表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第十章 死神王

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

366/554

第357話 怪しげな男達 - ぼったくりバー・えんじょいにて -

「――サトル、私はお腹が空いたわ」



 ヘンなポーズで俺をエロイ目――もとい、赤い瞳で流し見る女神・メサイアは、晩飯をご所望だ。確かにもう遅い時間。深夜だ。空腹(ハラペコ)だった。



「そうだな、なにか食っていくか。ぼったくりバー『えんじょい』なら空いてるだろ」



 俺とネメシアの思い出の場所だ。

 酒はまずいが、飯は一級品という食評判の高い店なのである。オーナーは、コックにでもなればいいと思うのだが、強い(こだわ)りがあるのだとか。



「決まりね。じゃあ、行きましょうか」



 ◆



【 ぼったくりバー・えんじょい 】



 (あら)くれの集う酒場は、本日も犯罪者スレスレの客人で(にぎ)わっていた。



「ねえ、サトル。一歩間違えれば、お縄になりそうな凶悪面をした冒険者達がジョッキを片手に(うたげ)をしているわよ」


「おい、聞こえるだろうが。もうちょいボリュームを下げていえよ、メサイア」



 突っ込むと――、



「おうおう、そこの黒髪の姉ちゃん。そりゃあ、俺達の事かぁ!?」



 完全に酔っぱらている大男が現れた。

 でかっ……三メートルはあるぞ、この男。


 全身の傷とかすげぇな。まるで獰猛(どうもう)なクマ系モンスターと格闘しまくったって傷痕だった。



「ご、ごめんなさい。悪気は無かったの」


 メサイアは謝ったが、男は気が収まらなかったようで、興奮気味に『ビア』を振舞っていた。



「ほう、素直な姉ちゃんじゃねぇか。よく見りゃあ、どちゃくそ美人だなァ! よーし、このビアを飲め、飲め」



 ビア(俺の記憶の世界で言えばビール)を勧められ、メサイアはジョッキに手を()ばしていた。それをゴクゴクっと豪快(ごうかい)に飲み干す。って、そんな一気に!




「――――ぷはぁぁッ! まずい!」




 はやっ。

 なんだこの飲みっぷり。

 でもって、やっぱりマズイのかよ。



「ふっ、この程度ならまだまだ」

「やるなぁ、姉ちゃん。よ~し、今夜は俺のおごりだぁあぁ! そこの兄ちゃんも飲めよぉ!」



 巨人男、どうやら名を『トニトゥルス』というらしく、酒をどんどん注文していた。(おご)りかよ。そりゃあ、ありがたいけど。


 ジョッキを受け取り、金色の液体を胃の中へ流し込んでいく。……くそまじぃ。まるでドブ水だが、そんな間にもメサイアは、どんどん飲み干していく。いったい何杯行く気なんだ、この女神様。もう(すで)に十はいったぞ。



「まだまだ余裕ね」

「メサイア、お前、酒強すぎだろう」

「女神ですから!」



 えっへんと胸を張るメサイア。まさか、これほど酒が強かったとはな。家で飲む時は少量だったし、会話がメインだったからな。


 今はどんどんジョッキが山積みになっていく。


 これほど飲んでも酔わないとはな。既にトニトゥルスは、ダウンしており、顔が真っ赤。眠っていた。



「あーあ。こりゃ、メサイアの勝ちだな」

「楽勝ね。じゃ、これで心置きなく飲めるわね」

「あ、ああ」



 もともとトニトゥルスの座っていた席にお邪魔し、俺はメサイアと対面となった。こうして見ても、まったく酔っていないな。


 そうしていると、店のオーナーが複雑な表情で現れた。



「よう、マスター」

「サトルくん、お金は大丈夫だろうね。かなり飲んでいるけど」

「それなら、そこで寝ている巨人男のツケで」

「分かったよ。それで、ご注文はどのように?」



 正直もう満足なんだけどな。

 だが、メサイアは違った。



「ファジーネーブルふたつ」

「ほう、ファジーネーブルかい。それはお目が高い……最高の味を保証するよ」



 本当かよ。

 ビアですら絶望的な不味さなんだが。少し待つと、黄色い(びん)を持ったオーナーが現れ、机にそれを並べた。



「これが、ファジーネーブルだよ。かつて雷神に愛された娘が愛飲していたものなのだよ」



 これが噂の。

 オレンジジュースのようにしか見えないが。



「サトル、乾杯(かんぱい)しましょ」

「おう」



 乾杯(かんぱい)して味わうと――



「お……美味いな。普通に美味い」



 めっちゃ普通!!

 でも、美味かった。



「でしょ。だから……」



 そこでガタッとメサイアは倒れた。



「ちょ、おま……いきなり倒れるとか!」



 どうやら潰れたらしい。ここまでか。

 仕方ないので、俺はメサイアをおんぶした。



「オーナー、そこの巨人は任せたよ」

「ああ。また来てくれ」



 酔い潰れたメサイアを抱えて、店を出た――その直後だった。



「ひょ~、やっぱりイイ体の女だな!」

「よぉ、おっさん。その黒髪の女を寄越してもらおうか」

「女は、俺たちが楽しんでやるよ!」



 酒場にいた妙な三人組が現れた。かつてのチョースケ、パースケ、グースケを思わせる風貌だ。ってか、メサイア狙いかよ。珍しいな。



「やめておけ。この可愛い寝顔で潰れている女神は俺のだ。指一本でも触れれば、お前たちの股間(こかん)を一生使えなくしてやろう」




「んだとォ!?」

「この蛇のマークが分からねえのか!」

「俺達ァ、ヒュドラだぜ! シミター様が黙っちゃいないぞ」




 男の腕にはニョロニョロした『蛇』刺青。あれは、ヒュドラのマークなのか。



「――なら、倒すっきゃないよなあ」



 メサイアを抱えたままだが、問題ない。

 このままでもヤツ等を倒せる。

 俺には【オートスキル】があるからな。



 だが、なんだろう。男達がニヤニヤして余裕を見せている。嫌な予感が――的中した。




「――ぐっ!」




 俺の背後からもう一人(・・・・)が現れ、メサイアを奪った。



「くそっ、四人目がいたのか……」


「油断したな! この極上の女は貰って行くぜ! 四人で回して楽しんでやるよォ!! お前の目の前でな!!」



 ……ぶっ殺す。




「その薄汚い手で触れるんじゃねえええッ!!」




 瞬間的に移動した俺は、メサイアを奪った男の顔面をアイアンクローして、地面に叩き落とした。




「――――ぐふぁぁぁぁぁッ!?」




 地面に大きなクレーターが出来て、そこに男は沈んだ。その間に俺はメサイアを回収、おんぶして脱出。



「なっ! くそが!」

「作戦が台無しかよ」

「三人でいくぞ!」



 向かって来るアホ三人。

 その明確な敵意に反応した【オートスキル】が地面から生えた。槍だ。『グローパイク』という物理的ダメージしかない槍がニョキっと生えて、ヤツ等の股間(こかん)を強打した。




「ぶぎゃああああああああああ!!」

「おぐぅぅぅぅあぅぅぅぁっぁぁあああ!?」

「にょおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぁぁぁッ!!」




 見事に命中した槍は、三人の股間(こかん)を破壊した。あーあ、白目()いて、泡噴いて失神してらあ。




「アマゾネスに報告して、こいつらは監獄行きだな」




 それにしても、ヒュドラが(まぎ)れていたとはな。やはり、レメディオスの何処(どこ)かにまだ敵が(ひそ)んでいるようだな。何とかしないと。

いつも応援ありがとうございます。

もしも面白い・続きが読みたいと感じましたら、ぜひブックマーク・評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ