第391話 究極の闇スキル
何が『闇の勇者』だ。
ふざけやがって……!
海の底に沈んだ楽園『バテンカイトス』を取り戻す? じゃあ、俺たちの世界はどうなるっていうんだ。一方的に支配され、破壊されていく。
そんなのは間違っている!!
「天帝……お前を倒す」
「この俺を倒す? 面白い……絶対的な『闇』であるこの俺をどう倒すか……それはそれで興味がある」
薄ら笑いを浮かべる天帝。
この野郎、馬鹿にしてんな。
闇だかなんだか知らねえけどな、やってやるさ。こっちは俺ひとりではない。女神に聖女、エルフの聖戦士もいるんだぜ。負けるワケがない。
「……サトル! どうするの!」
「メサイア、お前たちは後方で支援と補助を繰り返してくれ。俺はヤツを叩きのめす」
「で、でも……あんたひとりで……」
「任せろ。俺は幾多の強敵を倒してきた男だ。負けはしない」
「……信じているわよ」
「ああ」
最初から全力で飛ばしていく!!
俺は【超覚醒・オートスキル】を自動・任意モードに変更。俺の意思でもスキルを扱えるようにした。もちろん、自動でもスキルは発動するし、任意攻撃も可能だ。
天帝は、あの小さき魔法使いを抱きしめていた。
「フォース。お前は見ていてくれ」
「で、でも……ユメ」
「俺は大丈夫だ。闇だからな」
「うん」
……あの二人はいったい、どういう関係なんだか。いや、惑わされるな。あの子は幻影だ。ならば……!
「天帝、お前はこれで沈め……!!」
俺は走り出し、一気に加速していく。
少しでも油断すれば、こっちがやれるのは明白。だからこそ、この大技でいくしかない。一撃で決める……!!!
感情を爆発させ、ただひたすらに、奪われた未来を取り戻すために『慨嘆』を高めていく。
『怒りと悲しみのエンデュランス!!!!!』
それは大いなる力となり、号哭を絶叫させ、絶巓に届く蒼白の閃光を穿つ。
「これが『理』……激しい怒りと悲しみを感じる。しかし、そこには『愛』がない。俺は愛を知った……だからッ」
天帝は表情を変える事なく冷静に、右手を向ける。ま、まさか……俺の最強技『エンデュランス』に対抗できる術があるというのか。そんな馬鹿な。
『ライスナー・ノルドシュトルム・ブラックホール!!!!!!!』
俺の『エンデュランス』を遥に凌駕する広大な闇が感情の光を奪う。あ、ありえない……俺の技が消えていく!?
「まだよ、サトル……『覚醒オルクス』で補助するわ!」
「メサイア、ナイスッ!!」
「兄様、わたくしをお忘れですか!! グロリアスブレッシングとグロリアスアジリティです……!!」
「フォル!!」
「あたしも大魔法でお助けしちゃいます!! 愛のホーリーグレイル!!!」
「おぉ、リース!!
「仕方ないなぁ、理くん! 全シールドスキルぶっぱなすよー!」
「全部かよ、ベル!!」
全員の力が合わさり、俺の『エンデュランス』が闇を押し返す。
「……っ!!」
微かに天帝の顔がひきつる。
どうやら、押しているようだな!!
「諦めろ、天帝! お前の負けだ!!」
「諦めろ? ふざけるなあああああああああああああ!!」
初めて激昂する天帝は、更なる闇スキルを放ってきやがった。
『カー・ブラックホール!!!!!!』
まだ闇スキルがあんのかよ!!
一気に押され、劣勢となる。
このままでは……敗北濃厚。
けどな。それでもな、俺は……俺たちは諦めるわけにはいかないんだよ!! ヤツが【バテンカイトス】の名を語る神なら、俺は【アルクトゥルス】になってやる!!
神の涙『ティアドロップ』を取り出す……! ああ、ついにこの時がきちまった。ヤツと同等の力を手に入れるには、これしか方法がねぇだろッ!!
「うおおおおおおおおおおおお……!!!」
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