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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第九章 温泉開発

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第345話 東のメイドール家 - 負債額10億セルの宿屋 -

 ――スラッとした白い手を確認した。



「よし、聖女になった」



 俺は『温泉事業』を始める為、ヘデラの視点をメインに切り替えた。その方が色々と立ち回りがし(やす)いからな。



「ヘデラ?」



 やや心配そうな顔で俺を見るネメシアさん。

 今日も超絶激カワである。



「――いや、ところで、トーチカとエコは?」

「二人はおつかいでしょ。だから、これからどうしようって話」



 そうだったな。



「ところでネメシア……なんか、距離近くね?」



 顔がすぐそこだった。

 吐息が掛かるくらいの! しかも何故(なぜ)かベッドに押し倒されている俺。



「お、おい……」

「ヘデラ、わたし……」


「ダ、ダメだ……!」

「? 何を勘違いしているの。あ~、もしかして、えっちな事されちゃうと思った? ブブー、不正解よ」


「へ?」


「ヘデラのサイズを測るの。ほら、昨日、たまには別の可愛い服を着たいって言うから。スチームパンクは壊れちゃったし、だから、わたしが作ってあげるって約束」



 そういえば、そんな約束をしていた。情報の整理が追い付いていないな。とりあえず、サイズを測ってもらい、立ち上がった。



「よし、行くぞ」



 俺はネメシアを連れ出し、温泉事業を開始する為に出かけた。



 レメディオスを歩いて温泉候補を探す。まあ、アテはある。最近、噴水広場の宿屋が潰れたと聞いた。そこを買い取ろう。サイネリアの金で!


 というわけで、宿屋の主の元を訪ねた。



「主は東の『メイドール家』という貴族らしいな」



 そこへ向かった。



「ここかぁ」



 よくある貴族の家。この前の『ラグラス・アドミラル』よりは小規模だが。あれが異常すぎるんだよな。



「ねぇ、ヘデラ。温泉作ってどうするの? お金儲け?」

「まあな、お金はいくらあっても困らんし」

「それはそうだけど……なんで温泉なの?」


「そりゃ人々を癒す力を持つし、まず、この国には、まともな温泉施設がないからな。俺が始めちまえば大金持ちにって寸法さ」


「そっか! そうね、人々の為になって儲けられるのなら、それは別に悪い事じゃないものね」


 うんうんと(うなず)く、ネメシアは顔を輝かせた。



 玄関に立ち、ノックをした。

 すると丁度、主らしき人物が現れた。



「――――――ウェエエエエエエエ」


「うああああああ!! いきなり吐くな!!」



「す……すまないね。最近、情緒不安定なんだよ。というわけで、私はメイドール。この屋敷の主さ……キミ達は、もしかして、あの噴水広場にある宿屋を買い取りたいのかい?」


「話が早いな。そうだよ、あの土地と宿屋を売ってくれ」



「そうか、そりゃ都合がいい。実は、宿屋の負債がとんでもない事になってしまってね。いわゆる事業失敗ってヤツさ。このままでは、メイドール家は終わりだ……だから喜んで手放そう。ただし条件がある」



「条件?」


「うん。膨大な負債も一緒に譲渡する。それで金はいらないし、差し上げよう」


「マジかよ」



 こりゃ驚いた。

 だが、負債額をまだ聞いていない。


「肝心の負債額は?」


 ネメシアが()いてくれた。



「10億セルさ。なかなかの金額だろう~…。提供していた飯の不味(まず)さが評判でね……クレームの嵐さ。完全な失態だった……!」



 おいおい、どんだけ酷かったんだよ。

 てか、そりゃ誰も来なくなるわな。



 10億なら何とか回収できるだろうと考え、俺は交渉成立へ持っていこうとした。その時だった。



「ちょっと待て。この『ファルシオン家』も忘れられては困るな」



 背後から男がやって来て、そう声を上げた。なんだコイツは。



「おぉ、貴方は……誰でしたっけ?」



 ファルシオンだかの男はコケた。



「メイドール殿、私だよ、私! ファルシオン侯爵だよ」


「あ、ああ……ファルシオン侯爵でしたか……ん、そんなヤツいたっけな。……え、ちょ、え……うああああああッ!?」



 その時、ファルシオン侯爵が指を鳴らすと複数の男たちが現れ、取り囲まれた。



「なっ……」



 男たちがメイドールを縛り上げた。



「こ、こいつら……!」

「ねえ、ヘデラ。あのファルシオン侯爵って……本当に存在するの? なんだか様子がおかしくない?」

「そうだな、ネメシア。くっ……こっちも囲まれた」



 男たちが俺とネメシアを囲う。



「……そこの黒髪の少女、大人しくしろ」



 男の一人がネメシアの触れようとした。


 ぷっちーん。



「ネメシアに気安く触れるんじゃねえッ!!」



 俺は男の手を叩いた。

 すると、ファルシオン侯爵が俺の前に。



「ほう、威勢がいいな、噂の聖女……ヘデラ」

「俺の知っているのか」



「お前は有名だからな。とりあえず、あの宿屋はこの私が貰う」



 その瞬間、いきなり俺は腹を殴られた。



「……がはっ!? くっ、ふ、ふざけんな……女の俺にいきなり暴力かよ」

「残念だが、私は男女平等主義なのでね。容赦(ようしゃ)はせんよ」



 コイツ……ありえんだろ。

 精神的には男だが、これでも今は超絶美少女の聖女だぞ。許せん……絶対にだ。というか、ネメシアに同じ事をしたら、殺す。ぶっ殺す。



「あの黒髪の少女が随分と大切のようだな……オラァッ!!」



 今度はキックが俺の腹部に――。




「――――がぁっ……」




「ヘデラ! どうして戦わないの!」


「この至近距離では、ネメシアもメイドールさんも巻き込んじまうからだよ。……耐えるしかない」



 しかも、スターダストはメサイアに預けっぱなし。今は使えない。



「ひひひ、良い顔だぞ、聖女よ。その悲痛、(ゆが)んだ表情は私にとってのご馳走(ちそう)だよ。もっと見せろ、もっと、もっとだ!!」



 ゲシゲシと()りを入れてくるファルシオン。……俺はその度にダメージを覆い、胃の中のモノをぶちまけそうになった。けど、耐えた。



「がぁっ、くっ、ぁ……」



「――――ヘデラ、だめ…………それ以上は、ヘデラが死んじゃう。やめて、やめてってば……もうやめて!!!」



 ネメシアが叫んで、涙ながら攻撃を仕掛けていた。


 ……く、ネメシア。




『シュネーヴァイス――――――!!!!!!』




「「「「「ぐあああああああああああああああああッ!!!」」」」」




 ネメシアの女神専用スキルが炸裂し、男達が吹き飛んだ。



 ……やったか?

いつも応援ありがとうございます。

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