表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第一章 救世主

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/555

第39話 最強スキル - 死ぬほど強くなる俺 -

 聖者の試練『ヴァルハラ』第20層……ボスフロア。

 そこに現れたボスモンスターは『エンケラドゥス』という両手にチェーンソーを持ったバフォメットのようなバケモノだった。


 俺は、ヤツのステータスを『千里眼』(クレアボイヤンス)で見てみた。



 エンケラドゥス:【Lv.5080】

 HP:不明 属性:【闇】

 武器:【魔神器】クレセントチェーンソー



「く……【Lv.5080】もあるのか。

 けどな、こっちは強力な仲間がいる。――よし、この距離を維持して俺は、ヤツを『血の煉獄』でひたすら燃やし続けて足止めする。みんなは後方でヤツに大魔法とか浴びせてくれ」



 みんなにそう指示した。

 ボスモンスター『エンケラドゥス』が少しずつ俺との距離を縮めてくると、そこで『血の煉獄』が自動(オート)発動した。失念していたが『血の煉獄』は、血がなくとも一定確率で発動するのだ。



 地面から湧き出る紅色の炎は、ボスモンスターを一気に包み込んだ。


「よし。掛かった。これなら動くまでもなく楽勝で倒せるだろ」



 ……なんだ。

 『聖者の試練』のボスモンスターなんて大層に言うものだから、もっと強いかと思ったぜ。こりゃ、拍子抜けだ。


 こうして(フタ)を開けてみれば、なんてことはない。雑魚だ。

 そんな風に余裕をぶちかましていれば、


「サトル!! 避けて!」

「……え?」



 遅かった。



 目の前には、あの【チェーンソー】が――!



 ギュルン、ズバババババババババッ!!



 そんな鈍い音が俺の体を引き裂いていき、


 俺の体は真っ二つどころか、バラバラになって…………



「……」



 死んだ。



『――――――』



 走馬灯なんてものも流れず、一瞬で。



 ……これが死の瞬間、死の味。



 死の苦しみ、悲しみ。冷たさ。絶望。



 呆気なく終わっちまったかー…。


 あーあ、こんな事なら、みんなとデートしておくんだったなぁ。せめて、頭を撫でてやるくらいはしてやりたかった。

 ……それと、せめて『好き』くらいは言ってやれば良かった。



 俺は一度だって、彼女たちに『好き』を言ったことがなかったから。


 それが、それだけが心残りではあった。



 ◆ ◆


 ――堕ちる。


 闇に――堕ちる。


 深淵の底で――【死】――が静かに、


 ――そして安らかに。


 ◆ ◆



 俺はそこに堕ちて、終わりを迎えるのだろう。



『……理』



 光。

 闇の中に【光】があった。


 この声。

 優しい声。

 いつしか、あの【虹の空中庭園(ビフロスト)】でも聞こえた。



 俺の名前を呼んでくれた、優しい声。



「……ん。メサイア。お前は幻か。

 ああ……なんだ、最後に天国へ連れていってくれるのか」


『いいえ。私は、メサイアではありませんよ』


「え……だって、その容姿、髪の色、どう見ても」

『はい。顔はみんな同じ。それに髪の色は、私は元々『金』ですから。こうなります』


 ――と、目の前にいるメサイア(?)の髪の色が金色に変わった。


「はい……? あんた誰だ?」

『私は私です。いつもあなたのお(そば)にいる女神ですよ』

「え? えぇ?」


 さっき、メサイアじゃないって……


 どういう事?


『私たちは、元々ひとつの存在(・・・・・・)だった。

 ですが【死の呪い】に(あらが)うためには、この方法しかなかったのです。なので、私は我が子として『メサイア』、『アルラトゥ』を生み出した。……それから、あなたと【契約】を果たした。ほら、この【黒い魔導書】覚えていますか』



「あ……あぁっ!! その【黒い魔導書】! 見覚えがあるよ。はじめて、あんたと出会った時に持っていた! そうか……あんたが(・・・・)、俺と【契約】したんだな」



『ええ、あの時――【ビフロスト】で【契約】したのは私。

 ですが、私はこの【黒い魔導書】に封印した【死の呪い】の影響で霊体。動けなかった。ですから、我が子、メサイアをあなたの元へ行かせたのです』



 そういう事だったのか……。

 確かに、口調が違うなとは思った。けど、あんな場面だから、そんな風にしていたのかと思っていたが……そうか、あの初めに会った女神は……


 このヒトだったのか。


『……私は、メサイアは、お役に立てているでしょうか』


「――ああ、俺に似て超絶面倒臭がりだけどな。むしろ、俺より面倒臭がりじゃないかって思う。けど、可愛いところも多いんだ。アイツ、ああ見えて、俺の為に必死になってくれてる。そんな事、もうずっと過ごしてきて分かってるけどな。

 ……俺は、メサイアが好き(・・)だよ。大好きだ」



『良かった。私も彼も、なにも間違ってはいなかった』



「……それで、俺とまた再契約してくれるのか?」

『いえ、その必要はありません。なぜなら、私とあなたの契約は、まだ続いているのです。では……【解放】しましょう』


「【解放】……って?」



 次の瞬間だった――



 << LIMIT BREAK >>



 あ……これって、どこかで見覚えが!!

 あたふたしていると、目の前にスキル詳細が表示された。



 【リミットブレイクⅠ】

 効果:全ステータス+3000、全スキルレベル+5、死亡時、一度だけ蘇生できる。蘇生後、【リミットブレイクⅡ】アンロック。



『理、あなたの【リミットブレイクⅡ】をアンロックします』



「あ……あぁっ!! そ、それ前にメサイアが【解放】してくれた……そっか。『Ⅱ』なんて段階があったんだっけ。すっかり忘れていたよ!」



 【リミットブレイクⅡ】

 効果:全ステータス+6000、全スキルレベル+10、クリティカル+30、全てのモンスターに対する物理・魔法攻撃を50%アップ、ボス属性モンスターに対するダメージ+300%、敵にダメージを与えた時、一定確率で【猛毒】【凍傷】【出血】【麻痺】【幻覚】【爆睡】【混乱】【火傷】【沈黙】【鈍足】【忘却】【石化】【魅了】【混沌】【気絶】【壊死】の状態異常を与える。

 与えたダメージのHP及びSPを10%吸収する。

 吸収したHPとSPの余剰分は、パーティメンバーに限り譲渡可能。

 死亡時、一度だけ蘇生できる。蘇生後、【リミットブレイクα(アルファ)】【リミットブレイクβ(ベータ)】【リミットブレイクγ(ガンマ)】アンロック。

 このリミットブレイクスキルを取得した場合【リミットブレイクⅠ】と【リミットブレイクⅡ】は消滅する。



「え~……っと……説明なげぇー!! つーか、強すぎんだろ!?」



 ええい、なんでもいいや。

 ボスモンスターぶっ倒せるなら!!



『理。どうか、神王様にお会い下さい。そして、我々(われわれ)を――』



 ◆



 唐突(とうとつ)に視界が戻った。



 俺は、いったい。

 ……仰向けになって倒れていた。


「……戻ってる。バラバラだった体が」

「サトル! あんた、どうして蘇生を……。でも本当に良かった。私、あんたがいなかったらどうしていいか……」


 メサイアが俺を膝枕(ひざまくら)していた。

 普段、絶対見せないような、悲し気な表情で見下ろして。


「なんだ、メサイア。泣いてるのか。どうせなら、笑っていてくれよ」

「ばかっ。心配させておいてよくも……。あの時、リースは泣き崩れるし、フォルとベルは私たちを守るので精一杯だったから……。それは今もだけど」



「なっ……」



 よく見ると、リース、フォル、ベルがまだ果敢(かかん)にボスと戦っていた。


 飛び交う大魔法。

 一糸乱れぬ奥義の連続コンボ。

 俺たちを守ってくれる大きな盾。……あれは、ベルか。


「お目覚めかい、理くん! わたしは復活するだろうと、少しだけ信じていたよ」

「心配かけたな! 俺も今すぐ行く」

「ああ、それじゃ……リースちゃんと、フォルちゃんちょっと引いてもらおうか。わたしが盾で敵の【チェーンソー】を防ぐ。その間に奥へ退避するから、あとは理くん。何とか出来るね?」


「ああ、メサイアも頼む……!」


 俺は、息を吸い込み――


「リース!! フォル!! 心配かけたな! 俺は生きてるぞ!!」



「サ、サトルさん!!」「兄様!!」



 二人とも、やっぱり泣いていた。


「言い訳はあとで沢山させてくれ!

 だから、この場は俺に預けてくれ。ヤツをぶっ倒す……!」



「分かりました!」「了解です!」



 ベルの巨大な――巨大すぎる盾に守られつつ、リースとフォルはボスモンスターとの距離を取った。取るものの、敵の攻撃は止むことはなかった。

 ……まったく、あの【チェーンソー】凄まじい威力だ……!

 地面があんなに(えぐ)れて……。

 

 だが、盾も強靭(きょうじん)な防御力を誇っている。固い、むちゃくちゃ固すぎる。

 ベルの盾はどうなってんだ。でも、アレのおかげで仲間たちは救われていたんだろうな。


 ナイスシールド!


 ボスが孤立したタイミングを見計らい、俺は起き上がり、前へ出た。

 今度こそ、ヤツを仕留める……!


「きやがれ、この悪魔めッ!!」

『――――ィィィィィ!!』


 ヤツの【チェーンソー】が接近する。

 今なら見える。


 そうか、あの野郎……【チェーンソー】を超スピードで三日月状(クレセント)に振り回し、その衝撃を飛ばしてきていやがったんだ。それで俺の体が一瞬でバラバラに。


 だが、今なら(とら)えられる……!

 なんたって、俺には――



 【リミットブレイクⅡ】



「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおッッ!!!!!!」



 『血の煉獄』

 『ニトロ』

 『ホーリーブレード』

 『ヒドゥンクレバス』



 ありったけの【オートスキル】が発動する。


 全ての技が【チェーンソー】を飲み込み、燃やし尽くす。瞬きひとつの間にも、武器を完全破壊。――やがて【オートスキル】はボスモンスターを直撃。


 連鎖爆発を幾度も起こし――



 【Good Job(グッジョブ)!!】

 【Congratu(コングラチュ)lations(レーションズ)!!】



 一撃で『エンケラドゥス』を沈めた。



「…………」



 わぁぁぁ~と、みんな後ろから歓声をあげてくる。

 俺は、ただ立ち尽くし――



「クク、ククク…………。

 フフフ、フゥーハハハハハハハハハハハハハッ!!」



 あまりに己が強くなりすぎてしまって、

 豪快に、爆笑(・・)してしまった。

いつも応援ありがとうございます。

もしも面白い・続きが読みたいと感じましたら、ぜひブックマーク・評価をお願いします。感想もお気軽に書いて戴けると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ