第4話 建築スキル - 壊れたのなら直せばいいのよ -
エルフの襲来によって半壊した小屋は修復された。
なんと、女神が【建築スキル】をマスターしていたのだ!! 意外と便利なヤツだった。
「なんだそりゃ。女神が【建築スキル】をカンストしているとか意味分からん」
「仕方ないでしょ。私って、それしか取り柄ないんだもの」
スカートの中から煎餅袋を取り出し、バリバリと頬張るメサイア。それは何スキルなんだよ。
「いや、おかげで小屋が新品のようなレベルで綺麗に修復されたけども! 凄いな、メサイア。未来永劫、誉め讃えてやろう」
「えへん、それほどでも。予備の『建築材料』が少し余っていたからね。おかげで御覧の通り、元通りに修復できたわ。まあ、だからね、今後小屋がぶっ壊れても直してあげるから、安心なさい!」
堂々と女神は胸を張った。
へー、思ったよりボリュームあるな。ただ、あのエルフ……リースだっけ。あの子の方がスゴイが。
「そうか。じゃあ、そのスキルでベッドも作ってくれよ」
「いやよ面倒くさい」
「……おまっ」
ていうか、そうだ。
「おーい、リース。小屋の掃除は終わったか~?」
「はい~。メサイアさんが小屋を修理されたので、それほど残骸は残って無かったのですけど、小さなホコリやら目立ちましたので、ただいま徹底的に清掃中です~」
突然、小屋に転がってきた美少女エルフのリースは超絶綺麗好きだった。
今は、ちょっとだけ小汚かったこの小屋を隅々まで丁寧に掃除してくれている。おかげで、ピカピカになりつつある。清潔感があってありがたい。
「――それにしても、ここまで綺麗になるとはな。こっちの棚とか……おお、トイレもピカピカじゃん。なあ、メサイア。リースの【掃除スキル】は使えそうだぞ」
「Zzz~…」
女神は寝ていた。
破損したところの修理で疲れたらしい。
寝るのはえーよ。
のびたくんか、お前は。
「まあいい……。で、リースは何でこの小屋に転がってきたんだ?」
「はい……。その、あまりにヒキコモリすぎて……エルフの郷【アヴァロン】を追い出されてしまいましたぁ……。それで、あてもなく彷徨っていると、この小屋が引きこもるのに丁度良さそうだったんです。でも、突然、沢山のイノシシのモンスターに追いかけられて……それで」
辛そうに瞳を潤ませるリース。
それからどうやら、まともに攻撃を受けてしまったようで――あぁ、後の光景はもう目に浮かぶな。簡単にイメージ出来る。
打ち上がった花火は必ず落ちるのだ。
『ぴゅ~~~ん、どーーーん!』
と、そんな感じでウチに転がって来たようだ。
「そうか……災難だったな。でも、引きこもる気持ちは分かるよ。いろいろダルいもんなぁ、人生とか」
「そうなんです! 家でゴロゴロしている方が楽しいですよ~」
「ほお、それには同意見だよ、リース」
「ですよね! もう何も考えたくないです。適当にダラダラ過ごしたいですぅ~」
でも、掃除の手は止めないリース。
掃除をしているリースの顔はどこか幸せそうだな。なんて、そんなリースの作業を眺めていれば――
「おはよー!」
「もう起きたのか、メサイア。俺のベッド作ってくれよ」
「またそれ~? いい加減しつこいわよ。ただでさえ狭い小屋なんだから、ベッドなんてひとつで充分よ。それよりキッチンでしょ。お腹空いた!」
そういえば、なにも食っていないな。
外に落ちてるイノシシでも食うか?
「そうだ、イノシシの肉を食べましょ!」
俺の考えていたことを口に出すメサイア。
それしかないな。
「で、誰が外に出る?」
「そりゃ、あんたでしょ。サトル」
「ですよねー」
めんどくせえ。
めんどくせえが、人間、腹は減るのだ。
腹が減れば、さすがに行動には移らねばならない。肉を取りに行こう。
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