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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第七章 世界ギルド

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第335話 第9998代皇帝ジークムント・ケッヘルの謎

 アレクサンダーの赤い手袋が接近する。

 猛烈な勢いでメサイアとリースの胸を狙う。両手で今にも心臓(・・)鷲掴(わしづか)もうとしていた――って、させるかよぉぉぉ!! ふざけんな、ふざけんな!! そこだけは絶対に触れさせん!!



 オートスキルの発動は任意でいくしかない。




「いけよぉぉぉぉぉおぉぉ――!! 血の煉獄!!!!」




 炎は膨れ上がって、ヘンタイ貴族・アレクサンダーへ一瞬で到達する。彼の赤い手も、メサイアとリースの胸をタッチしようとしていた。すげぇギリギリ! あと(わず)か数センチだった。



 そんな超ギリギリで『血の煉獄』は火を噴く。




「なっ、なんだこの血のような炎はああああああああ、うぎゃあああああああああああああああ!!」




 タンっと軽快に飛び込むフォル。俺も彼女の背中を追った。フォルは、リースをお姫様抱っこでキャッチ。俺もメサイアを電光石火の如しマッハで救出した。



「メサイア!!」

「……サ、サトル? えっと……」



 ぽかーんと状況を把握できない女神は後にして、俺はメサイアをお姫様抱っこしながらも、一気に後退。アレクサンダーの状況を見守った。



「ぐあああああぁぁぁ、おのれおのれおのれえええ!! クソ、クソ、クソォォォォォ!! サ、サトルとか言ったな……覚えていろよ!!!」



 髪の毛が燃えながらも、アレクサンダーは逃げ出した。血の煉獄をまともに浴びて、ツルッパゲになっとる。そう、俺はヤツの髪の毛を狙ったというか、(むし)ってやったのだ。



「……えっと」

 俺の腕の中にいるメサイアは、不安気にしていた。


「危なかったぞ、あと少し遅ければお前は胸を触られて、呪いを掛けられていたんだぞ」

「え……そうだったの。助けてくれたのね、サトル」

「当たり前だろ」

「……ありがと」


 それを聞いて安心したのだろう、メサイアは、ぎゅっと抱きついてくる。フォルの方も事情を話したらしくて、リースが混乱していた。



「えぇ……胸を。呪い!? うぅ……」



 俺は、メサイアとリースに詳しい事情を話した。



「実は、かくかくしかじか」


「……そう、屋敷とサイネリアさんを。その、神聖国ネポムセイノっていうのも怪しいわね。そんな貴族と手を組むとは思えないけれど」


 腕を組むメサイアは、そう言った。

 そう言われれば、たかが貴族ひとりの為に大事すぎる。いくらなんでも、世界の中心である【レメディオス】を攻撃するだなんて……普通、するか? なんのメリットがある?


「姉様、わたくしは彼が持っていた警告文書を見ました。そこには確かに、第9998代皇帝ジークムント・ケッヘルの署名(サイン)がありました」



「偽造じゃないの?」


「そうかもしれませんね」



 二人は納得していた。

 マテ。そんあアッサリでいいのか!?


 いや確かに9998っておかしすぎだろ。突っ込みどころ満載である。そんな続く王家があるわけねえ! どうせ自称とかそんなのだろう。



「あのぅ、サトルさん」

「どうしたリース」

「サトルさんが……七人いるように見えますぅ~~~へろへろへろぉ~」


「へ」



 リースの呂律とか回っていなかった。目はグルグルしているし、酔ったままじゃないか。こりゃ寝かせた方がいいな。辺りもすっかり暗くなって夜だし。



「いったん戻るか」



 ◆



 ――翌日。


 世界ギルド・フリージアの屋敷で一泊した俺は、専用の部屋で寝ていた。どうやら、俺にだけは特別仕様らしく、ぼむぼむ(いわ)く、いつでも気軽に泊まってくれとの事だった。


 かなり広い部屋で、四人、五人いても窮屈(きゅうくつ)ではない。豪華なテーブルや椅子は中世を思わせるような煌びやかさ。

 絵画とか置物などあらゆるモノも、それっぽい。赤い絨毯(じゅうたん)も非常に質感がよくて、肌に触れると心地よかった。


 そんな部屋を独り占めしている(はず)だった。


 そうそう、みんなにも各部屋が振り分けられていた。だから、今は誰もいない。俺ひとりの(はず)だった。そう、(はず)だったんだ。



「――――」



 寝ぼけた頭で、ベッドから起き上がって直ぐに違和感を感じていた。椅子に誰か座ってる。視界がボヤボヤして、後ろ姿で分からんけど女の子のようだった。この雰囲気からして、フォルとかっぽい。体形も似ているし。アイツは直ぐ俺の部屋に侵入するからな。


 どうせフォルだろうと俺はゆっくり接近。後ろから抱きついてみた。


 すると、




「――――っ!?」




 驚く女の子。

 知らない女の子だった。


 いや、知ってたわ。



「…………」



「お、お前……」



 この虚ろな目。

 この桃色髪のネコミミメイドは、世界でひとりしかいなんじゃないか。まさか、(サトル)の姿で彼女と出会う事になろうとはな。



 ぼむぼむの娘なのだから、いつか会うとは思っていたけど……。



「トーチカ」


「…………」


「てか、なんで俺の部屋に」


「誰」


「誰って――あぁ、そうか」



 ヘデラの姿ではない。俺は今はただのおっさん。そりゃ分からんわな。でも、そもそもなんで俺の部屋に無断侵入を。


 なにか示すいい方法はないかと、俺は考える。このままでは、トーチカに不審者認定されてしまいそうだしな。



 ああ、そうだ。



「トーチカ、お前の胸の下にはホクロがある!」


「…………」



 あっ、ダメだ。余計に目が死んだっていうか、めっちゃ(にら)まれてる。それから、トーチカは冷静にカップに口をつけて(すす)っていた。



「……ヘデラのえっち」


「おま……! って、え……知っていたのか」


「ホクロは、ヘデラしか知らない。彼女にしか見せた事ないから」

「そうだったか。親父から聞いたのか?」

「ううん、違う。お父さんは知らないと思う。でも今確信を得た」



 コトンとカップを置いて、トーチカは立ち上がって正面を向く。虚ろではなく、輝いた瞳で俺を見た。



「……ヘデラ、カッコイイ」

「……そう言われると照れるな」



「……ヘデラ、話がある」

「話?」

「うん、ネメシアのこと、あたしのこと」



 座ってと促されて、俺は椅子に座る。

 トーチカもまた椅子に座って、俺を虚ろな目で見た。元に戻っていた。ま、これがいつものトーチカなんだが。



「それで話って?」

「うん。更なる未来(・・・・・)の話。過去の話」


「更なる未来? 過去?」



 いったい、何がはじまるんです?

いつも応援ありがとうございます。

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