第389話 謎の少女現る。万物の力・ソウルフォース
ある部屋に入ると、その先は『何もない大地』だった。まるで、世界の“はじまり”のような――そんな無の空間。
「なんだ、こりゃあ……」
「サトル、これは『無』ね。でも、完全な無ではない。これから創造されていくような、その途中経過みたい」
メサイアの言う通り、この空間は正にこれから『国』が出来るぞといった基礎があった。なぜ、こんなものが、こんなところに?
「……っ! 兄様、すごい魔力を感じますよ」
少し後方に立つフォルが警戒する。
ベルも勘付いたようで、シールドを生成してリースを守護する体勢に入る。これは……ヤバイ空気だな。
「みんな! 俺の後ろにいるんだぞ」
なぁに今の俺は超絶最強にして無敵だ。
この力がある限り――
拳を握っていると、空から何か落ちてきた。あまりに突然で、物凄い衝撃で――まるで隕石のようだった。
それを証拠に地面には、大きなクレーターが出来上がっていた。なんだ、何が降ってきた……!?
「理くん。これはマズイね」
「ああ……ベル。お前はリースとメサイアを守れ。フォルは俺が守りながら、支援をさせる。その必要があるくらい、相手はやべぇ……」
おいおい、せっかく【超覚醒・オートスキル】を手に入れてウキウキ気分だったのに、いきなり大きな壁にブチ当たったぞ。なんだこの馬鹿みたいに高い魔力。さすがの俺でも感じ取れた。
一言申したい。
……嘘だろ!!!
「……この子はいったい」
クレーターから現れる小さな影。
黒いシャツを着て、随分と薄着だな。
黒髪とエメラルドグリーンの瞳は、まるで随分と前に戦った『ジェネシス』を思わせる様相だった。ていうか、ほぼ一緒だ。本人なのか!?
「…………」
「お前、ジェネシスか。倒したはずだぞ。あの“太陽島サンデシマ”でな!」
「……違う」
少女は俺を見据え、そうハッキリと言った。違う? どこが。まるで一緒だぞ。というか同一人物としか思えない。
「じゃあ、キミはなんだ。こんな塔になんで一人でいるんだ?」
「あたしは一人ではない。でも今は“彼との約束”の為に顕現した」
「彼? 彼とは誰だ。教えてくれ」
「この最上階にいる人。でも、行かせない」
少女は、掌をこちらへ翳す。
ま、まさか、あの力か!!
「その前に――!!」
「遅い。ソウルテレキネシス……!!!」
やっぱり同じスキルだ。
いや、これはもうスキルと呼べるのかすら怪しい代物。やべぇ、きちんと防御しないと体がバラバラに吹き飛ぶぞ!!
「こんなものおおおお……ッ!!!」
「……なるほど。本当に貴方が『理』なのね。じゃあ、さっさと決めないと……あたしが負けちゃうね」
少女は、両手を俺に向ける。
本気ってわけか。
俺はできれば、あんな小さな子を傷つけたくはないが……そうも言っていられない。次第に【超覚醒・オートスキル】が反応を見せ――スキルが発動した。
聖属性魔法『ホーリークロス』(なぜか名前がまとも!)が飛び出て、無数の十字の光が敵少女の魔法を押し返す。
これなら!!
――だが。
「……強い力。でも、まだ余裕」
なんだって!?
驚いていると、少女がスキルを発動した。
『――――――スーパーノヴァ!!!』
んなッ……!
とんでもねぇ超新星爆発が俺のホーリークロスを飲み込む。なんてパワーだ。これほどの生き生きとした力は、始めて見た。
いや――
――これは魔法ではない。
そうだ……
あのジェネシスも言っていたっけ。
『所詮は、魔法スキル。我が万物の力……『ソウルフォース』には敵わんのだよ』
これは、そのソウルフォースだ。
「だけど、それでも!!!」
俺は【超覚醒・オートスキル】と共に習得した“新たなスキル”を自動で発動した……!!
「いけよおおおおおおおおおおおおおおおお……!!!」
全身がレインボーに輝く俺。
なんだこの光。
元気がバンバン出てきやがる。
これはまさに『元気』か!!
人間は月と太陽の下に生きている。
いつも両方から少なからずパワーを貰い、魔力を作っているんだ。それが、この世界の『理』であり、覆しようのない事実。
『サンセット・ムーンライズ!!!』
虹色の光が七つに分散していく。
それはあの少女の『スーパーノヴァ』すら飲み込み、吸収。更に火力を強めていった。それは瞬間で到達し、少女に激突。
「――――――っ!!!!!」
あまりの威力に視界が真っ白になり、何も見えない。……少女はどうなった?
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