ様です、兄様! グロリアスヒール!」
フォルから回復魔法を受け、俺は体力を回復した。ふぅ、そんなに疲れていないけど疲れた。
レベルアップも多少したし……。
「おい、ニコラス。俺はその第9998代皇帝ジークムント・ケッヘルに会いに行く」
「な、なんだって!?」
「倒して欲しいんだろ?」
「そ、それはそうだが……レベルはどうする!」
「そんなもん関係ねえ。俺は俺の力を信じる。この超覚醒オートスキルなら勝てるさ」
「自信満々だな。分かった、お城へ案内しよう」
ニコラスの後についていく。
やがて大きなお城が見えてきた。
大きいっていうか巨大すぎる。
なんて規模だ……街のような広大さと、城も城塞って感じだ。しかも、ゴーレム兵が厳重に守護していた。
なんつー場所だ!!




