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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第九章 温泉開発

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第354話 温泉はじめました - 冒険者殺到で大儲け -

 温泉とは、人間の身体と心を癒す力を持つ。

 温泉とは、風呂上りに牛乳なのである。



 ほんわか白い湯気が立っている。

 宿屋を【建築スキル】でリフォームし、木造で固めた。DIYには三日を要し、今や和風の温泉施設と化していた。



 (ひのき)をふんだんに使った落ち着きのある浴槽(よくそう)。完成記念に俺たちは、マッタリ湯に浸かって満喫中。幸せだねッ。



「はぁ……気持ちいぜ。そうそう、効能は、疲労回復、神経痛、筋肉痛、肩こり、リウマチ、美肌作用っと、わざわざ湯の成分もスキルで変えたんだよ。エコの力で」


「ヘデラ、すっごく(こだわ)ったわね。確かに、この深緑のお湯って綺麗だし、効き目がありそうね」


 上機嫌のネメシアは、自分の肌に湯を塗りたくるようにしていた。満足しているようで、俺も嬉しい。



「物珍しく斬新に、話題性がないとお客さんも来ないし、ノーマル温泉では、直ぐに閑古鳥。これだけ手間と情熱をかければ、自然と噂も立つ。これで、俺はレメディオス一番の温泉屋ってワケさ」



 我が温泉は、外装から内装、魔導式マッサージ機、牛乳販売、卓球やダーツが遊べる娯楽施設など、可能な限りの贅沢を尽くした。


「素晴らしいですね。……なんだか、私、お酒を(たしな)みたくなりました」


 黒猫状態のエコが、頬を赤らめながらも泳いでいた。犬掻きならぬ猫掻きだな。



「ヘデラ~、こっち滝があるー!」



 珍しくテンションのおかしい――もとい、高いトーチカがきゃっきゃと子供のように(はしゃ)いでいた。



「走るな~、危ないぞ。ちなみに、その滝も温泉の一部だ! 所謂、打たせ湯ってヤツだよ。マッサージにもなるんだぜ」


「すごーい! 背中が痛いけど、すごーい!」


 あんな目をキラキラと輝かせて。うん、作った甲斐(かい)があったってモンだ。



「ねえねえ、ヘデラ」


 指で小突かれて振り向くと、ネメシアだった。頬を朱色に染め、肌がツヤツヤしている。思わず見惚れてしまう。



「なんだ?」

「えっとね、いつもありがとね」



「……お、おう」


 超絶女神級の、いや女神なんだが――あまりに(まぶ)しい笑顔を向けられ、俺は耐えられなくなって、湯に潜った。……そのアルティメット笑顔(スマイル)はズルすぎるよ。



 ◆



「おぉ、こりゃ凄いな」



 翌日――店をオープンすると、温泉の噂を聞きつけたお客、冒険者が殺到した。その数、数百人は優にいるだろう。



「これは大忙しになりそうね。がんばろうっと」



 腕を捲るネメシアさんは、受付についた。まさかの受付嬢を担当してくれる事になった。バイトを募集するつもりだったのだが、彼女自ら率先して挙手したのだ。



「負担を掛けてしまって、すまんな」

「いいのいいの。いつもヘデラにはお世話になりっぱなしだし、たまには、わたしも活躍しないとね」



 爺さんや婆さん、世界ギルド・フリージアの知り合い、冒険者などなど顔見知りも温泉に来店した。今日の売り上げは期待大だな。



 ――それから時間が経過していくと、様々な人々から「良かった」「最高だった」「幸せな気持ちになれた」「また来るぜ」「毎日入るよ」「すげぇよ、ヘデラ様」「これが温泉かぁ」などなど、激励を戴いた。



 満足度100%であった。



「おぉ、皆さん、大満足で帰られていきますにゃぁ。ヘデラ様、この温泉事業は、もっと拡大しても良いかもしれませんね」



 俺の頭の上でで毛繕いするエコは、そう提案した。……ふむ、他の国とかにも作ってみるか? どんどん温泉を当てていけば、いずれは、石油王ならぬ温泉王になれるかもな。



 ――またまた時が経って、夕方。

 こんな時間になってもお客は、殺到した。

 売り上げも予想を上回っており、初日にして大儲けだ。


 そんな中――。



「来たわよ、ヘデラ」

「……メサイア、リースにフォルも! みんな、来てくれたのか!」

「うん、温泉始めるって言った時はどうなるかと思ったけど、予想以上に展開しちゃったわね。これは驚きだわ。どんな奇跡を使ったの?」


「建築スキルさ。俺も持っているんだよ」



 意外そうに驚くメサイアは、顔を近づけて「え、サトル、私の特権である建築スキル持っていたの~。ズルーイ」と、やや不満気に言った。



「悪いな。ちょっと前に闇オークションで獲得したんだよ。この世界じゃ、スキルの売買なんて珍しい事ではないらしいな」

「あ、そっか。まあいいわ、じゃあ、私たちはお風呂行って来るわね」


「おう、ごゆっくり」


 手をヒラヒラ~として、歓迎した。

 俺の横を通っていくメサイア、リース。しかし、フォルが立ち止まる。



「兄様……あのぅ」

「どうした、モジモジと」

「わたくし、兄様成分が大変不足しているのです……ですから後程」

「俺をビタミン不足みたいに言ってくれるな。けど、分かった、あとで存分に甘やかせてやるよ」



 その俺の発言に、フォルは瞳をウルッとさせ、けれども、聖女スマイルで「大好きですよ、兄様」と言ってメサイアの背中を追いかけて行った。



「……まったく」



 これで『温泉開発』は無事に完了した。


 のだが、手広くいくのもアリかもなぁ。


 今後のプランを練りながらも、俺は手にしていた牛乳を味わった。



「うめぇ……」



 これが『幸せ』の味か――。

いつも応援ありがとうございます。

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